SSブログ

第6回 兼好集 [落語]

第6回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭けろよん『狸賽』
三遊亭兼好『強情灸』
柳亭市寿『粗忽長屋』
三遊亭兼好『片棒』
三遊亭兼好『佐々木政談』

6時45分とちょっと平日にしては早い開始時間。
この15分がリーマンにはでかい。
定時少し前に周りを気にしつつ会社を出る。いくらフレックスでコアタイム以外は退勤自由とはいえやっぱり気を使うのですよ。
ということで結構ギリギリに到着。

けろよんさん、サゲのキーワードとなる「天神様」とか「梅鉢」についてあらかじめ説明を会話の中に盛り込んだのは親切だが、ちょっと念を押し過ぎてたかな。そういう仕込みはさらっとさりげなく入れていた方がいいと思った。

兼好師の一席め、ようやく落ち着いてきたが毎年この時期は秋のアレルギーがすごくて体調がすぐれないらしい。ただ最近はずっとマスクをしているので、花粉やハウスダストなどのアレルギーはだいぶ抑えられているとか。
それでも寒暖差アレルギーというものがあり、日によってとか朝晩で気温差が激しいと体調不良になるとか。実際にはアレルゲンがあるわけではないのでアレルギーではないそうで、要は交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかないことで体調に異変をきたすのだそうだ。「医者に『どうすればいいんですか?』と聞いたら、『まずは落ち着くことです』と。ん? 私落ち着いてないってこと? 『具体的にどうことですか?』と聞いたら、『感情を揺さぶらないこと』だそうで。……いや無理でしょ。落語やってたら『こんちは! こんちは! ご隠居さんいますか!』『なんだ八っつぁん、まあお上がり』……これだけでも感情はかなり違う。時には『わ、狸!』なんてやらなきゃならない。感情を揺らさないためには私は落語を辞めなけりゃならない」。それは困ります。
少し前に鍼灸医院での仕事があったらしく、本番前に共演の方が鍼や灸をやってもらったらしく、兼好師も顔に鍼を打ってもらったのだとか。「鼻詰まりが良くなるかと思ったら、もっと詰まった」だそうで。あーでも久しぶりに鍼とか行きたいなー。
鍼灸の話から『強情灸』に。
峰の灸の鍼灸師が首を揺らしながら話すのだが、なぜだかこのキャラを見ると当代の柳朝師を思い出す。理由はわかりません。この鍼灸師に向かって「おう、やっつくれい!」と見得を切る所作が鯔背。

市寿さん、好二郎さんとよく会をやっているそうで。
今日は兼好師の会のゲストなので好二郎さんの手拭いを使おうと持ってきたのだが……というマクラで、面白おかしく盛るのはいいんだけど、少し聞いただけで「あ、盛ってんな」とわかるのはちょっと……。
噺の方も別にまずいわけでもないんだけど、かといって上手いというほどでもなく。これからこれから。

兼好師の二席め、圓楽師が亡くなってひと月経つが、8月に会ったときはまだ元気だったのでまだピンときていないという。
「その日私は仕事だったんですが、高座を降りたらけろよんが『師匠……! 圓楽師匠が……お亡くなりになりました』と報告してきて『ええっ』、となった。……あのけろよんは物事に動じないので、そういう報告が非常に上手い。反対に明るい物事を盛り上げられない」。
ここから弟子別の報告シミュレーションをするのだが、これが面白い。
「兼太郎は目をくわっと見開いて、歯茎まで出して涙を流して大袈裟に言うでしょう。かといって本気で悲しんでるわけじゃない。好二郎はナルシストなので溜めるでしょうね。『師匠……』『ん?』『圓楽師匠が……』『えっえっ、何?』『……お亡くなりに……!』みたいな。兼矢は抜けてるんで『誰か死んだみたいですよ』で終わりでしょうね」。本当はあんまり笑っていいテーマでもないんだけど、なんか想像できるだけにすっごい笑ってしまう。
「六代目の圓楽師匠はずっと先のことまでキッチリ決めているような方だったのに、やっぱり自身のことは(終活的なことは)何もやってなかった。やはり自分自身のこととなるとなかなかそうはならないんでしょう」とある意味終活の噺でもある『片棒』に。
兼好師では2年以上開いている。
相変わらずカラクリ人形の仕草が上手い。この間は口がほとんど動かないのもより人形っぽく見える要素なのか。
「弔辞は本来なら友人代表だけど、おとっつぁんは友だちがいない! だから普段いがみあってる大家にやってもらおう。含み笑いで弔辞読むの」と銀次郎演ずる大家が「素食に甘んじ」で顔が歪み「ついに栄養不良により……」で吹き出すところなどは実におかしい。
三男のドライぶりにはさらに磨きがかかり「菜漬の樽は少し小そうございますが、手足は折って塩を入れれば水が出るでしょう。これが『親こうこ』」と自分で言ってしまうのがすごい。

三席め、「日本シリーズはいい試合でしたね。最近は大谷くんや村上くんの活躍もあって、野球人気が盛り返しているらしいですね。やっぱり連日テレビに映ってると子どもに人気が出る。私の子どもの頃はよくテレビでプロレスが流れてましたから。どうでしょう、ここにいる私と同年代の人の半分が4の字固めをかけられて、後の半分はコブラツイストをかけられてたんじゃないですか?」。私は兼好師より少し下の世代なのでブームはそれほどではなかったが、やっぱりコブラツイストはかけられてたなあ。
やっぱり子どもはよく見るものに憧れて人気が出る、と噺に入る。
兼好師の場合、佐々木信濃守のお供についている三蔵がすっとぼけたキャラで、吟味与力でありながら口が軽くて失言の多い粗忽者。生真面目で子どもの遊びでさえ許さない、というタイプのお供もいいが、こういう通常の侍にはないゆるい人物がいるのも兼好師らしい。
そんな三蔵がいるからか、白吉と奉行との問答で「ふたりでも与力」がある程度で身分や金で転ぶ、というような与力の悪口はなし。そういうマイナス要素を減らしているのも兼好師らしい。

会場先行での次回チケットも購入。また18時45分か……。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。