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人形町噺し問屋 その95 [落語]

人形町噺し問屋 その95
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『狸札』
三遊亭兼好『短命』
宮田陽・昇 漫才
三遊亭兼好『出世浄瑠璃』

最近うちの会社がヤバい。
いや経営的なこととか社長のパワハラとかそういうことじゃなく。まあ経営の実際のところとかは知らんし社長のパワハラはとどまるところをしらないのだけれども。詳しいことはいえるわけもないのだがヤバい。
そんなヤバい職場を抜けて人形町へ。

まずはご挨拶。
オリンピックの収賄の話から「いっそアオキは洋服だけど袖を広げた『袖の下シャツ』とか出したらいいんじゃないですかね」と軽くジャブ。
人間は古今和歌集の昔から夏から秋に移るときに「あっ、秋だ」と驚くそうで。「こないだ『今年の梅雨は短かったね』といっていたのにもう夏も終わりですよ。で、私は月末にカレンダーをめくる係なんですが、仕事の予定を書き込んでる大きなカレンダーをめくって『今月の仕事はこんなのがあるのか、うわっ萬橘と3回も会う』なんていっていたんですが、この人形町の文字がないんですよ。『あれー、今月会場取れなかったんだっけ?』なーんて考えながら見てたら今月は2日なんですよ! いつもは10何日あたりにしてるんですけど。だから自分の感覚的にはあと2週間くらいあると思っていたんですけど……。あのね、私前回ちょっと理由があって怪談噺をしたんです。で、覚えられないし嫌々だったから終わった途端に『やったー、もうこれでやらなくてすむ!』とぽーんと忘れちゃったんでしょうね。今日の予定とともに。で今日やるネタを大慌てで考えたり。で、『あっ、ゲスト!』ってゲスト頼むの忘れてた」。毎回イラストとエッセイ入りのプログラムが配られるが、あれ1日で作ってるんだ……。
「そんなわけで前回からあんまり日が経ってないんで、ここで話すことがないんですよね……。あ、よく太ってる人が『体質的にすぐ太っちゃうんだよ、ホントはあんまり食べてないよ』っていうじゃないですか。アレはウソです。太ってる人は食べる!」と落語教育委員会の九州ツアー2泊3日での歌武蔵師と喬太郎師の食べっぷりを面白おかしく話す。好二郎さんが運転手を兼ねていたそうで、眠くならないように食事をライス抜きにしたりSAでコーヒーを飲まされている横でとにかく食べまくっていたらしい。
夜にホテルの喬太郎師の部屋で食事を兼ねて呑んでいたら、博多にいる義理の父と初めて会うという歌武蔵師をテーマに喬太郎師が小芝居を始め、それに歌武蔵師も乗っかっていくという。なにそれ超見たい。

けろよんさん、初めての『狸札』。
まだ慣れていないからなのかややあっさりめ。
サゲは通常の「札が札持ってきちゃいけねえ」とは異なる形だった。

兼好師の一席め、「この時期政治家は『統一教会』という言葉に敏感になっている。『きょうかい』……『落語協会』とか『落語芸術協会』とかにも拒否感を抱かないかと圓楽党は期待してるんですが……。明日は圓生師匠の命日で、五代目の圓楽師匠がご存命の頃はみんなで墓参りしてたんですがね。今は前座さんが行くくらいで……。今は葬式も様変わりして、家族葬や音楽葬が多いらしいですね。私はこれという好きな音楽がないんで、落語のCDなんかかけてほしいですね。五代目小さん師匠の『青菜』とか。おかみさんが押入れから出てくるところで私も棺から顔を出すとかしたい」。それはホラーです。
お弔いの話から『短命』に。高座で聴くのは5年ぶりなのだが、私の兼好あるあるで先日車の中で聴いていた。とはいえやはり落語は生の高座で聴くに勝るものはない。
お焼香を食べていたと聞いたときのご隠居の表情や、その間違いを指摘されたときの八っつぁんのリアクションの楽しさはCDでは味わえない。
短命のワケをようやく気づいたと思ったらなぜかやたらとモジモジしているところもおかしい。「あっ、なーんだそういうことですか。なんだおまんまとかコタツとか出さなくても『歌武蔵』ってひとこと言ってくれればわかったのに」というひとこともエッジが効いている。
長屋へ戻ってかみさん相手に短命ごっこを始めるのだが、おかみさんも面白がってノリノリというのが新しい。「どこで覚えてきたのこんなお金のかからない遊び!」と楽しそう。「なに? おまんま持って揺れるの? こう?」と揺れるのが小島よしおの「うぇ~い」と同じ感じで体を揺らすのもおかしい。

宮田陽・昇先生、「どうも、こないだ頼まれました」「空いてるのが悔しい」。
あれ、陽先生の見た目がだいぶ変わったような……。大竹まことみたいな感じ。
広島県を指し示すネタのときに「北海道、青森、秋田、宮城、山形……」ん、岩手飛ばした! 俺は岩手と東京のハーフなので気づく。そののちにも「山形には世界で活躍している人がいます。大谷翔平」「岩手だな!」「菊池雄星」「岩手だな!」「美味しいものもあります、わんこそば」「岩手だな! お前岩手泥棒か!」と岩手ネタが続く。飛ばしてたくせにー。
たっぷりと爆笑の渦を巻き起こす。

兼好師の二席め、珍しく袴姿。てことは武家噺? でも『陸奥間違い』はこないだやったしなーなどと思っていたら、まったく知らない噺。二月連続でネタおろし!? やったね。
落語は講談や浪曲が元ネタになっていることが多く、意外なところでは『粗忽の使者』もそうなんだとか。へええ。これから演る噺もそうです、と『出世浄瑠璃』に。
松本城主の松平丹波守が、参勤交代の途中で碓氷峠で一休みするところから始まる。これがまた秋の紅葉の景色を見事に描き出し、情景が見えるよう。そこで唸り声のようなものが聞こえてくるのだが、それは信州上田の松平伊賀守の家臣で尾上久蔵と中村大助のふたりで、尾上久蔵のどもりをなおすために義太夫の真似事をしていた、というもの。
「ちょっとやってみろ」という丹波守の命令で義太夫を語るのだが、その唸る声はさすが兼好師。いずれ「音曲噺といえば兼好」となっていくかもしれない。
実は自身もどもりの気味があり、それを隠すために威圧的な振る舞いをしていたという伊賀守のキャラもいい。

前回から2週間しか空いてないとは思えない満足の会でした。
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