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池袋演芸場 四月上席 四月四日 [落語]

池袋演芸場 四月上席 四月四日
於:池袋演芸場

昼席
アサダ二世 奇術
蜃気楼龍玉『道灌』
古今亭志ん五『トイレの死神』
風藤松原 漫才
神田茜『今座の恋の物語』
三遊亭白鳥『座席なき戦い』
ジキジキ 音楽漫談
柳家小ゑん『フイッ』
三遊亭美るく『洒落番頭』
柳家甚五楼『町内の若い衆』
林家楽一 紙切り
三遊亭天どん『新作(普通の一日)』

夜席
鈴々舎美馬『子ほめ』
春風亭㐂いち『金明竹』
春風亭与いち『幇間腹』
笑組 漫才
春風亭三朝『そば清』
橘家圓太郎『締め込み』
立花家橘之助 浮世節
古今亭志ん輔『紙入れ』
春風亭一朝『花見酒』
春風亭一蔵『佐野山』
古今亭菊之丞『親子酒』
鏡味仙志郎 仙成 太神楽
春風亭一之輔『千早振る』

いろいろと納得のいかないままぐるぐると考えてしまうが、結局最後には「もうどうでもいーわ、好きにしろ」となってしまう自分の気性が近頃なんだか気に入らない。
そうはいってもこの状況のもやもやを解消できる考えも思いつかない。いっそすべてをリセットしてしまうか。でも猫いるしなあ。

などとぐるぐる考えているが、池袋の芝居がアツい。
昼席天どん夜席一之輔、天どん師からの営業ハガキで2000円に割引で入替なしってこりゃあ一日籠るしかなかろう。
夜は雨が降るということなので電車で。
最近駅近にオールタイム生ビール1杯150円で、食べ物が皆100円、300円、500円の店ができた。300円メニューが多く、メニューやコックによって当たり外れが大きいのだが、どれも「これが300円!?」というボリューム。特に唐揚げなど大きなもも肉が6つという超お得。味も美味い。これでもう俺は理想の唐揚げを求めていろんな店を巡る必要がなくなった。
で何がいいたいのかというと、この店24時間営業なので昼でも普通に呑める。チャーハンなどの飯物も300円で揃っているため、千円あればビール2杯に飯とおかずが揃ってしまう。ということで今日もここで昼からビールを呑んでから池袋へ向かう。バイクじゃないとこういう事ができるのがいね。

開演時間を少し過ぎてから入ったのでアサダ先生がすでに高座に上がっていた。「いらっしゃーい」と「今日はちゃんとやります」が聞けなかったのが残念。でもそこ以外はほとんど見られた。

龍玉師の『道灌』を聴くのは初めてかも。
余計なところをギリギリまで削ぎ落として、寄席サイズでもちゃんと面白いところだけを膨らませている感じがする。

志ん五師、尿意と戦う噺。途中からなぜかトイレの死神が現れてなかなかトイレに行けないという「あるある」+ファンタジー。尿意がろうそくで表現されるというのは面白いが、オチは「まあそうなるだろうなあ」と思ってしまう。

白鳥師は久しぶり……と思っていたら一年ちょっとぶりだった。そんなに久しぶりでもなかった。
アメ横には魚屋と並んでゴルフ用品屋がたくさんあり、そこでは「5番アイアン1本500円、お一人様3本限り」というセールがよくあるらしい。
「私ゴルフしないんでよくわからないんですが、5番アイアンってそんなに必要なんですか?」という至極ごもっともな疑問から産まれた一席で、山手線内のBBAたちとの座席をめぐる争いの噺。そこにマグロの頭が絡んできてカオス。多分文章では伝わってないと思うけど。

小ゑん師の『フィッ』は初めて聴く。演目としてはよく目にしていたので聴けて嬉しい。しかしまあよくこういう発想が出るよなあ。

今年初天どん師。最近東京近郊での土日の会が少ないような。
終演後に受付でCDを売っているというので見に行ったところ、やっぱり全部持っていた。天どん師からも「久しぶりだねー、全部持ってるでしょ? 今日バイク?」といわれてちょっと嬉しい。我ながらチョロい。
噺は最近できたもののようで、「演目名はまだないんだけど」と他の人と話しているのが聞こえてきた。
急に胸の痛みを覚えた主人公が、神様に子どもの頃に戻してもらって一緒に料理をしたりするというもの。主人公は「これは明晰夢だ」と思っており、実際のところはどうなのかはハッキリしない。ほのぼのファンタジーのような、ちょっといい話のような。
テイストでいえば『公園の悪いおじさん』とか『カベ抜け』が近いか。

結構な人数が夜席にも残っていた。まあこの組み合わせは食い合わせ的にちょうどいいような気がする。あくまで個人的な感想です。

㐂いちさん、ちょっと旦那がガミガミ叱りすぎかなあ。あんまり松公に対する愛情が感じられない。
噺は無駄がなくて上手いと思うんだけど。

与いちさん、大げさというかクサいというか、微妙に大味な気もするんだけど、若くて元気な感じと相まっていてそれもまた楽しい。

笑組、ツッコミのかずお先生が舞台衣装を忘れた時の話をボケのゆたか先生が滔々と語る。ちょうど9年前の4月4日、末廣亭での一之輔師の真打昇進披露興行のときだったそうで。私服のジーンズで舞台に上がるというかずお先生に、先代の圓歌師が「歌武蔵の衣装着たらどうだ」となったとか。さすがにそんなわけには行かず、当時前座だった一蔵さん(朝呂久だったので「チョロQ」と呼ばれていたとか)に着物を借りたそうな。

志ん輔師、いつも『紙入れ』を聴くときに新吉が旦那に「見つけましたか?」とか「読みましたか?」と尋ねる場面に違和感を覚える(そんな聞き方したら自白してるようなもんじゃん、と思う)のだが、志ん輔師の尋ね方だとその違和感はなかった。

一朝師、『花見酒』は久しぶりに聴いた噺だがやっぱり面白い。
兄貴分が酒屋をうまく丸め込むところの口上などはスルスルっと耳に飛び込んできて心地よい。
一朝師の心地よさってのはまた別格な気がします。

一蔵さん、普段は独演会や二人会などばかりなので、寄席で聴くのはなんか新鮮。
寄席サイズでコンパクトにまとめながらも爆笑をさらっているのを見るのは贔屓としてなんか嬉しい。
いろんな人が高座で一蔵さんのことをいじっているのを聴くと、周りから愛されてるんだなあと思ってこれも嬉しい。

菊之丞師はもう文句もつけようのない本寸法。
所作も美しく、駄々っ子になる大旦那もキモかわいい。

一之輔師、明日は長男の高校の入学式らしい。「行きたくないんですよ。もう高校一年生男子なんてこの世からいなくなればいい」。
どうやら仕事について生意気な口をきかれたらしく、「ドラマとかでよく言ってるのを見てうわーって思ってたんですけどね……。まさか自分がホントに言っちゃうなんて思ってもみなかったんですけど言っちゃったんですよね……。『誰のおかげで飯が喰えてるんだ!』って」。あらー。
「そしたら『別に悪いなんて言ってませんけど?』みたいに返されて」と苦虫を噛み潰したような顔がおかしい。
「多分明日いろいろあると思うんで、それを明日のマクラにします」マジか行きてえー。
「昼席は新作ばかりで。最近新作派が増えてきて芸協と逆転してるような気がします。夜席はね、圓太郎師匠、志ん輔師匠、うちの師匠に菊之丞師匠と古典の本格派ばかりですから。……一蔵は違うけど。私も古典の保守本流をやっていきます」と噺に入る。
「横丁のご隠居のところに熊八なるものが飛び込んでくるところから噺が始まるようで……」という入り方こそ保守本流だが、そこでご隠居がやっているのは録画した『麒麟がくる』の消去作業。
そこからは入れ事と悪ふざけのオンパレード。ホンモノの保守本流好きには眉を顰められるだろうが、そんなもんどうでもいいぐらいの大爆笑の連続。こんなに噺を崩していながらも、大筋は古典のままなのがいいのかもしれない。

満足。
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