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三遊亭兼好独演会けんこう一番!春スペシャル [落語]

三遊亭兼好独演会けんこう一番!春スペシャル
於:大手町 よみうり大手町ホール

三遊亭兼好『粗忽長屋』
三遊亭しゅりけん『元犬』
三遊亭兼好『磯のあわび』
田ノ岡三郎 アコーディオン
伊澤陽一 スティールパン
三遊亭兼好『抜け雀』

女は怖いわ。結局俺がガマンしなきゃならんのか。

兼好師の一席め、「まん防だって。萬橘の弟子かって話ですよねえ」となぜか嬉しそう。「非常事態宣言の後にマンボウって。絶対順番間違えてますよね。まず『マンボウ』で柔らかいところから徐々に怖い印象にしていって、最後に『非常事態宣言』にするべきだった」と言いながら、「マンボウ」のところで必ず小脇で手をピロピロとやるのがおかしい。
「みずほ銀行もねえ。あれだけミスが続いたらどうしようもないですね。いっそ悪い印象を逆手にとって、ATMが止まってしまったらたまに指定金額より多く出てくるってしたら誰も怒らないのでは」という。それはいいなあ。口座に1千万入っていても利息なんか100円もつかないのに、時間外に金下ろすだけで220円とか取るからなあ。俺の口座も間違えて残高3倍とかにならないものか。
「今の世の中に足りないのはそういう間違いなどを許す余裕」といって間違いばかりを引き起こす人々を描いた噺に入る。いやホント同感。テクニカルライターなんぞをしていると、「え、それを『間違い』扱いするの? いや確かにムリヤリそう取ろうと思えば取れるけど。ええー。別によくない?」というような内容でやり直しさせられたり、下手するとこちらの有責で再納品とかよくあるんだ。もちろんこちらの有責なので請求もできない。ものすごく納得いかないけどクライアントや社長からやいやいいわれるから収めてるけど。あんまりバカにすんじゃねーよクソが! と声を張り上げたいときも多々あるのです。あとはそれがいつ爆発するかだけだよなあ……。
と閑話休題。
相変わらず兼好師の突き抜けた明るさで、まるで人が死んだという内容には程遠い楽しさ。
メチャクチャなことを言っている兄貴分が、「死んだ気がしねえ? 人が死ぬっていうのはそういうもんだ、俺だって大好きだった婆さんが死んだときは悲しくなかったんだ。でも何日か経って『ああもう会えないんだなあ』と思ったときに悲しくなるんだ。そうやって時間が経たねえと実感なんて湧かねえんだ」とかたまに妙に理屈っぽいことをいって周りを(ムリヤリに)納得させるのがおかしい。

しゅりけんさん、まだテレがあるか。兼好師の型の『元犬』はどれだけ突き抜けてできるかがポイントだと思う。

兼好師の二席め、入社2年目の若手が元気がないというところから話が膨らむ。というのも今年はコロナ禍にも多少慣れてそれなりにできることが増えたが、去年はでいろんなものが中止にされて経験できなかったことが多かったためだとか。
そこから急に馬の話になったのだが、どうやら藁にはある一定の条件が揃うと気分を高揚させる成分が分泌されるのだとか(それでドーピングに引っかかることがあったそうだ)。「ハイジがあんなに前向きなのは藁のベッドで寝ているからなのでは。なので2年目の若手の机の下に藁を敷いておけばいい」という。俺のデスクの対面の2年目にやってみるか。パワハラで訴えられたらどうしよう。
「新人はルールがわからないから不安になる。昔も吉原に行くのにルールを勉強していったようで……」と『磯のあわび』に。こないだ小痴楽師で聴いたばかりで、この噺が被るのは珍しい。まあ単にタイミングだけの話だけれども。
天真爛漫なバカの与太郎の暴走が面白いのはもちろんだが、「女郎買いのお師匠」を押し付けられたご隠居の夫婦関係にヒビが入りそうな空気がまた楽しい。兼好師っぽいなあ。

久しぶりのゲストはアコーディオンとスティールパンのおふたり。アコーディオンはともかく、スティールパンは珍しい。この音色好き。
演者の伊澤さんは本場のトリニダード・トバゴでも演奏しているのだとか。
途中でスティールパンの演奏面も見せてくれたが、特定の位置を叩くとそこの場所に合わせた音が出るようだ。しかしそれがドレミの順に並んでるわけではなさそうで、それを覚えるのがまずは大変そう。
「舞台の上だけでもGoToトラベル」と世界の音楽をデュオで。スティールパン、やってみたいなあ。

兼好師の三席め、最近は旅もしにくいが、この間は文菊師といっしょに名古屋の方に行ったそうだ。終演後に会場の最寄り駅から名古屋に向かう電車に乗ったところ、気づいていなかったのだがそこが女性専用車で……という失敗談をマクラに。なおなぜ周りの女性からジロジロ見られているのかという疑問についての文菊師の予想解答がなかなかに面白い。
兼好師の一文無しは最初の時点からもう酔っ払っている。宿の主人の説教によって心を入れ替えるというのは兼好師でしか聞かない。
この噺もまた宿の主の夫婦関係が出てくるのだが、この尻に敷かれ方というか女房にうまくコントロールされている感がまた恐妻家キャラの兼好師の真骨頂のひとつではないだろうか。「ちょいとお前さん!」と声が上がるだけで笑いが起きるというのはすごいことだと思う。
でも兼好師の描く夫婦像はなんだかんだいいつつ結構幸せそう。……いいなあー。
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