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てんまんの会 その12 [落語]

てんまんの会 その12
於:人形町 日本橋社会教育会館ホール

三遊亭わん丈『強情灸』
三遊亭萬橘『六尺棒』
三遊亭天どん『品川心中(上)』
トーク
三遊亭天どん『品川心中(下)』
三遊亭萬橘『大工調べ』

今日クライアントに提出するものがあり、そのためにここ1か月は毎日午前様だったのだが、無事提出できたため今日は定時にあがる。次の仕事も迫っているのだが、まあ今日くらいは。

で、早く帰れるなら来ようと思っていたてんまんの会に。最近天どん師聴いてないし。
この会自体も久しぶり。両国亭が改装で使えないためらしいが、……ん、もう改装終わってるのになんで人形町? と思っていたら萬橘師も気づいたらしく、まったく同じことをマクラで話していた。
あと前は土日だったのになあ。

さて開口一番はわん丈さん。出てくると得した気分になれる前座さんのひとり。
峰の灸をすえてくれる寺が今でもあるとのことで、そこに行ったエピソードマクラに噺に入る。
これは圓丈師の『強情灸』かな。
腕に乗せたもぐさの周りを焼き海苔で巻いて「灸の軍艦巻きだ!」ってのは初めて聴いた。

萬橘師、しばらくこの会がなかったことに触れ、「会場の都合じゃなかったら、主催者が単にめんどくさかっただけ? と思いながらエレベーター乗ったら途中の階で扉が開いてか『ごかいです』って」。……うん。
一席め、萬橘師の『六尺棒』は初めて。
穀潰しの若旦那の言い草がなんとも小憎らしい。直前に上方の芸者と遊んでいたということで、時々関西弁が混ざるのがおかしい。

萬橘師の二席め、与太郎がだいぶ頭のめぐりが悪い。萬橘師の『長短』の長さんくらい会話が噛み合わない。しかしどうして萬橘師の描くこういう人物はこうも面白いのだろうか。萬橘師もかなりの天然だそうだが、そういうのがにじみ出ているのかな。
棟梁は自分のことを大家に言われたり、因業なことを言われたりしても我慢しているが、与太郎のことを「こんな馬鹿に大工の貫禄なんてつけてどうしようってんだ。こんな馬鹿は仕事だってできない」とけなされてキレる。この噺の「金を少なく持ってきておいて逆ギレする」という根本的な欠点をカバーしているように思える。
言い立てはよどみなく一定のトーンでツルツルと。萬橘師にはあまり啖呵のイメージがないので新鮮だ。
大家は啖呵を切られて我に返ったのか反省したのか、「俺も言い過ぎた。道具箱は持って行ってもいいぞ。ただし八百分はなにか道具をひとつ置いていけ」と折り合いをつけようとする。ここから新しいサゲに持っていき、それはそれで面白いのだが、……これで道具箱返しちゃったらどうやっても「調べ」に行くルートがなくなってしまって、『大工調べ』にならないのでは!?

天どん師、今年はなんだかめぐり合わせが悪く、あまり聴けていなかった。
というか「さいたま落語亭」がなくなってしまったのが痛い。復活しないかなあ。
あと「らくご男子高」も最近やってないしね。これはしばらくやらないという話なのでまあ仕方ないのだけれど。
さて『品川心中』を通しで聴くのは初めて。CDなどの音源でも聴いたことがない。天どん師結構こういうクラシックなネタ挑むなあ。
上の場面は「じゃあ一緒に死ぬよ」と言われたお染が「本当? じゃあ死のう今すぐ死のう」とグイグイ来るのが面白い。それに「ちょっと待って早い早い」と戸惑う金蔵も笑える。
そういえば親分への暇乞いのシーンがなかったような。
上というかいつものサゲの部分、「腰が抜けていて動けなかった」の後にちょっと考えて「続きは仲入りの後に演ります」。本当は新作を演るつもりだったのだそうだが。
金蔵の兄弟を演じる男が「俺が兄貴だろう?」と異常にこだわるのがおかしい。
オチは本来のお染を坊主にして「比丘尼したんだ」ではなく、もっと軽い感じ……というか変態チックに。まあこれも天どん師らしいというか。

さてこの会はいつも仲入り後にふたりのトークコーナーがある。今回も高座にちゃぶ台を置き、ふたりでそこに肘を乗せながら話し込む。
いつもチラシにそのことが書かれておらず、いつも終演後に天どん師が主催者に文句をいうのだが今回も結局入っていない、とブツブツ。それを書いておかなければ、初めてこの会にきた人がこのトークコーナー中に入ってきたら何をやっているかわからないじゃないか、という理屈のようだが……。大丈夫、見ればわかるから。
というかこのコーナー、いつも途中で話の内容がどんどん脇道にそれていって、最初に話していた話題がちゃんと結論までたどり着いたことがないような……。まあそのふたりのグダグダっぷりが楽しいのだけれども。というかリラックスしすぎ。萬橘師は途中からあぐらだし。
今回は萬橘師が着ている着物がオシャレか否か、という話題から萬橘師のメガネの話、圓丈師の話、圓橘師の話などとりとめもなくコロコロと話題が変わる。途中何度か「萬橘くんの着物がオシャレだと思う人ー?」などと、萬橘師の主張について天どん師がアンケートをとるが、客が誰一人として手を挙げない。
最後は「こないだのボクシングはどうなの?」と天どん師が萬橘師に質問し、「思う存分お客さんに語って。俺後ろで聞いてるから」とちょっと後ろに下がる。「俺そんなことできないよ」と言いながらもメイウェザーvsパッキャオ戦について語り始める……が、ちゃぶ台に目を落としたままで客席にはあまり目を向けない。それでも次第に熱を帯び始めてくると天どん師がこっそり退席し、それに気づいた萬橘師が「おい!」と突っ込みながら後を追ってトークコーナーが終了。

次回は日本橋亭で開かれるらしい。また平日のようで、行けるかなあ。
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