SSブログ

黒門亭 第二部 3860回 [落語]

黒門亭 第二部 3860回
於:落語協会2F

柳家小じか『黄金の大黒』
柳亭市次郎『そば清』
柳亭こみち『絵道楽女房』
柳家㐂三郎『あたま山』
春風亭一蔵『居残り佐平次』

14時10分くらいに協会へ行くとずらっと行列。顔付けいいもんなあ。これ入れるか? と不安になるもののなんとか入れた。お膝送りもしてたのでおそらく札止めになったんじゃないだろうか。
行列に並んでると一蔵師が何かを配り始めた。受け取ってみると主任興行のチラシ。鈴本4月中席昼の部トリ。おーついに。本人は「ようやく。扇橋に遅れること数カ月」と言っていたが、昇進1年ちょっとで鈴本のトリをとるなんてだいぶすごいことなのでは。

小じかさん、柔らかい口調でいいですね。なんとなく優しくなる。

市次郎さん、「今日のトリの一蔵アニさんの同期で我々の先輩、小燕枝アニさん、弟子を取りました」。えっ? 早っ!
「名前はすわろう(表記は分からず)。なんでかと思って。諏訪出身なのかとか……。と思ったら燕だからスワローだそうで。そもそも燕がスワローだってことを忘れてました」。天どん師とか駒治師にかわいがられそう。小燕枝師自身はDeNAファンなのにね。
「えー……。話すことはそれくらいですかね。んー、ホントは『黄金の大黒』やろうと思っていたんですよ。そしたら出ちゃったんで……。じゃあ『熊の皮』にしようかと思ったんですけど、挨拶に行くところとか同じだなと思って……。今何をやろうか考えていて……」。えー? 『黄金の大黒』と『居残り佐平次』につかない噺を探すのにそんなに掛かるの?
それで始めた『そば清』もまあなんというか思い出し思い出しやってるなーというのがまるわかりでかなりたどたどしい。……うーん……。

こみち師、「えー、今日は黒門亭で……。もう毎日『今日はどの寄席に行くか』ってわかんなくなって……」。おー売れてますなー。
「今日はちょっと変な噺をします。だってね、皆さんここが黒門亭ってわかってきてるんでしょ!? 今真打が200人くらいいて寄席に出番がない人もかなりいる。それを救済するための場所がここなんですよ」。え、じゃあこみち師は出なくても……。
「だからここはやりたいことをやっていいんですよ」。そうなの?
噺はナツノカモさんの作った擬古典のようで、なにかを見るとそこからいろいろ妄想が広がっていく女房とそのダンナの物語。妄想を聞かされるダンナがうんざりして「それを絵に描いてみたらどうだ」と勧めてみたところドはまりしてシュールな絵を大量に描いていくというもの。……こう書いてみてもよくわからん。けどウケている。

仲入り時にこみち師が目当てだったのかわからないが、最前列中央のふたりが帰ったようだ。

㐂三郎師、「満員だって聴いていたんですけど……なぜここが空いている……? え、見えないだけで……いる……?」いません。
「この出番が一番楽。前にこみちネエさんがわーっと盛り上げてくれて、後は一蔵さんが締めてくれる。この出番は時計をチラチラ見ながら好きなようにやって時間になったら逃げちゃえばいい」と楽しそう。
「春らしい噺でも」と始まったのだが、夫婦喧嘩のシーンから。『死神』? と思ったら女房から小言を食らってプイと表に出て、腹が減ったから落ちてたさくらんぼを拾い食いして頭に桜が生えるという流れだった。これは初めて聴くかな。大体はさくらんぼのタネを出すのももったいないくらいケチ、というものだし。
最初は花見をしに長屋に集まってくるのだが、「もうちょっと詰めろよ。もうあたま山登っちまえよ」というセリフで「……大丈夫ですか。理解できてますか。これがわからないとこの噺は今後一切わからないですよ」。そもそもさくらんぼ食って桜が頭に生える時点で……。

一蔵師も「なんでここが空いてんの」と苦笑い。私としては見やすくなって良かったんだけどね。
先月の独演会でネタおろしした『居残り佐平次』をネタ出し。二ツ目時代は「一蔵ひとりの会」でネタおろしをしてたのでいろいろ聴けたのだが、「蔵がたつまで」は平日だからなあ……。
佐平次には兄貴分、チンピラ、幇間といろいろな顔があるが、それぞれ一蔵師も似たような側面を素で持っているのでそのどれにも違和感がない。もしかしたら今後のハマりキャラになるのでは。
そのキャラが入れ替わる時にガラッと変わるのでまるで多重人格のよう。それが極端な方がいいのか、ひとりの人間として境界線を馴染ませた方がいいのかはわからないが、軽い違和感を覚えたのは確か。まあ人なんてどれが本性かわからないものなのだけれど。
若い衆に「いったん勘定を……」言われたときにとにかく大声の一本槍でどうにかしようとしてるのがいかにも一蔵師らしくて楽しい。

帰りにカルディに寄ってタイカレーペーストやらホワイトデー用のお菓子やらを買い込む。
パクチーポテトチップスを買ってみたらこれがいかにもパクチーで美味い。とはいえさすがに最近はポテチ一袋が辛い。多分油よりもシーズニングが濃すぎて食べられなくなる感じ。オッサンだなあ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

まんてんの空に唄う♪星の流れに ~天どん萬橘あこ三人会~ [落語]

まんてんの空に唄う♪星の流れに ~天どん萬橘あこ三人会~
於:赤坂會館 6階稽古場

柳亭市遼『饅頭こわい』
三遊亭天どん『花見酒』
三遊亭萬橘『豊竹屋』
遠峰あこ 漫謡
三遊亭萬橘『茶の湯』
三遊亭天どん『雪どけ』

……あー。いつもこのブログはGoogleドキュメントで下書きをしている。そうすればスマホでもパソコンでもどこでも書けるんで。
今日もこの会の感想をスマホで途中まで書いていたのだが、どうも保存をしていなかったらしく全部消えてる。マジかもう一回あの量を書く気力はないわ。

以前「てんまんの会」としてやっていた会だが、日本橋亭が改装になるのに伴って会自体もなくなったそうなのだが、オフィスM’sが引き取ったのだとか。天どん師曰く「会場が変わったらアコーディオンも付いてきた」。でもちゃぶ台トークはなし。

天どん師、「今日は今年イチ機嫌がいいです。なぜなら萬橘くんが体調悪いんだって」と悪い笑み。どうやら昼にたこ焼きを食べたのだが一部小麦粉が生でそれに当たったんじゃないかとのこと。
『花見酒』でちゃんとお金を出して酒屋から酒を仕入れているのは初めて聴く形。しかも二両も。酒一杯一貫もするので結構インフレ。

萬橘師、「気持ち悪いといったら『メンチカツ』『ドーナツ』とかいってきた。どんな育ちをしたらああなるんだ。一番キツいのは『天どん』です」。上手い。
ほんとに具合悪そうで声も弱まってるのに一席めは声を張る『豊竹屋』。義太夫もアドリブで今日の状況を歌い上げる。
二席め、茶を点てる仕草が大変らしく「なんでこの噺を始めちゃったんだろう」。さらに腹を下した定吉が呼ばれたときに「あっ……これは……!」と尻を押さえ、「芝居かどうかわからない……」と不穏なことを漏らす。

あこさんは久しぶり。『崎陽軒の歌』からヤマザキ春のパンまつりの歌、旅づくし、『ぼくかっぱ巻』など。

天どん師の二席め、「今日これから雪降るんでしょ、あこさん明日名古屋なんだって。行けないね。もうホント機嫌がいい」と悪いなあ。
噺は雪の降る鰍沢に若い女が訪ねてくるというもの。人情ものってことになるのかな。

メモも全部消えたし、もう気力が尽きたので今回はこれでおしまい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

大佛次郎没後50年特別企画 猫尽くし 再び 名作落語の夕べ [落語]

大佛次郎没後50年特別企画 猫尽くし 再び 名作落語の夕べ
於:桜木町 横浜にぎわい座

金原亭駒介『道具屋』
三遊亭萬橘『猫と金魚』
三遊亭兼好『猫餅』
桂小すみ 猫と音曲
古今亭志ん輔『猫忠』

横浜だし兼好師一席だし普段ならパスするかもしれない会だが、他の顔付けがいいこと、それに何より兼好師で聴いたことのない噺がネタ出しされてる。そして猫尽くし。そら行くでしょ。

萬橘師、今年は巡り合わせが悪くてなかなか行けない。ホントは明日の柏の会に行こうかと思っていたのだが、どうにも休日出勤しないと間に合わなそうなので。
「ここは野毛動物園が近くにあっていいですね。私は動物園が大好きで。上野動物園にも行くんですけど、ハダカデバネズミってのがいるんです。……ハダカもデバもネズミも全部悪口ですからね。娘に言ったら『風呂上がりのパパだね』って……。うるせえバカやろー」。まあしょうがないっつーか。萬橘師唯一のCDのジャケットのイラスト、坂本頼光先生が描いたらしいけど、ほぼ水木しげる御大のねずみ男だったからなあ……。
「娘は最近ホントに生意気でね。近所のおばさんに会ったら『パパそっくりね』と言われて悔しがってましたけど。ザマーミロ」。それもちょっと違うような気もするけど。
「まあなので猫は捕食される側で怖いところもある」と『猫と金魚』に。
とにかく旦那がハイテンションでツッコミも激しい。これはほぼひとり漫才のよう。
金魚が猫に食べられないようにするアイデアを番頭がいくつか出していくが、キテレツなものばかりで旦那が激怒しながら却下していくのがおかしい。
萬橘師らしく本来の「濡れ鼠」のサゲの後にも追加されており、店を挙げての大騒動になっていく。

兼好師、「大谷くんのことで本当にショックを受けている人もいるそうですが、……ここは大丈夫そうですね。そもそも土曜の夜に落語にこようという人は大谷くんにハマらないでしょう。それにまあ……見たところ、もう……」と軽やかに毒を吐く。
「しかしお相手の方もよく大谷くんに選ばれたなと思いますが……意外と早い者勝ちだったかもしれませんよ、彼は野球バカで野球にしか興味がないから『結婚して』っていったら『いいよ』って答えてくれたのかも……」。そんなまさか。
「しかし彼はすごいですね。メジャーリーグでピッチャーとバッター両方でトップなんですから。『古典と新作どっちもやります』なんて半端な二刀流じゃないですからね。天才なんでしょうねえ。落語だと『名人』とか言われますけど、今は名人ていう人はいないですねえ。よく『〇〇名人会』ってありますけど、そこには名人は出ない! 私も呼ばれたたりしますけど、楽屋で『誰が名人?』で笑い合ってる。だから名人会ってのは行かない方がいいです。まだ親子会とか兄弟会とかの方がいい。……でも本当の親子会とか本当の兄弟会とか行っちゃダメ」とどんどん爆弾を落としていく。
特に大佛次郎とか猫について話してないような気がするな。
『猫餅』は元は浪曲とか講談のようだ。圓窓師が『いただき猫』という演題で落語化したようだが、まあこれじゃないだろうな。あとは扇治師も掛けているそうだが、扇治師では聴いたことがないので兼好師が教わったのかはわからない。兼好師が他で掛けたような情報もないのでおそらくネタおろし?
舞台は小田原。小田原といえば『竹の水仙』が思い起こされる(他の土地のこともあるけど、兼好師は小田原)が、なんとなく雰囲気も似ている。と思っていたら果たして甚五郎の若き日の噺。もちろん他の甚五郎噺のように最後まで甚五郎であることは明かさないのだが、落語好きならすぐに「あ、これ甚五郎だな」とわかる。
金勘定ができる看板猫がいる餅屋なので「猫餅」。この猫を対面の店が……と『ねずみ』にも似た展開。
猫餅の婆さんのことを気にかけてくれる大工の八五郎がおり、彼が彫った猫が「頭が大きくて手足が短くて丸くて目と口がデカくて……これ猫か?」とどう聞いてもド〇えもん。「これは耳がない方がいい」と甚五郎が耳を落としてしまい、いよいよ国民的青ダヌキに。甚五郎が自分が彫った猫の代わりに「この猫を代わりに貰っていくな」と持っていってしまう。ストーリーには大きな影響はないのだが、この猫がちょいちょい出てきて笑いを誘う。
甚五郎が江戸から京都に戻るときの噺らしく、時系列的には『竹の水仙』『三井の大黒』『ねずみ』よりも前の話で、「名人」と呼ばれ始めた頃のようだ。若々しく明るく、江戸っ子のような雰囲気も持っている。兼好師の『三井の大黒』は聴いたことがないのでわからないが、『竹の水仙』や『ねずみ』でも明るく冗談を好む人物として描かれており、その若い時分だとすると不自然ではない。

小すみ先生は相変わらずの超絶テクニック。
猫テーマなのでもちろん『猫じゃ猫じゃ』からなのだが「猫が出てくる唄ってこれくらいしかないんですよ」と困っていた様子。エジプトでは猫がバステト神として敬われていたことから『月の沙漠』などを。
大佛次郎の猫好きエピソードを本持参でハイテンションで紹介しまくるのも楽しかった。

志ん輔師、自身の大佛次郎のエピソードを語ろうとするが、「中学生の頃に『天皇の世紀』を買って3行ほど読んだ」くらいしかないそうで苦笑い。
『猫忠』は8年以上前に笑二さんで聴いたきり。さすがにもう内容を覚えておらず、こんな噺だったっけかと再確認する。
『義経千本桜』のパロディだそうで、確かに元ネタを知っていたほうが楽しめるのだろうが、さすがに志ん輔師のテクニックでグイグイと飽きさせずに聴かせてくれる。
お師匠さんの家を覗くときに「そっちの節穴は見えないよ、こっちのほうがよく見える」と普段からちょくちょくお師匠さんを覗いてるのがわかるセリフがおかしい。

野毛で一杯やってから帰ろうかとも思ったが、我が家の猫が恋しいのですぐに帰る。
というか猫テーマの会なのに、猫好きの師匠が誰も出ていないってのもすごいというかなんでこのメンバーだったんだろ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能