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なかの演芸長屋 兼好平日昼の独演会 [落語]

なかの演芸長屋 兼好平日昼の独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭けろよん『浮世床(将棋・夢)』
三遊亭兼好『権助魚』
三遊亭兼好『付き馬』

代休。
代休を取るときはせっかくなので兼好師の普段行けていない会があるときを狙っている。
朝、猫にご飯をあげたら二度寝を決め込む。するとご飯を食べ終えた猫たちもベッドの中へ潜り込んでくる。猫にもポジションが決まっているようで、いつも足の間にシュガー、左脇にミルク、右脇にはココア。猫たちのゴロゴロ音に囲まれて朝寝をかます。これをパラダイスといわずして何がパラダイスというのか。まあ寝返りは一切打てないけれど。
せっかくの平日休みなのだから普段行かない店とか平日しかランチやってない店とかに行こうかとも思ったのだが、バイクなのでビールも飲めないし結局いつもの高円寺のタイ料理屋でタイカレー。

けろよんさん、師匠とはだいぶ違う『浮世床』。もちろん話の筋は同じなのだが、将棋を指すシーンで対局の様子を長いこと演じていたり、半公の艶っぽい話を聞いて鼻血を出すヤツがいたり。

兼好師の一席め、昨日は大分で仕事だったそうで、その帰りで直接会場に来たという。「大分って市馬会長や文治師匠、歌奴アニさんとかたくさん噺家がいるんですよ。そのなかのひとりで三朝くんていうのがいて、彼の出身の豊後大野ってところで会をやるのでゲストに来てくださいと言われたんで行ってきたんですけど、会場が空港からタクシーで1時間40分くらいかかる。ホテルに着いたら普通のビジネスホテルで……。大分って香川の『うどん県』に対抗して『温泉県』てやってるんですよ。なのにビジネスホテルかと思ったら、豊後大野って温泉出ないの!」。
「三朝くんてすごいおしゃべりなんですよ。楽屋でもずーっと喋ってる。で、豊後大野ってすごい田舎なんですよ。私も会津若松で田舎出身なんですけど、田舎って人がいないから話す機会もなくて無口になる。こんな田舎なのにどうしてあんなおしゃべりになるのかと思って。本人は『えー俺おしゃべりですか?』なんて気づいてない。で、打ち上げで地元の人たちと呑んだら、三朝くんが全然おしゃべりじゃなかった。周りはもっと喋る。私に質問してるのに自分で答えたり。噺家の私が話す隙がなくて会話に入れないんですから……」。あーたまにいますねそういう自己完結しちゃう人。
「昔は田舎から出るには歩くしかなかった。だから山の人は海を知らず、海の人は山を知らないで一生を終えたなんて人も多かったんでしょう。江戸時代は江戸に田舎の次男三男たちが大勢やってきましたから、いろんなことが起こったんでしょう」と田舎者の権助が活躍する『権助魚』に。
一時期よく聴いていたが、兼好師では二年以上空いていた。そんなに久しぶりだっけ?
「妾がいるのは仕方がない」と言いながらも、旦那が出かけようとすると「どちらへ!?」と目を見開いて圧をかけるおかみさんの表情の動きが絶品。
表情でいうと魚屋でかまぼこを見つけたときの権助の驚きの顔もまたたまらない。

二席め、「今は年度末。春から新しい生活になるという人もいるでしょう。昔は新社会人とか新入生を狙ったサギがよくあったんですが今はどうなんですかね。『結構です』なんていうと勝手に商品が送られてくるなんてことがよくありましたが……」と「騙す」噺の『付き馬』に。
ついこないだ「兼好師の噺はネタおろし以外ほとんど聴いた」みたいなことを得意げに書いたけど、まだ初見の噺ありました。うーわ恥っずかし。そもそも兼好師は平日にやる噺と土日にやる噺を分けていて、土日は落語初心者もいることが多いのでわかりやすい噺が多いという。だから土日メインの私が聴いてない噺はまだたくさんあるかもしれない。できるだけ平日の会も行きたいところだが、昼と夜とでもまた違うのかなあ。
兼好師の騙す男はとにかく明るく軽薄。流れるようにまくし立て、若い衆をあっさりと手玉に取るところは嫌味がなくてただひたすらに面白い。
早桶屋のおじさんも男に「あの男は兄が亡くなったんで動転しておかしなことを口走るかもしれないが適当に話を合わせてくれ」と騙される。早桶を作っている間に若い衆と世間話をするのだが、それが噛み合っているような噛み合っていないようなお互い頭の上に「?」が出ているのが見えるような会話がなんともおかしい。
終盤サゲ近くで結構大きめのミスというか言い間違いも。これも珍しい。
やっぱり珍しい噺を聞くためには平日の独演会を狙わないとダメかな。
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