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三遊亭遊雀独演会 [落語]

三遊亭遊雀『寿限無』『宿屋の仇討』『淀五郎』
於:高円寺 koenji HACO

昨日は兼好師の会の後に高校時代の友人との飲み。女3人に男は俺ひとり……とはいえ別に嬉しくはない。だって同い年ですから。ていうかまあ6時間飲みっぱなしでよく話題が尽きないな……年末にも飲んでんのに。
だいぶ飲んだはずなんだけど特に二日酔いもせず。ずっと焼酎、それも乙類の芋焼酎ばかりを飲んでいたからか。
とはいえさすがに昼まで寝る。
高円寺のいつものタイ料理屋でタイカレーを食べてから会場に。うう歯が痛え。

会場はぎっしりで満席。まあ遊雀師なら当然か。狭い……。

開演時間になったときに一番太鼓が。長い一番太鼓が終わると出囃子に『花』が流れ、「あっ、間違えた」と店長の声がする。
苦笑いの遊雀師、「ゆるいねえ、ここは。しかも間違えてるのひとつじゃないからね。開演のときは二番太鼓を鳴らすんだよ。なんで一番太鼓なんだよ。突っ込もうかと思ったたよ」。やっぱりそうですよねえ。
「高座の横をカーテンで区切ったところが楽屋なんだけど、寒いんだよ。そりゃエアコンの空気をカーテンで区切ってるんだからそうだよね。高座に出てようやくあったかくなったよ。ちょっと体が暖まるまで世間話でも」と東西線で起きたエピソードを。スマホを見ながら号泣していた女性がいたらしく、その女性に声をかけたイケオジの話。「ほんとに言ってたんだから」とは言っていたものの、どこまでが本当なのやら……。それにしても「実家の船橋に戻ることになって毎日東西線で寄席に通っている」とのこと。え、遊雀師のおかみさんのインスタのアカウントをフォローしているが、そんなことはなにも書いてないんだけど。赤羽の自宅と2拠点生活なのか。
「東西線は学生の頃に乗ってましたけど、噺家になってからはほとんど乗ってなかった。30年ぶりくらいに乗ってますけど、変わらないね。下品で。これまで東武東上線が最下位だと思ってたけど、下があったね」だそうで。
「でもね、途中の西葛西がアツいのよ。葛西や西葛西はインドの人が多いんでインド人街みたいになってる。聞いてみたら、葛西の荒川の河川敷がガンジス川みたいで落ち着くんだって。で、カレーは有名なんだけど、実はせんべろの街。気に入ってる立ち飲み屋があるんだけど、チューハイが200円だよ。でチューハイの大盛りが300円。これを飲んだら一杯でぐったりしちゃう」。楽しそうだなあ。でも東西線て東京の東側の地域と電車の接続がよくないんだよなあ。
温まってきたところで「近頃はアタイもいい歳になってきて、前座噺をやってみようかなあと思ってね。若手の頃は、寄席のトリで『道灌』で降りたらかっこいいなあなんて思ってたけど、そういうのじゃなくて。学校寄席とかでやることはあるけど、こうやってお客さんの前でやることはめったにないからね。『こんちわ、ご隠居さんいますか』『誰かと思ったら八っつぁんかい、まあまあお上がり』……たまんないね。ここから星の数ほど変化するからね」と『寿限無』に入る。
遊雀師のは「五劫の擦り切れ」が「五劫の擦り切れず」になっている形。『たらちね』でもそうなんだけど、一門とか人によって微妙に違うのが興味深い。
最後、金坊がいいつけにくる場面ではおかみさん、八っつぁんに加えて婆さんまで出てくる。この婆さんが全然名前を覚えられていないのがおかしい。

一席終わった後に「久しぶりにやってけどできるもんだね。そういえば遊かりに最初に稽古つけたのもこの噺でした。覚えましたっていうからやらせてみたらなんか全体的に暗いの。おめえ役者やってたんならもうちょっと明るくできるだろって言ったら『私はこれまで悲劇しかやってなかった』って。じゃあいいよ、そのままやんなって言った。もしかしたら暗い『寿限無』も面白いかと思ってさ。遊かりといえばアイツ変なんだよ。普通なにかお願いごとがあればその人の正面に回ってお願いするでしょ。アイツは後ろから耳元で『師匠お願いがあるんですが』って言ってくる。ここは北千住のスナックじゃねえんだって」。北千住のスナックはそんな感じ!? 行ったことないけど。
「『笑点』見ると美魔女キャラって……気持ちわりいよ。こういうこというと昨今は怒られるけど、いいんだ俺は身内なんだから」。まあ確かにキツいのはキツい……。
「二席めもしばらくやってなかった噺を……。ちょっと長いけど」と『宿屋の仇討』に。
芸者のリクエストが「うんと年寄り。お姐さんというよりおっかさん、ていうくらいのがいい」というのがおかしい。それに応えて「三味線を杖代わりにやってきやがった」という強烈な芸者がくるのもいい。
「色ごとの話をしようか」と持ちかけたときに「お前はそういうことできる顔じゃない」といわれ、「そういうのは時代が許さない」というのも面白いが、落語の中では今後もそういう不適切な表現が見逃されることを願うばかり。まあコンプライアンスを気にしていたらできる落語はかなり少なくなりそうだけど。

三席めはマクラもなくスッと噺に入る。
ちょっとナヨッとした淀五郎と厳しい團蔵とのコントラストがハラハラさせられる。
しかし中村仲蔵のアドバイスを受け、一晩で判官が出来上がったときに團蔵が手放しで大喜びしている描写があり救われる。
そんな背景があってからのサゲの「……待ちかねた」はいかにも大団円という感じでホッとする。

歯が……痛い……。こうなるとものを食うのも億劫になる。まあちょうど体重を落とそうと思っていたところなのでちょうどいいのかもしれないが。
タグ:三遊亭遊雀
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