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三遊亭小遊三一門の 雀が一羽と馬一頭 No.2 [落語]

三遊亭小遊三一門の 雀が一羽と馬一頭 No.2
於:清澄白河 江戸深川資料館

三遊亭遊七『粗忽長屋』
三遊亭遊馬『味噌蔵』
三遊亭遊三『火焔太鼓』
三遊亭圓雀『茄子娘』
三遊亭遊雀『包丁』

小遊三一門の会で遊馬師と遊雀師が出てるなんて行くしかないでしょ。最近遊馬不足が甚だしいし。

遊馬師、ケチの小咄から『味噌蔵』に。
ケチな旦那が結婚して「あったまりのかったまり」が産まれるので里へ帰し、出産祝いで出かけていく、というのが本来の流れなのだが、今日はそこらへんをバッサリカットして単に親類の婚礼で出かけるというものに。この形は初めて聴いた。
宴会の場面に多くの時間が使われ、「てぃーやてぃーやてぃーやてぃーやいささかりんりん!」と楽しそう。
「しまった、味噌蔵まで火が回った」で終わらず、さらにケチの小咄をつけた形に。

遊三師、声のハリもあり85歳とはとても思えない。遊七さんが「大大師匠がいるのはうちの一門くらい」といっていたが。
寄席でも聞くおなじみのマクラから『火焔太鼓』に。
遊三師の年齢だと志ん生志ん朝から教わったのかとも思ってしまうが、もちろん正確なところはわからない。でもだいぶ古今亭に近い感じ。

仲入り時の影ナレがどうやら遊馬師で客席の笑いを誘う。

圓雀師、「お客様からパンケーキ? をおみやげに頂きまして」。パウンドケーキかな。「みんなで食べようと開けたんですが、その材料を遊馬ちゃんがじっと見て、アルコールの文字があると『これは食べられません』って。昔あれだけ飲んでたのに、さっき高座であんなにワアワアやってたのにねえ」。そこまで断ってるんだ。大変だなあ。
「秋らしい噺を」と言われて『茄子娘』に入ったので少し驚く。『茄子娘』って夏の噺じゃないの? と思っていたが、秋茄子とかもあるから秋でもあるのか。
ほぼほぼ入船亭でしか聴かないこの噺、やっぱりちょっと変化している。茄子の精との一夜の場面で、茄子の精に「よいのか」と確認したり。どうもその一言が入ってしまうとまだ主人この宋全に理性が残っており、つい思い余って女犯の戒を破ってしまった感が下がるような気がする。

遊雀師、「なーにが『親がナスとも子は育つ』だよ、くっだらねえ……。でもこのくだらなさが落語なのよ」と笑う。
『包丁』はネタ出し。マクラもそこそこに噺へ入っていく。
一文無しの寅んべえ、計画を打ち明けられても「それはよくねえ」と乗り気ではないもののの、一文無しの弱みでイヤイヤやらされている感がよく出ている。
久次の家に上がり込んで酒を飲み始め、女房にちょっかいを出しながらもまったく相手にされていない様子がおかしい。
計画を明かされて憤る女房に気圧されて「俺に言われても……」とタジタジになる様子や、「私を女房にしてくれるかい」と持ちかけられて一瞬でシラフに戻るのがおかしい。

終演後、遊三師を除いて全員で送り出し。遊馬師と久しぶりに言葉を交わす。
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第15回 不二庵落語会 入船亭扇橋独演会 [落語]

第15回 不二庵落語会 入船亭扇橋独演会
於:阿佐ヶ谷 KTヴィラージュ阿佐ヶ谷101号室

入船亭扇橋『不孝者』『御神酒徳利』

マンションの一室で開かれる落語会。
バイクを停めるところはないということなので、時間に余裕を持っていった……はずなのになあ……。
久しぶりに開演時間を間違えた。
オートロックのマンションのため、入り口の前に主催者が待っていた。もうみんな入ったのかな? なんて呑気なことを思っていたら、もうすでに一席めの『あくび指南』のあくびの稽古に入っているところだった。マジかー……。というか主催者の方もいつくるか分からない俺のことを外で待ってたのか。それは悪いことをしてしまったなあ……。

『あくび指南』で50分近く経ってるということはだいぶ長くマクラを話してたんだろうな。
「もう一席やってからお仲入りにします。噺の席数だけは師匠に勝たないと」と言っていたので、扇辰師はこの会を二席で終わった、ということをマクラで話していたのだろう。
真打昇進してから1年経つが、この1年で三人全員が寄席でトリを取ることができたという。小燕枝師も池袋の下席でトリなんだよね。「同時に昇進した人が全員トリを取るまでの期間というのは、抜擢やひとり真打を除けば我々はだいぶ短い。もしかしたら最速なんじゃないか」とのこと。コンスタントにトリを取れる人なんて一握りしかいないわけで、披露目以来ないなんて人もそこそこいるはず。それが全員ちゃんと寄席に出番があってトリも取れるんだから当たり年だったんだろうなあ。
「最近はお芝居にも出させていただくんですけど、舞台の上で他人が話してるのってイライラするんですよ。噺家は自分ひとり。それに動きながらセリフを言わなきゃならないってのも大変なんですね。落語だったら上半身の動きだけ……下半身動かす人もいますけど。……なんか……最終的に私舞台の上で上下切ってるかもしれません。それに舞台ってあーしたらこう動いて、こう動いたらこの小道具をこっちに移動して……っていう段取りや準備がやたら多い。落語なんて当日の高座に上がってもなにやるか決めてないんですから。道具だって手拭いをどこに置こうか自由ですし……」とどうしても落語と比較してしまうようだ。
落語を知ってもらうために『笑点』という番組があり、そこに出ていた三平師に対して「あの方は落語の若旦那ですから」と若旦那噺の『不孝者』に。
別れた芸者の欣也に「今の旦那はどんな男なんだ」と尋ねるのが結構ネチっこい感じで、それが未練を感じさせる。または逆に今の旦那のことを聞いてすっぱり諦めようという荒療治なのかもしれない。

仲入りを挟んでもう一席。「運のいい人と悪い人というのがいて……」と『御神酒徳利』に。結構大きめのネタを三席掛けるとは。つくづく遅刻がもったいない。
主人公の善六さんは馬喰町の旅籠をまとめている宿屋の二番番頭だというのにかなり扱いが軽い。日本一の鴻池の支配人が泊まるようなところってことは現代で言えば帝国ホテルとか東京ステーションホテルとか? そんな宿屋の二番番頭に正直さだけでのし上がったのはすごいというか。

次回は天どん師が決まっているらしい。次回は遅刻しないようにしないとなあ……。
タグ:入船亭扇橋
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