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池袋演芸場 十月上席 十月七日 夜席 [落語]

池袋演芸場 十月上席 十月七日 夜席
於:池袋演芸場

三遊亭ごはんつぶ『DJ寿限無』
柳家㐂三郎『徳ちゃん』
ウクレレえいじ ウクレレ漫談
柳家花いち『アニバーサリー』
古今亭志ん五『出目金』
林家正楽 紙切り 相合傘 天どん師匠 パンダ
林家彦いち『つばさ』
柳家小ゑん『ぐつぐつ』
三遊亭わん丈『花魁の野望』
春風亭一之輔『新聞記事』
翁家和助・小花 太神楽
三遊亭天どん『新作(長宗我部元ちこ)』

亀有から大急ぎで池袋へ。途中江北橋通りというところを通らなければならないのだが、これが信号ひとつひとつ今止まっているところが青になったら次の信号が赤になるというクソ仕様。まあスピードを出さないためなんだろうが、かなりイライラする。
急いではみたものの、ごはんつぶさんが始まっていた。

ごはんつぶさん、私が入ったときは通常の『寿限無』でいえば最後の方。だが長い名前をICレコーダーに録音して近所に配るという前提から覆す流れに。しかも途中から早送りをするので「キュルキュル」となり、名前まで「ウチのキュルキュル」となるのがおかしい。さらにそこからターンテーブルまで登場し、寿限無を使ってボイパでラップまで。これは今まで聴いた『寿限無』改作の中でもかなり面白い。

㐂三郎師、花魁の強烈さがパワーアップしており、主人公の噺家を追いかけるときの仕草が大コモドドラゴンみたいな感じになっているのが面白い。

さっきの会でも聴いた彦いち師、一日に2回聴くのは珍しいな。パラレルワールドという考え方がある、と話の流れからさっきと同じ噺かなともちらっと思ったが異なる噺だった。そういや彦いち師はそういう「ちょっと違う世界に迷い込む」という噺が多かったような。3年半振りくらいに聴いた。この世界ではまだ圓丈師が存命なようだ。

小ゑん師のオリジナル『ぐつぐつ』を聴いたのは9年振り。

わん丈さん、「さっき電車を降りたら師匠も一緒の電車だったらしくて。普通だったら挨拶をするんでしょうけど、挨拶しないで後ろを着いて行ってみたんですね。そしたらずっと両手で携帯をいじってるんですよ。あれ、師匠ってもしかしたら女子高生なのかな? って。まあ否定する材料はありませんから、女子高生の可能性はあります」。ないよ。「で、パッと顔を上げて1000円カットの店に入った。あ、これは女子高生ではないな、と。でも混んでたのかすぐに出てきたんですよ。なのでまだ女子高生の可能性はあります」。さっきから何を言ってるんだこの人は。どんな師弟関係なんだ。
大岡越前が吉原にいった記録がない、よっぽど事務所の力が強かったに違いないといいながら、妻として花魁を身請けした噺。このギャル風の元花魁が「お捌きをやってみたーい♡」と言い出し、弱みを握られている大岡越前が渋々やらせるというもの。めちゃくちゃになるのかと思いきや、そこそこ公平なお捌きをしているのがおかしい。

一之輔師、ご隠居の落とし噺に気づかずに悲しみ続けるという型をちょいちょい見るが、その型をやり始めたのは誰なんだろう。私は一之輔師で初めて聴いて腹が捩れるほど笑った。やっぱりこの人は面白い。

天どん師、今回の芝居はいろいろとトラブルがあるそうで、「初日には携帯を忘れました。今日は一之輔くんに『この後なんかあんの』って聞いたら『家にカツオがあるんで帰ります』って。おい先輩が誘ってるんだぞ」といってるところに私服姿の一之輔師が客席に入ってきて「じゃ、帰りますんで」「おいお前カツオがあるから帰るってなんだ!」とじゃれ合う。「アイツ『やっぱり土佐のカツオは厚みが違うんですよ』とか言ってるんですよ。知らねーよバーカ」とまあいずれにしても大したトラブルではないのでは……。
昨日行ったスナックで、常連のオバサンにでかい声で「この店にはイケメンがいねえなあ!」と言われたことなど。「一緒に行った西やんていうのはまあダメなんですよ。てことはですね、『イケメンがいない』ってのはね、僕のことなんですよ。すごく腹が立ちますよね。で、今日はずっとイライラしてして、それを携帯にメモしてたんですよ。で、いい男になるために髪を切ろうと思いまして。それくらいしかいい男になる方法が思いつかなかったんでね。でもいっぱいだったんで入れなかったんですよ。……まさかそれを預かり弟子に尾行されてるとはね」。
噺は地下戦国アイドル長曾我部元ちこが結婚することにショックを受けたファンが、タイムスリップして1週間だけ前に戻り、結婚のきっかけとなったライブ中の怪我を防ごうとするもの。
ステージの途中でデビュー曲『大きいお兄さん』を歌うのだが、これが「大きいお兄さん、上から目線が大好き~♪」などとドルオタをいじる内容となっており、最後に槍を構えて「刺すぞ、刺すぞ、刺すぞ」と凄むのがいかにも天どん師らしくてたまらない。

終演後、表に出ると肌寒い、というかバイクに乗るともはや寒い。2週間前まで半袖短パンでバイク乗れたのに。秋短すぎだろ。
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第14回 落語三銃士 -白鳥・彦いち・白酒- [落語]

第14回 落語三銃士 -白鳥・彦いち・白酒-
於:亀有 かめありリリオホール

オープニングトーク
三遊亭白鳥『恋するヘビ女』
林家彦いち『臼親父』
桃月庵白酒『火焔太鼓』

地元の図書館にバイクで行ったら今日はイベントがあるらしく、駐輪場にバイクは停められないと警備員に止められた。あ、そうなんだ、まあそれはしょうがないですな。で、じゃあバイクはどこに停めればいいんですかね? と聞いても「バイクは停められません」としか言わない。ん? いやいつもの場所に停められないのはわかったけど、だったらバイクはどうすりゃいいの? と聞くと「それは私に聞かれましても」。ああ!? じゃあてめえは「ここにバイクは停められませーーーーん」と5歳児でもできるような嫌がらせのためにここにいんのか!? お前仕事ってしたことあんのか!?  「できません」だけで終わるバカがどこにいんだよ。わからねえならわかるやつに聞け! しかもよく見たら張り紙には「バイクは地下駐車場に移動してください」って書いてあるじゃねえか。それをいったら「今は満車って連絡がきたので」。そんなもん俺が知るか! さすがに久しぶりに声を荒らげてしまった。70近いと思われるオッサンに対して失礼だとは思ったが、いくらなんでもポンコツすぎるだろ。「それを私に聞かれても」ってセリフが一番腹立った。能無しにもほどがある。あれはリストラされたかどっかの地方の役所努めしかしたことねえな(偏見)。あーイライラする。

とイライラした気持ちを引きずったまま会場へ。
とある伝手でチケットが格安で手に入った。もちろん正規ルートです。ありがたやありがたや。
もちろん好きな師匠方だが、だいたいは兼好師絡みの会で聴くことが多いので、兼好師がいないという状況がちょっと不思議な感じ。

まずは3人でオープニングトーク。
「僕たちは、『落語三銃士』です!」と全員でポーズを取る。
落語三銃士という名目のこの会だが、全国各地、各都道府県で行うという。その1回めを行ったのもこの亀有だそうで。とはいえ神奈川さいたま岐阜福井京都くらいしか行っていないようで、ちょっと地方に行くとすぐに東京近郊に戻ってくるらしい。「補給がひつようだから」とのことだが……よくわからない理屈のような……。
最近は各師ともミュージシャンとのコラボの会が多いらしく、音楽と落語との違いのボヤキなどを。
白鳥師は60になって初めてコンサートに行ったそうでユーミンのライブに行ったそうだ。客席は同年代ばかりだったそうだが、69歳のユーミンが踊っているということに衝撃を受けたそうだ。「アニさんボックスも踏めないでしょ?」「それくらいできるよ!」などわちゃわちゃと。
「ミュージシャンのコンサートって開場が開演の2時間前とかなんですよね。何やってんのかと思ったらグッズ売ってるんですよ。落語も30分前に開場してさっさと詰め込んで開始ってんじゃなくて、グッズ売らないと」と白酒師。「グッズって?」「あのー最近あるじゃないですか、『推しと一緒に温泉に来ました!』みたいな感じで写真を撮ってるヤツ」「あー、あの……」とさすがオジサンたちは「アクスタ」が出てこない。まあ私も昨年の新真打のグッズで知ったんだけれども。結局「アクリル人形」となっていた。「我々のアクリル人形売るの? 買う人いる?」「頭のところに穴を開けといたらいいんじゃないですかね?」「それいいな! 釘を刺したり……」「藁人形がわり!?」「ストラップも付けられるし……」などと楽しそう。

一番手は白鳥師。「最近は私の作った噺をいろんな人がやってくれて、中には昔作った噺も。それで気づいたんですが、昔作った噺をその当時の時事ネタとかギャグをそのままやると古典になるんです。今日は新作が古典に変わる瞬間を見てもらおうかと思います」と楳図かずお先生の『へび女』を下敷きにした『恋するヘビ女』を。
正直ちょっと世代が違うので『へび女』も時事ネタもよくわからなかったのだが、「キングコブラの仕草」や「ガラガラヘビの仕草」が面白い。
映画の話題も出、『ロッキー』の「エイドリアーン!」が「トウゲツアーン!」になっているのもおかしい。

彦いち師、休日の昼から酒を飲み、妻とはオナラで会話をする夫が『さるかに合戦』の世界に迷い込むという一種の異世界転生もの?
いろんな時代の人がこの世界に登場人物として集まってきている。主人公は「どうせ俺は牛の糞なんだろ」と半ばやさぐれていたものの、牛の糞は白鳥師の噺に出てきていたヘビ女おばさんで、白鳥師がやっていたように萬田久子張りのワンレンかき上げ仕草を見せる。
主人公は臼。「これが落語史上初めての『臼の仕草』です!」というのがおかしい。四角い顔の彦いち師だからこそ、というか完全に臼の仕草をやりたくてこの噺を作ったんじゃないかと……。

白酒師、古今亭お家芸の『火焔太鼓』。
道具屋の主人がおかみさんの尻に敷かれてるのは普段通りなのだが、おかみさんのことが結構好きというのが珍しい。「『ろくなもの食べてない』っていうけど結構食ってるぞ。俺や松吉の分まで食って、ぽちゃぽちゃっとして……たまんねえぞ」とか、お屋敷へ太鼓を持っていくときにブツブツ言ってるときも最終的にノロケになっているのがおかしい。そのおかみさんもワンレン仕草を行い、なんとなくリレーにになっているのが面白い。
最後の懐からお金を出すシーンで百五十両あたりで「トウゲツアーン!」となるのもいい。落語って生き物だなー。
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