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第14回 落語三銃士 -白鳥・彦いち・白酒- [落語]

第14回 落語三銃士 -白鳥・彦いち・白酒-
於:亀有 かめありリリオホール

オープニングトーク
三遊亭白鳥『恋するヘビ女』
林家彦いち『臼親父』
桃月庵白酒『火焔太鼓』

地元の図書館にバイクで行ったら今日はイベントがあるらしく、駐輪場にバイクは停められないと警備員に止められた。あ、そうなんだ、まあそれはしょうがないですな。で、じゃあバイクはどこに停めればいいんですかね? と聞いても「バイクは停められません」としか言わない。ん? いやいつもの場所に停められないのはわかったけど、だったらバイクはどうすりゃいいの? と聞くと「それは私に聞かれましても」。ああ!? じゃあてめえは「ここにバイクは停められませーーーーん」と5歳児でもできるような嫌がらせのためにここにいんのか!? お前仕事ってしたことあんのか!?  「できません」だけで終わるバカがどこにいんだよ。わからねえならわかるやつに聞け! しかもよく見たら張り紙には「バイクは地下駐車場に移動してください」って書いてあるじゃねえか。それをいったら「今は満車って連絡がきたので」。そんなもん俺が知るか! さすがに久しぶりに声を荒らげてしまった。70近いと思われるオッサンに対して失礼だとは思ったが、いくらなんでもポンコツすぎるだろ。「それを私に聞かれても」ってセリフが一番腹立った。能無しにもほどがある。あれはリストラされたかどっかの地方の役所努めしかしたことねえな(偏見)。あーイライラする。

とイライラした気持ちを引きずったまま会場へ。
とある伝手でチケットが格安で手に入った。もちろん正規ルートです。ありがたやありがたや。
もちろん好きな師匠方だが、だいたいは兼好師絡みの会で聴くことが多いので、兼好師がいないという状況がちょっと不思議な感じ。

まずは3人でオープニングトーク。
「僕たちは、『落語三銃士』です!」と全員でポーズを取る。
落語三銃士という名目のこの会だが、全国各地、各都道府県で行うという。その1回めを行ったのもこの亀有だそうで。とはいえ神奈川さいたま岐阜福井京都くらいしか行っていないようで、ちょっと地方に行くとすぐに東京近郊に戻ってくるらしい。「補給がひつようだから」とのことだが……よくわからない理屈のような……。
最近は各師ともミュージシャンとのコラボの会が多いらしく、音楽と落語との違いのボヤキなどを。
白鳥師は60になって初めてコンサートに行ったそうでユーミンのライブに行ったそうだ。客席は同年代ばかりだったそうだが、69歳のユーミンが踊っているということに衝撃を受けたそうだ。「アニさんボックスも踏めないでしょ?」「それくらいできるよ!」などわちゃわちゃと。
「ミュージシャンのコンサートって開場が開演の2時間前とかなんですよね。何やってんのかと思ったらグッズ売ってるんですよ。落語も30分前に開場してさっさと詰め込んで開始ってんじゃなくて、グッズ売らないと」と白酒師。「グッズって?」「あのー最近あるじゃないですか、『推しと一緒に温泉に来ました!』みたいな感じで写真を撮ってるヤツ」「あー、あの……」とさすがオジサンたちは「アクスタ」が出てこない。まあ私も昨年の新真打のグッズで知ったんだけれども。結局「アクリル人形」となっていた。「我々のアクリル人形売るの? 買う人いる?」「頭のところに穴を開けといたらいいんじゃないですかね?」「それいいな! 釘を刺したり……」「藁人形がわり!?」「ストラップも付けられるし……」などと楽しそう。

一番手は白鳥師。「最近は私の作った噺をいろんな人がやってくれて、中には昔作った噺も。それで気づいたんですが、昔作った噺をその当時の時事ネタとかギャグをそのままやると古典になるんです。今日は新作が古典に変わる瞬間を見てもらおうかと思います」と楳図かずお先生の『へび女』を下敷きにした『恋するヘビ女』を。
正直ちょっと世代が違うので『へび女』も時事ネタもよくわからなかったのだが、「キングコブラの仕草」や「ガラガラヘビの仕草」が面白い。
映画の話題も出、『ロッキー』の「エイドリアーン!」が「トウゲツアーン!」になっているのもおかしい。

彦いち師、休日の昼から酒を飲み、妻とはオナラで会話をする夫が『さるかに合戦』の世界に迷い込むという一種の異世界転生もの?
いろんな時代の人がこの世界に登場人物として集まってきている。主人公は「どうせ俺は牛の糞なんだろ」と半ばやさぐれていたものの、牛の糞は白鳥師の噺に出てきていたヘビ女おばさんで、白鳥師がやっていたように萬田久子張りのワンレンかき上げ仕草を見せる。
主人公は臼。「これが落語史上初めての『臼の仕草』です!」というのがおかしい。四角い顔の彦いち師だからこそ、というか完全に臼の仕草をやりたくてこの噺を作ったんじゃないかと……。

白酒師、古今亭お家芸の『火焔太鼓』。
道具屋の主人がおかみさんの尻に敷かれてるのは普段通りなのだが、おかみさんのことが結構好きというのが珍しい。「『ろくなもの食べてない』っていうけど結構食ってるぞ。俺や松吉の分まで食って、ぽちゃぽちゃっとして……たまんねえぞ」とか、お屋敷へ太鼓を持っていくときにブツブツ言ってるときも最終的にノロケになっているのがおかしい。そのおかみさんもワンレン仕草を行い、なんとなくリレーにになっているのが面白い。
最後の懐からお金を出すシーンで百五十両あたりで「トウゲツアーン!」となるのもいい。落語って生き物だなー。
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池袋演芸場 十月上席 十月一日 夜席 [落語]

池袋演芸場 十月上席 十月一日 夜席
於:池袋演芸場

春風亭貫いち『元犬』
三遊亭ふう丈『ゲセワセワ』
柳家㐂三郎『時そば』
ウクレレえいじ ウクレレ漫談
柳家花いち『カタチ』
古今亭駒治『さよならヤンキー』
風藤松原 漫才
柳家小ゑん『いぼめい』
林家きく麿『童謡作り』
三遊亭わん丈『プロポーズ』
春風亭一之輔『もぐら泥』
翁家和助・小花 太神楽
三遊亭天どん『いたばさみ』

昨日の予想通りに池袋の夜席に。
ほとんど初めて聴く噺で、演目を調べるだけで一苦労。

しかしこの芝居のチラシ(リンク先は天どん師のブログです)。
http://blog.livedoor.jp/rakugono/archives/5463171.html

個人的には扇辰師や扇橋師での方が印象が強いのだが、確かに天どん師もとつかりょうこさんのイラスト使ってたっけ。
最初にパッと見たときは、天どん師はすぐわかったのだが、真ん中の三人誰だろ? と思っていたのだが、あ、天どん一門か! と気づくともうごはんつぶさん、ふう丈さん、わん丈さんにしか見えない。しかも圓丈師まで。やっぱりプロってすげえなあ。

貫いちさん、これは自信を持っていいます。兼好師から習いましたね。というか若手の『元犬』は兼好師のが多いような……。

ふう丈さん、チラシについてやっぱり気づいたらしく、「私、剣でごはんつぶさんと戦ってるんですよ。で、左の方にわん丈さんが余裕な感じで『あ、俺来年真打なんで』みたいな顔でいるんですよ」とちょっとご不満の様子。

お久しぶりの㐂三郎師、ちょっと髪を伸ばしてるんだ。ダブルピースは相変わらず。

ウクレレえいじさんは初めて。ウクレレの超絶テクニックとユルいのと。マニアックなモノマネメドレーが面白い。何ひとつ分からなかったけど。はだか先生と交互ってことは準会員なのかな。

花いち師、小料理屋の客にスーパーで買ってきた刺し身やお惣菜を、小洒落たレストラン風のメニュー名で出すという噺。メチャクチャな展開でも「カタチだけを大事にしてますから」という女将の一言だけで済ませてしまう強引さがおかしい。

駒治師の『さよならヤンキー』は8年ぶり。前に聴いたときよりも茨城弁が薄まっているような……。

小ゑん師の『いぼめい』、最近ネットではよく見かけるタイトルだが、どんな噺なのかはまるで想像できない。すっごく乱暴に要約すると、なに言ってるかわからないくらい訛ってる就活生に面接官が面食らう噺。オチは今時っぽい。

きく麿師、「働きたくない」という人が一攫千金を狙って童謡を作るために動物園へ行くというもの。働きたくないですねえ。

仲入り時に天どん師が物販でDVDを売っていた。マスキングテープやエコバッグもおまけに付くという。でも持ってるしな……と思ったけど、あれ真打昇進時のDVD買ったっけ。持ってなかった気がするけどいっぺん家かえって確認してからかな。どうせあと1~2回はくるだろうし。

わん丈さん、「おそらくこの中で私が唯一『笑点』を見てからここにやってきました。もう一之輔師匠楽屋に来てます。いやあ……もとから凄い師匠ですけど、やっぱりテレビで見てから実物を見ると違いますね。先日も『終電まで30分あるから飲むか』って駅の飲み屋に連れてってくれたんですが、トイレかどこかから隣の席に戻ってきたおじさんに『あーっ、落語家!』って指さされたんですよ。私だったら『指ささんんでもらえますか』ってケンカモードに入っちゃうかもしれない。でも一之輔師匠は落ち着いて『まあ座んなさいよ』って……(ロビーで物販している)師匠の声が入るなあ、ここ!」と大きな声を出して天どん師とケンカモードに。すると外の声がおさまり「……一応弟子のいうことを聞いてくれるんですね。圓丈師匠だったら『それでもやれ』っていいそうですけど」。
噺は60歳年上の女性にプロポーズをしようとしている草食系男子と、そのお相手。まあ「多様性の時代」とか「人生百年」とかいっている昨今ならこんなとこもある……のか?

久しぶりの一之輔師。「……まあ座んなさいよ」とニヤリ。
一之輔師の『もぐら泥』は初めて。「そろばんが合わない」という場面は短く、「おめえなんか買わなかったか?」「あっ……反物……」「反物? いくら? …………たっけえよ!」と一瞬のこの間が上手いなあと思う。
手を捉えられ、中の亭主と女房を脅したりするのだが、反撃を食らって「いったーい!」とシクシク泣いている泥棒がかわいくてとにかくおかしい。
最後に登場する男も与太郎っぽくぼんやりした感じなのだが、泥棒のがま口を覗いたときから見せる人の悪そうな顔がまた上手いんだ。素か? と思うくらい。

和助・小花先生、扇の曲芸は初めて見た。初めて見る芸だと拍手するタイミングがわからないな……。
あと珍しく土瓶の弦立てで位置取りに苦戦しており、「ダメだ」といって手で調整していた。そんなんアリ? まあ一番難しそうなところではあるけれど。

天どん師、「今日はですね、携帯を家に忘れてきたんですね。家から駅まで自転車でくるんですけど、途中で見たらなかったんですね。だから多分家だとは思うんですけど、もしかしたら途中で落としたかもしれない。だったら一回帰ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そうすると物販に間に合わないんですよ。携帯を取るか、物販を取るかで悩んだんですけど物販を取りましたよ。……なにをいいたいのかといいますと、もう気が気じゃないんです。上の空なんですよ」。いろいろとぶっちゃけ過ぎでは……。
「楽屋にきたらですよ、初日だから『奢ってくれるんだろ』みたいな顔したヤツらがうじゃうじゃいるんですよ。イライラしますよね。もう僕はそれどころじゃないんですよ」。「ヤクルトはほぼ最下位だし」「わん丈くんが抜擢だってなったら『お前はちゃんと口上できるのか』みたいな心配されるんですよ。余計なお世話だバカヤロー。そもそもわん丈もふう丈も相変わらず僕のことを『アニさん』って呼んでますからね。そんで都合のいいときだけ『いやそれはやっぱり師匠にお願いしないと』みたいなことをいうんですよ、ブッ○してやろうかなと思いますよね」とまあ順番や細かい言い回しは覚えてないけど、だいたいこんなようなグチがずっと続く。そんでそれが面白い。たまらないね。
わん丈さんたちの話から弟子へパワハラしていないか悩む中堅師匠を描く『いたばさみ』に。おそらく「俺は昔師匠からこんなことをされたんだけどこれをお前にやったらパワハラか?」というエピソードは実際にやられたんだろうな……。
さらにそこに80を過ぎて『笑点に出たい』という大師匠まで出てきていろいろカオスになっていくが、なんだか現在の落語界を端的にデフォルメして表しているようにも思える。

家に帰って確認してみたら、やっぱり真打昇進時のDVDは持ってなかったようだ。次回までに残ってたら買おうかな。
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