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第41回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会 [落語]

第41回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭天どん『松葉屋瀬川(上)』
三遊亭天どん『松葉屋瀬川(下)』
三遊亭ごはんつぶ『新作(パンティ泥棒)』
三遊亭天どん『新作(ツイッターなりすまし)』

本日2回目のなかの芸能小劇場。とはいえ7時間くらい開いているのでさすがに一度家に戻る。一日2往復ってのもないわけじゃないけど久しぶりだなあ。

この会は久しぶり。前はゲストとか呼んでなかったっけ。
まずオープニングトーク的な。
こないだの地震のときに天どん師は地元のコンビニにいたらしくその時の話をしてから、「今日はですねー、ちょっと変則的なんですよ。まずこれから古典やりますよ。でー、すごい長いんで一回休憩挟みます。ゲボ吐くぐらい古典を浴びせます。いつもなら新作の方を先にやるんですけど、今日は古典を先にやらないと忘れちゃいそうなんで」だそうな。

『松葉屋瀬川』はそういう噺があるということも知らなかった。もちろん聴くのは初めて。圓生噺らしいが、現在この噺を高座にかけている人はざっと調べてみてもさん喬師のほか何人かくらいしか出てこない。
上は堅物の若旦那を少しは柔らかくしようと大旦那に頼まれて吉原まで連れて行こうと画策する噺。この若旦那が本で得た知識だけで何でも知っているように思い込んでいるという頭でっかち。こういうなんとなくイヤミっぽいというかシニカルな感じのキャラは天どん師は面白い。自身のキャラと合っているからなのか、逆にどこか客観的に意図的に頭でっかちっぷりを楽しんで演じているように見える。
その頭でっかちの若旦那に気付かれないように巧妙に吉原に誘い込み、傾城の花魁にハマって半年で八百両という大金をつぎ込んで勘当になるまでが上。ここまでですでに40分以上経っている。
5分休憩して下に入る。

下の部分は『雪の瀬川』とも呼ばれているらしい。
昔の奉公人の家に厄介になった若旦那が花魁に手紙を出し、その返事として「雨の日に参ります」という内容の手紙をもらって雨の日を待ち焦がれるという内容。
花魁がそうそう抜け出せるはずもなく、なんか雨の日に自害してその魂が若旦那のところにやってくるとかのオカルト系の噺になるのかと思ったら、ほんとに足抜けしてくるという別の意味で意表をついた内容だった。
本来は「傾城瀬川の実意でした」と締めるらしいが最後の一席での天どん師曰く「言うの忘れちゃった」とか。

午後8時半にごはんつぶさん登場。「こんな時間にやったことない」といい、非常にやりにくそう。
屋根に登って降りられなくなった子猫を助けるために竹竿を使ったら、その家の洗濯物のパンティが引っかかってしまい、それをめぐって上司やパンティの持ち主、その父親まで巻き込んで誤解されるというもの。
懐から取り出した手ぬぐいがすでにパンツ型の三角形に折りたたまれているのがおかしい。どんだけ高座で「パンティ」連呼すんの。というか「パンティ」ってまた昭和な。

天どん師の三席め、自身もTwitterをするそうだが、返信の仕方などは未だによくわかっていないのだとか。なので腹の立つツイートを見かけても基本的には無視なんだそうだ。
「先日も僕の落語教室のツイートに『アクセスがなあ』って書きこんでるヤツ見つけたんですけどー、お前の住んでるところなんて知らねえよ。というか僕だって2回乗り換えて行ってますからね。こんなことをいうヤツは結局何したってこないんですよ。そんで面白いものなんて書けないんですよ! ……(そのツイートをした人が)ここにいたらごめんなさいね」と不満をぶちまける。
噺は幼馴染の男ふたりが会話しているというネタで、ひとりは一流大へ行ってIT企業を立ち上げ、スポーツも楽器もできるというマンガのような男と、もうひとりは大学に進学もせずに働き始め、スポーツも楽器もできないという男。後者の男がツイッターで自分の理想の男になりすましてフォロワーの相談に乗るというもの。
いろんな情報がいろいろと交錯し、いつの間にか複雑な事情になっていく感じがカオスっぽくて楽しい。あとやはり後者の男のようにちょっとひねくれたというか世の中を拗ねているような男が天どん師にハマる。実は前者の男も結構なサイコパスで、それも似合うんだけど。

2時間いて自分の知ってる噺が一切出てこないという。まあ新作のネタおろしだから知らなくて当たり前なんだが、これはこれで結構レアな体験ではないだろうか。
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実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『蝦蟇の油』『あくび指南』『佐々木政談』

こないだの地震は残業中に喰らう。
夜中に誰もいないオフィスでスマホのヴィッヴィッと鳴る地震警報と、ビルからの地震警報をダブルで喰らうと結構ビビる。
しかもようやく仕事終わったら今度は電車がストップしている。結局上野まではなんとか戻れたものの、常磐線が動かず。その時点で2時近く。猫が心配なので諦めてタクシーで帰る。帰ったのが2時半過ぎ。疲れた。たまたま金曜は代休をとっていたからいいものの。……とはいえ代休とってなかったら頑張って残業してなかったから地震前に家帰れてたような気もするが。

会場へ入ると主催者のオフィス10の社長が入院したらしい。社長の娘が「私も病院からそのままきたので」とわたわたになりながらさばく。大変だ。

小辰さんのマクラでもその話が出る。「そんなこといってホントは今ハワイにいるんですよ。昨日電話もらったときに元気でしたもん。後ろから波の音とか英語とか聞こえてました。……こういうこというと袖にいるお嬢の目がすごく怖くなってくる」そうだ。小辰さんなりの気遣いなのだろう。
「しかし興行主ってのも大変ですよ。昔から香具師とか、そういう人達がやってきた」と『蝦蟇の油』に入る。
仕込みのときの流麗な口上と酔ったときの落差が楽しい。
酔って間違えたことを周りから指摘されると「子どもうるさい! ……なんだ? イチロクのガマじゃなくて四六のガマだ? ……言いましたー! 言ったよ!」と頑なに認めないのがおかしい。

二席め、「夜は吉原へ行ってツーっと入るといるんだよぉオンナが」と横道に入って師匠に「なんでツーっと入るんですか!」と怒られるところで「フラが」と言い訳するのが思わず吹き出す。

三席め、佐々木信濃守の鷹揚な振る舞いと白吉のこまっしゃくれた態度のコントラストが楽しい。
とはいえちょっと白吉が幼すぎるような気もしないでもないが。
タグ:入船亭小辰
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