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らくご長屋 宮治連続独演会 令和3年11月21日 [落語]

らくご長屋 宮治六連続独演会 令和3年11月21日
於:中野 なかの芸能小劇場

桂宮治 ひみつの時間
桂宮治『風呂敷』
桂宮治『芝浜』

ひみつの時間は相変わらず他人のワルグチを。
文治師に空治さんがいたずらを仕掛け、それを録画してYoutubeにアップしているのだとか。先日文治師と一緒の仕事で、楽屋に遊びに行ったときにたまたま現場に居合わせ、片棒を担がされたのだとか。「前座が師匠にそんなこと普通します!? 俺師匠のこと大好きで抱きついたりしちゃうけど、そんなことしないよ! 『破門だ!』って言われたら怖いし。そもそもウチの師匠、優しいけどホントは怖い人なんだから。誰かが喧嘩とかしてたら『やめろ!』って割って入るような鉄火な人なんですよ。そんな師匠にドッキリとかできないよ。この世界って師匠が神で弟子は虫けらくらいの差があるのにあそこは逆なんだ」だそうで。
宮治師は学校公演が大好きなのだそうだが、自分の子どもたちが通う学校は避けていたとか。自分のせいで子どもがいじめられたら、という配慮だそうだが、どうしても断れないルートから依頼されてしまい、初めて行ってきたという。「学校公演で緊張なんかしたことないのに、初高座より緊張した。想像できます? この学校公演大好き宮治くんが舞台袖でカタカタカタって震えてるんですよ」見てみてえー。
家に帰って娘に「どうだった?」と聞いたところ軽く返されてしまったそうで、「そんなこと言われるために噺家になったんじゃない」とやや落ち込んだ感じに。

一席め、この会の後に静岡の仕事があるそうで、「帰りの新幹線のビールを楽しみに……」という一言から酒の話に。「以前医者から『娘さんたちの成長を見たくないんですか』とおっかない顔で言われて、ひと月ほどやめたことはあるんですが、どうしても飲んじゃう」そうで。まあ俺もなんだかんだと飲んじゃうので人のことは言えないが。
酒の話から酔っ払いが登場する噺の『風呂敷』に入る。
酔っ払った亭主が実はかなり気を遣っており、女房の方はすることをしているという、だいぶ「聞いてた話と違う」という齟齬感がおかしい。
サゲの一言ですべてひっくり返るのもいい。

二席め、「次の会の雲助師匠がいらっしゃるので長い噺はいたしません」といいながら『芝浜』に。
宮治師のは初めてか。さらに今シーズン初。
宮治師のは財布を拾うときは魚勝に視点がついていく型。が、三木助型のように夜明けの描写までは行わない。
「夢だ」と信じ込ませる場面の前には魚勝を起こす前に心を落ち着かせるおかみさんの姿が描かれる。「こらから騙すんだ」という覚悟は伝わるが、個人的には古今亭の「金を拾ったのは本当に夢なのかもしれない」という余地がある方が好きかな。まあこれだけ有名な噺で何度も聴いてるので夢もなにもないのだけれど。
タグ:桂宮治
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人形町 萬橘の会 [落語]

人形町 萬橘の会
於:人形町 日本橋社会教育会館

桂伸び太『子ほめ』
三遊亭萬橘『初音の鼓』
三遊亭萬橘『四段目』
三遊亭萬橘『抜け雀』

中野から日本橋へ。
1時間くらい時間が余るかと思っていたのだが、ガソリンスタンド探しとそれに伴って人形町近辺の一通地獄に泣かされてほぼ開場時刻に会場に着く。

伸び太さん、入り時間よりも少し早めに着いたところ、既に客の行列ができており、何故かそこに並んだとか。なんで。他の人と一緒にチラシも貰ったそうで、入門前に戻ったようだったとのこと。
つーか他の協会の前座を借りるってできるんだ。でも確かに兼好師も宮治師が前座の頃によく会に来てもらってったといってたしな。

萬橘師の一席め、こないだ客に声を掛けられたそうで、「だいぶうまくなったわね、客いじり」といわれたのだそうだ。
「客いじりってのはお客さんに『今日どこから来たんですか』とか聞くことだよ。俺そんなことしないよ」。確かにそんなことはしてないような。その人はなんのことを「客いじり」と称していたんだろう。マクラのことか?
「あそこだけ時空が歪んでたのかもね。ジョジョのスタンドみたいに。ヴァニラ・アイスってのがいるんだけど……これいわないほうがよかったな」。うん、多分客席でわかってたの俺含めて数人じゃないかなあ。俺は世代だしファンなので『ジョジョリオン』まで含めて全巻持ってるからわかるけどね!
続けて両国寄席の脇にある自販機にお金を飲まれたときの話を。お金を入れたときの自販機になりきって解説するのが面白い。
『初音の鼓』、道具屋とグルの三太夫さんが結構天然。殿様に「三太夫の脇にある正の字が書いてある紙は何じゃ」と突っ込まれるところが楽しい。

続けて二席め、萬橘師の家は子どもたちのたまり場になっているらしい。理由を聞くと「必ず遊べるから(=塾などに行っておらずにいつも家にいるから)」だとか。「まあうちの子みたいなゲームにすべてをかけている子はゲームで勝っただけで『よっしゃあー!(大ガッツポーズ)』ってなりますからね。たまに塾に行ってるような子がきてゲームに勝っても『ふーん』ってくらいですから。でもその子が英語に関するジョークとかいってもうちの子たちは『ふーん』って。基準が違うんだ」と興味深げ。
福岡天神祭で4日間留守にして、子どもたちに土産を持っていった時の話なども。子どもって結構シビアで計算高いよねーっていう話。
それでも子どもは面白い、と小僧が主人公の噺に入る。
番頭さんが子どもに甘く、それによって小僧が調子に乗っているという感じが滲み出る。なんだかんだで旦那も甘いところがあり、それがサゲにもよく効いている。
旦那と定吉の攻防の場面は最高。

三席め、萬橘師の地元の愛知では噺家が職業として認識されていないとボヤく。そんな職業になりたいと話したときの親との会話を絡めて『抜け雀』に。
宿の主人の呑気さが楽しい。客が一文なしだと分かった後もパニックに陥りながらもどことなく呑気さが漂う。
ただ衝立の雀が抜けたときだけは衝撃で目がバキバキになるのがおかしい。周りは目を逸らしながら「あーそーなんだすごいねー」と流そうとする温度差がたまらない。
年嵩の絵描きに「お前のまみえの下にあるものはなんだ」と聞かれて「あ、銀紙です」と投げやりに答えるのもおかしい。
こればかりではなく至るところにくすぐりが仕掛けられている。なんというか「もう身は全部食べた」と思っていたら骨の後ろに美味しい肉がまだあった、あ、ここにも、みたいなカマ焼きを食べてるようなお得な気分になれる。
やっぱりこの人すごいわ。

大変満足して帰途に着く。そろそろバイクには厚着が必要ですな。
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入船亭扇辰一門会 [落語]

入船亭扇辰一門会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『千早振る』
入船亭小辰『藪入り』
入舟辰乃助『死神エピソード0』
入船亭扇辰『竹の水仙』

高円寺のタイ料理屋でメシを食ってから中野に。タイカレーなら毎日食える。

辰ぢろさん、最近は師匠から「おい、ぢろ」と呼ばれるようになり、「これはもしや犬扱いなのでは……?」と思いだしているとか。
「先ほど開演前の影ナレで一部音が乱れて『あれ?』と思った方がいらっしゃるかと思いますが、あれは小辰兄さんが目の前で不思議な踊りを踊ったりくすぐってきたり……」といったところで「お前バラすなよー」と帯を締めている途中の小辰さん乱入。
最近はだいぶリラックスしてる感じ。

小辰さん、真打昇進の報告で盛大な拍手をもらう。「最近これをいうといつもの10倍拍手をもらえることに気づいたので積極的に使っていきたい」そうな。
「辰ぢろは自分で『犬っぽい』といってましたけど、確かにそんなところがある。呼びかけるとなんかハッとしたような顔をするんです。あるいはかわいくないネコみたいな……」だそう。
「血が繋がってるわけではないですが、芸の上では親子なので」と親子の噺へと入る。
んーまあそもそもあまり『藪入り』自体が好きではないので、感想もそんなにないんだよなあ……。披露興行は何日かは絶対に行くが、できれば避けたい演目。
または苦手意識を吹き飛ばすようなものを期待するか。

辰乃助さん、小辰さんと一緒に昇進する三人集にアパートを深夜襲撃された話をマクラに。酔っ払った輩が近づいてくると思ったら一蔵さんだったという、まあオチ自体は読めるというかそれしかないだろうなというもの。着替え終わった小辰さんに「やめろよ」と乱入される。
噺は『死神』の前日譚。
死神がなぜ死神になったか、なぜ寿命を蝋燭で管理するようになったか、「アジャラカモクレン」の呪文はどうやってできたか、といったストーリー。
神様学校を卒業して死神になった死神が、SMクラブに入ったというまあまあの下ネタ。
ムチを作るときに扇子と手ぬぐいを使うのだが、さすがに師匠の手ぬぐいは使えない、と小辰さんの手ぬぐいを取り出して扇子に結び、ムチにする。
「こんな噺を一門会でやっていいのかな」と両手を縛られた形で呟くのがおかしい。そのムチを振るうときに「死ぬほど小言いいやがってー!」と私怨が混じっている。
ちょっと粗削りだけど、面白い。もう少し整合性とか細かいところを作り込んだらもっと面白くなりそうな気がする。昨年も思ったけど俺結構辰乃助さんの新作好きかも。

扇辰師、「小辰のことを師匠の口から言おうと思っていたら自分でいっちまいやがんの。さらに辰乃助まで……。もうアタシが言うことがない」とボヤく。
「小辰の名前どうしようかねえ。小辰のままでもいいんだけど、なんか小物感があるでしょ」。一部ネットでは扇橋襲名あるかとも上がってるが。「いい名前あるんだよ」。ほうほう。「辰じんてのが……」前座に戻るんかーいって会場みんなで思ってたはず。
「そうはいっても噺家ってのは真打になってからの方が長いんだから。アタシだってもう20年くらい経っててそれまでより長い。後は死ぬまで真打だからね。……人生ってのは旅に例えられることがありますから、それじゃ旅のお噂でも……」と『竹の水仙』に。
扇辰師のは久しぶり。
宿の夫婦の主は婿で8年め、妻は先代の娘で家付きのお嬢さんという設定。事あるごとに「あんたは婿で8年め」とチクチクと責められ、最終的には甚五郎にまで見抜かれてしまうのがおかしい。
大筋は同じなのだが、細かい部分が他の人とは型が異なっており、たとえば値を聞いてきた家来の郡山剛蔵(国宝が亡くなった後もこれのままなんだ)に対して「他の大名であればもっと欲しいところであるが、相手が越中ならば」というセリフがない。しかし、細川のお殿様は買い主が自分であると甚五郎に知られているとわかると、百両の竹の水仙に自主的に五百両払うという太っ腹ぶり。それがかっこいい。しかも甚五郎はそれを全部宿の主にあげてしまう。……明日から江戸までどこに泊まるんだろう……。
無理にオチをつけずにおめでたい雰囲気のまま終わる。これも小辰さんへの気遣いなのかもしれないなーと思う。
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えどはく笑楽座 [落語]

えどはく笑楽座
於:両国 江戸東京博物館 小ホール

林家花 紙切り
丸一小時小助 太神楽
三遊亭遊雀『初天神』

江戸東京博物館での「和のエンターテインメント」の体験、というようなイベントなのだろうか。常設展の入場料のみで入れる、
江戸東京博物館は小ホール以外入ったことがない。錦糸町のタイ料理屋でランチの後に早めに行き、常設展に入ってみる。……これは……結構面白いぞ……。
開場前に30分ほど見てみたのだが、全然時間が足りない。
開場時間にホールへ行ってみるとすでに行列。子ども連れも多い。私は運良く前の方に座れたが、席の間引きもなく満席だそうだ。

花さん、紙切りに珍しく立ったまま。なんでかなーと思ったが高座に座っちゃうと位置関係上切った紙を渡せなくなってしまうからかな。舞妓や七五三、うさぎの餅つきなど。

遊雀師、子どもが多いことや体験型イベントだからそうかなーとは思ったがやはり『初天神』。
家を出る攻防や団子の買う買わないの攻防をじっくりと。金坊のしつこさやグズグズっぷりがなんかリアルでおかしい。子どもたちにも大好評だったようだ。

会が終わってからもう一度常設展へ戻る。
江戸時代の長屋を再現したものは落語好きとしては興味深い。こんなに狭かったのか……。
両国の盛り場を再現したジオラマも楽しい。これで時代小説もよりイメージしやすくなりそう。
落語好きとしては吉原の詳細も再現してほしかったがほとんどなし。まあ子どもも来るところだからなあ……。どこかやってくれないかな。
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けんこう一番!第十八回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第十八回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『桃太郎』
三遊亭しゅりけん『道灌』
三遊亭兼好『王子の狐』
尾崎一宏 サックス
三遊亭兼好『品川心中』

なんか知らんが会社的には暇らしいのだが私にはどんどん仕事が入ってくる。どうなってんだ。

兼好師の一席め、ようやく元の生活に戻りつつあり、それはありがたいのだが、そろそろ揺り戻しがくる……と思ってもこない、これはこれでなんかちょっと寂しい、という。なんとなくわかる。「なんだかずっと不幸だった人が幸せになったみたいな。『私が幸せになるはずがない!』というような……」というのもわかる気がする。
学校寄席も戻りつつあるそうだが、先日は生徒か保護者に感染者が出て当日急遽最寄りの駅で中止が告げられたとか。そんなこともあるんだ。
最近は学校でも修学旅行などのイベント事が中止ばかりで、学校寄席が唯一のイベントのこともあるといい、プレッシャーがすごいのだとか。
兼好師は学校寄席にあまりいい思い出はないそうだが、頭のいい中高一貫の女子校へ行った時はものすごくウケた上に女子生徒たちのキラキラしたものが座席から降り注いできていい匂いがしたそうな。いいなあ。「アレはよかった」とご満悦。
子どもたちの話題から落語の子どもに移り、『桃太郎』に。兼好師のは久しぶり。
普通だと「昔の親子」と「今の親子」での対比で演じられるが、後者を「今の親子」としてしまうとかなり無理が出る。
兼好師の場合はいわゆる「昔の親子」の部分が終わったときに「……というような子どもは落語には出てこない」と「理想の親子」と「落語的親子」としてやっている。こういうのはホントに上手いと思う。ちょっとした矛盾というか違和感をさらっと取り除いている。
しかもおとっつぁんが話す昔話も結局は兼好師が話してるわけだから面白いんだ。こんな上手く話されたら眠くなんかならないよなあ。

しゅりけんさん、今日はなんだかあまり元気がない?
いつもよりだいぶおとなしめな印象を受けた。

兼好師の二席め、熊は賢く、りんごなどもちょうど熟したものを取っていくといった話などのマクラから『王子の狐』に。
狐を騙す男がとにかく明るく、いかにも兼好師らしい。ここまで賑やかに騒ぐ男も珍しい。
酢の物をかっこんでむせるという変化球の小ネタも実に楽しい。こういうちょっとしたことがアクセントになって常に新鮮味がある。

尾崎一宏さん、テナーサックスとソプラノサックス。
『ダニーボーイ』や『川の流れのように』、オリジナル曲など。
どの曲も音の切り方がスパッとしていて余韻を残さない感じ。切れ味がいいとか淡麗とかもいえそうだが、私の好みではないかな……。

兼好師の三席め、板頭の説明の際に「余談ですが、女の子のいる店でママが美人すぎる店は女の子はNo.1でもイマイチ。無意識に自分よりかわいい子はとらないんでしょうね。ママが(人情噺に定評のある某師匠)にカツラ被せた、というようなお店の方が女の子はかわいい」のだそうで。勉強になります。「まあママが(某師匠)でNo.1が(その師匠の一番弟子で大人気の白髪の師匠)ということもよくありますけど」というのも容易に想像できておかしい。
金蔵もこれまた兼好師らしくとにかくご陽気。「真面目な顔だってできる」と試みるも百面相のようになってしまい、「それが陽気だっていってんの!」と突っ込まれるのがおかしい。
心中に持ちかける際に「これまで金ちゃんを冷たくあしらっていたのは本気になってしまうのが怖かったから」とミエミエの嘘にアッサリ引っかかってしまうのもポジティブ。
海から上がって親分宅で「海の中で聞いたお染の言い分」を再現するのもおかしい。
いわゆる「上」の部分で終わらず、通しなのだが、「下」の部分はまるで異なる。幽霊騒動にするのは変わらないが、陰気な位牌などは一切出てこないのは兼好師らしい。

帰宅中、久しぶりにかつやに入ってイートインで食べる。夜に店の中で食べていけるのがありがたい。が、チキンカツ親子丼なるものを食べたらかなりキツい。美味しいんだけど酒すら入る余裕がないほど詰め込む。苦しい。
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新版三人集 [落語]

新版三人集
於:人形町 日本橋社会教育会館

三人集 ご挨拶
柳亭市遼『小町』
柳亭市弥『野晒し』
春風亭一蔵『佐野山』
入船亭小辰『不動坊』

はー資格試験終わったー。
II種とIII種併願していて、まあ多分III種は大丈夫だと思うんだけど、II種はどうかなー。まあ運が良ければってところか。せめてあと2週間かできれば1月早く準備してればもっと違ったなあ。とかいってIII種も落ちてたらどうしよう。万一II種受かっててもIII種落ちてたらどっちも×だしなあ……。

ま、終わったんだからもうどうしようもない。
さて会が始まるまで3時間くらいある。
一度家戻ってもいいんだけど、それだとホント荷物置くだけでなにもできないし。
まーせっかく蒲田っつー呑助の街にきてるんだから呑むかー。
一軒めは酒は安めだけどつまみが高い。ビール二杯とハイボール一杯で店を出、二軒めにハシゴ。蕎麦をアテにそば茶ハイを2杯。……ちょっと飲みすぎたか? でもそんなに酔っ払ってる感じはしない。

まずは三人揃ってのご挨拶。真打昇進が決まってから初めての三人集だそうで、まずはそれぞれ師匠から電話がきたときの状況などを話す。
小辰さんは前に聴いたのとほぼ同じだが、一蔵さんは実は火曜会ではちょっと隠していたことがあったようで。市弥さんは協会にいた市馬師から電話をもらい、さらに「この声を聞け!」とその場にいた協会事務員たちが上げた歓声を聞かせてくれたのだとか。
また、前にも小辰さんが言っていたが、三人で一緒に真打に上がれる嬉しさもそれぞれ語っていた。考えてみたらユニットがそのままパッケージで真打昇進て珍しいのでは? 成金やTENだって抜擢があったりメンバーが割れたりしてバラバラだったし。二ツ目昇進後に会を始め、それが真打になるまで続いてるんだからすごいことですな。

市弥さん、三人集の中で小辰さんがエースで一蔵さんがキャッチャーで要、さてそう考えると自分は……? と考えたときに「技も力もない。この愛嬌だけでやってきてるんすから。でもそう考えると今日みたいにトップで出てきてとにかく塁に出る、客席を明るくするみたいなのが合ってるのかもしれませんね」と自己分析。なるほど。確かにいい役割かも。
先日亡くなった小三治師についても。ドキュメンタリーか何かで小三治師が末廣亭の高座に上がるシーンを撮るのに、出囃子の太鼓を叩くので呼ばれたことがあるそうで。そのときのエピソードをマクラに、太鼓には馬の革、三味線には猫の皮……と話を振って『野晒し』へ。
明るくテンションの高いキャラは、お調子者で乱暴な八五郎と合っている。突き抜けた明るさが楽しい。
鼻を釣って釣り針を捨てたところでサゲ。

一蔵さん、「マクラであそこまで振っといたのにアレで終わるのかよ! という……」と至極もっともなツッコミ。とはいえすでに時間が10分から15分ほど押しているようだ。
「小辰がエースとか言ってましたけど、俺は認めない!」と先日地方で二人会があり、それに一蔵さんの車で多治見まで行ったという話を。東京から岐阜までの道のりを『黄金餅』のようにターっと息もつかせぬほどに一気に語る。「これを稽古なしでできるのはトラック運転手をしてたおかげ!」だそうだがあれはすごかった。
宿の露天風呂のお湯がものすごく熱く、ふたりして落語の小話の風呂の我慢比べみたいなことを地でやっていたとか。
三人集の役割なんかも他のものに例えていたような気がするけど忘れちゃったなー。まあアルコール5杯入ってるし。

小辰さん、三人集はサッカーでいうと一蔵さんが監督で小辰さんは単にボールを追っかけ回してるだけ、なんだとか。市弥さん何って言ってたっけな……。今日はもうしょうがない。
市弥さんも一蔵さんもちょいちょい大きめの間違いをしており、それを「今は地に足がついていない」といいながら、小辰さん自身も「おたきさんには不動坊火炎という……」というところを「不動坊にはおたきさんという……」といってしまい、「お前もじゃないか!」とセルフツッコミ。
その他にも風呂屋でのモテない三人組のワルグチ場面がなかったような……。まあなくてもギリ意味は通じるか。
こないだも聴いたばかりだが、やはり屋根の上の大喧嘩がとにかくおかしい。

今日は疲れてるのでこんな感じですみません。
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らくご長屋 扇辰独演会 [落語]

らくご長屋 第11回扇辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『道具屋』
入船亭扇辰『天災』
入船亭扇辰『ねずみ』

明日資格試験の日だってのに何やってんだ俺。
さすがに朝から勉強して移動も電車でテキストを読む。
だってチケット買ってあるんだもの。

オフィス10の社長の話を最初に。
社長から手紙がきたそうで、それを読み上げてコメントしたのだが、見事にこないだの宮治師と内容がほぼ一緒。みんな考えることは同じということか。
人間国宝を偲んであまり人に言えない扇橋師とのエピソードをふたつばかり話した後に『天災』に。
小三治師に教わった人に教わった噺だそうだ。

二席め、最近ようやく旅の仕事が戻ってきたと喜ぶ。
札幌での仕事に合わせて函館の仕事も入れたそうで、「函館と札幌って地図で見ると近いように思ったんだけど、遠いの。久しぶりに特急に4時間乗った」そうだ。え、そんなに遠いの?
「でも函館よかったねえ。札幌ほど都会じゃないけど、こじんまりしてていいんだ」と満足げ。北海道行ったことないんだよなあ。コロナ終わったらLCCで安くチケット取れたら用もなく行ってみようか。
旅のマクラから『ねずみ』に。
最近人物の演じ分けがちょっとコントラスト強すぎな気もするかなあ。

とりあえず今日はこれくらいで。帰りの電車でも勉強します。
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古典粒選 第一回入船亭小辰 [落語]

古典粒選 第一回入船亭小辰
於:下北沢 小劇場楽園

入船亭小辰『高砂や』『不動坊』『鰍沢』

5日連続落語でのべ6つの会へ行くってちょっと我ながら頭おかしい。うーん。
さすがに正月やGWでもこんなに連続で行ったことはないと思う。これで来週資格試験受けようってんだから舐めてんな俺。
一応バイクで行くのはやめて、少しでもテキストが読めるように電車で行く。結果的にこんな下北沢駅前の小劇場が会場で、駐輪場なんて見つけられなかったから余計によかった。
会場はL字型になっており、角の部分に高座、その左右に客席を並べるという珍しい形状。高座の正面には柱が立っており客は入らない。いかにも小劇場といった感じ。
小辰さんもやりにくそうで、普通に上下を切ってもなんだかマクラを振っているようで、どこを見ればいいのかわからないという。私はちょうど下手側に上下を切ったときの正面の位置に座ったのでやたらと目が合う(ような気がする)。
主催の娯楽百貨と仕事するのは4回めで、料理と落語のコラボだとか、劇団とコラボだとかばかりで「初めてちゃんとした落語の仕事がきた!」と喜びを露わにする。
「個人的なことですが来秋から真打に昇進することになりまして。それよりも嬉しい!」とのこと。
そこから真打昇進についても。しかし真打昇進よりも二ツ目に昇進が決まったときの方が嬉しいそうな。これみんな言うね。100%言う。言わなきゃいけない決まりでもあんのかってほど。でもまあ毎日の仕事から解放されると考えるとそうなのかもなあ。それに真打昇進はいろいろやらなきゃならないことや出費が大変そうだし。
おめでたい雰囲気のまま『高砂や』に。
秀じいの豆腐屋を織り交ぜた高砂やを披露した後に親族な譲ろうとして「親戚一同不調法で」と断られ、「え? 誰かいるんでしょ? ほら! ……なんでみんな目を逸らすんですか!」と必死なのがおかしい。

二席めも婚礼の噺。
屋根の上で焼酎火の準備をするときに一切の声を出さず、仕草だけで進めるのが面白い。それでちゃんと何をしてるかわかるんだからなあ。
「万さん、出ないよ」というところから小声で会話が始まるが、進むうちに両者がヒートアップして怒鳴りながら罵り合うのがとにかく笑える。
チンドン屋の万さんが「アルコール買ってこいとは言ってない!」と一切引かず、微妙に会話が噛み合っていないのもなんともいえないおかしみがある。
二席連続で『高砂や』を謡うのも楽しい。秀じい仕込みではなかったが。

三席め、東京生まれの小辰さんは雪が珍しいのでそれほど嫌いじゃないそうだが、雪国生まれの扇辰師は雪が大嫌いなのだそうだ。確かにマクラでよく言ってるなあ。
雪の日に「師匠、雪ですよ!」とはしゃいだ声で言ったところ、「……初めてグーパンチくらいました」そうだ。
雪にはまだ少し早いが今シーズン初の『鰍沢』。
やはり雪の寒さや囲炉裏の火の熱さが伝わるような確かさがある。
私の中に明確に絵が浮かび、全然長さを感じさせない。

あまり下北沢は行かないのだが、北千住から千代田線一本で40分ほどで着くのね。思ったより近いな……。いやそれだけなんだけど。
タグ:入船亭小辰
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らくごカフェに火曜会 11月2日 [落語]

らくごカフェに火曜会 11月2日
於:らくごカフェ

春風亭与いち『家見舞』
春風亭一蔵『猫の災難』
春風亭一蔵『熊の皮』
春風亭与いち『明烏』

二日続けて平日落語。そんなの初めてじゃなかろうか。
とはいえ一蔵さんの真打昇進発表後最初の会だというのだからちょっと興味がある。
それに今年もまた一蔵さんとタイミングが合わないんだよなあ。「一蔵ひとりの会」がある日に大概兼好師の会が入っていたり、他の用事が入っていたり。今週くらいはまだ仕事に余裕があるんで二日連チャンで早めに上がる。どちらにせよ今日は早めに上がってまた錦糸町のタイ料理家にでも行こうかと思っていたのでちょうどいいや。

先に上がったのは与いちさん。
なぜか与いちさんの口から「昨日一蔵兄さんの真打昇進が決まりました!」と発表があり、大きな拍手が起こる。途端に楽屋から「何でお前が先に言っちゃうんだよ!」と一蔵さんのブーイングが上がり、「拍手貰っちゃいました」とドヤ顔をキメる。
与いちさんは仙台で一之輔師の落語会を開いているところの息子だそうで、その繋がりで弟子入り志願をした本人曰く「裏口入学」だそうだ。
初めて弟子入り志願をしたのは高一の頃だそうで、仙台の会が終わってから一之輔師を呼び出した(!)らしい。そこに一蔵さんも一緒にきたそうで、その初めての邂逅を語る。
「おめでたいのでウ◯コの噺をします」と『家見舞』に。なぜ。
しかし与いちさんは寄席で何度も聴いているが、なんというかムラがないという印象。伝わるかわからないけど、ずーっと幅広い安定感があるというか。メリハリがないってことじゃないですよ。二ツ目に上がりたてとは思えない安心感。顔もいいし若いし、今後売れていくんじゃないかなあ。

一蔵さんの一席め、まずはやはり真打昇進の話題を。
一朝師から内耳の電話をもらったときの状況の再現から新版三人集の三人で昇進できる喜びなどを。特に小辰さんは入門時期としては一蔵市弥よりも下のまめ平扇の方が近いということで少し心配もあったらしい。とはいえ真打昇進が決まる間際となるといろいろと周りからそれとなく声を掛けられるそうで、正蔵師などからもなんとなく匂わせるような発言があったとか。
真打昇進の内示があってから酒を控えているそうで。しかし先週㐂三郎師たちと九州への長めの旅の仕事があったそうで、真打昇進の準備の大変さをわかっている㐂三郎師は「わかった、呑ませないよ」と言ってくれたという。「初日だけ。あとは時間が経つと『俺の酒が呑めないのか!』って感じ。『酒飲みの噺は呑めない人のほうが上手い』って聞くけどなるほどと思いましたね。1時間もしないうちになにいってるかわからなくなる」そうだ。
『猫の災難』は久しぶり。冒頭で「あ~~呑みてえなあ~~……」といいながら「マクラ長すぎたなあ~~……」などとぼやきを挟むのがおかしい。
火曜会はワンドリンク付きでビールも飲めるので、熊の盗み呑みと合わせてビールを飲む。ちょっと楽しい。
一蔵さんは酒を呑みたいと逡巡する場面で「一杯いただくよー!」と許可をとったり、もうひとりの人格が酒を呑まそうとそそのかしてくるのが楽しい。

二席め、「さっきは拾わなかったけど与一さんの『裏口入学』の話ね、覚えてますよ」とそこから自分の入門志願ほ話を。小三治師がトリの芝居で一朝師に入門を願い出ており、その話はよくマクラで話すが、その後の一朝師の反応については初めて話すそうだ。おそらく今後いろんなところのマクラに出てくるだろう。
おかみさんに扱き使われながらもウインクや投げキッスでごまかされてしまうチョロさがおかしい。
「甚兵衛さんが大好き」と言っている医者の先生に暴言を吐き続け、「……そういうところちょっと嫌い」といわれてしまうのも笑える。

与いちさんの二席め、「一蔵兄さんの打ち上げでのヨイショはすごい。女性を『姫』、男性を『殿』と呼ぶんですから」。確かに俺もいわれたことあるな。「入門前の私に対しては『若旦那』といってきた」そうで。言いそう。
そこから若旦那噺の『明烏』に。
二ツ目になりたてだとみんな『明烏』やりがち。噺家あるあるなのだろうか。
それはともかく、この噺もやはり安定感がある。最初から最後までダレることなくしっかりと聴かせるのはやはり力があるからか。ちょっと小辰さんのと似てる感じがする。

流石に寄り道せずに帰る。うーむ資格試験勉強する気ねえなこりゃ。
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某二ツ目勉強会 [落語]

某二ツ目勉強会
於:都内某所

某二ツ目さんのシークレット勉強会。その人のブログとか見れば情報は出てるけど、かわら版などには掲載させてない。年末の集計用に行ったという記録として。

今日一蔵さん、市弥さん、小辰さんの真打昇進が発表になりましたな。
いやあめでたい。
少なくとも一蔵さん、小辰さんは二ツ目になりたての頃から追っかけていたわけだし、こらあちゃんと祝儀をきらねばなるまい。
しかも三人真打てことは披露目興行でトリを取る回数も多いわけで、こりゃあ来秋は金と時間がいくらあっても足りんなあ。
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