SSブログ

オールスター寄席13 [落語]

オールスター寄席13
於:新宿三丁目 道楽亭 Ryu's Bar

立川笑二『長短』
柳亭こみち『ほっとけない娘』
三遊亭天どん『冷蔵庫』
遠峰あこ 唄とアコーディオン
蜃気楼龍玉『夢金』

道楽亭が移転するためにクラウドファンディングを行い、目標達成したからかの記念公演。今日のこの会が千穐楽公演で、そこから新しい店舗を探して移転し、そこで営業再開……のはずだったのだが。
もともとビルのオーナーと更新料で揉めていたようだったのだが、いざカネが手に入ったら物件を探すのが面倒になったのか、更新料払って同じ場所で営業続けるんですと。何ソレ。え、そんなことしていいの? これ認めちゃったら何でもやり放題じゃない? Twitterにはいろいろ言い訳じみたこと書いてあるけど、すっげえ自分に都合のいいような理屈ばっかり……。
まあ俺は寄席クラファンの時は寄席がなくなったら困るので初日に寄付したけど、道楽亭は別になくなっても困らないのでカネ出してないからなんも言う権利はないけどね。
だって狭いし空気悪いし椅子も座り心地悪いし。たまたま好きな人がたまたま道楽亭で会をやってたからたまに行ってただけで、別に道楽亭じゃなきゃダメなことなんてひとつもないし。打ち上げも基本行かないし。新宿という土地はすごく好きだけど。
まあもしもう少し広いところに移転したとして、こういう人は今と同じ小さい椅子をぎゅうぎゅうに詰めて人数を増やすだけだろうし、結果的には今とさほど変わらないんだろう。まあいずれにせよカネ出さなくてよかったなあ、と。

とはいえ席亭と出演者は別なので、この顔付なら行くでしょ。

案の定あの狭い空間に人びっちり。ひと月前には考えられない人口密度。ブロイラーもかくや。酸欠になりそう。しかもなんかクセーし。打ち上げに出す料理なのかやたら南米風のスパイシーな臭いがしていたのだが、それがワ◯ガ臭のように感じられる。うう。

出演者は漏れなく移転と席亭について奥歯に物が挟まったようなことをゴニョゴニョと述べてから噺へ入る。そこにあまり愛が感じられないような気がするのは私の中になにかバイアスがかかってるのだろうか。多分そうなんだろう。

笑二さん、長さんは話し方や行動のテンポが遅いのではなく、饅頭を手にとってからいろんなことを言い出していつまで経っても口に入れない。
煙草を喫むにしても火をつけてから何かを話していているうちに煙草が燃え尽きてしまっていて吸えないという塩梅。
いやコレやられたら短七っつぁんじゃなくたってイライラするって。

こみち師、「あまり見たことのないお客さんが多くて、皆が私に何を求めてるかわからない」と演目アンケートを三択で。
とはいえそれらはおそらく改作なのか新作なのか、どれも私が聞いたことのないタイトルで判断がつかない。
アンケートの結果、仏像が大好きなアラサー女子が大仏そっくりの男性とお見合いをするという『ほっとけない娘』。なるほどそういうことね。
こみち師には珍しいという現代が舞台のもの。「ちょっと怪しい」といいながらもさながら『黄金餅』の弔いルートの言い立てのように鎌倉デートの道筋を仏像データとともに並べ立てるのはすごい。

天どん師は2日連チャン。いつものボヤキ節も半分冗談に聞こえないというか。でもあの口調でいうからボヤキもなんか楽しいんだよな。
ネタは蔵出しのようで、4、5年ぶりに掛けると言っていた。
なぜか冷蔵庫を開けるとそれまでに何をしようとしていたかを忘れてしまう男が主人公。
最初は焼いたパンにバターを塗るために冷蔵庫を開けたのだが忘れてしまい、冷蔵庫を閉めた途端にやらなきゃならないことを思い出すのだが、そのたびごとにやらなきゃいけない事柄が増えていくというもの。
そして最後に思い出したものは……というちょっとオカルトも入ってくる。
で、時期を選ばない噺だと思っていたら実は今日の日付が重要だったという。天どん師の新作にはいくつかこういうのあるなあ。『クリスマスの夜に』とか『12・18』とか。面白くてもその日周辺しかできないというのはもったいない。

遠峰あこさん、今日の昼まで大阪の繁昌亭に出演していたらしく。
昼席を終えて衣装のまま新幹線に飛び乗って帰ってきて出演15分前にギリギリで到着したというのに……移転、しないんですってねえ……。とちょっと複雑そうな表情?
『春はうれしや』や、「本当は『東京の素晴らしい民謡です』と唄いたかったのに時期が悪くてダメだった」と『東京音頭』など。

龍玉師、今日は生暖かく、店の中は蒸し暑いくらいだが、真冬の身の切られるような寒さを感じさせられる。
いややっぱりこういう噺のときの重厚さはさすが。
……というか演目はもしかしてものすごい皮肉……? 考えすぎかなあ。

ハロウィンだしと思いせっかくなので新宿駅の方まで歩いて回ってみるもそんな雰囲気はまったくなし。ようやく駅前に数人いた程度で、ガッチリコスプレしてるのは3~4人くらいしか見かけなかった。やっぱり渋谷などと比べたら大人の街なんだなあ。良い大人かはともかく。
nice!(0)  コメント(0) 

らくご長屋 宮治六連続独演会 令和3年10月31日 [落語]

らくご長屋 宮治六連続独演会 令和3年10月31日
於:中野 なかの芸能小劇場

桂宮治 ひみつの時間
桂宮治『お血脈』

オフィス10の社長も無事(?)退院したようで、まずはそれをブラックジョークたっぷりにいじる。
で、いつも「今日は落語やんなくていい?」というのはよく言うが、そうはいっても結局はちゃんと二席なり三席こなす。
今日はホントに1時間半ほぼ漫談で仲入りさえなし。
話の内容はあっち行ったりこっち行ったりホントにとりとめなく思いついたことをとにかく喋り倒してる感じ。
選挙のことから以前行った学校寄席、企業の安全大会の合間の落語会、文治空治師弟、伯山のワルグチ、羽生結弦のワルグチなどなど……。
1時間20分経ったところで『善光寺由来』部分すら終わっておらず、『お血脈』は5分ほどに詰め込む。
いやまあ面白いけど。
タグ:桂宮治
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

三遊亭天どん独演会 新作大全 [落語]

三遊亭天どん独演会 新作大全
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭ごはんつぶ『秘密ばくろ』
三遊亭天どん『タラチネ』
林家楽一 紙切り タラチネ、葛飾北斎(富嶽三十六景 神奈川沖浪裏)、両国風景、千手観音、団欒
三遊亭天どん『普通の一日』

やーヤバい。資格試験来週の日曜なのに全然勉強できてない。
それなのに休みの日はいつも通りに普通に落語の予定入れてるとか頭おかしいだろ俺。試験費用をドブに捨てるつもりか。

なのでちょっと感想も短めに。

去年までは圓朝、圓丈ものもやっていたのだが、今年は天どん師作の噺を二席。

一席め、マクラで仕事でヨーロッパへ行ったときのことを。一緒に行った白酒師が閉所恐怖症だったことがわかり、「帰りの飛行機に乗りたくない」と行っていたのだとか。「あの人はヨーロッパに骨を埋める気だったんですかね」という突き放した一言がやけにおかしい。あと「オレンジジュース」が最後まで通じず、最後は「それ」で通していたとか。
「話が通じない」というところから『タラチネ』に。
あー……。いや面白いんだけど、ついこないだ鈴本で聴いたばっかりだからなあー……。
終演後に配られた天どん師自身が書いた演目解説によると、英語交じりの言い立ては毎回客を見て日英の配分を変えているんだとか。へえー。
言い立ての部分についてはまずは古典の口上をいい、「終わったときにここで中手とか入ったりするとありがたい。まあ待ってたりイヤラシイこともしますが」といわれても特に中手は起きず。噺に入り、英語交じりの言い立てが終わっても……。特に中手は起きず。「あれ、今日は全然中手起きねえな」と天どん師も戸惑い気味。だってねえ。ここにいる人みんな天どんファンだしみんな知ってるんじゃないかな。

楽一さん、ハサミだめしに天どん師のさっきのネタ。ちゃんと女性の方がハーフで体が大きい。「……じゃあ……リクエスト……」となったらいきなりリクエストなし。おおう。というか独演会のゲストに紙切りだとありがち。

天どん師の二席め、前にも一度寄席で聴いたようだがそれとは結構変わっていたようだ。というか前に聴いたときにタイトルわからないので「新作(普通の一日)」としていたのだが、本タイトルが『普通の一日』になったようだ。当たった。やったね。イヤだからなんだというわけでもないのだが。
既に亡くなっている両親と夢の中で普通の一日を過ごすというもので、母親と父親がそれぞれ料理を作る場面があるのだが、そこで自分の父親が作ってくれたチャーハンのことを思い出した。玉ねぎのみじん切りとせいぜいハムくらいしか入っておらず、それをウスターソースで炒めるというもので、我が家ではそれを「お父さんチャーハン」と呼んでいたっけ。そんな郷愁を思い起こさせるような一席。

先にも少し書いたが、終演後に天どん師による噺の解説が配られる。その文章がなんだか妙に理屈っぽいというか。やっぱり教師の資格持ってるだけにテキストっぽい感じ。こういうところにも個性って出るなあと思った次第。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

上野鈴本演芸場 令和三年十月下席 夜の部 10月27日 『少し早いけど、オレ、もう暮れちゃうよ』一之輔冬ばなし [落語]

上野鈴本演芸場 令和三年十月下席 夜の部 10月27日 『少し早いけど、オレ、もう暮れちゃうよ』一之輔冬ばなし
於:鈴本演芸場

柳家ひろ馬『小町』
春風亭与いち『桃太郎』
ニックス 漫才
柳亭こみち『王子の狐』
三遊亭天どん『タラチネ』
林家正楽 紙切り 相合傘、七五三、一之輔師、紅葉狩、誕生日
春風亭一朝『湯屋番』
柳家喬太郎『親子酒』
林家あずみ 三味線漫談
春風亭百栄『女子アナ』
翁家社中 太神楽
春風亭一之輔『柳田格之進』

代休。
昨日は割と早めに上がれたので、ちょっと遠回りして気になってた錦糸町のタイ料理屋へと行ってみる。
さすが錦糸町、辛さも申し分なく、カレー炒めを豚肉から鶏肉に替えてくれるというカスタマイズにも柔軟に対応してくれる。タイっぽいー。久々に日本人向けにお上品に洗練されたタイ料理ではなく、タイ現地っぽい料理を食べた気がする。
で、よ。今朝ですよ。んーーーきたきたきましたよ。起床して15分ほどすると猛烈なトイレへの郷愁が。で、そっから約20分ばかり悶絶しながら昨日食ったモノとの別れを惜しむ時間が繰り広げられる。これは一定以上辛いものを食べたときに毎回こうなる。そのー口ばかりが辛(から)いのではなく、次の日のシモの方が直腸の方まで辛(から)くて辛(つら)いというね。でもこれがタイ料理の醍醐味っつーか。悶絶しながらも「あーコレコレぇー!」と満足げというか。まあ痔じゃなくてよかったなと思う瞬間です。
いやしかし良かった。単純に美味いってのよりもとにかくタイっぽいってのがいい。休みの前の日じゃなきゃ行けないけど、これから通っちゃいそうだなあ。

んでもって今日の昼にもランチで行っちゃおうかと思ったが、生憎の雨。バイクなら30分かからずに行けるが、さすがに電車乗ってまではなー……。
まあ資格試験の勉強もしなきゃ……と思っていたが、洗濯やら二度寝やらしてたら結局1時間も勉強できず。これヤバそうだな……。

それなのに落語には行っちゃうというね。
でもこの顔付けすごすぎない?
特に落語のメンツがすごい。いつも「すごくいい顔付け」といいながらも、誰かひとりはよく知らない人とかあまり興味がない人とか、なんならあまり好きじゃない人とかもいるのだが、この芝居に関してはひとりもいない。正直にいえば百栄師は数年前までそんなに、という感じだったが今は好きです。

御徒町駅でこみち師をお見かけする。なんつーか普通のおばty
ちょっと声をかけてみようかとも思ったが迷惑だろうし自重する。

与いちさん、入門して一之輔師宅でご飯を食べているときにおかみさんを「お母さん」と呼んでしまったというエピソードを。それに対する一之輔師の一言がさすが。
噺に入って「眠くねえんだよお父つぁん」と喚く現代版金坊の目がバッキバキなのがおかしい。

こみち師、狐が男を騙そうと年増女に化ける前に化けたのが花魁。「田んぼの真ん中で花魁て」と男に突っ込まれて退散するのがおかしい。
狐が化けるときも「テクマクマヤコーン、テクマクマヤコーン」というのもいかにも女性らしくて楽しい。
狐がマッチの硫黄だかリンの匂いが苦手、という設定は初めて聴いた。

天どん師、相変わらずのふてくされ芸が楽しい。
「落語を聞いて面白いと思うのは八割がお客さんの努力ですからね」という投げっぷりがたまらない。
古典『垂乳根』のあらすじを話し、その筋を追いながら改変していくというもので、「なんか中学生が間違えたような」英語交じりの言い立てがとにかく面白い。これ覚えるの大変そうだなあ。

正楽師、お題のメイン部分の出来が素晴らしいのはもちろんなのだが、その周りのディテールの作り込みがすごい。
「七五三」のお題で、「三人お願いします」という無茶なリクエストでも七歳五歳三歳のそれぞれの子どもたちばかりでなく神社や木の枝に止まっている鳥なども入っている。
「紅葉狩」も紅葉一枚一枚の葉の形が美しい。
それぞれ結構めんどくさいお題にもかかわらずキッチリ作り込まれていて感嘆するしかない。時間に入り切らなかった「パンダ」は後で切って受付に渡しておくから、というのが優しい。

一朝師、「湯屋に奉公に行く気はないか」と尋ねられてクネクネと喜ぶ若旦那の姿がおかしい。
芸者とのやり取りを妄想する場面もどこまでも軽やかで聴いていてトントンと引きずり込まれる。
この粋な軽やかさはやっぱり一朝師の魅力だなあ。

喬太郎師は久しぶり。
ホントはもっと聴きたいし、教育委員会に行けばいいんだろうけど、まあ予算の都合とかチケットが取れないとかいろいろとね。寄席で聴くのが一番確実なんだろうけれども、あまり当たる機会がない。
話の筋としてはスタンダードながら、酒をねだられる婆さんが実は酒を呑んでいる、というのが面白い。「アタシは倅と禁酒の約束をしていませんから」といいながら爺さんに見せつけるようにキュッといくのが楽しい。

百栄師、昔の落語番組で一席を終えた師匠に対するインタビューと、現在の落語番組での百栄師に対するインタビュー、という設定の新作。
昔はインタビュアーもちゃんと落語を知っており、どういうことを聞けばいいのかわかっていたといい、それに対して現在のインタビュアーは百栄師に対してナチュラルに失礼な言動を繰り返すというもの。
まさか本当にいわれたことがあるのかは知らないが、なんかどうも微妙にリアルなような。まあそれが面白いのだが。

一之輔師、「今日の出演者はみんな真面目。真面目だからあんなに高座に上がって髪が真っ白になってストレスで呑んで食ってあの腹になるという……」と名指しはしないものの誰かわかりそうなくすぐりを入れる。
真面目、というところから柳田格之進へと入っていく。
入れごともほとんど入れず、骨太に粛々とキッチリ噺を進めていく。やっぱりこういうこともちゃんとできるんだよなあ。。
すぐに帰参が叶い、見世に出る前の娘を身請けして他家へ嫁ぐ話もまとまっている、という型。
番頭は一切絡まず。
まあそうだよなあ。昔はわからないけれど、最近の世の中では一番みんなが納得できる形になっているのではないだろうか。またそうであれば正月の場面で柳田の方から番頭の方に声を掛けるという行動も理解できるし、番頭を許せるのもわかる。聴き応えがあった。

終演後、追い出し太鼓が鳴っているところに白柴の散歩が通りかかり、何事かと覗き込んでいるのがかわいかった。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第3回 兼好集 [落語]

第3回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭しゅりけん『真田小僧』
三遊亭兼好『近日息子』
三遊亭兼好『辰巳の辻占』
三遊亭兼好『宿屋の仇討』

代休取って三連休。しかし別に予定があって休みを取ったわけではないのでなんというか3日間なんとなく無駄に過ごしたというか。
一昨日は落語にふたつ行ったりしたのでまあ充実していたが、昨日は雨が降っていたので一日中外出もせず昼間からハイボール飲んで昼寝して終わってしまった。池袋行けばよかったなあ。電車乗るのも億劫だったので。
で、今日はいい天気だったので猫のトイレ掃除でもするかと思っていたが、せっかくの代休なので普段できないことをしようと二度寝。急に寒くなったので、右脇にミルク、足の間にシュガー、左脇にココアとガッチリと固められる。もう寝返りもうてなくて困っちゃうなあ。まったく困った困った。二度寝サイコー。
平日なら空いてるだろうと久しぶりに回転寿司に行ってみたが、日本人の寿司好き舐めてた。何で平日13時のロードサイド店でこんなに混んでんの……。
その後バイクカバーがボロボロになっていたので買い替えにドンキへ。思っていたより高かったので、バイクでもう10分ほどかけてホームセンターへ行く。ほーら500円ほど安いのがあった。雨風さえかからなければいいのでこれで十分。
値段がわかったところで地下のスーパーに。上のホームセンターとは会計が分かれていて、同じ商品でも圧倒的にスーパーの方が安いことがあるので念のためにチェックしにいく。さすがにスーパーにバイクカバーはなかったが、せっかくきたのでついでに猫砂とフリーザーバッグを買って家路につく。
……家の玄関でバイクカバーを買うのを忘れていたことに気づき、そのまままたホームセンターに。何やってんだ俺。
そんなこんなでホントムダな時間を過ごす。なんで休みの日ってこんなに時間が過ぎるのが早いのか。

しゅりけんさん、型は兼好師と違うのに、「一銭ここまでーーー!」が一番兼好師っぽい(しゅりけんさんは「一幕ここまで」だが)。テレもなくちゃんと突き抜けているのが私的にポイント高い。

兼好師の一席め、出囃子が『前座の上がり』のままだったような。
急激に秋っぽくなったことで体調にはお気をつけください、ただ一番気をつけなきゃいけないのは私なんですけどね、と。いつも季節の替り目には体調を崩す兼好師は「売れるには体力が必要」だという。曰く、「客の入りが百人以上になるとそれ以上、たとえば150人だと50人分疲れる」のだそうだ。「昨日伯山くんのお披露目に出ましたけど、彼はすごいですね、二千人の前で平気で一時間講談演るんですから。しかも2分に一回『ファー!』みたいなことをやりながらですから。あんなに猫背なのに」だとか。
噺は久しぶりの『近日息子』。こないだたまたま三田落語会の配信を聴き直していたためそれほど久々感はなかったのだが、高座で聴いたのは3年以上経っている。
いつ聴いても何度聴いても長屋で住民たちがわちゃわちゃと揉めているところが面白い。言い間違いをいちいち言い直す男の大人気なさとそれを徹底的に無視する男の温度差がたまらない。

二席め、誰でも裏と表の顔があるが、たとえば最近の就職試験では受験者のSNSのアカウントなどを調べ、裏でなにかネガティブなことをつぶやいていたら採用しないんですって、と。ただ最近の履歴書は性別を書く欄などがないらしく、聞いてはいけないのだそうだ。
「出身地や好きな本なんかも面接で聞いちゃいけないんですって。あと親の職業も。噺家の弟子入りは面接じゃないですけど、これら聞いちゃダメっていわれたら何を聞けばいいんでしょう」だそうだ。「もちろん聞いてその結果で取る取らないに影響はありませんけど、でもそこから話が始まるじゃないですか」というのは確かに。「親の職業もねえ。親がヤクザでも息子のお前はこの道でいくのね、ってくらいで。……でもいい方はちょっと考えますね。親の職業が官僚とかだったら人質とってるみたい」とやっぱりどこか黒かった。
そういう裏と表の顔を作り分ける例として芸者を挙げて『辰巳の辻占』に。
噺のタイトルともなった辻占の巻き煎餅の上の句だけを見て「そうそう、これだよ」と下の句を想像してひとり芝居を始めるのだが、芝居に没頭しながらも右手はちゃんと辻占の紙を握った形のままというのが芸が細かい。こういう細かい所作のひとつだけで見える噺の世界が変わってくるし、リアリティが違う。
辰巳芸者のおたまが徹底した現実主義者で、兼好師得意の女性上位になっているのもおかしい。

三席め、最近は旅館に泊まるということが少なくなったという。昔は師匠と弟子で旅館に相部屋という「地獄のような」旅の仕事があったそうだが、最近ではビジネスホテルでそんなこともなくなったそうだ。
「ビジネスホテルといえばあの布団のシーツの上にも薄い布が敷いてあって、あれは体の下に敷くのか、それとも上にかけるのかわからない。それにピッチリ巻いてあるのも苦手」ってのはよくわかる。掛け布団の引っ張り出し具合が難しいよね。
前にも書いたことがあるかもしれないけど、江戸っ子たちが大騒ぎするたびに隣の部屋の侍に伊八が呼び出されるのだがその場面転換が本当に上手い。かっぽれで「そーれよいよい」と踊っているその腕の形をそのまま伊八を呼ぶために叩く手にするなどの工夫が凝らされていて、頭の中の宿の情景が瞬時に変わる。
万事世話九郎が三度目に伊八を呼び出して「拙者最前なんと申した」と問うたときに「昨晩は相州小田原……」と答えられ、「誰が覚えろと申した。……三遍稽古ではない」という一言が楽しい。

いやーそれぞれ何度も聴いた噺なのにすごい満足感。落語聴いたなーとしみじみと思う。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

池袋演芸場 十月中席 十月十六日 [落語]

池袋演芸場 十月中席 十月十六日
於:池袋演芸場

三遊亭遊子『宗論』
江戸家まねき猫 ものまね
桂夏丸『増井山物語』
三遊亭遊史郎『ふぐ鍋』
カントリーズ 漫才
三遊亭圓馬『弥次郎』
昔昔亭桃太郎『お見合い中』
コントD51 コント
笑福亭羽光『私小説落語 -月の光編-』
三遊亭遊雀『看板のピン』
桂小すみ 音曲
三遊亭遊馬『井戸の茶碗』

一度神楽坂から戻り、家事をいろいろをこなしてから電車で池袋に。
雨ってのもあるけど、家でビールとか飲んじゃったんで。
最近は遊馬百席がストップしたままなので、土日に聴く機会がほとんどなく、寄席に行くしかない。頼むよ、土日に会やってくださいよ。
今年は十席に届くかなあ。

遊子さん、キリスト教かぶれの息子の濃さがウザ面白い。

羽光師、『私小説落語』と銘打って自身が高校生だった頃にあったことを落語にしたという。
『月の光編』と詩的なタイトルが付いているが、その光とはエロ本自販機の光。わかるーわかるわー。あの蛍光灯の光が青白く夜中にポツンと輝くあの感じ。
羽光師は72年生まれだそうで、私とほぼ同世代。私もたまにお世話になったわー。なんかコンビニや本屋で売ってるのとはちょっと違うB級感漂うというか、なんかインディーズっぽいような、なんか微妙なエロ本が出てきて大概がっかりするんだよなあ。でもあの夜中に周りに人が来ないかちょっと焦りながらも予算内でのストライクの内容を厳選して買うあのドキドキ感がたまらないんです。で、「結構高かったのに……」と内容にガッカリするまでがデフォ。
そんな30年前のドキドキ感が存分に堪能できて大変面白うございました。
『美少女図鑑』を選んだはずなのに出てきたのは『ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーン』が出てきて交換してもらうか葛藤する噺。『ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーン』を寿限無のように連呼するのがとにかくおかしい。

遊雀師、「外国人には日本語は難しい、特にものの数え方」と遊子さんとまったく同じマクラを振る。というか遊子さんにマクラ教えたの遊雀師なのかな。
短い噺の中にも親分のカッコよさや三下の軽薄さを存分に味わえる。三下が親分のマネをするときに顔を作りすぎて眉をクイクイ上下させるのがおかしい。
親分が若い衆を諫めた後に「これで『ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーン』でも買え」と金を出すのが最高。

小すみさん、『さわぎ』などのスタンダードナンバーに加え、小すみさんが作曲した『カレーを作ろう』がすごかった。三味線でインド風の音楽を奏で、しかも和音?まで。三味線て単音じゃなかったっけ。いやーすごい。大げさだけど感動した。

遊馬師、初日だからそうかなーとは思っていたが、やはりというか『井戸の茶碗』。うんまあ好きなネタだし、初日しかも土曜だから鉄板を置いていきたいのはわかるけど、そろそろもっと他のネタも欲しいなあ。寄席でしか聴けるチャンスがないのに、いつもの『井戸茶』『佐野山』『阿武松』『佃祭』あたりばかりというのも……。
とはいえ今日は結構変わっていた。屑屋たちが清正公様の境内で話している内容など、まあ本筋とはあまり関係ないけれどもそこそこ重要な場面がガラリと変わっており、遊馬師の『井戸茶』は何十回と聴いているがこれはかなり珍しい。
まあでも他の噺も聴きたい。そろそろ遊馬百席の再開のご検討、お願いします。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第六十七回 SHINCHO高座 矢来町土曜早朝寄席 [落語]

第六十七回 SHINCHO高座 矢来町土曜早朝寄席
於:神楽坂 新潮講座神楽坂教室

三遊亭好二郎『真田小僧』『明烏』『浮世床(将棋)』

久しぶりにこの会に来る。実は何回か来ようとはしていたのだが、札止めだったりなんだりとあまり相性がよくない。
今日も朝に雨がポツポツと降っていたのでどうしようかと思っていたが、出かける時間になったら陽が差していたのでやはり出ることにした。
つーか好二郎さんも久しぶりだなあ。去年の二ツ目昇進の会の後は年末の兼好師の会で聴いただけ。
二ツ目昇進直後にコロナ禍が本格化し始めたのもあり、会もなかなかできなかったのではないだろうか。
というか兼好師抜きで聴きにくるのは初めてかな。そういや兼太郎さんもこの会でピンで聴いたんだよなあ。

一席め、立川志のぽんさんがワクチンを打ったのだがアストラゼネカ製だったそうで、なんかよく知らないけどいろんな制約のようなものがあるようで。それをイジろうとしたら、客席にもひとりアストラゼネカの人がいたようで「……ワルクチ言おうとしてたんですけどやめときます」と不完全燃焼の様子。
そのほかにも弟子入りしたときのおかみさんの様子なども。初めて挨拶したときに「座高高いわね」と言われ、なぜか兼太郎さんが謝ったとか。
噺は今日は通しで。
前座時分にも聴いたことがある前半部はやはり後ろに兼好師が透けて見える。特に冒頭の金坊の小遣いをねだるところとか。
「一銭ここまでーーー!」はまだテレが見える。というか兼好師から教わった人たちは皆ここがテレていて、清々しく突き抜けていないのが残念。
とはいえ前半部は普通にまとまっていたのに対し、後半は口が回っていないところもあり、いかにも取ってつけた感が漂う。二席めで語ったところによると、後半部は最近稽古をつけてもらい、今日が初披露なんだそうな。なるほどなるほど。そんな風に分けて稽古をつけることもあるんだ。

二席め、なんというか、なんだろ、言語化するのはちょっと難しいんだけど、なんとなくユルい感じがする。
なんというか、ちょっとずつ納得いかないというか「これさっきのあのセリフと整合性が取れなくない?」というような細かい引っ掛かりがちょいちょいある。
ひとつひとつは大したことのない違和感なんだけど、一席の噺として聴いた時にちょっとあちこちフラフラしているような印象。
まあ今は高座に掛けながらそういう噺のバリ取りをして磨いているのだと思う。

三席め、浮世床は浮世床でもヘボ将棋を指しているふたりに周りが悪戯をする珍しい型。
三三師で一度だけ聴いたことがある。
好二郎さんがお見送りに出ていたのでそう伝えたところ、やはり三三師に教わったのだとか。とはいえ元は三遊亭の噺らしく、「やっと返せたよ」と言われたのだとか。へええええ。勉強になる。また早く噺家さんたちと気軽に話せるような状態に戻ってほしいなあ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第41回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会 [落語]

第41回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭天どん『松葉屋瀬川(上)』
三遊亭天どん『松葉屋瀬川(下)』
三遊亭ごはんつぶ『新作(パンティ泥棒)』
三遊亭天どん『新作(ツイッターなりすまし)』

本日2回目のなかの芸能小劇場。とはいえ7時間くらい開いているのでさすがに一度家に戻る。一日2往復ってのもないわけじゃないけど久しぶりだなあ。

この会は久しぶり。前はゲストとか呼んでなかったっけ。
まずオープニングトーク的な。
こないだの地震のときに天どん師は地元のコンビニにいたらしくその時の話をしてから、「今日はですねー、ちょっと変則的なんですよ。まずこれから古典やりますよ。でー、すごい長いんで一回休憩挟みます。ゲボ吐くぐらい古典を浴びせます。いつもなら新作の方を先にやるんですけど、今日は古典を先にやらないと忘れちゃいそうなんで」だそうな。

『松葉屋瀬川』はそういう噺があるということも知らなかった。もちろん聴くのは初めて。圓生噺らしいが、現在この噺を高座にかけている人はざっと調べてみてもさん喬師のほか何人かくらいしか出てこない。
上は堅物の若旦那を少しは柔らかくしようと大旦那に頼まれて吉原まで連れて行こうと画策する噺。この若旦那が本で得た知識だけで何でも知っているように思い込んでいるという頭でっかち。こういうなんとなくイヤミっぽいというかシニカルな感じのキャラは天どん師は面白い。自身のキャラと合っているからなのか、逆にどこか客観的に意図的に頭でっかちっぷりを楽しんで演じているように見える。
その頭でっかちの若旦那に気付かれないように巧妙に吉原に誘い込み、傾城の花魁にハマって半年で八百両という大金をつぎ込んで勘当になるまでが上。ここまでですでに40分以上経っている。
5分休憩して下に入る。

下の部分は『雪の瀬川』とも呼ばれているらしい。
昔の奉公人の家に厄介になった若旦那が花魁に手紙を出し、その返事として「雨の日に参ります」という内容の手紙をもらって雨の日を待ち焦がれるという内容。
花魁がそうそう抜け出せるはずもなく、なんか雨の日に自害してその魂が若旦那のところにやってくるとかのオカルト系の噺になるのかと思ったら、ほんとに足抜けしてくるという別の意味で意表をついた内容だった。
本来は「傾城瀬川の実意でした」と締めるらしいが最後の一席での天どん師曰く「言うの忘れちゃった」とか。

午後8時半にごはんつぶさん登場。「こんな時間にやったことない」といい、非常にやりにくそう。
屋根に登って降りられなくなった子猫を助けるために竹竿を使ったら、その家の洗濯物のパンティが引っかかってしまい、それをめぐって上司やパンティの持ち主、その父親まで巻き込んで誤解されるというもの。
懐から取り出した手ぬぐいがすでにパンツ型の三角形に折りたたまれているのがおかしい。どんだけ高座で「パンティ」連呼すんの。というか「パンティ」ってまた昭和な。

天どん師の三席め、自身もTwitterをするそうだが、返信の仕方などは未だによくわかっていないのだとか。なので腹の立つツイートを見かけても基本的には無視なんだそうだ。
「先日も僕の落語教室のツイートに『アクセスがなあ』って書きこんでるヤツ見つけたんですけどー、お前の住んでるところなんて知らねえよ。というか僕だって2回乗り換えて行ってますからね。こんなことをいうヤツは結局何したってこないんですよ。そんで面白いものなんて書けないんですよ! ……(そのツイートをした人が)ここにいたらごめんなさいね」と不満をぶちまける。
噺は幼馴染の男ふたりが会話しているというネタで、ひとりは一流大へ行ってIT企業を立ち上げ、スポーツも楽器もできるというマンガのような男と、もうひとりは大学に進学もせずに働き始め、スポーツも楽器もできないという男。後者の男がツイッターで自分の理想の男になりすましてフォロワーの相談に乗るというもの。
いろんな情報がいろいろと交錯し、いつの間にか複雑な事情になっていく感じがカオスっぽくて楽しい。あとやはり後者の男のようにちょっとひねくれたというか世の中を拗ねているような男が天どん師にハマる。実は前者の男も結構なサイコパスで、それも似合うんだけど。

2時間いて自分の知ってる噺が一切出てこないという。まあ新作のネタおろしだから知らなくて当たり前なんだが、これはこれで結構レアな体験ではないだろうか。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『蝦蟇の油』『あくび指南』『佐々木政談』

こないだの地震は残業中に喰らう。
夜中に誰もいないオフィスでスマホのヴィッヴィッと鳴る地震警報と、ビルからの地震警報をダブルで喰らうと結構ビビる。
しかもようやく仕事終わったら今度は電車がストップしている。結局上野まではなんとか戻れたものの、常磐線が動かず。その時点で2時近く。猫が心配なので諦めてタクシーで帰る。帰ったのが2時半過ぎ。疲れた。たまたま金曜は代休をとっていたからいいものの。……とはいえ代休とってなかったら頑張って残業してなかったから地震前に家帰れてたような気もするが。

会場へ入ると主催者のオフィス10の社長が入院したらしい。社長の娘が「私も病院からそのままきたので」とわたわたになりながらさばく。大変だ。

小辰さんのマクラでもその話が出る。「そんなこといってホントは今ハワイにいるんですよ。昨日電話もらったときに元気でしたもん。後ろから波の音とか英語とか聞こえてました。……こういうこというと袖にいるお嬢の目がすごく怖くなってくる」そうだ。小辰さんなりの気遣いなのだろう。
「しかし興行主ってのも大変ですよ。昔から香具師とか、そういう人達がやってきた」と『蝦蟇の油』に入る。
仕込みのときの流麗な口上と酔ったときの落差が楽しい。
酔って間違えたことを周りから指摘されると「子どもうるさい! ……なんだ? イチロクのガマじゃなくて四六のガマだ? ……言いましたー! 言ったよ!」と頑なに認めないのがおかしい。

二席め、「夜は吉原へ行ってツーっと入るといるんだよぉオンナが」と横道に入って師匠に「なんでツーっと入るんですか!」と怒られるところで「フラが」と言い訳するのが思わず吹き出す。

三席め、佐々木信濃守の鷹揚な振る舞いと白吉のこまっしゃくれた態度のコントラストが楽しい。
とはいえちょっと白吉が幼すぎるような気もしないでもないが。
タグ:入船亭小辰
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

ひぐらし亭 特別公演 三遊亭萬橘独演会 [落語]

ひぐらし亭 特別公演 三遊亭萬橘独演会
於:日暮里 にっぽり館

三遊亭萬橘『洒落番頭』
三遊亭好志朗『権助魚』
三遊亭萬橘『坊主の遊び』
三遊亭萬橘『不動坊』

横浜で兼好追っかけ仲間と別れて日暮里へ。マックで酔いを少し覚ましてにっぽり館へと向かう。
いつもバイクで行っているので、電車では初めてかも。
予約せずにいったら予約で満席だとか。ありゃーと思っていたら、「まだ何人かいらしてないのでもしかしたら入れるかも」と受付でいわれたのでしばし待つ。開演直前にキャンセルがあったようで幸運にもなんとか入れた。よかったよかった。

幸運といえば今日は萬橘師のネタおろしの『坊主の遊び』を聴けたことか。
『坊主の遊び』自体私は多分10年以上前に一度聴いたかどうかというもので、ほとんど記憶にない。でもなんかうっすら聴いた気がするんだよなあって感じ。
ネタおろしだからか、まずは型を崩さずにスタンダードなままに演じているように思う。おそらくここから萬橘師のテイストで足し算引き算がされていくのだろう。
そういや萬橘師であんまり廓噺って聴いたことがないような気がする。

もうひとつの幸運は萬橘師で初めて『不動坊』を聴けたこと。
やっぱりこういう吉公のひとりキチガイや、モテないトリオの屋根の上のやり取りは萬橘師のちょっとネジの外れた感じがたまらない。
吉公が風呂屋で妄想を繰り広げ、最後には知らない人に向かって壁ドンをするのがおかしい。兼好師の生薬屋の若旦那を巻き込むのとちょっと似ている。
もともとは吉公も含めて四人でおたきさんのファンクラブのようなものを作っており、ちんどん屋の万さんは「ホントは俺は吉っつぁんの方と仲が良かったんだ! お前なんか嫌いだ!」と漉き紙屋の徳さんと大喧嘩を始めるのがおかしい。そこに鍛冶屋の鉄っつぁんが「すごい大きな声出てるから!」と諌めるときににじむ「俺何やってるんだろ」みたいな空気も味わい深い。

なお好志朗さんは二ツ目に昇進してからは初めて。持ち時間が少なかったのか、魚屋で網とり魚を買うシーンや、お内儀さんに網とり魚の説明をしているところをダイジェストにしてしまっていて、えーとそこが『権助魚』の一番の核心なのでは……?
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能