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大自宅落語祭 [落語]

大自宅落語祭
於:配信(各師匠自宅)

笑福亭たま『ベルゼバブの蝿』
春風亭一之輔『睨み返し』
三遊亭兼好『強情灸』
柳家三三『加賀の千代』
旭堂南湖『血染めの太鼓』
三遊亭遊馬『蛙茶番』
大喜利 芸人格付けクイズ

いつもはGWに行われている大日本橋亭落語祭がZOOM落語会としてそれぞれの師匠の自宅から配信される。
一年で一番楽しみだった会が一年の最後に聴けるなんてありがたい。配信はあまり好きではないが、こういうこともできるのもネットの強みなんだよなあ。

順番はいつものようにじゃんけんというわけにも行かずにくじで決める。
ZOOMらしく、まずは6人全員で雑談を行い、それがマクラとなるという珍しい形。
さらにお囃子さんも自宅で演奏し、出囃子が終わったら噺家さんが映るというZOOMをフルに活かしている。というか下座さんが出囃子を弾いているところが見られるというのも結構レア。

たまさん、「呪いの書」を読んだ男たちの噺。
「呪いの書」はおそらくプリンターで出力したものだろうが、「呪い」だけフォントが違っていたりして芸が細かい。

一之輔師、ソファに座っているのだが、それが画角的にちょうど正座しているように見える。「私このままやってもいいですか?」とソファのまま噺に入るのもリモートならでは。人によってデバイスが異なるので写っている画角も異なるのが面白い。
噺は年末らしく大晦日のネタ。
カメラに向かって睨むので表情がよく見える。というか目が死んでいたり白目で睨んでいたりと顔芸。

兼好師、以前インスタで『寄席芸人伝』の全巻セットを古本屋で見つけて買おうかどうか悩んでいるという投稿があったが、その後お客さんが送ってくれたので一日一話ずつ読んでいるという。たまさんと三三は食いつくが他のメンバーは特に。三三師自身も周りからストーリーを聴いただけでちゃんと読んだことはないらしい。
話自体は何度も聴いたことがあるが、いつもとちょっと何かが違う。このとき気づいたのだが、いつものように上下を切らず、カメラに向かって語りかけるように話す。なので兄貴分がこちらに話しかけているような感じでかなり新鮮。これは他のメンバーも皆そんな感じで、デバイスが携帯だから思わず語りかけてしまうということなのだろうか。そして仕草もいつもとちょっと違う。これも多分画角内に収めようとしているためで、リモート特有な気がする。

三三師、マスクでの挨拶はつけたままするのが失礼なのか、今は外したほうが失礼なのかわからないという。ただ若手がわざわざマスクをはずして「おはようございます!」と近づいてくるのは勘弁してほしいとのこと。そうでしょうねえ。
大晦日の掛取りを払うためにご隠居に金を借りに行くが、朝顔の話題が出てくるのでなんとなく夏っぽく感じる。
電波状況が悪いのか、話の途中で映像が遅れたり途切れたり。これもリモートならでは。

南湖さん、大阪のスーパー玉出でクリオネを売っているということをマクラに。一応鑑賞用として冬の定番として売っているそうだが、「あまり味ないで」と解説されたとか。
兄弟子の旭堂南北さんのエピソードをネタにしたもの。前にも南北さんネタは聴いたことがあるが、それとはまた別ネタ。出身校が甲子園に出場して江川と対戦したときの話。
時間の都合なんだろうが、最後に「冗談言っちゃいけねえ」で終わらせる。講談で聞いたのは初めてだがそれは出演メンバーも同様だったらしい。

遊馬師、マクラで素人落語家が老人ホームなどの落語会を荒らしていると話し、噺に入ると素人芝居のネタ。マクラと噺がリンクしていたのは唯一だったかも。
上下もちゃんと切っていて、一番高座との差が少ないかも。
他のメンバーの持ち時間からすると『蛙茶番』入るかな? と思ったが、風呂から上がってカシラにモノを見せつける場面で切る。なるほど確かに笑いとしてはここがピークなのでここで切るというのはアリかも。
今年は遊馬師で落語〆。

大喜利は「芸能人格付けチェック」を模したもの。
「名人」「いぶし銀」「芸人」「関係者」「立川流Cコース」「落研」「知らん人」のランクがあり、クイズに間違えるごとにランクが下がっていく。
コメント欄で誰が優勝するか投票できるが、私はこの会では遊馬師に投票することに決めているので遊馬師に。賞品は兼好師がメンバー全員を入れた似顔絵でこれは欲しい……。
動物の鳴き真似を見抜くとか、下座さんが誰の出囃子を弾こうとしているか、とか。
結果としては南湖さんが優勝。
兼好師や遊馬師は「立川流Cコース」となって「立川佐藤」「立川木村」と呼ばれていた。つーかこんなクイズ当たるか。
11時くらいまでで終わる予定だったらしいが、気づけば12時直前まで。兼好師や一之輔師が「眠いー」とこぼしていた。

さて今年一年の集計。
今年は全部で380席。去年は402席。……あれー? 今年はコロナでまるまるひと月以上落語聞けなかった期間があったから大幅に減っただろうと思っていたのにあまり変わってないな……。
十席以上聞いた人は下記。

1.三遊亭兼好:60席(34会)
2.入船亭小辰:31席(15会)
3.入船亭扇辰:18席(10会)
4.春風亭一蔵:13席(6会)
5.三遊亭遊馬:12席(7会)
5.三遊亭天どん:12席(7会)
6.春風亭一之輔:10席(8会)

次点として笑二さん9席。
まあいつもとほとんど同じだが、いつもよりも人が固まっている感じ。まああんまり寄席とか行けてないからなあ。あと久しぶりに一之輔師が10席いったが、配信で見られたことが大きい。カウントしたのは課金したものだけなので、無課金で見たものを含めたらもっといったなあ。

来年は中止とかなくなればいいんだけど。
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第7回 三遊亭兼好 噺の会 [落語]

第7回 三遊亭兼好 噺の会
於:浅草 ことぶ季亭

三遊亭好二郎『猫と金魚』
三遊亭兼太郎『相撲の小咄』
三遊亭しゅりけん『看板のピン』
桂小すみ 三味線と唄
三遊亭兼好『うどんや』

毎年恒例の落語納めの会。……なのだが、今年はこの後にZOOM落語会がある。今年っぽいね。
昨日、腰が痛いので腰の下にローラーっぽいものを入れてゴリゴリしたところさらに悪化。まともに歩けないほどヨロヨロになる。そんな状態で銀行行ったり年賀状書いたり。痛い。

好二郎さんは3月の昇進披露の会以来か。
それ以降から自粛が厳しくなっていったから、完全に出鼻を挫かれたような感じになってしまって気の毒。
兼好師がSNSを始めたことが今年一番の驚きだそう。確かにファンにも驚きだったしありがたかった。で、そのインスタに「兼好師の次女の寝顔が正代大関に似ている」という投稿があった。兼太郎さんはうまいこと「お嬢さんは眠れる森の美女です」などとコメントしたのだが、好二郎さんはあまり内容を確認しないで「いいね!」を押してしまい、それが娘さんの逆鱗に触れてしまったらしい。慌てて娘さんに電話したところ「クビです」と伝えられたとか。このやり取り見たなー。「まさかこんなことで破門されそうになるとは……」と苦笑い。
噺には「猫にキャットう(決闘)を申し込む」「フィッシュ(必死)に闘う」など初めて聴くくすぐりなどがふんだんに盛り込まれている。なるほど以前に「師匠の型とは離れようと思う」と言っていたのでその現れなのだろう。……ただそれが有効かどうかは別として。うーんなんかちょっと粗くなってない……? いやまあしばらく聴いてない俺が言えた義理じゃないんですが。もうちょっと聴きに行かないとなあ。

兼太郎さんも久しぶりだなあ。今年は特に落語行く機会が減ったからねえ。
噺家と同じく和服を着る仕事として相撲取りの話に。
「これから相撲の噺をします」といってみたところ反応はイマイチ薄く、「なんでですか!」とご不満顔。
小ネタをいくつか挟んで相撲のマス席が舞台の小咄に入る。酔っ払いの小咄+『禁酒番屋』的な。結構直截的なシモネタだから反応しづらいなあ。

しゅりけんさん、着々とネタを増やしているようだ。
兼好師の型とはちょっと違うっぽい。とりあえずは今のところ覚えたまんまという感じだが、親分のマネをする男のような、ちょっととぼけて抜けたキャラはすごく似合ってると思う。

兼好師、本来ならこの会は二席なのだが、楽屋が密になるということで一席ということに。その分木戸銭はお値引きされていた。ちょうどこの前に噺の単価ということも書いたが、その点から言えばお値引きはありがたい。とはいえ結構値引きされていて私の中の単価表からいえばかなりおトク。
今年の話題といえばやはりコロナで、今日は高座の前にアクリル板つき。「どうなるんですかねえ。ワクチンなんかもできたと言っていますが、我々が打てるまでには待たなきゃならないんでしょうね。でも本来は何年もかけて開発するものを1年弱で出すわけですから、心配ですよね。……だって今のしゅりけんを真打にします、って言ってるようなもんですよ? 心配ですよねえ」。なんという説得力。
やはりこの噺を聴くと冬の厳しい寒さが感じられるように思える。
鍋焼きうどんの蓋を開けたときに立つ湯気を追う目の動き、熱々のうどんをすすりこんだときに口の中でちょっと持て余す感じ、具をつまんで食べる動きといい実にリアル。
あと気のせいかもしれないが、同じ小さな声でもうどん屋をこっそり呼ぶ人と、風邪っぴきの人が呼ぶ人で声の質が違う気がする。兼好師ならこれくらいやりそうな気がするんだけどどうかなあ。

いつもなら打ち上げがあって、ご近所特典で最寄り駅まで一緒に帰るというのが落語締めなのだが、今年はもちろん打ち上げなし。寂しいが仕方ない。
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