SSブログ

上尾×落語 Vol.3 三遊亭兼好独演会 [落語]

上尾×落語 Vol.3 三遊亭兼好独演会
於:上尾 上尾市文化センター小ホール

三遊亭しゅりけん『垂乳根』
三遊亭兼好『花筏』
三遊亭兼好『竹の水仙』

昨日鎌倉で今日上尾。
結局三連休すべて出かけている。「我慢の三連休に」と言われていても、でもチケット買っちゃってるんだもんなあ。
バイクでもそんなに寒くない陽気で助かる。

しゅりけんさん、「みずからことの姓名を問いたもう、や?」とか「千代女と申し侍るな、り」と最後の一語を区切る。他では聞いたことないし、前はやってなかったので自分の工夫なのだろう。

兼好師の一席め、ようやくイベント事が戻り始めつつあると思ったらこんな状況になってきて困ったことになりそうだと話す。とはいえこの一席開けるということに慣れてしまうと、お客さんはもう戻れないじゃないですか、という。確かに昨日久しぶりに隣に人がいる会だったけど、すでにちょっと違和感だったしなあ。演者側からしても、以前は客がマスクしていると表情が読めなくて苦労したが、最近では目だけでもだいたいわかってきたという。
相撲のマス席なんかも、以前はあの狭いところに4人詰め込んでいたのが今はひとりとなっており、それに慣れたらもう4人席には戻れないだろうという。俺は相撲行ったことないから狭さがわからんけれども。
砂かぶり席にはなぜか木久蔵師がいることが多く、力士がなだれ込むたびに「潰れろ!」と念じるのだがうまくいかないといって笑いを誘う。
下の娘さんが貴景勝に似ていて、寝顔は正代に似ているといってさらにウケをとるが、インスタでも同じようにイラスト描いて投稿してたりするから本当にそう思っているのかも……。
相撲のマクラをたっぷりと振って『花筏』に。
やっぱり兼好師のこの噺は勧進元が親方のところに「花筏を土俵に上げろ」と交渉に来る場面で、板前、小僧、芸者の証言を再現VTRのように見せるところが面白い。この短い間に親方や勧進元を含めて5人のキャラクターを味わえるのはおトク。

二席めの『竹の水仙』は兼好師では4年近くぶり。そんなに聴いてない!? 年イチくらいのペースで聴いているような気がしていたのに。
兼好師では宿の主人に加えておかみさんまで甚五郎に丸め込まれるのが面白い。ミエミエのお世辞を言う甚五郎もおかしいが、それを真に受けて「まあ、もうちょっと泊まらせてあげてもいいかなーって」とポーズを付けながら許してしまうのがたまらない。その実、裏で主との会話では「俺を殺して女房を乗っ取るつもりだな」「あれはお前の女房か。アレはいらん」とバッサリやられてるというのに。

陽が落ちるとさすがに寒い。今年は防寒対策としてモバイルバッテリー対応の電熱ジャケットを買ってみた。これから活躍してくれるといいなあ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

三遊亭兼好@能舞台 [落語]

三遊亭兼好@能舞台
於:長谷 鎌倉能舞台

三遊亭兼好『新聞記事』
三遊亭しゅりけん『浮世根問』
三遊亭兼好『厩火事』
三遊亭兼好『能狂言』

兼好ファンのご夫婦が主催した会で、私も顔見知り。本来は春だったのだがコロナで今日まで延期になった。チケットは早めにとっていたので、一年近く持っていたんじゃなかろうか。
会場は鎌倉の大仏のすぐ近く。さすがに遠かった。会場のすぐ近所に同僚の家があるようだが、毎日ここから来てるのか……といっても会社までの時間は多分ウチと同じくらいなのか。
鎌倉駅には思ったより早く着いたので、江ノ電に乗らずぶらぶら歩いて会場まで。人多いな……。

一席め、初めてPCR検査を受けたという。タイミングといいやり方といい、小痴楽師のエピソードといい、昨日の宮治さんと同じヤツっぽい。BSフジの番組って言ってたか。
容器に唾液を溜めるのだが、なかなか容器いっぱい分唾液を出すのは大変らしい。「どうせなら女房と娘のも混ぜて出せばよかった。陰性ならそれでいいし、仮に陽性だったら誰かが感染してる。家族は濃厚接触してるんだからどちらにしてもアウト」。なるほどなあ。「でも『コロナは陰性ですね、でも兼好さん、妊娠してますね」ってこともありえますよね」という一言で大爆笑。
最近は情報過多でわからなくなると話し、「昔は情報といえば新聞くらいで」と噺に入る。
騙されたとわかった八っつぁんが涙ながらにご隠居に食ってかかるときの表情が楽しい。
その話を他の人に話そうとして、一所懸命に悲壮な顔をしようとしているのに思わず笑いがこみ上げてしまうというのには、こちらもつられて笑ってしまう。
匕首を説明するのに「ウチは所帯持って3年なんだけど、まだカカアと仲がいいんだ。仕事に行くときも『お前さん、忘れ物だよ』『おお弁当忘れちゃしょうがねえな』『お前さん、また忘れ物だよ』『何言ってんだ、もうねえよ』『ん……(キス顔)』……あいくち!」と惚気を入れるのが兼好師らしい。兼好師のキス顔とか男の俺にはいらんけど女性ファンは大興奮、かもしれない。

しゅりけんさん、ご隠居のところにきていろいろ聞いていくのは『新聞記事』とついているような気もするが……。
それはともかく、『浮世根問』はそんなにかかる噺でもないしいろいろ覚えるのが大変そうだが、ミスもなくスラスラっと話していて上手くなったなあとどこか感慨深い。

兼好師の二席め、今日は「いい夫婦の日」ということで、二ツ目時代は結婚式の司会の掛け持ちをしたりしてかなり忙しかったという。
「これは私の偏見ですが」と前置きを入れて「人前でイチャイチャしてるのは大概両方見た目が『うーわっ』って人」と言い出す。美男美女の組み合わせではあまりなく、美男と「怒ってるの? 笑ってるの?」って顔の人の組み合わせの場合は男がいい人に見え、反対の場合は美女が「あ、この人は彼氏というよりペットだから」感が出ているという。それにしても「ブス」を表す言葉の豊富なことといったら。
夫婦の噺である『厩火事』に入るといつものようにおさきさんが大変ウザい。
百面相のように表情をくるくると変えながら感情をあらわにいろいろとまくしたて、その明るさはいかにも兼好師だなあと思う。
兄さんに「酒を飲みながら牛を突いていたのが気に入らない」と苦言を呈されると、「それは違う」指差して抗議をするのもおかしい。
亭主が大事にしている丼を割るシーンでは、太神楽のように顎にバチを乗せて回す。こういう細かいくだらなさも兼好師のおさきさんらしい。

三席め、この高座ならそうだろうなというかある意味必然というか。とはいえ噺に入るまでは久しぶりすぎてこのネタのこともストーリーもすっかり忘れていた。
兼好師が能を習ってるのはファンの間では有名だが、その中で仕舞というものがあり、それはいわゆるアンコール用のものなのだそうだ。アンコールに応えて演目のいいところだけを舞うことで、最後にやるからそれが「おしまい」の語源だという。へーと思っていたら、「他では言わない方がいいですよ」と『つる』のご隠居のようなことを言う。……辞書を見ても「おしまい」の項にはそんなことはどこにも書いてなかった。危ねえ。
『能狂言』は江戸勤番中に能狂言にハマった殿様が、自領の祭の余興はいつもの泥鰌すくいをやめて能狂言にせよ、と家来に命じるというもの。ところが領地内に能狂言を知っているものがひとりもおらず、たまたまドサ回りに来ていた噺家たちから習う。
笛や太鼓、鼓などがないので口三味線ならぬ口笛や口太鼓で稽古するのだが、田舎のためこの口太鼓が訛っているのがおかしい。しかも兼好師は会津若松だから、ネイティブの東北弁なのがたまらない。
この訛ってる口太鼓だが、殿様を前にした本番では上手くなってるのがまたおかしい。というかそれを聞き手にわからせて笑いに持ってく兼好師の技量ってとんでもないんじゃない!?

せっかく久しぶりに鎌倉まできたので帰りもぶらぶらと海に周りながら歩いて鎌倉駅まで。せっかく長谷まできたのだから江ノ電にも乗りたかったが、すげえ混んでるし……。

305641CF-9BAA-4783-A5CE-0750EB067080.jpeg
B78DC67A-5C46-4CCB-B2F1-4824E61CC69E.jpeg
Nikon Df
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 第14回 宮治ひとり舞台 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 第14回 宮治ひとり舞台
於:中野 なかの芸能小劇場

桂宮治『片棒』『パイナップル』

半数の席分の販売だったそうだが、ほぼその分は入っているようだ。

いつもならば三席なのだが、今日は最初は『ひみつの時間』と称した立ちトークから開始する。
落語会のためにPCR検査を受けたそうで、検査キットなどに興味を示すだろうと思っていたら娘さんにものすごい罵倒されたとか。また、小痴楽師も検査を受けたそうだが、「陰性」がダメで「陽性」がOKのことだと思っていたとか。そういう人結構いるみたいね。
また、真打披露興行についていろいろ苦労があるらしく。特注した引出物用の風呂敷の心配なども語っていたが、一番はゲストの出演依頼らしい。「コレ絶対SNSでつぶやいちゃダメだからな!」と何度も言っていたが、ブログはSNSではないのでセーフ。とはいえ内容については。
そのほかにもいろいろと「これSNSダメだからな!」というようなことを連発。「……ぴっかり☆ねえちゃん、〇〇に似てるな。真打に昇進したら〇〇に改名したらいいのに」とか、いろいろと話があっちこっちに転がる。「ノープランだから」の言葉通り、本来は5つくらいのトピックを「今日話したいこと」のメモにまとめていたようだが、結局は30分かけて2つくらいしか話せなかったようだ。

一席め、いろいろと設定やらくすぐり盛り盛り。まあ宮治さんっぽいっちゃあぽいけれども。
この噺って長男、次男、三男で時代が変化するよね。長男は現代だし次男は明治だし三男は江戸だし。まあ落語にそんな整合性を求めてもしょうがないけど。
山車の上の大旦那のからくり人形が動き出すところはかなりのクオリティ。
三男のキャラ付けはなぜか語尾に「ニャ」をつけて腰を振るというもの。「お前思いつきでやるな!」とセルフツッコミ。「……これは今日だけにしとこう」とポツリと語っていたがそうしたほうがいいと思います。

二席め、珍しく新作。もちろん初めて聴く。
聴いて思ったのは「鯉八師っぽい」。私が鯉八師苦手なこともあってたくさん聞いたことがあるわけじゃないけど、なんかわざと気持ちをザラッとさせるような一言を繰り返し言って、それが笑いどころになってるという構造がそう思わせたのかも。それが面白いと思う人もいるんだろうけど、俺はそれ苦手なんだよなあ。「それ言う必要ある?」と思ってしまう。最初はホント鯉八師作の噺をやっているのかと思った。
ストーリーとしては『三匹のおっさん』シリーズとか『図書館戦争』シリーズの有川ひろっぽい感じ。ややベタ感はあるけど人情噺というかいい話っぽくまとめる。
噺の中にはいつもの宮治さんの悪ふざけのくすぐりも盛り込まれつつしんみりとした雰囲気のままサゲ。普段の宮治さんとのギャップがすごい。
タグ:桂宮治
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

上野鈴本演芸場 令和二年十一月中席 夜の部 11月15日 [落語]

上野鈴本演芸場 令和二年十一月中席 夜の部 11月15日
於:鈴本演芸場

三遊亭ふう丈『電気家族』
翁家勝丸 太神楽
古今亭菊之丞『長短』
古今亭駒治『ダルク』
立花家橘之助 浮世節
桃月庵白酒『つる』
橘家文蔵『のめる』
ダーク広和 奇術
入船亭扇辰『お血脈』
ペペ桜井 ギター漫談
三遊亭天どん『不動坊』

今日もいい天気なのでどこかに出かけたかったが、なんだかんだで午前中は潰れるし野球見たり図書館行ったり買い出し行くだけでほぼ休日が終わる。
鈴本で天どん師がトリだったことを思い出し、上野まで。鈴本はバイクで行けば近いんだけど、周りにバイク停められるところが全然ない。駐禁切られるのもイヤだし、定期があるので電車で向かう。

天どん師がトリの芝居だと新作派の人がズラッと並ぶことが多いのだが、今回はそういうわけでもなさそう。というか特に今日は百栄師の代演で文蔵師が入っているので古典、しかも名手と呼ばれる人が多数入っている。あれ、これ結構お得な顔付なのでは? いつもだとお友だち枠なのかよく入っている一之輔師がいないけれども。

菊之丞師、関西人の長さんと江戸っ子の短七っつぁんの組み合わせ。
長さんが短七っつぁんが喫んだタバコの数を三十何服めまでも数えているというのがすごい。……っていうかコレもはや軽度のアレっぽいような……。

駒治師は弘前に営業に行った思い出話をマクラに。
噺は鉄道中毒のあまり電車の車両を盗んだ男が登場する更生施設が舞台の短いもの。あまり印象に残らず。

橘之助先生、相変わらずおきれいで。すごいよなあ。
「(木戸銭の)三千円じゃこんな芸者呼べないわよぉ~ん」。でしょうねえ。
修行時代におじいちゃんたちからセクハラを受けていた話をほのぼのとした笑いに変えている。

白酒師、「天どんさんがトリなんでね、……まあちゃんとしたところは扇辰兄貴がなんとかしてくれるだろうから、自分は好きなように」と話す。以前天どん師が「僕がトリのときはみんな自由にやっていいって思ってる」とこぼしていたが、なんだろうこの微妙に流れるユルい空気。これも天どん師の人柄か。
ご隠居のところに来た八っつぁんは、床屋でじゃんけんで負けたためにいやいやきたという。それをご隠居の前でホントに嫌そうに吐き捨てながら語るのがおかしい。
鶴の由来の話をした後、照れ隠しで言葉にならない声をずっとあげているのもなんとも楽しい。

連日の文蔵師、建具屋の半公を結構なヒールに仕立てている。
ご隠居から醤油樽の知恵を授かったときに「あ、言う! コレ言う!」と手を叩きながら指をさすのは兼好師と同じ。あまり他の人では見たことがないが、誰の型なんだろう。

ダーク広和先生、四つ玉やロープマジックをメインに。
本人も地味といっているとおり、確かに派手さはない。けど全然タネわからない。すごい。
四つ玉のときの指さばきの滑らかさもすごい。語彙力。

扇辰師、白酒師の予想通りキッチリとした古典を。
ケレン味たっぷりのクサさがまたたまらない。

天どん師、『不動坊』に入ったとわかったときから「あ、これ絶対面白いヤツだ」と確信。
吉公のちょっとサイコっぽいところとか、モテない3人組のドタバタとかを天どん師がやったらそんなの絶対面白いに決まってる。
予想通り吉公のはしゃぎっぷりとかが程よく気持ち悪くておかしい。おたきさんと初めて会ったのが、はばかりに入っていたらそこに引っ越しの挨拶にきたとかで、なんでそんな設定にしたの? というかその描写いる!? と思うが、そういうちょっとしたくすぐりがたまらない。
だがやはり屋根の上の男たちのやり取りが最高。屋根の上で怒鳴り合い、取っ組み合いの喧嘩を始め、天どん師も高座の上でゴロゴロと転がる。この大騒ぎを吉公は「屋根の上がすっごいうるさい」だけで済ませてしまうのがまたシュール。

久しぶりの鈴本を満喫しました。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

文蔵・兼好ぶんぶんけんけんの会・4 リターンズ! [落語]

文蔵・兼好ぶんぶんけんけんの会・4 リターンズ!
於:高円寺 座・高円寺

橘家文蔵 三遊亭兼好 トーク
三遊亭兼好『元犬』
橘家文蔵『猫の災難』
橘家文蔵『寄合酒』
三遊亭兼好『宿屋の富』

火曜日に引き続き、一蔵さん分を補給しに行こうと2時間近く掛けて会場まで行く。……んん、なんか会があるような雰囲気がしないんだけど。チラシとかも貼ってないし。会場間違えてないよね?
と思っていたら今年の予定は全部中止ですって。えーーー。かわら版にも載ってるのに……。でも確かにWeb見たら中止って書かれてる。会場までのルートを調べるのにWebも見てたのに、その会の案内ページを見てなかったなあ……。まあ天気も良く暖かかったのでツーリングだと思えばいいか。

微妙に時間が合わず、一度家に帰ってから再度出かける。なんか同じルートを一日に何度も通るのが悔しい。

まずはふたり揃ってオープニングトーク。おそらく事前にふたりでトークテーマをいくつか書いて箱に入れておき、それを交互に引いて話していくというスタイル。「なので特にオチとかはないです」とのこと。
1つめは「ポテトサラダ」。どうも兼好師がポテサラ作りにハマっているのか、美味しいポテサラの作り方を料理上手の文蔵師に聞いていた。文蔵師はじゃがいもがゴロゴロしているタイプが好きなので、マッシャーを使わずに拳で蒸したじゃがいもを潰すのだそうだ。また、焼いたベーコンを入れたりサワークリームを入れると美味しいとアドバイスがあり、兼好師は大満足のよう。
次は「人間国宝」。兼好師が昼に神田松鯉先生の人間国宝に選ばれたお祝いの会に出演したとのことで、そこに菊之丞師と白鳥師も出たそうだ。「白鳥が出たの!? なんで?」と文蔵師もびっくり。「さあ。多分本人もよくわかってない。菊之丞兄貴と私が『白鳥さんは誰が人間国宝になったかわかってない』と仕込んでおいたので、『松鯉先生が国宝になった』と白鳥兄貴が高座で言っただけで笑いが起きた。そしたら本人はなんで笑いが起きたのかわからないから、『名前間違えた?』ってすごく焦ってました」。落語の人間国宝については文蔵師は「ああ……」と微妙な態度。 先代の小さん師については前座時代に孫とテレビゲームをやっていたら孫の友達に間違われたとか。
「七五三」は文蔵師が10年くらい前に電車で見た晴れ着を着たままおもらしした子の話や、兼好師が地元会津若松で長女の七五三をし、次女も同じところでやろうとしたら神社が潰れていたという。「神社って潰れるんだ」と驚いたそうだ。確かに。仕方なくこちらで七五三をやったら次の年に会津若松に新しい神主さんがきたらしく、「じゃあこっちでもやらなきゃ」「東京の方にも報告をしないと」と毎年のように何度も七五三を行ったため、兼好師の娘さんたちは七五三の意味を大人になるまで知らなかったそうだ。
「配信」では配信時にはマクラのときにいつものように会場をに見回すようにすると視線が泳いでいるように見えてしまうのだとか。そういうのは「やっぱりテレビ慣れしている師匠は上手い」そうだ。

兼好師の一席め、先日も聴いたが口入屋の上総屋さんには元犬だと明かしている型。チンチンの仕草では「前に手を腕に上げていたらお客さんに『犬は手を上に上げない』と指摘されたんで直しました」、焙炉では「以前『アオーーーン』てやったら『それは遠吠えです』と指摘されたんでそれも直しました」とのこと。いろいろ工夫が凝らされているんだな。

文蔵師の一席め、長屋の住人の熊がなんか微妙にカワイイ。
酒を盗み飲みして酔っ払ってくるとさらにふにゃっとしてくる。
鯛を買いに行ってなかなか戻ってこない兄貴分に対して「試し飲みしたって言ってたな。酔っ払ってるから帰ってこないんだ。だから酔っぱらいは嫌いなんだ」という棚に上げっぷりがおかしい。
酒を畳にこぼしたときのすすりっぷりが豪快。顔を畳におしつけてゴロゴロまでするのも楽しい。

二席め、乾物屋がいろんな被害に遭うのはいつものことながら、鯛を持ってくるのが一番最後。よく聞くのは「猫が鯛を盗んでいった」と魚屋に言ったらそれを信じた魚屋がどこかへ行ってしまい、飯台を覗いたら行ったとおりの鯛が入っているので持ってきたというものだが、文蔵師は「犬が魚屋から盗んできたものを横取りした」という。
「石を投げたら犬が死んだ」といい、「かわいそうなことするな」と仲間にいわれたら「今朝方人間になりました」と本来の『元犬』のオチを持ってきた。多分兼好師のを受けてアドリブなんだろうなあ。

兼好師の二席め、「二番富が当たる」といっていた男が結局当たらず、予告通りうどんを食っているのが楽しい。
以前に聴いたときは宿の客が「富の結果は向こうですか……なんであの人うどん食いながら泣いてるんだろ」だったのが、今日は宿の客をにらみながらうどんをドゥルルっと啜るというところまで変わっていた。
宿の主人にもうどんを啜っているところを見られるが、「あの人も毎年だねえ」と笑われるのがおかしい。

コロナ対策で席は市松模様。座れないところにはダンボールで作った人形(ひとがた)が置かれている。
「一見すると人がいっぱい入っているように見えるのに、反応が薄く思ってしまう」そうだ。
746C3990-2D9C-456A-8B94-658000534F3B.jpeg
B6B4E646-8610-4B78-82A9-09E6C7E2C47D.jpeg
Nikon Df

悪霊退散を願って一丁締めで幕。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

らくごカフェに火曜会 11月10日 [落語]

らくごカフェに火曜会 11月10日
於:らくごカフェ

春風亭一蔵『野晒し』
柳家あお馬『夢屋』
柳家あお馬『色事根問』
春風亭一蔵『明烏』

ちょっとね、あまりにも一蔵さんとタイミングが合わない。
このコロナ禍で高座が少ないというのもあるけど、せっかく土日で高座があっても他の会と重なっていたり他の用事と重なっていたり、うっかり忘れていたり。まあ忘れてたのは俺が悪い。
しかし去年までは年間に聴く噺家の中で大体ベスト3に入っていた一蔵さんが、今年は2回四席、配信を含めても六席とか少なすぎ。
ということで今日もギリそんなに忙しくないのでらくごカフェに。
「ブログ見た」で当日でも前売料金で入れた上、ワンドリンクでビールまで。お得。

ホント久々の一蔵さん、生の高座は1月以来だってよ。
少しの段差で足首をグネったらしく、捻挫したそうだ。「カミさんにも『何やってんだ!』って怒られるしね」って言ってたんだけど、ん、え、再婚したの? 間が空きすぎていて状況が読めない。
あお馬さんとは一緒に前座修業をしていないので思い出らしきものもなく、エピソードトークをマクラで話そうにもなにもないんだとか。ただ、「この火曜会は決まったメンバーの中でふたりを組み合わせるのですが、あお馬さんとできるのは嬉しい。一番イヤなのが小辰とわん丈」ってそれは上手い人との組み合わせでは……?
あお馬さんについては「馬風師匠のお抱え運転手っていう印象。帽子かぶったら本職にしか見えない」そうで。確かに……。
最近ではありがたいことに趣味の規制も緩みはじめ、出かけられるようになった。昔のバカの番付で横綱を張ったのが「釣りを見ている人」で……と釣りの噺の定番マクラを振って『野晒し』に入る。
お隣の緒方先生の口調が結構伝法で、たまに職人のような口ぶりになる。それはそれで一蔵さんには合っているのだが、やっぱり先生は四角四面のお固い感じの方が八っつぁんとの対比が出ていいような気がする。
釣り場での八っつぁんの無法者っぷりが楽しい。さいさい節も明るくこなす。一蔵さんはあんまり唄歌うイメージないなあ。
大騒ぎのまま鼻を釣ったところでオチ。

あお馬さんの一席め、前座時代の馬風師の思い出話をマクラに。ん、小せん師だって弟子ひとりしかいないのにそんなに大師匠のお世話ってするものなのか。
一門の前座の美馬さんが寄席の楽屋にいたそうだが、その扱いの差に愕然としたそうだ。……まあしょうがないよねえ。馬風師にしてみれば孫娘みたいなもんだろうし。
明晰夢について説明があった後に噺に入る。
雰囲気的に古典のようだが、あお馬さんの自作の噺らしい。
なんというかいろいろ意外な感じ。
現実世界で苦しい状況にある男が、夢屋の婆さんから護符を買って飲むといい夢が見られるというもの。最初は十六文だったのが、徐々に高くなっていって状況が余計に悪くなる。
噺の空気としては『鼠穴』。構造も似ている。
二ツ目でこういう噺が作れるのはすごいと思うが、……、うん、なんというか、もうちょっと笑えるのがいいかなあ。あお馬さん自身も「ウケどころがない噺」といっていたが。途中からオチが見えてしまうし、それを超える意外性がないので、「ああやっぱりそうなるよねえ」となっちゃう。龍玉師がやったら似合いそう。

二席めの『色事根問』も珍しい噺。私は『いもりの黒焼き』で2度ほどしか聴いたことがない。
これもよく言えば淡々と、という感じなのだが、悪く言ってしまうとメリハリがないというか盛り上がりに欠というか。どことなく枯れた感じがして、それがそこはかとなく小せん師を思わせるような。
ご隠居が10個の女にモテる男の条件を挙げていくのだが、それをひとつずつ「〇〇だからお前は駄目だ」と持っていく。これを10回繰り返すのはツラい。面白いのだけ選んで五箇条とかでもいいんじゃないだろうか。

昨日は前座の枝次さんと一杯呑んだそうで、一蔵さんのペースと一緒に呑めるのは一之輔師と宮治さんだけだったのがそれ以上だったそうだ。
芸人たちは飲んでいる席で「バクチと酒、やめるとしたらどっち?」「じゃあ女と酒だったら?」みたいなことを真剣に話し合っているというそうな。「昨日もそんな話をしながら枝次さんと『ウォッカソーダ割りもう一杯!』とかやっちゃいまして。あいつ今頃絶対頭痛いですよ。ということで今日もあお馬さんもね、こんなご時世ですが誘わないわけにはいかないじゃないですか。……まあ楽屋でそんなことを一言も言っていないので、今どんな顔してるのかわからないですけどね!」。大変だ。
一蔵さんの『明烏』は初めてだな。まあ源兵衛と太助が似合う似合う。といって若旦那が似合わないわけではないんだけど、さりとてひょろひょろの美青年には……見えないかなあ。そのギャップも楽しい。
あと見世のおばさんと若旦那の攻防も楽しい。こういう場面はさすが。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『転失気』『紋三郎稲荷』『甲府い』

ようやくアメリカの大統領が決まったようだがどうなることやら。ていうか州ごとに集計方法が違うって初めて知った。そんな適当でいいんかい。

小辰さんも「トランプがゴネてるみたいですね。『集計を止めろ!』なんて言えます? 私この間NHKの新人演芸大賞に行ってきたんですけど、その集計の途中で権太楼文珍師匠に向かって『止めろ!』なんて言えませんよ。それをあの人はアメリカ全土、全世界に向けて言ったんですから。敗北宣言も拒否したそうで、新人大賞で言えば獲れなかった人が『やだー!』って駄々こねてるみたいなモンですよ。そんなことできます? あの人なら自由の女神にしがみついて『ヤダー!』って言いそうですよね。というかやってほしいですよね」とのこと。確かに……。
まあ賢いからなにか先を見越してゴネてるんでしょうけど、今日は私は子どもしか騙せない、子ども騙しの噺をします、と学校寄席でよくやるという『転失気』に入る。確かにあまり小辰さんでは聞かないな。
小辰さん曰く「素人時代に聴いてた頃は高座で掛かるとガッカリナンバーワンの噺」とのこと。まあわかる。というかほとんど前座さんが演る噺だし。ところが「演る方に回ってみるとやってて結構面白い」そうだ。まあ人によっていろんなところにいろんな工夫入れてるからなあ。私の中では馬るこ師の腹黒和尚が最高に面白いんだけど。馬るこ師最近聴いてないなあ。『新ニッポンの話芸ポッドキャスト』を聴いているのでついご無沙汰感が薄れてしまう。
閑話休題、今日は和尚に「転失気は盃」と嘘を教える場面で、和尚の「『転失気はありますか』と聞いたのは『酒を飲みますか』ということか」という一言が入っていた。私はいつもこの場面で「和尚はなんでこんな簡単に騙されるんだろう、医者の発言の意味が通じないじゃん」と思っていたのだが、そう解釈したということであれば納得がいく。あれ、みんなわかってた? とはいえこうやって説明が入るとわかりやすい。『転失気』なんて何十回、下手すれば百回以上聴いた噺でも新たな発見があるのは嬉しい。

そのまま二席めに。
いつもながら小辰さんの平馬は武士らしく落ち着きがあってどっしりとした貫禄がある。その平馬が茶目っ気を起こすという落差がおかしい。
駕籠屋に入れ知恵された宿の主人が恭しく挨拶にくる場面で、狐のフリを終えていた平馬が「何言ってんだコイツ」とあっけにとられた表情をするのがいい。

三席め、いつもよりもさらにしっとり感が増しているように感じた。
娘のお花の婿に善吉はどうだと親方夫婦が話し合う場面で、無言の口パクで腹を探り合うという演出は初めて見た。……そこはちょっと分かりづらかったかなあ。
全体的に笑いが少なめなこの噺で、個人的には最大の笑わせどころがこの場面で「善吉がどう思うかわからない」とおかみさんに釘を差された親方が激昂してひとり突っ走るところだと思うのだが、ここがどうにも誰で聴いてもいまいち消化不良なんだよなあ……。頭に血が上った親方が善吉に勢いよく啖呵を切ったところと、おかみさんに軽くあしらわれて善吉が涙ながらに了承したことで一気に空気が抜けた感じになって「これからもよろしく頼むぞ、倅や」となる落差が面白いんだけど、なんかどうもしっくりこない。なんでかなあ。
あと扇辰師もそうなんだけど、善吉から「身延山に願ほどきに行きたい」と言われた親方が「すっかり忘れてた、すまねえ、『なんて気の利かないバカ親父だ』って思ったろ」と何度も聞いて善吉に「はい」と言わせる場面はあまり好きじゃないなあ。あれいる?
なんか今日は全体的に文句多めのような気がするが、高座はとてもよかったと思ってます。

朝のなかの芸能小劇場は久しぶりな気がする。
いつものように高円寺まで行ってタイ料理ランチ。今日はレッドカレーに加えてヤムウンセン(春雨サラダ)も加え、大変満足。ヤムウンセン久しぶりに食ったけど、やっぱり美味いなあ。
タグ:入船亭小辰
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

三遊亭天どん独演会 新作大全 [落語]

三遊亭天どん独演会 新作大全
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭ごはんつぶ『女子高生の設定』
三遊亭天どん『にゅう』
ストレート松浦 ジャグリング
三遊亭天どん『ぺたりこん』
三遊亭天どん『友引寄席』

雨降ってるわけじゃないけど昼酒を呑むために電車で会場までむかう。「呑めるときは呑んじゃえ」という思考はアル中に向かうようでおっかない。もともとそんなに酒が好きだったわけじゃないんだけどなあ。

ごはんつぶさん、名前についてのひとクレームを入れてからこういう会なので前座も新作をやります、といって噺に入る。
残業しているサラリーマンふたりの片方が、「自分は女子高生が好きでしょうがない。なので34歳のオッサンだけれども、『自分は女子高生なんだ』と思って生きている」とカミングアウトするという噺。
唐突におかしな人の世界に巻き込まれるというのは天どん師の新作世界と通じるものがある。
女子高生が好きな理由というのもいろいろと主張が入り込んでいてなかなかヤバい。でもそのヤバさが面白い。

天どん師の一席め、圓朝作の……これ「新作」と言っていいのか、もはや圓朝噺は古典のような。
タイトルは知っていたけど聴くのは初めて。『牛ほめ』と『代脈』を混ぜたような。
道具屋の奉公人である主人公の弥吉が主人の名代で目利きに行くことになり、そのコツとして「わからなければ『風流でございますなあ』と言っておけばいいんだ」と教わり、その後「風流でございますなあ」を連発するのが面白い。またその時の天どん師の言い方がもう。ちょっとスンっとなるのがたまらない。
弥吉が客の家の庭先ですっ転ぶシーンがあるのだが、淡々と語っているけれども、弥吉のその姿が目に見えるよう。面白いなあ。

ストレート松浦先生、両国寄席は色物のときは高座の台を片してスタンダップでできるようにするのだが、今日はそれをしない。なので立て膝でジャグリングを行う。
松浦先生曰く、膝立ちでのジャグリングは体幹を使うらしく、最初のお手玉で汗だく。
なのにシガーボックスや中国独楽もひととおり行う。特に中国独楽は高座の上も下も狭く、蛍光灯を割ってしまうんじゃないかと別の意味でハラハラする。
天どん師を応援するために、と回した皿が乗った棒を譜面台に挿すという技を繰り出す。同時に6枚の皿を並べようとするのだが、6本もあると最初に回していた皿が止まりそうになり、それを再度回したりするのですごく忙しそう。「持ち時間を無視してやります!」と汗だくで宣言。

天どん師の二席めは圓丈師の出囃子で登場する。「あの出囃子を聴くと身体が痺れて動けなくなる」と相変わらずの不仲ネタをぶっこむ。
「師匠のネタには合わないんだけど、圓生師匠から『これにしろ』って言われたから頑なに変えないらしいですよ」と豆知識。
「ところで松浦さんがすごいことしてましたね。……なんかみんな僕の会は自由にらやっていいって思ってるみたいなんですよね」どポツリと漏らすのがおかしい。
『ぺたりこん』もネタの名前は知っていたけれども初めて聴く噺。こないだ小辰さんが新作を演ったときに「入門前に聞いていた新作」としてワンフレーズだけマネしてたなー、というくらい。
なぜか机から手が離れなくなったサラリーマンの噺で、天どん師の演目解説でも「モーレツ社員や終身雇用が前提になっている噺」とのことで、確かにいまの世情からするとちょっとピンとこない。
仕事ができないサラリーマンが、会社の前から電話してくるというシーンがあるのだが、「師匠は時代に合わせてここに携帯電話とか出したんですけど、僕はそのまま演ります」と公衆電話を使うという設定。これもこれでいまの世情に合わないが、そうしないと矛盾が出てしまうかららしい。やっぱり天どん師ってこういうところを俯瞰で見てるんだなあと思う。
机の一部として生きていくと覚悟を決める主人公から哀愁感が漂うが、それにもセルフツッコミを入れたりする冷静さも楽しい。

三席めの『友引寄席』は何度か聴いているが、今日が一番面白かったように思う。
なにが変わったってわけじゃないんだけど。
セレモニーホールスタッフが思いつきで始めた「友引寄席」に迷い込んでしまった人の噺なのだが、出てくるスタッフたちのクセがすごい。
不吉な小咄しかしない男とか、「パンツ破けたよ」を自分でウケながら解説しちゃう女子社員とか。

この会は文化庁芸術祭の参加公演らしい。
他は知らないけど大賞でいいんじゃないですか(適当)。そしたら遊馬師の時と同じく、大賞受賞した会を聴けてたことになるなあ。だからなんだと言われたらそれまでですが。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

両国寄席令和2年 11月3日 [落語]

両国寄席令和2年 11月3日
於:お江戸両国亭

三遊亭楽大『強情灸』
三遊亭兼好『紙入れ』

朝起きてみると陽が出ている。
マジかよ曇りとか雨だっていうから外に出る予定とか何も考えてない。
バイクに長時間乗れるのももう季節的にギリだからどこか行きたいけど、車やバイクで片道2時間くらいで近場探に温泉とかあって、とかいろいろ探しているうちに時間はどんどん過ぎるし空は曇っていくしで結局はどこにも行かずに家でダラダラして猫たちと過ごす。もはやお約束。というか他県に行くのもまだ気が引けるしなあ。落語だったら仕方ないけど!

楽大師、腕に据えた灸の熱さを感じた後のリアクションがややカマっぽい感じになって面白い。

兼好師、「最近オリンピック選手の不祥事が目立ちますが、仕方ないんじゃないですか。本来ならば終わってたはずで、メダルを獲ったところとかいろいろ想像していたはずなのに、それが1年延びたんですから。もう浮気ぐらい許してあげたらいいんじゃないですか? ……まっっったく同意を得られないようですが……」といいながら『紙入れ』に。
いつもながら蜘蛛の巣に引っかけるように新吉を捕まえようとするお内儀さんの言動がたまらない。
夜が明けて旦那のもとを訪ねた新吉に対して、露骨にアイコンタクトを送るお内儀さんの表情もおかしい。やっぱりこういうところ上手いなあ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能