SSブログ

扇辰日和 vol.77 [落語]


扇辰日和 vol.77 「扇辰、胸を貸す!」
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『狸札』
入船亭扇辰『道灌』
入船亭小辰『御神酒徳利』
入船亭扇辰『二番煎じ』

……結局待ってる間に生ビール2杯とハイボールを飲んでしまった。けど手羽とハツと唐揚げも食って1300円しないってすごいな。中野の昼飲みはすごいね。

今日はほぼ満席。両側の席に客がいるのはかなり久しぶりな気がする。扇辰師も「こんなたくさんの方の前で話すの久しぶりだ」と嬉しそう。

辰ぢろさん、んん、いかにも「覚えたことをそのまんま喋ってます!」っていう感じで間も何も、という勢い。どうした前に聴いたときはもうちょっとできてたと思うんだけど。

案の定扇辰師から恒例の公開説教を受ける。「『噺の方には相も変わらず狐や狸が出て参ります』だって。『相も変わらず』っていうなら江戸っ子とかさ、熊さんに八っつぁん横丁のご隠居……とこなきゃ。狐や狸はそんなに噺にゃあ出てこねえんだ!」。ごもっとも。
「今日は寒いねえ。今年初めて着たよ。……なんだっけ横文字出てこねえんだ。…………ヒートテック! 何がおかしいんですか。寒いの嫌いなんだよ!」。雪国出身なのに。
「必要があってね。今年いくつ仕事がとんだか数えてみたんだ。56本だって。……ということはざっと5600万の減収が……」。おおーと声が上がるも自分でイヤイヤと手を振る。
「お金なくてさ、ゲストが呼べないんだよ。金渡さないでいいとなると……弟子しかねえな、と」と今回と次回の企画の説明。私にとってはすごくお得でありがたい。「万年二位の芸をお楽しみください」。……シャレキツいなあ。
「今日は小辰に『遠慮しないでやれ』と言ってあるから」と自身は軽めの『道灌』。最近何度か聴いているが、ご隠居と八っつぁんの軽妙なやり取りが楽しい。

小辰さん、「私もそろそろひとり立ちして師匠と訣別をしなければ。これまで『師匠に似ている』と言われたりしているので。……まずはヒートテックを着るのをやめます!」と先ほどの師匠のマクラを受けて宣言する。
小辰さんの『御神酒徳利』は何度も聴いているが、今日は特に師匠の前だからか余計な入れごとや大げさなくすぐりなどは少なめ。きっちりきっちりと端正に端正に、じっくりと丁寧に描いていく。先ほど訣別と言ったばかりだが、やっぱり扇辰師の端正さがにじみ出る。

扇辰師の二席め、「小辰のヤツ、ホントに遠慮しねえの。……じゃあ私は『寿限無』かな」といいつつそれ以上のお小言はなし。弟子を褒めない扇辰師ではあるが、どことなく嬉しそうに見えるのは気のせい?
江戸の名物を挙げ、「火事と喧嘩は江戸の華」から噺に入る。扇辰師の『二番煎じ』は初めて。
火の用心の声をあげるときに口三味線で『からかさ』を唄いあげ、それがまたお見事。唄が上手い人のこういうちょっとしたひとくさりは震えるなあ。
番小屋に戻ってきてからの「一の組になったのは失敗でしたな……でもねえ、私伊勢屋さん苦手なんですよ。だから二の組に分けて二の組頭を押し付けた」というようなちょっとした会話がリアル。こういう些末なセリフでも、なんだか一気に空気が現実味を帯びて景色が見えやすくなる。
逆に『時そば』とかでもそうだけど、猪鍋は「肉とネギどんだけ持ってきたの?」ってくらいみんなで大量に食べている。健啖家おじいちゃんが楽しそう、というのが伝わってきて楽しい。

終演後、周りのお客さんはみんな「呑みたくなっちゃったねー」と言っていた。同感だがすでに私はすでにもう入っているので寄り道せずに帰宅する。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:お笑い

三遊亭兼好独演会けんこう一番!冬スペシャル [落語]

三遊亭兼好独演会けんこう一番!冬スペシャル
於:大手町 よみうり大手町ホール

三遊亭兼好『真田小僧』
三遊亭しゅりけん『浮世根問』
三遊亭兼好『錦の袈裟』
三遊亭兼好『死神』

いつもなら往復で2時間弱のところに午前中車で出かけたところ、今日はやたら車が混んでて結局3時間くらいかかってしまう。しかも雨が降っててバイクも使えない。やむなく昼メシ抜きで会場に向かう。

兼好師の一席め、今年ももうあとひと月を切ったが、いつもならあれもやった、これもやった、という振り返りがあってそれなりに充実感があるのだが、今年はそれがまったくないという。イベント事が軒並み中止だったからなあ。
「今年はなにもいいことがなかった。強いていえば秋篠宮様が『結婚を認める』とおっしゃったことくらいですかね。でもあれは相当怒ってると思いますよ。私できちゃった婚なんですけど、それを告げに行った時の向こうのお父さんと同じ顔してましたから」。
兼好師ならこの状況をどう料理するのかと思ったら、「眞子様は好きだが、小室さんはどうも好きになれない、応援できない」という。「こうなったら弁護士になったところで誰ももう認めてくれないんだから、もういっそ芸人になってしまえばいい。噺家は似合わなそうだから伯山に弟子入りして『伯爵』とでも名乗れば眞子様も『伯爵夫人』を名乗れる」。うまいところに持っていくなあ。
子どもは自分が思ったようには育ってくれない、というところから『真田小僧』。
そういや最近はあまり他の人でも聴いてないなーと思っていたら、今年初だった。一時期は月に2〜3回くらいは聴いていた気がするのに。兼好師では約2年振り。
おっかさんだって銭はやらねえ、と言われたところで金坊がチッチッチッチッと指を振って「甘い」とやるのが小憎たらしい。
おその後のっかさんと男の人が話しているのを聞いた、という場面で抑揚をつけながらも「◯×■△○☆◎、ははは」「◎☆●♫♯、ほほほ」となにを話してるのかわからないというのが芸が細かくて面白い。
前座噺らしく女房に小遣いをねだるところでサゲ。個人的には「じゃあおめえもハナ一銭出しねえ」という言い方が好きなんだけど、兼好師は違うんだよねー。

しゅりけんさんはこの前も掛けていた『浮世根問』。
教わった通りなんだろうけど、普通に聴くとなると長くてダレるかなあ。特に後半はいかにも上方のネッチリとしたしつこさがあってもたれる。

兼好師の二席めも久しぶりに聴く。
与太郎のおかみさんが気が強いながらも与太郎と仲良くやってるのがやっぱり兼好師らしい。
「昔与太郎を除け者にしたらアイツのカミさんに顔をタテヨコに引っ掻かれた。その後で家で昼寝してるとカカアが網と間違えて魚を乗せてくる」というくすぐりが、吉原で「顔にうっすら網目模様がある人は?」「あれはただの家来だ」と他のくすぐりに繋がるのもお見事。

ゲストは楽屋を密にしないためになし。
そういえば一席めのマクラで「都知事の小池さんは好きなんですが、なんかムカつく。親戚にひとりだけいるヤケにキレイなおばさんに叱られてる感じ。それも『ダメ!』と叱られるのではなく『君ならできるよね?』と言われてる感じ」と言っていたっけ。なんかわかるような。

三席めの『死神』、死神が枕元にいる場面で布団をひっくり返して旦那が蘇生した場面で、「三途の川を渡り掛けてた。ああもう向こう岸に着くなあと思っていたら、舟がくるっと返って引き返してきた」というのは上手い。
兼好師の場面、ろうそくに火は付かず、結局男は死んでしまう。
最後に男の女房らしき女が出てきて、冒頭の男と同じセリフを言って死のうとするところに死神が「死に方おせえてやろうか」と持ちかけてサゲ。
そういえば男と出会う場面でも死神は「死に方おせえてやろうか」と言っているんだよなあ。そのときはとくに不自然に思わなかったけど、結局は男の死期を早めていて、ちょっとゾッとする。
ところで死神を追い払う呪文は「アジャラカモクレン"四連敗"、テケレッツのパ」。ああああああああああああG党のトラウマえぐらないで!
「よみうりホールでよくそれをできるな!」「実はちょっとビビってる」というのも面白いけどさあ!

AFF5A0B4-B00F-4DCD-9B51-C4355549498C.jpeg
RICOH GRII くそが! これも白々しいわ! お礼なんかいいから勝てよ!

この後には中野で扇辰日和もあるので、兼好追っかけ仲間との飲みもパスして中野に向かう。すげえ半端に時間開いちゃったな……。バイクだったら一度家に帰るんだけど、雨で電車だし。
バーガーキングでワッパーJrが半額だというので2つ食って腹一杯になりつつこれを書いて時間を潰す。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能