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第二十二回 東海道神奈川宿寄席 第二部 [落語]

第二十二回 東海道神奈川宿寄席 第二部
於:桜木町 横浜にぎわい座のげシャーレ

三遊亭しゅりけん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『元犬』
雷門音助『干物箱』
三遊亭兼好『寝床』

本来4月開かれるはずだった会が2回ほど延期され、約半年遅れで開催された。
会場がいつもの星槎学園からのげシャーレに変更され、二部制に変更される。

兼好師の一席め、「最近は明るい話題がないですね、トランプ大統領がコロナにかかったことくらいしか」。まあコントだよなあ。アメリカ国民も大変だ。日本も他人事じゃないけど。
「各国如才なくお見舞いを送って日本も出したらしいですけど、安倍さんも出したんですってね。『早く良くなりますように』みたいな差し障りない文面だったみたいですけど惜しいですね。あれだけ仲良しアピールしてたんだから『僕と同じように君も辞任しよう』っていえばよかったのに」。確かにいろんなところから称賛を浴びそうではあるけれど。
音助さんたち二ツ目の状況も憂慮する。「前座は師匠の荷物持ちやなんだかんだで仕事がある。でも二ツ目に荷物持ちをさせるわけにはいかないし、だからといってトリをとらせるわけにもいかないし。とても中途半端な立場なんです」と気遣う。「特に音助くんには乳飲み子がいて、……そんなに可愛くもないんですが」と毒も忘れない。
さてこれまでにも何度も聴いてきた『元犬』ではあるけども、口入れ屋の上総屋にはシロが元犬だということを打ち明けるという新しい展開が入っていた。なるほどそっちのほうがご隠居の家に行ったときの会話にも辻褄が合いやすい気がする。ここまで何度も掛けた噺をまた改変するとは。進化が止まりませんなあ。

音助さん、前座の頃から兼好師にはお世話になっていると話す。二ツ目に昇進したときは同時に結婚もしたため、昇進祝いと結婚祝いでダブルでお祝いを貰い、他協会なのに同じ協会の誰よりもたくさんもらったとのこと。袖に向かって「すいませーん、子ども産まれたんですけどー」と出産祝いの催促。
新人パパとして兼好師のように子どもを育て上げた人は尊敬すると親の心子知らずの若旦那の噺に入っていく。
大旦那の質問が重なってバレるという型ではなく、善公が花魁からの手紙を読んで大騒ぎしてバレるという型。廓に忘れてきたふんどしを処分するのに「コンクリで固めてヘリで太平洋に」というのがいかにも芸協っぽい。

兼好師の二席めは私の好きな『寝床』。
岩田のご隠居の断る理由が風邪なのだが、「そんなに辛いわけじゃないから行こうと思えば行けるのだけれど、周りにうつしても申し訳ないし、味覚がなくて……」と危ない理由なのがおかしい。
私の好きな場面、がんもどきの製造法の部分も立て板に水でたっぷり。ノリノリで紫蘇の実について語るさなかに「黙れ!」と入る旦那の横槍がたまらない。
結局誰も来ない上にお店の奉公人も誰もいないとわかっていくときの旦那の声がどんどん震えていくところがホントに上手い。
そこの他にもほんとに上手いと思うのが、癇癪を起こしたあとに重蔵におだてられて機嫌を直していく場面。ここでの表情というか、口角の上げ方やその上げ具合がまた絶妙。最初はしぶりつつも一点突破したらその後は一気にいくというのがわかりやすく面白い。

いつも終演後に一緒に飲みに行く兼好追っかけ仲間とは一部と二部で別れてしまったのでおとなしく帰宅。惜しいことをした。
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あラやしき!一蔵ダブルブッキングで代演小辰の会! [落語]

あラやしき!一蔵ダブルブッキングで代演小辰の会!
於:神保町 らくごカフェ

柳家小太郎 入船亭小辰 オープニングトーク
柳家小太郎『唖の釣り』
入船亭小辰『天使と悪魔』
入船亭小辰『替り目』
柳家小太郎『夢八』
柳家小太郎 入船亭小辰 春風亭一蔵 アフタートーク

久しぶりのあラやしき。……と思ったら一蔵さんが不在で小辰さんが代演だという。まあそれならそれで、とらくごカフェに。
まずはふたり揃ってオープニングトーク。
小辰さんが代演に呼ばれた経緯としては、いきなり電話がかかってきたらしい。「小辰、10月3日空いてる?」「はい」「よし!(電話ガチャ)」だったらしい。実は小太郎さんも「信じてもらえないかもしれないけど」と前置きして「兄さん、10月3日空いてる?」「おう」「よし!(電話ガチャ)」だったそうだ。「どういうこと……?」とふたりとも困惑気味。小太郎さんとしてはらくごカフェであラやしきをやったことはないので、あラやしきだという認識もあまりないのだという。「というか小辰さんとは『コタ×コタ』という会もやってますからね」。たしかに。初回に行ったっきり全然行けてないけど。そもその本来は「一蔵ひとりの会」のために会場を押さえていたらしいのだが、別の仕事が入ってしまったようで。「……これ会場のキャンセル料とか発生するんじゃねえの。それを払いたくないからあラやしきってことにしたんじゃ……」「それだ!」という結論に至る。
ということでなんの打ち合わせもなかったようで、出番順を話し合い、トリの押し付け合いが始まる。「兄さんホントにトリ取らないつもりですか」「できればやりたくない」「いや、『あラやしき』でしょ?」「じゃあじゃんけんにするか」「いやいや……」と双方譲らない。結局決まらないまま時間切れ。「どうしようかねえ」といいながら袖に下がる。……これ多分小太郎さんが見てないところで後輩にパワハラチックに押し付けるパターンかな、と思ったら小太郎さんが登場。「小辰さんにトリとらせようとおもったら私の出囃子が鳴ったんで……。らくごカフェ恐るべしですよ」と苦笑い。

小太郎さんの一席め、来年春に真打昇進して「㐂三郎」になるのだとか。「小太郎」という名前には思い入れもあるのだが、いろいろな人がつけていたこともあるし、ペットなどにもつけられる名前なので、検索しても自分の情報が出てこないことがあるという。しかも検索結果に「もしかして:与太郎」と出てくることもあるそうだ。「我々の中では『バカ』って言われてるようなものですからね……ということで与太郎の噺をやります」。
『唖の釣り』は先週一之輔師でも聴いたばかり。そんなに頻繁に当たる噺でもないのでちょっと珍しい。
「私にも一人の父がいて」の身振りを見て「心から『イイね!』といいたくて」と解釈するのがおかしい。
身振りの派手さというかうるささはさすが小太郎さんという感じ。

小辰さんの一席め、珍しく新作を掛ける。これだけ小辰聴いてるのに新作は初めてじゃないかな。
鈴本演芸場の袖で「今日はいいお客様だから何をやっても笑ってもらえそうだな」と考えている小辰さんが主人公。
なにをやろうかと考えているところに「やっちゃいなよ。新作やっちゃいなよ」と唆す悪魔と、「そんなのダメ!」と思いとどまらせようとする古典落語の精とそれらに振り回される小辰さんという構図で噺が進む。
あとで聞いたところによると百栄師作の噺だそうで、上げの稽古もしてもらったそうだ。百栄師で聴いたことはないが、かなり小辰さん用にカスタマイズされていて面白い。
小辰「そうだ、俺は古典落語を演るんだ、俺は扇辰の弟子だ!」
悪魔「辰之助はどうなる」
とか。
噺自体も面白いが、小辰さんが新作をやっているというシチュエーションも面白い。

二席めはいつもの通りに。
落ち着いていてやっぱり安心感がある。

小太郎さんの二席め、披露目では人を殺す噺だとか縁起の悪い噺ができないのでなにができるかなーと持ちネタをさらってみたところ、「ありませんでした!」とのこと。ほとんどそんな噺ばかりだったそうだ。
悔しいのでそういうネタやっていいですか、怒らないでくださいねと前置きして首吊りの噺に。
「つりの番」といいながら大家さんが詳しいことは隠そうとする演じ方をする人が多いが、小太郎さんはちゃんと伝えようとしてるのに伝わらないという感じ。
件の首吊りの箇所は考古学者の吉村作治氏がお気に召したそうで、そこ「だけ」を大層褒められたのだとか。今日は位置の関係からか表情が見えなくて残念。

アフタートークには一蔵さんも登場。
あラやしきの九州公演限定の小太郎一蔵連名の手拭いが大量に余ってるのだが、名前が変わるのでその前に売り切らなくては、と持ってきているそうなので、せっかくだから一本購入しておく。いずれプレミアとかつくといいなあ。
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