SSブログ

人形町噺し問屋 コロナの3 [落語]

人形町噺し問屋 コロナの3
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭しゅりけん『小粒』
三遊亭兼好『大安売り』
三遊亭兼好『大工調べ』

先月に引き続き、さほど仕事が切羽詰まっていなかったので有給を取る。いつまでこの平穏が続くやら。
おそらく11/2の夜席とご挨拶やネタは同じだろうから、あまり詳細には書かずにさらりと感想。

まずはご挨拶。
コロナの影響でいろいろなことが廃止されるといい、その代表としてハンコとミスコンを挙げる。
「ミスコンもねえー……。そうはいっても見た目って重要ですからね」と許容派のよう。「他にもこんなコンテストがあればいいのに」とアイデアを出す。
また、最近電動アシスト自転車を2台購入したそうで、急遽休みになった日におかみさんとふたりでサイクリングに出たらしい。行き先を言っていたが、……えーそこバイクで行ったって遠いところじゃ……。確かに荒サイ使えば道に迷ったりはあまりしないだろうけど……。というかサイクリング時も兼好師は和服なんだろうか。

兼好師の一席め、オリンピックも予算を削ったが、そのうちの大部分がオリンピック委員の飲食やホテル代なのだという。「ほーらもう『オリンピックやらなくっていい』って思ったでしょ?」。
スポーツつながりで相撲の話になり、『大安売り』に。
噺家から相撲取りに商売替えをするという設定が加わっており、手振りにヨイショの仕草が入る。

二席め、あれ俺兼好師の『大工調べ』初めてだっけ?
そんな気はまったくしないのだけど……。くすぐりとか聞き覚えあるし。と思ったらCDに入ってるのか。んーいやでももしかしたら二ツ目時分には聴いてるかも。
与太郎が吉原へ冷やかしに行って言動が影響されているのがおかしい。
大家も因業さに棟梁がイライラを募らせていくのが手にとるようにわかる。
珍しく啖呵を最初の方で噛んでしまい、ちょっと微妙な空気に。こんなこともあるんですな。

終演後はいつものおじさんと飲みに行く。
もつ焼きのカミヤという店は1本80円という良心的な値段で美味しい。
調子に乗ってハシゴして大いに酔う。それでも9時前には帰ってこれるんだから昼席はいい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

小せん・天どんネタ交換会 [落語]

小せん・天どんネタ交換会
於:中野 なかの芸能小劇場

柳家小せん 三遊亭天どん オープニングトーク
三遊亭ごはんつぶ『嘘と夫婦と坊主頭』
三遊亭天どん『ツイッター泥』
柳家小せん『再編家族』
三遊亭天どん『紋三郎稲荷』
柳家小せん『妾馬』

なんかちょっと珍しい組み合わせなような気もするけど、香盤や歳も近いしプライベートでは仲いいのかな。

オープニングトークでは雪駄を履いた小せん師とスリッパを履いた天どん師が登場。その違和感に会場がどよめくも、「どうかしたんですか?」と天どん師は涼しい顔。「これはねえ、小せんさんが悪いんですよ。この会場はホラ、袖から高座まで敷物があるから、雪駄を履く必要がないんですよ。なのに雪駄とか持ってくるから。会場からしてみれば、そっちのほうが土足でマナー違反だよ」とただしような正しくないような屁理屈を吐く。でもいずれにしてもちゃんとして見えるのは小せん師です。
その後もいろいろと周りに不平不満を垂れ流しながら全方位に喧嘩を売っていくいつもの天どん師スタイルでトークは進む。
本来この会は4月に開催予定だったのが今日まで延期になり、ネタを7割方覚えていたのに全て忘れてしまっており苦労したとのこと。なんかわかる気がする。
特に天どん師は固有名詞を覚えるのに苦労したらしく、「圓丈師匠も別に噺になんの影響もないような固有名詞が覚えられなくて苦労してるんですよ。ねーバカでしょー」などと悪態をつきつつも小せん師に「ホントに師匠のこと好きだよね」とさらりと暴露される。

順番はまず前座の後に天どん師が新作で客席を温め、その次に慣れない新作を話す小せん師が登場するという。その次は天どん師がネタ交換の『紋三郎稲荷』をやって最後に小せん師の一席だという。……小せん師の負担がすごく大きい気がするんだけど気のせい?

ごはんつぶさん、「前半は新作ということで……。私も新作をやります。前座の間だけは休憩だと思っていた方、もう地獄は始まっているのです」となんちゅーことを言い出すのか。
服に長い髪がついていたことで浮気を妻に疑われた夫が、途中でめんどくさくなって「周りの女はみんな坊主だ」と嘘をつき……という噺。
天どん師のテイストに近いっちゃ近いけど、そのシチュエーション無理がありすぎじゃないかなあ。面白さよりもそっちの不自然さのほうが気になってしまう。

天どん師の一席め、「前座が嘘をつく噺をしたので、僕も引っ込みがつかなくなるという噺を。僕はこういうの乗っかっていくほうなんで」と『ツイッター泥』に。この噺は何度か聴いたことがあるが、最新の情勢に合わせて少しずつ変わっていっているようだ。

小せん師の一席め、出囃子は天どん師と同じく『松の木小唄』。ネタ出しの『再編家族』が天どん師のネタだからか。
このネタは天どん師でも聴いたことないが、天どん師のHPによると「おそらく一番多くかけたネタ」だそう。なのに私は聴いたことがないという。
銀行や会社のように家族を合併して、長男が末っ子に降格するという噺。
小せん師がいつものあの調子で天どん師の不条理噺を演じるということだけでも面白い。

天どん師の二席め、今度は天どん師の出囃子がいつもとまるで違うものが流れ、客席もどよめく。
天どん師も「いつもと違うとどうやって出てくればいいのかわかりませんね。……あんなに慌ててる小せんさん初めて見ましたよ」とのこと。
ネタ出しの『紋三郎稲荷』なのだが、マクラでは「憧れのひと」について話す。どう繋がるのかと思っていたら、松戸の本陣の主人が平馬を前にして「うわー、お狐さま……憧れるぅー!」とアイドルを前にした中学生のようなリアクションをずっと取り続ける。なるほど。

小せん師の二席め、先ほどの天どん師の高座を見て「ネタ交換と言っても『紋三郎稲荷』は私が作ったものではないので、私のネタというわけではないんですが……教わった扇橋師匠に申し訳ない」とか。
「どうしましょうかね。これでもう一席も新作となると、アタシはもう歌うしかないんで」と本日唯一の古典を掛ける。
やっぱりこっちの方がしっくりくるな。
大家が八五郎に「袴の付けようとかわかるのか?」と聞く場面で「大丈夫、着てみせようか?」と高座の上で袴を取り出して実演してみせる。高座に上がるときになんか持ってるなと思ってたんだがこれか。
高座の上で着替えというか袴をつけるのは新作っぽい。
殿様に「お袋に子どもを見せてやってくれ」とたのむシーンはなんともじんわりとさせられる。

終演後、ここ最近では珍しく天どん師のお見送りがあった。ジャージだったけど。
11月中席は鈴本でトリをとるようだ。人気者ですな。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

立川生志プロデュース2DAYS-DAY 1「東京四派精鋭そろい踏みの会」10周年記念・東京公演 [落語]

立川生志プロデュース2DAYS-DAY 1「東京四派精鋭そろい踏みの会」10周年記念・東京公演
於:新宿 紀伊國屋サザンシアター

林家木久蔵『幇間腹』
三遊亭遊雀『熊の皮』
春風亭一之輔『お見立て』
立川生志『悋気の独楽』
三遊亭兼好『小言幸兵衛』

会があることは知っていたのにチケットを取り忘れ、気づいたらすでに売り切れになっていた。それは知っていたのだが、「あ゛ーー売り切れてんだよなあーー」と未練がましく何度も公式サイトを見ていたところ、規制が若干緩和されたために追加でチケットが発売されており、慌ててチケットゲット。やったぜ!

トップバッターは木久蔵師。
つーかこの人はまあホントいつまで経っても落語ヘタだなあ。
いうても噺家になって20年くらいは経ってるんでしょ? 正直落研2年めの素人の方がまだ上手いんじゃない?
……でもだからといって面白くないのかというと、これがまた超面白い。何コレ。この感情をどう表せばいいのかわからないんだけど、いやもうホント脱帽。
もうね、リアルに落語に出てくる与太郎タイプの若旦那で、言動ひとつひとつが面白くってしょうがない。
計算してるだかしてないんだか、それもよくわからないんだけど、とにかくなんていうんだろ、もういっそ愛おしくて仕方ない。
追っかけたいかと言われれば断じて否なんだけど、マクラの素の部分を聴くだけでこの人のチケット代の元はとったな、という気にさせられる。これはこれでものすごい才能なのではないだろうか。これが「フラ」ってやつか。
言ってることを書き起こしたところで面白さは1/10も伝わらないと思うのでパス。
遊雀師を「おじいちゃん」だといじって2回乱入されるとか、弟子入り志願を断った話とか、腹がよじれるほど面白い。そしてその面白さも本人由来じゃないというのもたまらない。
あとしつこいようだけど落語はすごいヘタ。

その後のぺんぺん草も生えないような荒野に降臨した遊雀師、それでもそこから自分のフィールドに客を誘い込むのはさすが。やはりいつの間にか遊雀ワールドに引っ張り込まれ、古典を聴く体勢に引き戻される。
遊雀師らしく、おかみさんの迫力というか圧がすごい。それに対する甚兵衛さんのすっとぼけっぷりも楽しい。

仲入りの一之輔師、「四派合同っていって、うちの協会だけふたりなんですよ。まあ私は保護者ですよ」ってこの会が始まったときは二ツ目だったそうで。だいぶ立ち位置というか立場が変わっちゃったなあ。
『お見立て』を聴くのは久しぶり。
やはり杢兵衛お大尽のキャラクターが素晴らしい。「オラとけせがわ(喜瀬川)は末にはひーふになる約束をしとっからねぇっちぇ」「ストッカラニーチェ?」「大事なのはそこでねえよ!」というような訛りを徹底的にいじるのがたまらない。

生志師、とりあえずはお約束というか家元の悪口から。
このサザンシアターは真打トライアルを行ったところで、そこで結構な理不尽な扱いを受けたようであまりいい思い出がないそうだ。というか真打トライアルって自主公演ですべて自分持ちなんだ、すごいな。
その家元に「妾と愛人の違い」を教えてもらったそうで、「妻や周りも知っているのが妾、周りに秘密にしているのが愛人」だとか。「たまには役に立つことを教えてくれる」と『悋気の独楽』に入る。
お内儀さんにもらった小遣いで人形焼を買いたいなど、やや『権助魚』も混じっているか。
お内儀さんに裏切りがバレるくだりやサゲも変えられており、よく聞く型と違っていて新鮮に聞こえる。

トリは兼好師。この顔付でとりというのもすごい。
豆腐屋の次に長屋を借りに来る仕立て屋の男も常識人に見せかけて結構腹黒いというか天然というかすっとぼけたところがあるのが兼好師らしい。
「家にはサーベルしかない」と言われて、芝居の筋立てを話しているときに律儀に「ガチャ」とサーベルの音を口にするのがおかしい。それで途中で「このサーベルはずそう、うるさい」と言い出すのもまた愉快。

最後はお楽しみの大喜利。生志師が司会で兼好一之輔木久蔵遊雀の順に座る。
兼好師と一之輔師はちゃんとというか正統派の答えを出すのに対して、木久蔵師は父親と同じポジションを素でやっている感じ。もうそれがとにかく面白い。周りもそれを見てあきれながらも乗っかっていく。
遊雀師はもっと自由。もう次のお題に移っているのに「思いついたから」と前のお題の答えを言うとか。そしてそれがいまいちウケないのもまたおかしい。

終演後はいつもの兼好追っかけ仲間と思い出横丁いわゆるションベン横丁の鰻屋に飲みに行く。ソーシャルディスタンスて何? という狭いカウンターで肩を重ねながら飲み始めると、いきなり店主が客と喧嘩し始めるというなかなか普段にない緊迫感のある展開に。18時過ぎにはもう売り物の鰻串がすべて売り切れという人気の店のようだ。これでも平日はまだ全然人が少ないといっていたが、今日はかなりの人出。……そりゃあ新宿は目の敵にされるわ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第十八回上原落語会 昼の部 三遊亭兼好独演会(配信) [落語]

第十八回上原落語会 昼の部 三遊亭兼好独演会
於:代々木上原 ムジカーザ(配信)

三遊亭兼好『新聞記事』『大山詣り』

実際には8月あたりに開かれた会で、期間限定でアーカイブ配信されていたものを見る。
行きたかった会ということと、兼好師の『新聞記事』を聴いたことがなかったということで配信終了ギリギリになって慌てて課金してYouTubeを開く。

兼好師は土日と平日および都内と地方でネタを変えるそうなので、基本土日に都内の会にしか行けない私はだいぶネタが被っちゃうんだよなあ……。

その『新聞記事』、「新聞は尻を拭くときしか使わない、女房は時々自分の尻に移った記事を読んでるから鏡文字を読むのが早くなった」というのがバカバカしくておかしい。
ご隠居の「入ったうちが天ぷらやだからな」とオチをつけたあとのクワっと見栄を切るように目を見開くのも楽しい。やっぱり兼太郎さんの変顔のルーツはここか。

『大山詣り』は今年は時期に高座で聴けなかったなあ。
熊が風呂に入ったときにうなる鼻唄が好き。

実際の高座が増えてきたこともあり、配信で見るのは久しぶり。
配信してもらえるのはありがたいけど、やはり生の高座にはかなわない。今回みたいに「行きたかったけど行けなかった」とか、「聴いたことがないネタが掛かっていた」というのでもない限りはもう見ないかな……。
私が配信でイヤなのは、アングルを勝手にコロコロ変えられること。
配信する側はサービスのつもりなのか知らないが、高座の真横とかやや後方下からとか、変なアングルからの画角とかいらないから。
基本は前面からで、たまに上手側からとか下手側からに切り替える程度でいい。1分間に何度もアングル変えないで落ち着かないから。アップとかもそれをする意味があるならありがたいけど、ただ単に適当に織り混ぜましたってくらいならいらない。手の仕草とか見えなくなる。落語というのは声と仕草の芸なのに、勝手にその一方を捨てないで欲しい。
タグ:三遊亭兼好
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

和室カフェ 其の二十四 [落語]

和室カフェ 其の二十四
於:神保町 らくごカフェ

トーク
入船亭小辰『高砂や』
立川笑二『死神』
立川笑二『神回』
入船亭小辰『干物箱』

少し陽も出てきたので猫のトイレを洗う。時間に余裕があると思っていたらいつの間にかギリギリになっていて焦る。トイレ増えたからなあ。

まずは恒例のトーク。
今回も体験コーナーはなし。そろそろ次回あたりからできそうな雰囲気とはいっていたがどうなることやら。
話題は主に笑二さんの弟弟子談洲さんの結婚について。交際自体は昨年の談笑一門のクリスマスパーティーに談洲さんが「彼女呼んでいいですか」と言い出して呼んできたので知っていたという。「ピンポーンてきて。それで開けたらなんかテレビで知ってる人がきたからびっくりですよ。まあでも談洲は元お笑い芸人なのでそういうつながりなんだろうなってのはわかったんですけど」とのこと。
でもこれで一門で結婚していないのは笑二さんだけになり、「やだなー、数年前に彼女と別れたときみたいに師匠から慰められるんだろうな。『マッチングアプリとかやってみたらどうだ』とかいわれるんですよ」。すごい一門だなあ。
扇辰一門というか辰之助さんは前座の頃から本来禁止である合コンをしていて、それをなぜかおかみさんに報告していたのだとか。「だからなぜか弟弟子の女性関係をおかみさん、師匠を介して知るんですよね……」ってそれもそれで変わっているような。

小辰さんの一席めは先日も聴いた『高砂や』。さっきまで結婚の話をしていたからか。

笑二さんの一席め、「福の神は福を呼ぶんじゃなくてお金を持って幸せそうな人を見るのが好きなだけの神様、貧乏神は貧乏人を見るのが好きな神様ってだけでそんなに力は持っていない。死神も同じで死にそうな人を見るのが好きなだけだ」という設定は新しい。でもそうすると「死神がいなくなると病気が全快する」という前提が崩れてしまうんじゃないだろうか。
とはいえ近江屋の布団入れ替えトリック成功後、「久しぶりに徹夜して疲れたから少し寝る」と寝ているところに祓われた死神が現れて、「今日は疲れてるから明日にしてくれ」と追い払おうとしたところで「お前に明日があるがどうか。おめえ、まだ気づかねえのか。俺が枕元にいるんだぞ」というのはゾクッとする。
寿命のろうそくを継ぐシーンでは、別れた女房のろうそくを吹き消してそれを自分のろうそくに継ごうというなかなかのクズっぷり。でもそのろうそくに火をともしたところで女房が生き返るだけでは……?

二席めは「部屋に幽霊が出た」と後輩の女の子がオカルト系YouTuberのところに助けを求めるという新作。私自身はYouTube見ないのでよくわからないのだけれど、なかなかイタい投稿者の様子。
で、その部屋に現れたのは後輩の女の子の横の部屋に住む同じサークルの男で、女の子に取り憑くために自殺をするというかなりぶっ飛んだ設定。この後の小辰さんがいうには「何人かが本気で引いてるのが袖から聴いててもわかった」そうだ。……うん。
けっこうなんというか笑二さんの噺って頭のネジがどっかぶっ飛んでる人が出てくることが多い気がする。古典とかやっててもキャラがそういうふうになっていたり。なんというか笑顔で人を殴ってくるようなそんな感じの人。

小辰さんの二席め、「まさか『高砂や』からこんな人が死ぬような噺になるとは」とやや困惑気味の様子。
「じゃあ誰も死なない噺を……」と平和といえばどこまでも平和な『干物箱』へ。
小辰さんも花魁からの手紙を盗み読みしてひとりエキサイトしてバレる型。しかしこの花魁はなんのためにこんな手紙を書いたんだろうなあ。
小辰さんの親子は仲がそこまで険悪でもなく、すぐには勘当にはなりそうもない平和な感じがした。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第五十九回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 春風亭一之輔・桂宮治の会 [落語]

第五十九回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 春風亭一之輔・桂宮治の会
於:戸塚 戸塚公会堂

春風亭貫いち『桃太郎』
桂宮治『権助魚』
春風亭一之輔『新聞記事』
桂宮治『狸伯』
春風亭一之輔『子別れ(下)』

今日は昼夜公演。
兼好師の会が終わって1時間半ほど開くのでファミレス で時間を潰す。いつもの会場だったら周りに何もなくて大変だったかもしれん。

二人会なので前座の後は一之輔師だろうと思ったら宮治さんが登場。じゃあトリを取るのかと思ったら宮治一之輔宮治一之輔の順になったという。
まあいろいろと言っていたけれども、詰まるところ真打披露興行のチケットがあるのだけれどもこのご時世で会場の受付などで売ることができない、けれども「たまたま戸塚公会堂の周りを歩いていた僕からチケットを購入するのは何も問題ないわけです。だから僕は落語終わったら着替えてこの周りを歩いていようかなあーって」。大変ですなあ。
「こういうこと落語協会じゃ絶対できないけど、俺は芸協だからいいの! 今日の昼に師匠との親子会で『お金ください』って言ったら師匠は大笑いして『私も欲しい』って言ってたから! 粋じゃないのが芸協だから!」と芸協を免罪符に言いたい放題。いいのか。……こう考えると芸協からするとホント遊馬師って逆に異質だよなあ……。
そんなこんなで『権助魚』に入るが、まあ粗いったらない。粗いよ! ……とはいえこの粗いのを勢いでねじ伏せてくってのが宮治スタイルなワケで、そこをゴチャゴチャいうのは野暮なんだろう。粗かろうがなんだろうが理屈抜きで面白いんだからまあいっかあーと納得させるだけの勢いがある。

一之輔師の一席め、ブツブツと宮治さんへの苦言というか「アイツなんなんだ」というような苦情というか。
「でもまあ来てもらってありがたいですよ。こういうのに来てくれるっていうのがいちばんの応援ですから。来てくれるお客様にお礼に何か差し上げたい。でも楽屋には湯呑みが3つあるくらいで何もないんですよね。でもなんかチケットがあったんでこれを皆さんに配ろうと思います」と懐からチケットの束を取り出す。それって……と思ったところで血相を変えた宮治さんが飛び出してくる。「ちょっと! 川上さん! 何してんすか! それで親子がメシ食うんですから勘弁してください!」と土下座をする宮治さんと「もっと頭を下げろ」ともはや鬼畜の所業の一之輔師。
ようやくチケットを取り返すも、「次のお前の出番の間に半券全部切っといてやる」「やめろ! そのいじめっ子気質なんとかしろ!」とガチ苦情の悲鳴を上げる。「……そんな簡単に気質変えらんないよ。一生こうだよ」とポツリ。うわあ。
その後も延々と宮治さんをイジり続けたところ、ステテコ姿の宮治さんが「もう噺に入ろう! ね!」と再び乱入してくる。「これ以上まだやるなら次は全裸で出てくるからな!」と捨て身の脅迫。苦笑しながら「あんなに芸協芸協って言っておきながらこっちが『芸協は……』っていうと怒るんだよ。なんなんですかね。……じゃあ芸協っぽい噺やろうかな」と『新聞記事』に入る。なんかわかる。『新聞記事』と『動物園』てすごい芸協のイメージ。
『新聞記事』はもともとドタバタな噺だけれども、一之輔師のはそれに輪をかけたもはやスラップスティックな一席になっている。小難しいこと一切ナシ、ただただバカバカしい噺をひたすら笑って聴くという、そんな落語らしい落語だと思う。
いつまでもご隠居に担がれたことに気がつかずに「竹さんが死んだ」と嘆いている八っつぁんがたまらない。

宮治さんの二席め、マクラも振らずに「お後の一之輔兄さんがたっぷりやりますんで……。……早く終わらせて早く着替えて準備しないと!」とチケット手売りに意欲を見せる。
最初は『狸賽』か『狸札』かと思ったのだが……。狸がなんにでも化けられると聴いたときに「え、じゃあ神田伯山って知ってる?」「テレビで人の悪口ばっかり言ってる講談師ですよね?」「アイツに化けられる? ○年○月のアイツが初めて楽屋に入ったときに小言いったときのアイツの反応できる?」「はい。……ふっ」「うわー似てるー! その何言っても鼻でしか笑わない感じー!」……ていうのを延々繰り返していく。中には某お姐さんにひっぱたかれたときのエピソードとか。えーあのあんな優しそうな感じの人がひっぱたくんだ。……というかこれがホントならちょっと性格悪すぎじゃね?

一之輔師の二席めは一転してしっとりとした人情噺寄りに。
この振れ幅たるや。やっぱりこういうところが一之輔師はすごいよなあ。
ふたりがよりを戻す場面はなかなかに感動的。

終演後には予告通り宮治さんが会場の外でチケットを手売りしていた。せっかくなので私も一枚購入する。「あっ、いつもありがとうございます」といわれて少し驚く。宮治さんの会は小さい会場のも結構行ってはいるけれど、打ち上げとか行って個人的に話したことはないので認識されているとは思わなかった。萬橘師のときもそんなことあったし、結構噺家はよく来ている客のことはわかっているのだろうか。
nice!(0)  コメント(0) 

第五十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好独演会 第十幕 [落語]

第五十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好独演会 第九幕
於:戸塚 戸塚公会堂

三遊亭兼好『寄合酒』
三遊亭しゅりけん『猫と金魚』
三遊亭兼好『目黒の秋刀魚』
三遊亭兼好『三枚起請』

今日はいつもの会場と変わって少し大きめのホールで開かれる。一席おきの市松模様で、客の人数自体はいつもと変わらないくらい。

兼好師の一席め、この会場は兼好師も初めてだという。いつもは横浜方面の仕事の時はバスで鶯谷まで行き、そこから京浜東北線で向かうそうだが、不安に思ってスマホで検索してまたら間に合わないことに気づいたとか。「戸塚って思ったより遠いのね」。上野東京ラインに乗り換えたら早く着いたとのこと。じゃあ同じ電車乗ってたのかもなあ。
今まで知らなかった会場へ行ったり、コロナのおかげで新しい発見があるという。学校寄席では来賓挨拶がなくなり、これがすごくいいとか。今までの慣習でやってたことをやめてみたら、いかに無駄なことをやっていたか気づいたとか。
「そんな中で、年末の紅白は無観客でやるんですって。……あれはやめるチャンスでしたよねえ」。まー確かに。俺は元から長渕でも出ない限り見てないし、なくても全然困らないんだけど。
「今は『レディースアンドジェントルメン』という言葉でさえやめようっていうジェンダーレスの時代に、男と女に分けて戦わせるって。しかも『合戦』って関ヶ原以降使われてませんよ。負けた方の大将が首斬られるとかならわかりますけど」。一気に血生臭い感じに。
「とはいえ年末に老若男女が一緒に見られるような番組も必要なんでしょう。人間は集まる動物で、特に日本人は狭いところに集まるのが好きなようですから」と長屋のひと部屋に人が集まる噺に入る。
お弟子さんたちのはひと通り聴いたが、兼好師のは初めてかも。
「角の乾物屋」がひどい被害に遭う噺だが、鯛だけは魚屋の金公がターゲット。しかし兼好師にかかると「猫に鯛を持っていかれた」のは「乾物屋のカミさんとおしゃべりに夢中になっていたから」とおかみさんも巻き込んでしまう。これで一家全員コンプリート。
この他にもいろいろと盗品を持ち込んでくる輩たちと兄貴分とのやり取りの間がなんとも絶妙で面白いのなんの。噺自体は聴き飽きていてもやはり新鮮に面白い。

しゅりけんさん、兼太郎さんと一緒に帰るときがあり、その日は兼太郎さんは高座があまり納得いかなかったようでダウナー系だったそうだ。そんなときに「お前は俺が順風満帆にきてると思うか!?」と尋ねられ、どう答えても面倒なことになる……と「会話が噛み合わない」ことに困った、というところから『猫と金魚』に。……うん、その話の持って行き方もちょっと噛み合わなくてよくわからないけれども。
ちょいちょい改変されていてあまり聴かない型。番頭さんのアスペっぷりがやや弱いか。これも多分間ひとつでだいぶ変わるんだろうなーと思う。
しゅりけんさんはこの番頭みたいな「真面目なバカ」が似合いそうなので是非磨いてほしい。

兼好師の二席め、「『猫と金魚』の噛み合わなさ、私と弟子みたい」となぜか嬉しそう。
魚河岸で働いていた頃の話になり、売れ残ったものは「持っていきな」といろいろ貰ったそうだ。ナマコをもらったときはさばき方を教わって3時間かけてさばいたとか。それをずっと見ていたおかみさんは「私食べないから!」と見ていただけだそうだが。
ウニは身だけが箱に入っているのだが、これを少しでもぶつけたりして中身がズレたりするともう売り物にならないのだそうで、運ぶときは細心の注意を払っていたとか。「10箱運んでいるときにぶつけたりすると弁償ってことになるので気をつけるんですが、ひと箱だけだと『何やってんだ!……しょうがねえ、持ってけ!』となるんで、お客さんがくるときとか……」。いいなあ。
魚つながりで「今年は秋刀魚が高い」となって『目黒の秋刀魚』に。
これまた初めてか記憶にないくらい久しぶりか。初めてってことはないかもしれないが。
殿様の駄々っ子ぶりがやけにかわいい。
棒焼きの秋刀魚を食べるときも「ひっくり返せ」「代わりを持て」と殿様のままなのも面白い。
帰城した後に金弥との会話で「近頃目黒に行かんのう」と会話する際のお互いの顔芸もおかしい。

三席めの『三枚起請』も久しぶり。
カラスは賢くて人の顔をよく覚えてるといい、「私もよくゴミ出ししてますから覚えられてる。私が出かけると『カー』と挨拶してくるカラスがいる。するともう少し遠くの方からそのカラスに向かって『カァーッ!』と鳴くカラスがいる。おそらくつがいなんでしょうね。『アンタ、そんな人間に挨拶なんかするんじゃないよ!』かなんか言われてるんじゃないですか。『お前も大変だな』って声を掛けます」。
やはりこの噺も、嫌がるいのさんから起請文を取り上げて大人の余裕を見せながら読んでいたところ、その起請文を出したのが自分の敵娼だと気づいたときの間とリアクションが完璧。何度聴いても必ず笑わされる。
その後の棟梁から滲み出る諦観の雰囲気がまた哀愁を帯びていてお見事。
花魁から甘いことを言われて一緒やに下がる表情もまた楽しい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

池袋演芸場 十月中席 十月十二日 [落語]

池袋演芸場 十月中席 十月十二日
於:池袋演芸場

三笑亭可龍『ぞろぞろ』
立川談幸『片棒』
桧山うめ吉 俗曲
三遊亭遊馬『佐野山』

昨日の予想通り仕事はさほど忙しくなかったので会社を上がってから池袋に。
相変わらず平日の夜はガラガラのようで……。まあコロナだからね、うん。

あれ、俺談幸師初めてだっけか。
すっごい早口だけども15分で三男まで完走。
寄席だから仕方ないとは思うけど、もうちょっと落ち着いたシチュエーションで聴ければよかったなあ。

遊馬師、思わず「待ってました!」と声掛けちゃったよ。今日はさほど待ってないけど、この至近距離で聴くのは半年以上ぶりだからなあ。
『佐野山』は二ツ目時代から何度も聴いている噺ではあるが、最近寄席のトリではハメモノが入るので聴き慣れているものと少し異なる。
佐野山と谷風の取組当日の会場の様子をハメモノに合わせて滔々と語る。浪曲ともちょっと違うけれどもテンポがよく、心地よくて晴天の情景が見えるよう。やっぱりいいですな。

久しぶりに電車で池袋に行ったのでちょっと一杯引っ掛けて帰ろうかとも思ったが、まあ無駄遣いする必要もないかと思い直して真っ直ぐ帰る。明日も仕事だしね。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

渋谷らくご 爆笑演芸会 ~玉川太福を聴こう!~ [落語]

渋谷らくご 爆笑演芸会 ~玉川太福を聴こう!~
於:渋谷 ユーロライブ

橘家文太『お化け長屋』
三遊亭兼好『磯のあわび』
柳家勧之助『竹の水仙』
玉川太福 玉川みね子『祐子がくる ~太福マガジン~』

最近ようやく土日どちらも落語を聴きに行くという日常を取り戻せてきたようでありがたい。
空模様に不安をいだきつつもバイクで向かう。

文太さん、二ツ目に昇進して文蔵師から「北九州を拠点にやってみたらどうだ」と言われ、出身地の北九州に移住したそうだ。今日は文蔵師がトリの芝居があるので上京したところをシブラクに出演依頼があったそうで。「北九州」というと修羅の国というイメージしかないなー。
文太さんはたまたま末廣亭の前を通りかかって、笑点をやってるんだと思って入ってみたんだとか。そこで文蔵師を見て「北九州の人だ!」と思ったらしい。
噺はやや季節外れにはなるけれど、いきなり時期外れにしかも二ツ目にしては大きめのネタを持ってくるところがいかにもこのシブラクっぽい。気張ってんなー。
……と割とすぐに「これ兼好師匠のだな」と気づく。ふふふこちとら何回兼好師の『お化け長屋』聴いてると思ってんだ。
兼好師のくすぐりを活かしつつも独自のものを入れたりして工夫している。しかし兼好師の噺をやっている若手すべてに言えるのだが、なんかあの底抜けの明るさにテレがあるのか、どうも遠慮というか突き抜けた感じがしないんだよなあ。かといってやりすぎるとはっちゃけすぎて見てらんなくなるし、あのバランスは実はすごく難しいんじゃなかろうか。

そしてその兼好師、「あの噺私が教えたの」。ほーらやっぱりー。「袖で聴いていたら、稽古つけたときのことを思い出したりして、教えたことをやってたりしているのを見ていたらなんかもうひと仕事終えた気分」。いやいやこれからですよー。
田舎から出てきた文太さんの話から自身も会津若松から東京に出てきたときの話を。そしてさらに昔は田舎から出てきた人は吉原に行ったんだろう、あそこはオトナのテーマパークのようだったんだろうと話す。「想像してください。ミニーが八頭身になってでてくる。そういうところです」。むしろ怖いような。
終演後に解説に出てきたサンキュータツオ氏によると、『磯のあわび』は仕込みが長くてあまり面白くない上にその回収はあっという間なのであまり演られなくなったそうだ。しかし兼好師のは「女郎買いの師匠」から教えを受けているところもなんだか面白いし、後半の回収部分のドライブ感たるや。与太郎の暴走ぶりがとにかく面白い。

勧之助師、真打昇進後は初。
これまた終演後のサンキュータツオ氏によれば、本来この噺は甚五郎であることを隠して話し、最後になって「あの人は甚五郎だったんだ」と聴いている人に明かすことによってカタルシスを得られるものなのだが、最初に「甚五郎話だ」と明かしてしまったのが勧之助師のすごいところなんだとか。ふうん。

太福さん、今年のシブラクでは新作をかけることを決めているのだとか。この「太福マガジン」はシブラクの会で以前やっていた、毎月その月にあった太福さんのエピソードを浪曲にするというもの。
今日は大学ラグビーの話と名古屋の氷点下サウナ、木馬亭の名物客、そして浪曲の曲師である玉川祐子師匠の話。祐子師匠は98歳で現役、しかも元気だという。この祐子師匠に太福さんが気に入られており、何度遠慮しても太福さんの楽屋に会いに来たいと電話でグイグイくる様子を面白おかしく唸る。というかタイトルですでにホラー仕立てになってるし。

池袋で遊馬師がトリを取っているので行きたかったのだが、途中までいってどうにも間に合わないことが判明。明日はそれほど仕事忙しくないし、仕事終わりに行ってくるか……。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

三番町ヒロ落語会 [落語]

三番町ヒロ落語会
於:半蔵門 セレクトショップ・三番町ヒロ

入船亭小辰『高砂や』『替り目』『夢の酒』

昨日は久しぶりに会社の人と飲む。
あまりに久しぶりなのでやや飲み過ぎて二日酔い気味。最近はどこも飲み放題やってるからつい。

皇居近くのセレクトショップで開かれている会で私は2年ぶり3回め。
今回で10回めだそうで、「10月10日で10回めってなんか『おっ』てなりません!? 『ラッキー』みたいな」。わかるようなわからないような。
縁起担ぎの話しから以前やった結婚式のエピソードをマクラにして『高砂や』に入る。
小辰さんの『高砂や』は久しぶり。
口三味線入りで都々逸風だったら上手くできるのに、それを封じられた途端に何もできなくなるのがおかしい。

一席めが終わって恒例の質問タイム。「質問なんてあります!? 毎回質問出ないんですよね……。じゃあもし何も質問が出なかったら私の方から皆さんに質問します!」と逆質問タイムになるピンチに。「あと10秒待ちます!」ってところに「落語家にいちばん大切なものは?」というものと「ホリエモンが『飲食店で修行は不要』といっていたがそれについてどう思うか」という質問が出る。
「ええー?」といろいろと真面目な話も出たが結局のところ「いびりは不要だが修行は必要。あとはリスペクトがあるかどうか」ということに。ただし「やったことのない業界について口出すなとは思う」とのこと。ホリエモンなあ……。

いつもなら二席なのだが、とある事情により磨きをかけたい短めの噺を二席めに掛けて全部で三席やることに。
磨きをかけたいのは『替り目』。先日も聴いたが、落ち着いた雰囲気のおかみさんの様子がいい。
頑張ってほしい。

三席めは酒繋がりだがおかみさんの態度は180度異なる『夢の酒』。
夢の話をしてはしゃぐ若旦那と徐々に不機嫌になるお花、そのお花の勢いに押されてタジタジになる大旦那と、それぞれの感情のグラデーションがお見事。
タグ:入船亭小辰
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能