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三遊亭遊馬独演会 2019年12月8日 [落語]

三遊亭遊馬独演会 2019年12月8日
於:国立演芸場

三遊亭遊馬『金明竹』『たちきり』『芝浜』

柏から戻って家で30分ほど休憩して国立演芸場まで。
ここ最近の独演会はなにかテーマがあってそれに則した噺を三席やっていたのだが、今回は特にないとのこと。

一席めは前座噺だからか、羽織を着ずに高座に上がる。
始めてみた柄の着物を着ており、薄いクリーム色の生地なのだがよく見ると細かい柄が浮き出ている。着物の良し悪しはよくわからないけど、結構いいものなのではなかろうか。
マイクなしでもよく広がるいい声。やっぱり国立の舞台に映えるなあ。
与太郎に隠れてはいるが、この噺のおかみさんも結構な天然というかおかしな人で、上方弁の男に「おかみはんもアホなんでっか?」と言われてしまうのがおかしい。

二席めは一転してしんみりとした噺。
独演会お約束のハメモノもばっちりと入る。
もともと私がこの噺をあまり好きではないので、なんというか感想があんまり出てこない。
芸者の小糸もややストーカーのケがあるのでは、と思わせるような一途さがなかなか怖い。

三席めは年末らしく。そういえば誰もがなぜか冒頭の場面では女房の起こし方が優しいのだが、その後は気が強くなったり健気になったりと性格に一貫性がないような気がする。今日の遊馬師は「なんだその気色の悪い起こし方は!」「もっと優しく起こせっていうから変えてみた」と調整されていた。
遊馬師は断酒して7年だそうだが、まだ酒に未練があるのかどうか。未練があってよく酒の話をするようにも見えるし、逆に一切の未練を断ち切っているからこそネタにしているようにも見える。

いつも三席めが終わった後に少しだけアフタートークがあり三本締めで終わりなのだが、今回からはもうやめようと思っていたそうだ。が、この会の前座働きをしている遊七さんが来年5月に二ツ目に昇進するとのことで、今回が最後の遊馬独演会だから、と高座に呼んで客席に紹介する。……というか前座さんがいるなら一席やらせればいいのでは……。基本的に遊馬百席も独演会も前座さんすら入れないってことは、ホントに誰かと一緒にやるのが好きじゃないのかな……。

この週末は兼好、遊馬、一之輔と私のトップ3の独演会を制覇。かなり贅沢というか満足満足。
仲入りには手ぬぐいも購入。終演後は忙しそうだったので、来週の遊馬百席のときにでもサインを入れてもらおう。
タグ:三遊亭遊馬
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第160回 柏落語会 [落語]

第160回 柏落語会
於:北柏 たんぽぽホール

春風亭貫いち『転失気』
春風亭一之輔『錦の袈裟』
春風亭貫いち『道灌』
春風亭一之輔『睨み返し』

久しぶりの柏落語会。いつもなら当日に行っても入れるのだが、念のため電話して聞いてみるとすでに満席でキャンセル待ちだという。ついにここまで一之輔フィーバーがきてしまったか……。7人待ちとのことだが結構キャンセルも出ているということなのでダメ元でキャンセル待ちを入れていたら次の日の昼には入れるという連絡がきた。そんなにキャンセル出るもん? まあ入れるならありがたい。

相変わらずバッテリーの調子の悪いバイクで柏まで向かう。いい加減バッテリー交換しなきゃダメっぽいな。
会場は超満員。最後列のソファー席という座り心地はいいんだが、隣の人とは超近いといういいんだか悪いんだかの席。つーかソファーに座って落語聴くのは初めてかもしれない。

貫いちさん、四番弟子だそうで。もうそんなにいるの? まだ幼さの残る顔立ちで、高校を卒業したばかり? とはいえ今は見習い期間だけで1〜2年あるはずでもう20歳は超えているのだろうか。
童顔でも落ち着いた感じ。珍念がよく似合う。

一之輔師の一席め、世話人が「一之輔さんは地元の落語家さんです」と紹介していたのだが、それに対して「私は野田出身なんでね。地元じゃないです。柏なんて野田からみたら嫉妬の対象でしかありませんから。電車一本で東京まで出られるくせに。……東京といっても日暮里ですけど」。嫉妬の対象って。え、周りはすごいのどかな風景しかありませんけど。ホントかー? と思ってさっき野田出身の彼女に聞いてみたところほんとにそうらしい。「都会だからねえ」だって。
「野田は電車があまり走ってない。どうやら昔は鉄道を引く話もあったそうなんですが、当時の偉い人が『醤油で儲かってるからこれ以上人を増やしたくない』といって断ったんだそうですよ。浅草も同じで、最初は山手線も浅草を通すつもりだったらいいんですが、断ったそうで。今はまた賑わってますけど、私の前座時代の浅草は閑散としてました」という話から寄席のある池袋の話に移る。
「池袋演芸場のある西一番街というのはネオン街でいかがわしい店がたくさんある。道の入り口のアーケードに横断幕が出ていて『呼び込みは100%ぼったくりです』と書いてある。その横断幕の下で池袋演芸場のスタッフが呼び込みやってる」。
そういう盛り場の話から昔の遊び場の吉原の噺に入っていく。
おかみさんの気の強さは半端なく、与太郎が話しているときに情け容赦なくゲンコツが飛ぶ。いろんな噺に気の強い女房がでてくるけど、さすがに亭主に手を挙げる女房は珍しい。「いたーい!」と顔を押さえつつもヘラヘラと「でもアタイも吉原行きたい!」と声高に主張する与太郎がおかしい。

貫いちさんの二席め、「皆さん『なんで出てきたんだ』という顔をしてらっしゃいますが」といったときに「そうだ!」と混ぜっ返され、「ホントに凹むんでやめてください」。
落語協会の前座らしい『道灌』。

一之輔師の二席めは年末らしく借金取りの噺。私自身はこの噺に巡り合うことがほとんどなく、このブログを始めた頃に桂才紫(現やまと師)で一度聴いたことがあるくらい。もちろん一之輔師では初。
最初の薪屋が「払うまでここを動かねえ」とやっていたあたりまでは『掛取り萬歳』かと思った。
借金取りに対してただ睨んでいるだけという顔芸のようなところもありつつ、睨む顔にもいろいろなパターンがあって面白い。照明の加減で顔に影ができるのだが、表情によってその影の形が変わっていくのが楽しい。

帰りは夕暮れの中を南下していく。松戸のあたりで夕焼けの中に浮かぶ富士山のシルエットがくっきりと浮かんでおり写真を取りたかったのだが、バッテリーのせいで一度バイクのエンジンを止めてしまうと再始動させるのにものすごく手間取るため断念。来週にはバッテリー交換しよう……。
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