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扇辰日和 vol.85 [落語]

扇辰日和 vol.85「アメリカ凱旋公演」
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『道灌』
入舟辰乃助『動物園』
立川志の春『ちりとてちん』
玉川奈々福『寛永三馬術 大井川乗り切り』曲師 広沢美舟
座談会〜アメリカ公演〜
入船亭扇辰『天狗裁き』

先月に行われた扇辰師のアメリカ公演のメンバーを一堂に集めた会。扇辰師も言っていたが、「今どきこのメンバーが3000円じゃ聴けないよ」というまことにお得な会。扇辰師曰く、会の日は先に決まっていて、たまたま全員が今日空いていたのだとか。そりゃすごい。

辰ぢろさんは唯一の非アメリカメンバー。さすがに協会の前座仕事を10日間も休めないのか。

辰乃助さん、挨拶に「ハウアーユー」。アメリカかぶれ。
「一蔵アニさんに外国の人向けの相撲の本というものを借りまして。英語で書いてあるのでよくわからないんですけど、十両のことを『テンダラー』、前頭を『フロントヘッド』、小結を『リトルリボン』と書いてあった」。確か一蔵師でも同じことを聞いたような。
アメリカでなんのネタをやればいいのか扇辰師に相談して、アドバイスされたのがこの『動物園』だったとか。ただし扇辰師は酔ってまったく覚えてないのだそうだが。
いろいろダジャレも入っていたが「それアメリカじゃやってなかったでしょー!」とメタでバラす。まあダジャレは通じないだろうし。
入船亭で『動物園』って珍しいような。トラではなくライオンに入るのだが、歩き方がなんか変。わざとなのかヘタなのか。

志の春師、あれ真打昇進後初かな。もう4年近く聴いていなかった。
志の春師は海外公演は何度か行っているそうで。とはいえ落語を英語にしてもそれほど印象は変わらないのだそうで、『転失気』の冒頭部分を私にもわかるような英語で実演する。固有名詞が多いので、それほど日本語と変わらないのだそうだ。なるほど?
以前シンガポールで『転失気』をやったら椅子から転げ落ちる人がいるほどウケ、「『転失気』は日本の宝だ」とまでいわれたとか。
志の春師もアメリカでやったネタを。
お世辞の上手い金さんが何を食べても「上から読んでも下から読んでも」と繰り出すのがおかしい。「灘だな」「鯛いた」「うなぎなう」とかそんなんだけど。
ちりとてちんを食べる際に六さんが「江戸っ子の生き様見とけ!」と見栄を切っているのに、ご隠居が冷静に「台湾土産なんだけどね」と返すひとことが鋭い。

奈々福先生も海外公演は何度も行っているそうで、毎回同じネタをやって各国での反応の違いを楽しんでいるのだそうだ。今回もそのネタを持っていこうと思ったら、呼んでくれたイェール大学の教授から「どうしてもこれ」とネタの指定があったそうで、「私の持ちネタの中で一番大変で疲れるものを選ばれて……」とのこと。その教授は奈々福先生のYouTubeで見ていたそうで、ご指定が入るのも納得の堂々としたコブシの回しっぷり。腹の底から出ている声を真正面から受け止めるとこちらまでも気持ちいい。

座談会では扇辰師が司会で辰之助さん志の春師、美舟先生、奈々福先生がアメリカ公演の話を。
公演自体の話は少なめで、前準備や移動、それと飲んだ話に大半が費やされる。複数人数でどこか行くなんて、昔いた会社で社員旅行でタイに行ったとき以来ないなあ。それ以外は旅はほぼひとり旅ばかりだけど、こういう話を聞くとなんかやっぱり楽しそう。

扇辰師の『天狗裁き』もアメリカでのネタなのか。なんか誰かが「海外だとわかりやすくてウケる」ようなことをいってたのを聞いたことがあるなと思っていたら兼好師と扇辰師だった。そういや扇辰師はヨーロッパ公演も行っていて、その時も『天狗裁き』をやっていたといっていたっけ。
海外を意識してなのか、夫婦喧嘩で「さあ殺せ」といってはいても、実際に殴るシーンはなし。隣の男とは殴り合いをしているのに。
天狗に助けられ、また夢の話を聞かせろといわれるのかを身構える熊五郎に「ワシは天狗じゃによってそんな話は聞きとうはない」といいつつたっぷりと間を取っての「……が」のひとことがまことに面白い。

たっぷり3時間近くのボリュームでコスパ最高の会でした。
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