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十代目入船亭扇橋独演会「凱旋」 [落語]

十代目入船亭扇橋独演会「凱旋」
於:新宿三丁目 道楽亭

入船亭扇橋『鋳掛屋』『野晒し』『宿屋の仇討』

あまり道楽亭には行きたくはないんだけど、まあ仕方なく。

一席め、「真打披露目が終わってから(オーナーの)橋本さんから『この日どうですか?』ってブワーっていろんな日の候補が送られてきた。これだけ挙げときゃどこかはあるだろ、みたいな。で、この会のタイトルってのは橋本さんが勝手につけるんですけど、『凱旋』って……。いやわかりますよ、披露目中は出られませんでしたから。でも『凱旋』って戦地に行った人が戦果を上げて地元に戻るときとかに使う言葉じゃないですか。そう考えるとですね、私のホームは寄席なんですよ。ここじゃないんだよなあ……」。私の勘違いなら申し訳ないけど、どうも道楽亭には前向きな感情が見えないんだけど……。逆に言えばオーナーとの信頼関係があるのか?
「道楽亭には二ツ目になりたての頃から会を開いてもらってます。ノラやの次くらいにお世話になってるんじゃないですかね」。目の前にオーナーがいるのに「一番お世話になってる」とは言わないのが正直。
「道楽亭には前身の店の頃からお世話になってますから。前身の店で初めて三K辰文舎のライブがあったんですよ。そのとき私は見習いで、師匠が音出ししているのを見ていて、『音出てるか?』って聞かれたりして。『ハイ出てます!』って答えたりしましたがホントはまったくわかってなかった。でもその経験があったんで地方の会場にいってマイクテストしてるときなんかにも『あー、ちょっと籠もってますね。ローを出してもらえますか』なんてハッタリをかませてますから」。
「今日は池袋の寄席からここにきてます。噺家の夢ですよ、昼に寄席に出て夜にワキの仕事に行くっていうのは。……でも池袋と道楽亭ってのもね……。いずれ鈴本からよみうりホール、みたいな掛け持ちみたいなことをしたいですね」など道楽亭いじりもふんだんに。
その後も大田区の小学校のワークショップに参加した話や、息子さんの学校に読み聞かせのボランティアに参加した話などをたっぷりとした後に『鋳掛屋』。
「たぶん道楽亭で二番めに多く掛けた噺じゃないですかね。続いて一番多く掛けた噺を……あ、『高砂や』じゃないですよ、それはさっき池袋でやってきましたから。……すっごいスベりました。なんか私、そういう『イチかバチか』みたいな噺が多いですね。さっきの『鋳掛屋』もそう。ウケるときはウケるけど、ウケないときはシーンとなる。……今日はまあまあでした」と『野晒し』に。そういえば一時期よく聴いていたけど、最近では久しぶり。
扇辰師から教わったんだろうなーというのが伝わってくる。幇間の新朝が長屋にやってきて空気も読まずにぱあぱあとヨイショをする場面が好き。「アタシがあそこにいたのをご存知ない!? んー愚か愚か愚か」という一言がなんかいつも心に残る。

三席め、「最近は旅の仕事も戻ってきました。明日は三人集で旅の仕事があるんですが、真打ってすごいですね、グリーン車ですよ。みんなでキャアキャアいいながらはしゃぐんじゃないですかね。……グリーンではしゃがれたら周りの人は迷惑ですから大人しくしてるかもしれませんが……」と旅の話から『宿屋の仇討』に。
侍の万事世話九郎の真面目な顔をして冗談をいうというキャラが扇橋師によく似合う。最後の場面で縛られている源兵衛たちに向かって「斬るぞぉ~」と笑いながら迫るところが若干の狂気を感じて楽しい。
タグ:入船亭扇橋
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