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人形町噺し問屋 その92 [落語]

人形町噺し問屋 その92
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『あくび指南』
ダメじゃん小出 パフォーマンス
三遊亭兼好『文違い』

なんかいろいろ仕事も立て込んでいるけれどもむりくり早めに上がる。今日もほぼ満席だがど真ん中の良席が取れた。

まずはご挨拶。
兼好師は占いにはあまり興味がないそうだが、先日やたら干支を気にするご婦人に捕まったという。「兼好さん52歳っていってたから酉年でしょ。酉年はしゃべる仕事はいいのよー。あと風邪ひきやすいっていってたのも酉年の人はそうなの」などのようにまくしたてられたとか。
「ただ私は早生まれなんで、本当は戌年なんですよね。でもどうにも言い出せなくて……。ずっと話しながら『ホントは戌年なんですけどね』って思ってた」。
さらにその後、家族で浅草寺にお参りに行ったときに台湾の方に絡まれ(兼好師曰くそういう人に絡まれやすい親子なのだとか)、干支は旧暦で考えなければいけないと教えられたという。そう考えると兼好師は酉年になるのだとか。「あのおばさんは正しかった」。

けろよんさん、圓生系小咄や『雑俳』『転失気』以外のネタは初めて聴くかな。
多分兼好師から教わったんだろうなあってのが伝わってくる。時間の都合かお祝いの口上の場面から直接サゲのシーンへ。

兼好師の一席め、先日八王子でチンピラに絡まれて怪我を負わされた上に車を奪われ、「八王子なめんな」と捨て台詞を吐かれたという事件があったそうで、「八王子にはまだそういうのがいるんですねえ。……さっきのけろよん、アレが八王子出身で……。だから最近優しくしてるんです。『ああん!? 八王子なめんな』っていわれたら嫌ですから。……でもキレるなら『けろよん』って名前つけられた時点でキレますよね。……危なかった」。八王子怖い。
最近は不良が少なくなったような気がする、昔は不良のほうがモテたから、本当は不良でもないのにそれっぽい真似をする子が多かった、という。たしかに私の中学時代はヤンキー全盛で、ひとつ上の代は給食の時間にしかこないヤンキーが自分の分のカレイフライを食われたと激昂して教師を殴って新聞沙汰になったバカがいたっけ。そんなのがモテてたらやだなあ。
江戸の昔も男はモテるために努力をしており、そのひとつが習い事だったと『あくび指南』に。
あくびの稽古がどんなものかを予想しているうちに、「女のお師匠さんが耳元で『はぁーあ』ってあくびして、俺も『はぁーあ』って。お互いに『はぁーあ』『はぁーあ』ってやってるうちに『本当に眠たくなっちまったねえ、寝ましょうか』って隣の座敷に布団が敷いてあるような……!」と妄想が繰り広げられていくのがおかしい。
またあくびの実演をするときも、いちいち師匠が「〇〇のあくび」とタイトルを宣言してから始めるのが面白い。言い方は厳かなのに、その後のあくびの前フリ部分は江戸っ子の軽薄な感じなのがまた落差が激しくておかしい。「風呂に入って都々逸からあくびが出て念仏を噛み殺す」というネタはなんとも芸が細かすぎてすごい。
夏のあくびのお手本を見せる前にシチュエーションの説明をするのだが、その状況説明が上手くて夏の風景が見えてくるのもお見事。

二席目の『文違い』はネタおろしか蔵出しか。少なくとも私は兼好師では初めてだし、終演後に周りの人も兼好師に「あのネタ何?」と聞いている人もたくさんいたのでレアネタだろう。そもそも『文違い』自体私は10年前に金八師、6年前に白酒師での2回しか高座で聴いたことがない。
複数の男から手練手管で金を巻き上げる内藤新宿の遊女おすぎが、結局は自分自身も同じ手口で情夫に金を奪われるというストーリー。情夫が落としていった手紙を読んだおすぎが、金をだまし取られたと気づくまでの感情の移ろい方の表現が秀逸。薄々は気づいていながらも、それを認めたくないという嘆きとその後のやさぐれぶりがリアル。

終演後、兼好師がイラストを描いた広瀬和生氏の著作『落語の目利き』を購入。後日サインを入れてもらおう。今日は広瀬氏もきてたから、仲入りとかで買えばよかったなあ。まあ来週の「けんこう一番!」にきてたらサイン入れてもらおうかな。
それにしても兼好師の落語家似顔絵ホントよく似てる。パッと見ただけで「あ、あの人だ」って瞬間的にわかるもんなあ。
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