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扇辰日和 vol.83 [落語]

扇辰日和 vol.83「扇辰、胸を貸す!」
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『十徳』
入船亭扇辰『お祭り佐七』
柳亭市弥『猫の災難』
入船亭扇辰『五人廻し』

金曜に会社の後輩に誘われ飲みに行く。
終電逃すわ二日酔いだわでもう。昨日は一日調子悪かった。
昨日は車検。二時間ほど車屋で待ち時間があるので図書館で借りた『同士少女よ、敵を撃て』を読む。さすが本屋大賞獲るだけあって面白いわ。……いや、これを「面白い」といっていいものか。第2次世界大戦時の独ソ戦争が舞台で、主人公がロシア側のなのでそちらの視点がメインだけれども、単純な善悪ではない。まあ大概の戦争小説はそうなんだけれども。これと同じようなことが今現在ウクライナで起こっているのかと思うと胸が痛む。通勤の往復中に読んだが、読了まで1週間かかった。図書館で俺の後ろにあと530人待ってるんだって。もう一度じっくり読みたいし、文庫版出たら買おうかなあ。

さて辰ぢろさん、「えー、私事で恐縮ですが、本日は両親と弟夫婦がきております。……この歳になって父兄参観とは……」。あー、俺の真後ろにいらした方々かな。開演前に「いやあ初めてみたときは顔が見られなかったよ」という声が耳に入ってきたもので。
そんなプレッシャーの中、見事一席演じきる。弟もキツいけど、なにげに弟の嫁さんの前でやるのってキツそうだなあと思った次第。

扇辰師の一席め、「えー、先ほどは辰ぢろでした。彼は最近良くなってきていて……」と明らかに辰ぢろさんの親御さんを意識したホメ言葉。いつもは弟子に厳しいのに。とはいえまあそこらへんはやってる方も聴いてる方もわかってやってる感が漂う。
続いて今回のゲストの市弥さんについても。「よく覚えてるのはね、『市馬師匠がまた弟子とったらしいよ。今回のはまともみたいだ』って楽屋でいってたことですなあ」。上の兄弟子ふたりってなにやったの?
「まあ今が一番いいときでしょうなあ。芸も右肩上がりによくなって……。あれで飲まなきゃもっといいんだけど……」とポツリとこぼし、拍手が起きる。まあ小辰さんもよくいってるけど新版三人衆はみんな酒癖よくないっぽいからねえ。
「今日はね、全員柳家の系統なんですよ。亭号は『柳家』じゃないですけどね」というところから噺家の系統や亭号のうんちくが披露されていく。会場からは「へえ~」という声が漏れ、「くう~、いいなあー、この反応!」と扇辰師もノリノリでいろんな話に広がっていく。つーか小辰さんもこういう話よく知ってるし、師弟で研究者肌なのか。
「今日は寄席の出番があって『団子坂奇談』をかけたんですが、楽屋に正雀師匠がいらして『あれ岸さんでしょ』っていわれるんですよ。岸さんは元噺家で、後に落語協会の事務員になった方。その方が師匠の扇橋に噺を教えたそうです。『茄子娘』なんかもそう。で、その岸さんが噺家時代に名乗っていたのが『市馬』なんですよ。でもね、亭号は柳家とか柳亭じゃない。三遊亭。昔は亭号とかぐちゃぐちゃだったんだよ」。へえーへえー。
そういう昔のうんちくから「掘り出してきた珍品」ということで『お祭り佐七』に。ん、これこないだの『扇辰日和』で掛けなかったっけ、この会場で聴いた覚えがあるんだけど、と思ったらそっちはオフィス10の会でした。
こないだ聴いたばかりなのにストーリーはほとんど覚えてなかった……。なんでだ。
『船徳』と同じく居候先のカシラとそこの若い衆たちとがワイワイやりながら自分たちの悪さを白状していく。若い衆の軽薄さとカシラの小言が楽しい。

市弥さん、すごいガラガラ声。
前日唄の入った噺を掛け、「師匠が唄うもんですから私もって。いけるかなーと思ったんだけど朝起きたらこんな声になってました」だそう。
小燕枝を継ぐにあたり、それが決まるまでの経緯と先代小燕枝である現さん遊師へ挨拶へ行った話を。師匠の市馬師が決めたのかと思ったら、市弥さんから案を出したそうだ。
「さっき扇辰師匠に『あいつも酒を飲まなきゃもっといいのに』って言われましたが……。それは仕方ないとして、何人か拍手してたでしょ! ……覚えてろ」と苦笑い。
「でもねえ、……好きなんですよね。ビール、焼酎、日本酒、ウィスキーとなんでも。やっぱり酒はいいですね」と噺へ入っていく。
仕事がはんちくになったとかサボったではなく、「久しぶりの休み」というシチュエーション。まあそっちの方が心置きなく飲めるので心持ちとしてはいいんだけど、そうすっとそんなに忙しい職人が手持ちの金がないっておかしくない? と余計なことが気にかかる。まあそもそもこの噺自体いろいろ細かい変なところが多いのだけれど。
酒好きの市弥さん、徐々に目が据わっていく様子がリアル。一蔵さんは「あにい」としてこの様子をリアルに目の当たりにしているのだろうか。それとも小辰さんが潰れていく様を観察してそれを演じてるだけだったりして。
「片身ィ猫に盗られたって、もう片身残ってんだろ。それどうした」と聞かれ、「えっ。……こう(脇に抱える)……イヤこんな(肩に担ぐ)……」という微妙な仕草が妙におかしく、それで騙される兄貴分も呑気で楽しい。

扇辰師の二席め、背負い投げを喰らわされてずっと苦悩するひとりめの客の煩悶ぶりをたっぷりと。
ふたりめの客の軍人か役人の固い口調と表現ながら、妻とのやりとりを切々と語る場面がなんともアンバランスで、しかも話してるのは「女がこない」という極めて即物的な内容で、その落差が楽しい。
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