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大日本橋亭落語祭2016 5月1日 [落語]

大日本橋亭落語祭2016 5月1日
於:三越前 お江戸日本橋亭

柳家三三『道具屋』
春風亭一之輔『悋気の独楽』
三遊亭遊馬『蒟蒻問答』
旭堂南湖『神埼の詫び証文・上』
笑福亭たま『あくびの稽古』
三遊亭兼好『看板のピン』

大急ぎで大塚から家に戻り、彼女と一緒に日本橋へ。ギリギリ3分前に到着する。
毎年GWのメインイベントといっても差し支えない大日本橋亭落語祭、これが一年で一番楽しみな会。
初回から毎年通っているが、しかしまあいつの間にやらすごい贅沢なメンツ。

さて毎年恒例、順番決めのジャンケン。まずはたまさんと南湖さんが勝ち抜け、次に一之輔師と遊馬師が勝ち抜け。
前座とトリが残った状態で三三師が兼好師を破る。三三師がどっちを取るかというところでたまさんが「ネタなんやったっけ?」とネタ出しのチラシを確認。兼好師が『看板のピン』と知ると、「なんや、トリで『あっ、中もピンだ』って噺をしてもなあ」とオチをバラしてしまう。
「こんなやりづらいことない」と兼好師から抗議を受けるものの、「しょうがないからオチ変えればええやん」と無茶振り。
「『看板のピン』なんて最初にやる噺でしょ」と兼好師が粘るも、三三師の「俺『道具屋』なんだよ」というひとことで撃沈。遊馬師や南湖さんに「(ネタ的に)トリ取りなさいよ」と絡んでいた。

で、三三師の『道具屋』。
前座噺とはいいながら、こんなに面白いのはさすが名手。
与太郎の足りなさっぷりが楽しい。
三三師がすごく楽しそうに演っているように見えるのは、気心の知れた仲間同士で作るこの会だからだろうか。

一之輔師、お妾さんのところに行く言い訳として「落語行ってこようと思って。日本橋亭で三遊亭兼好という噺家が『中もピンだ』という噺をするそうだから」と兼好師を追い込む。
定吉の図々しさがなぜか可愛らしい。たまに「(お妾といちゃついてる旦那に向かって)そんな顔を奉公人に見せられるのか!」とまともなことを言い出すのもおかしい。
三三師と一之輔師が一番手と二番手なんて超贅沢。

遊馬師、蒟蒻屋の親分の説明をするときに「江戸では『中もピンだ』といっていた親分で」とまたも『看板のピン』のネタを放り込む。
噺は寄席サイズ? ところどころ刈りこんであってコンパクトに。
遊馬師の『蒟蒻問答』は以前聴いたことがあったと思うのだがメモなどに残ってない。初めてだったかな。
しかしやはり遊馬師の声は落ち着く。

南湖さんは忠臣蔵の外伝的な講談。ここでも浅野内匠頭の辞世の句に『看板のピン』のネタを混ぜ、兼好師のハードルはガンガン上がっていく。
南湖さんはこの会でしか聞かないので、この声を聞くと「ああGWだなあ」と実感する。
講談は上下にわかれた連続もの。お約束の「これからが面白いのだが、この続きはまた明晩」が現実となる。

たまさん、現在上方落語協会では神戸に新しい定席を作ろうとしているらしく、たまさんはその委員なんだそうだ。周りは「ええやん、ウチに損ないやん」とイケイケらしいのだが、実際は職員の問題などかなり厳しいらしく、たまさんただひとりが反対しているそうだ。そこまで考えが回るのはやっぱりクレバーなんだろうなあ。
大筋は江戸落語の『あくび指南』と同じ上方落語の『あくびの稽古』。
しかし「浄瑠璃のあくび」や「踊りのあくび」など、浄瑠璃を語ったり踊りを踊っている最中にいきなりあくびをする。浄瑠璃や踊りが本格的なだけに、いきなり出てくるあくびがおかしい。
「軽業のあくび」では高座の上で三点倒立をしながらあくびをしていた。
その後もあくびで相手を倒す武道としてのあくびなど、アクロバティックかつスラップスティックな展開に。
……これ上方落語っつーかたまさんオリジナルだろうな。

トリの兼好師、周りからどんどん外堀を埋められ、「中もピンだ」という通常のオチでは終われない雰囲気の中で登場。最初の第一声からクスクスと笑いが起きる。
そんな中、最近の野球選手やバドミントンの賭博問題に触れ、「あの人達はやりますよ、勝負の世界で生きている人ですから。巨人の選手もやってるでしょう、おそらく『次に捕まるのは誰か』を賭けてると思いますよ」。ホントにやってそうだから始末が悪い。
ネタ自体変えることもあり得るかと思ったが、とりあえずは通常の『看板のピン』で噺が進む。
が、親分に騙された後にマネをしようとした男がほかの賭場に行ったあたりから噺が微妙に変わってくる。
多分このネタを今後やることはないと思うのでオチを書いちゃうと、そっちの賭場で行われていたのはサイコロひとつの「ちょぼいち」ではなく、サイコロをふたつ使った「丁半」で、看板のピンは何の役にも立っていなかった。事情を聞いた半公が、看板のピンのイカサマを面白がって「こうか?」とやってみると、「半ちゃんは器用だ、聞いて覚えた」。『干物箱』と『あくび指南』をミックスしたようなオチ。
「一体どうなるんだろう」と固唾を呑んで聴いていた客席からは「おお〜」という声が上がる。

落語の後は「IPPONグランプリ」。
舞台下手から司会兼チェアマンのたまさん、回答者の一之輔師、南湖さん、兼好師、遊馬師、三三師の順に並ぶ。
何故か全員紋付きの黒の着物に、首から黄色のタオルを掛けている。これはテレビの『IPPONグランプリ』で出場者が黒のタキシードに黄色い羽をつけているのに合わせたらしい。
お題は「新しい車編の漢字を作りなさい」「文枝師匠の(流出)写真に吹き出しをつけてひとこと」「落語界で使われていることわざ」。
なんというか、高校の文化祭のノリ。やってる方も見てる方も楽しさ半分、ハラハラ半分な感じ。
特に一本の基準があるわけでもなく、すべてたまさんの判断。「お前の匙加減じゃねえか」と三三師に突っ込まれる。
最初はスケッチブックを使っていたのだが、最後は挙手制の大喜利になっていったのもグダグダでおかしい。
全員やや毒を含んだ回答がおかしい。が、歌丸ネタになるとやや芸協の遊馬師の表情が強張ってた?

そんなこんなで密度の濃い二時間半。明日も有給とって行かねば。
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