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三遊亭天どん 真打披露興行 [落語]

三遊亭天どん 真打披露興行
於:鈴本演芸場

古今亭志ん吉『無精床』
金原亭馬遊『猫の皿』
翁家和楽社中 太神楽
三遊亭白鳥『スーパー寿限無』
柳亭市馬『一目上がり』
ホームラン 漫才
三遊亭圓丈『強情灸』
柳家小三治『小言念仏』
古今亭菊之丞『親子酒』
真打昇進披露口上
林家正楽 紙切り
春風亭一之輔『粗忽の釘』
柳家小菊 粋曲
三遊亭天どん『百年目』

休日出勤で少しばかり仕事をしてから鈴本に並ぶ。16時少し前で既に数十人の行列ができていた。
最後尾には鈴本の係員がチケットを持っているかを確認し、持っていない人には当日券がないことを伝えていた。そりゃあこの豪華な顔付で前売余らないよなあ。

白鳥師、これまで聴いたなかで一番面白かった。まずは客も含めて全員で「寿限無」の暗唱。『寿限無』を現代風にしたら、という改作ものだが、「寿限無寿限無」が「ジュテームジュテーム」となるとは。

市馬師、あの聴いているときに感じる絶対的な安心感は異常。
市馬師に裏切られたことは一度たりともない。
白鳥師に続き、おめでたい噺でお祝いムードを盛り上げる。

圓丈師、前聴いたときもたまたま『強情灸』だったような。たまに「めちゃんこ」と名古屋弁が混じる。歳を感じさせないハイテンションかつパワフルな高座。

小三治師、8月の一門会に続いて。こんな短いスパンで聴けるとはラッキー。しかも今回の鈴本での真打昇進披露興行で唯一の出演日。
物事にはすべて陰と陽がある、というマクラから、陰気な宗教が念仏、陽気な宗教が法華とつなぎ『小言念仏』へ。
這い出してきた赤ん坊を「あっちに連れて行きなよ」としながらも、「なーむあーみだー……ばあー」とあやすところがかわいらしい。

菊之丞師、昨日相撲を見に行き、マス席に座ってバッチリテレビに写っていたのだとか。それを見た客がメールを寄越してくるのでずっと携帯にかかりっきりになり、別の人から「ちゃんと相撲を見なさい」とお叱りがあったとか。
相変わらず噺がどこか艶っぽくて柔らかい。

真打披露口上は市馬師が司会で圓丈師と小三治師。会長と副会長を引っ張りだして豪華な口上となった。
小三治師の挨拶では「私はこの人とほとんど一緒になったことがないのでよく知りません」から始まり、圓丈師に「圓生襲名騒ぎどうなったの?」と脱線する。が、まわりまわって「次の圓生はあの人です!」と天どんさんを指名。わーえらいこっちゃ。

紙切り、プログラムでは二楽師だったが師匠の正楽師が登場。これまたラッキー。まず「若駒」を切り、リクエストの「雷門」「東京オリンピック」を切る。
「雷門」は完全に想定外だったらしく、少々苦戦していたようだった。切っていたものを途中で「やめた!」と方向転換。そんなの初めて見た。
どうやら雷門の脇に天どんさんの似顔絵を切ろうとしたのだが、あまりにも似てないのでやめたらしい。

「友情出演」で天どんさんの親友、一之輔師が出演。
しかしこの人はやっぱりすごいわ。
何度も聴いた『粗忽の釘』だが、寄席の尺に合わせて短くはなっているもののまた新たなギャグがふんだんに盛り込まれ、腹がよじれるほど笑わせてもらった。
ふぇーふぇーの土星踊りでサゲ。初めてその形を聴いたときは、次に上がった兼好師が「『粗忽の釘』あんなとこで終わっていいんだー……」と呆気に取られていたっけ。

さあ天どんさん、いや天どん師。
事前に弟弟子のぬう生さんが「出てくるときに『天どん』コールお願いします!」と煽っていたため、スタンディングオベーションで「てーんどん、てーんどん」のコール。なんだこりゃ。
しかも出囃子はなんと志ん朝師の『老松』。そして出てくれば「七代目(圓生)!」の呼び声。
こんなプレッシャーのかけ方ある?
しかし本人はいたっていつもの「お前らなにやってんだよー」みたいな反応。
仲入り時にピンクの画用紙(サイン入り)が配られていたのだが、それは噺の中で天どん師が「ここ!」と指示したら掲げろとのこと。噺が進み、向島の桜が咲いている描写で「土手はまるで薄紅を流したよう……はいここ!」と指示があり一斉に紙を掲げると、上手下手の袖から主に二ツ目がぞろぞろと出てきて客席を激写。天どん師は「いーですねぇーきれいだぁー」と満足気。が、「うん、お客さんからは何も見えなくて何も面白くないですねぇ。うん失敗ですねこれは。まあいいや、僕の思い出作りですよ」とすぐにネガる。
番頭さんと旦那が河原でばったりと出会うとき、番頭旦那番頭旦那番頭旦那と顔がくるくると変わってまるで映画のカット割のよう。

幕が降りた後、幕の向こうで噺家さんたちの三本締めが聞こえてきて、お客さんたちも一緒に幕の外から手を叩く。すると幕が再度上がり、噺家さんに囲まれている天どん師が。今日は出番のなかった小せん師や文左衛門師もいたようだ。

周りから愛されてるなーと実感した興行だった。

ちなみに配られたピンクの画用紙はそのままお持ち帰り。中には天どん師だけでなく、他の噺家さんのサインが入っているのもあったそうで、小三治師のものもあったのだとか。
豪華な顔付にお土産付き、大満足。
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