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新宿文化センター落語会 一蔵と市弥と小辰 [落語]

新宿文化センター落語会 一蔵と市弥と小辰
於:東新宿 新宿文化センター小ホール

春風亭一蔵 柳亭市弥 入船亭小辰 オープニングトーク
柳亭市弥『甲府い』
入船亭小辰『あくび指南』
春風亭一蔵『らくだ』

開演前に携帯の電源についてなどのいつもの影アナが入る。……ん、これ一蔵さんの声だな、と気づいたら噛むわ吹くわとボロボロに。その後もマスク着用の徹底に続いて「つまらなくても笑うということの徹底をお願いします」とやりたい放題。
小辰さん、市弥さんに続き、一蔵さんにもようやく後援会ができたようでチラシが入っていた。

オープニングトークでもその件について触れる。「私、定型文が読めないんですよ。本当は小辰さんの美声でやろうって言ってたんですけど。着替えるのが遅いんで仕方なく私が……」「アニさん『俺にやらせて』っていってたじゃん」とわちゃわちゃ絡む。
「今日はね、トーク長いです。というのもホントは辰ぢろさんに前座頼んでたんですけど、流行病ということでね……」。最近感染してももうそんなに話題にすらならないもんなあ。
「その分噺を長く演るっていう考えはないんですか!?」という小辰さんの言に大きな拍手が起きる。そらそうだ。なんなら誰かが二席やっても……。
トークの話題はやはり披露目準備が大変だということ。
三人集としての御礼状などの宛名書きをいつも小辰さんと市弥さんで書いているらしいのだが、市弥さんが「もうボールペンでいいっすか」といい出したらしく。「お前噺家なのにボールペンはないだろう」とたしなめたそうだが、「アニさんは全然書かないじゃないですか!」と反撃を食らう。小辰さんが「今日なんかアニさんの個人名で出さなきゃならない御礼状の宛名書きを頼まれてさすがにそれは怒った。『いい加減にしなさい』って」。一蔵さんは「いや俺は筆に難があるというか……」といいながらも「俺の字は一部の人には『たまらない』といわせる字ですから」という。市弥さんと小辰さんは「えー……」と納得の行かない様子。「じゃあ今日の演目張り出しをそれぞれで書こう。それでお客さんに投票してもらおう」と急遽イベントが盛り上がる。「あっ、でもお前難しい字の噺を演るなよ。『藁人形』とか書けないからな」「『紫檀楼古木』とか」「なんだそれ噺自体知らねえ」などキャッキャキャッキャと盛り上がる。というかやっぱり小辰さん師匠のこと好きすぎじゃない?
「まあえーとかつらみやおさむさん、でしたっけ? よく知らないんですけど。あとパクザンでしたっけ? 最近は押されっぱなしですから我々の真打昇進から『打倒成金』で盛り上げていきたいと思います!」と決意表明。
幟や後幕もできてきたそうだが、小辰さんがまだできていないそうで。後幕の染め方にも注意が必要だそうで、「仕上がるまで気ぃ抜いちゃダメ……なんで俺一足先に昇進してるような言い草になってんだろ」と一蔵さん。
「それにしても我々は本当に仲がいい。これまでさんざん真打昇進の準備で上の人たちがつかみ合いの喧嘩にまで発展しているのを目の当たりにしてきましたが、我々はノー喧嘩ですから」だそうだ。ただ一蔵さんによれば「この三人の中で俺が一番上ってのがポイント。それで何をやっても許される。で、小辰が一番下ってのも外せない。この順番だからいい。だって小辰お前が一番上だったら俺のこと受け入れてないだろ!?」「そんなことないですよ。……でも『お前筆で字が書けるようになれよ』とは言うでしょうね」とやっぱり宛名書きに対する鬱憤は相当溜まっているようだ。

一番手は市弥さん。市馬師から着物をもらったそうで、しかも仕立て直しをしてくれた状態だったらしい。さすが市馬師優しい。着てみたところサイズもぴったりだったそうで、早速次の日にお礼の電話をしたそうだ。そこで「サイズピッタリ」といったところ市馬師に「お前噺家なら『サイズ』とか言うな」とかなり怒られたそうだ。ただその後にオチがあって……とここでは書かないけれども。
なんか最近『甲府い』をやたら聴いているような気がする。仲入りのときに後ろのオジさんも「最近よく聴くんだよなあ」といっていたので流行りがあるのかもしれない。
親方の江戸っ子っぷりが強めで市弥さんの口跡と合っているように思う。……けどちょっとやりすぎというかあざとさもちょこっと感じるかな。
善公に意向を聞くときに、おかみさんが口籠もる逡巡がリアル。

小辰さん、最近聞き間違えなどが多いというような話題から、うどんを出す居酒屋で飲んでいたときに、隣のチャラい集団が4人全員カシスウーロンを頼んだという。受けたのはバイト初めてという感じの外国人女性だったのだが、しばらくすると素うどんが4つ運ばれてきたという。なるほどありえない話じゃない。面白いなと思って小辰さんもカシスウーロンを頼んだところ……という話をマクラに。
女の師匠を思っていたのに出てきた師匠が男でキョトンとしているその佇まいがおかしい。
それで「看板かよ……」と嘆き、適当にあしらっていたのが一度実演を見た後の手のひら返しがまた面白い。心を入れ替えて稽古に励もうとするが、「すみませんさっきはまるで聞いてなかったもんで」と何も覚えていないのがまたおかしい。

一蔵さん、「さっき小辰さんが『一蔵アニさんが”甲府”ってどうやって書くんだっけっていってた』といってましたけど、そんなわけない。私元トラックドライバーですよ。中央道で『甲府』って3つ出口があるんだからどれだけ見てると思ってんだ。……でも『欠伸』はちょっと自信がない」。
小三治師の芝居の池袋演芸場で弟子入り志願をした話をマクラにひらがなの演目『らくだ』に入る。漢字で書けば「駱駝」だけど、さすがに漢字表記は見たことないなあ。
最近はいろいろな演目を抑えめに演じているように感じていたが、久しぶりにフルパワーの姿を見たような気がする。兄貴分の恫喝もそうだが、屑屋が酔っ払ってからの酒乱ぶりがものすごい。最近抑えめにしている反動か、ちょっとやりすぎなような気も……。初めて聴く人とか引いちゃうんじゃなかろうか。

終演後、演目が3枚貼り出されていた。
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②が一番上手いと思って投票したところ、市弥さんだったようだ。字上手いね。①と③もどっちも見覚えがあるのだが、どっちが一蔵さんか見分けがつかない。
一蔵さんのTwitterによれば①が一蔵さんで③が小辰さんらしい。あー。今思えば「小辰」の字はよく見ますわ。
メールを見たらもう後援会に振り込んだお礼が来ていた。時間的に市弥さんの高座のときじゃん。早っ。
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