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実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『転失気』『紋三郎稲荷』『甲府い』

ようやくアメリカの大統領が決まったようだがどうなることやら。ていうか州ごとに集計方法が違うって初めて知った。そんな適当でいいんかい。

小辰さんも「トランプがゴネてるみたいですね。『集計を止めろ!』なんて言えます? 私この間NHKの新人演芸大賞に行ってきたんですけど、その集計の途中で権太楼文珍師匠に向かって『止めろ!』なんて言えませんよ。それをあの人はアメリカ全土、全世界に向けて言ったんですから。敗北宣言も拒否したそうで、新人大賞で言えば獲れなかった人が『やだー!』って駄々こねてるみたいなモンですよ。そんなことできます? あの人なら自由の女神にしがみついて『ヤダー!』って言いそうですよね。というかやってほしいですよね」とのこと。確かに……。
まあ賢いからなにか先を見越してゴネてるんでしょうけど、今日は私は子どもしか騙せない、子ども騙しの噺をします、と学校寄席でよくやるという『転失気』に入る。確かにあまり小辰さんでは聞かないな。
小辰さん曰く「素人時代に聴いてた頃は高座で掛かるとガッカリナンバーワンの噺」とのこと。まあわかる。というかほとんど前座さんが演る噺だし。ところが「演る方に回ってみるとやってて結構面白い」そうだ。まあ人によっていろんなところにいろんな工夫入れてるからなあ。私の中では馬るこ師の腹黒和尚が最高に面白いんだけど。馬るこ師最近聴いてないなあ。『新ニッポンの話芸ポッドキャスト』を聴いているのでついご無沙汰感が薄れてしまう。
閑話休題、今日は和尚に「転失気は盃」と嘘を教える場面で、和尚の「『転失気はありますか』と聞いたのは『酒を飲みますか』ということか」という一言が入っていた。私はいつもこの場面で「和尚はなんでこんな簡単に騙されるんだろう、医者の発言の意味が通じないじゃん」と思っていたのだが、そう解釈したということであれば納得がいく。あれ、みんなわかってた? とはいえこうやって説明が入るとわかりやすい。『転失気』なんて何十回、下手すれば百回以上聴いた噺でも新たな発見があるのは嬉しい。

そのまま二席めに。
いつもながら小辰さんの平馬は武士らしく落ち着きがあってどっしりとした貫禄がある。その平馬が茶目っ気を起こすという落差がおかしい。
駕籠屋に入れ知恵された宿の主人が恭しく挨拶にくる場面で、狐のフリを終えていた平馬が「何言ってんだコイツ」とあっけにとられた表情をするのがいい。

三席め、いつもよりもさらにしっとり感が増しているように感じた。
娘のお花の婿に善吉はどうだと親方夫婦が話し合う場面で、無言の口パクで腹を探り合うという演出は初めて見た。……そこはちょっと分かりづらかったかなあ。
全体的に笑いが少なめなこの噺で、個人的には最大の笑わせどころがこの場面で「善吉がどう思うかわからない」とおかみさんに釘を差された親方が激昂してひとり突っ走るところだと思うのだが、ここがどうにも誰で聴いてもいまいち消化不良なんだよなあ……。頭に血が上った親方が善吉に勢いよく啖呵を切ったところと、おかみさんに軽くあしらわれて善吉が涙ながらに了承したことで一気に空気が抜けた感じになって「これからもよろしく頼むぞ、倅や」となる落差が面白いんだけど、なんかどうもしっくりこない。なんでかなあ。
あと扇辰師もそうなんだけど、善吉から「身延山に願ほどきに行きたい」と言われた親方が「すっかり忘れてた、すまねえ、『なんて気の利かないバカ親父だ』って思ったろ」と何度も聞いて善吉に「はい」と言わせる場面はあまり好きじゃないなあ。あれいる?
なんか今日は全体的に文句多めのような気がするが、高座はとてもよかったと思ってます。

朝のなかの芸能小劇場は久しぶりな気がする。
いつものように高円寺まで行ってタイ料理ランチ。今日はレッドカレーに加えてヤムウンセン(春雨サラダ)も加え、大変満足。ヤムウンセン久しぶりに食ったけど、やっぱり美味いなあ。
タグ:入船亭小辰
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