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第七十一回 一蔵ひとりの会 [落語]

第七十一回 一蔵ひとりの会
於:神保町 らくごカフェ

春風亭一蔵『釜泥』『愛宕山』『宿屋の富』

清瀬から電車を乗り継いで神保町まで。思ったより前の会が押したので寄り道や買い食いをするヒマもなくピッタリ3分前に着く。これバイクだったらかなりヤバかったな……。

一席め、時期の近いバレンタインの話題をマクラに。過去に三人集の会をバレンタイン前後にやったことがあるらしく、それぞれのファンでチョコに傾向があるという。曰く、小辰さんのファンは数はさほど多くはないものの、上品で高級ブランドの大きな包みを持ってくるそうな。市弥さんのファンは「市弥LOVE!」という感じで手作りが多く、大きさは小さいもののとにかく数がすごい、それとできるだけ離れようとしないというのが特徴だとか。
そのふたりに挟まれて「あいつチョコ貰えてない」と男性ファンから笑われるのが一蔵さんだとか。まさかそんなことはないだろうが、確かに一蔵ファンは他のふたりに比べて男性率が高い気がする。
今日は一席めがネタおろし。
釜の中で退屈だからといろいろ妄想を膨らませる豆腐屋の姿が面白い。「誰か訪ねてこないかな。八っつぁんとか。『こんなところで退屈でしょう?』と聞いてくるから『いや私には書画骨董という趣味があるから』……ってこれじゃ別の噺だよ」みたいな感じでいろんなところに別の噺のくすぐりを乗せてくる。
二席めで明かしたところによると、この噺を教えてくれた三朝師から「この噺つまんないから好きにやっていいよ」と言われたとか。

二席め、一蔵さんの地元では今でも『大山詣り』の大山講のような「講」が残っており、皆でいろいろなところへ行って町内分のお札を貰ってくるのだそうだ。
今度愛宕山へ行く講があり、町内会長に「お前も行くか?」と誘われたらしい。喜びつつも「芸人だからタダで行くわけには……」というと、町内会長がポケットマネーで2泊3日で5万出してくれるという。大喜びで受けたものの……というマクラからそのまま『愛宕山』に。
幇間の一八が一蔵さんそのままに太っているという設定。なので山に登るときもすぐ疲れてしまうのがおかしい。
尻を押す重蔵の仕草も、「お前がその格好をすると相撲取りが鉄砲やってるようにしか見えない」というセルフツッコミが入る。

三席め、ホラ吹きの男が途中で「吹きすぎたな」と思いながらも、宿の主人が素直に信じてしまうので引くに引けなくなってしまう様子が面白い。「え、これ信じるの?」とちょっと焦る表情がいい。

3月は池袋演芸場でのスペシャルなのだが、金曜日ということで行くのはちょっと難しそう。しがないリーマンは辛い。
タグ:春風亭一蔵
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清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 柳亭こみち 神田鯉栄 三遊亭兼太郎 翁家和助 三遊亭ごはんつぶ [落語]

清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 柳亭こみち 神田鯉栄 三遊亭兼太郎 翁家和助 三遊亭ごはんつぶ
於:清瀬 清瀬けやきホール

三遊亭ごはんつぶ『十段階評価』
三遊亭天どん『堀の内』
三遊亭兼太郎『堪忍袋』
柳亭こみち『長屋の花見 おかみさん編』
神田鯉栄『扇の的』
翁家和助 太神楽
三遊亭天どん『芝浜』

会場の清瀬近辺にゆかりのある人たちが出演している。
先日萬橘師の会があったときにチケットを買っておいた。先日はさすがにバイクでは体の芯まで冷えてしまい、今日はその時よりも輪をかけて寒いのでおとなしく電車で。あの時スピード違反で捕まったトラウマもあるし。

まずは天どん師、兼太郎さん、鯉栄先生、和助さんの4人でオープニングトーク。「今日初めての人ー?」とかやってるうちにこみち師がガラガラを引っさげながら登場してきた。「浅草演芸ホールから着物のままきました!」と息を切らしていた。かゑるさんのバイクで上野まで送ってもらったそうな。着物でバイクってすげえな。舞台の上で防寒着を脱ぎだし、天どん師に「こみち落ち着け!」兼太郎さんに「こんなストリップあります!?」と口々に突っ込まれていた。
皆清瀬の近く出身なのだが、鯉栄先生だけは生まれも育ちも清瀬とは無関係。それがなぜこの会に呼ばれたのかは後で話すという。

ごはんつぶさん、「前座の仕事は対比です。芸歴の浅い芸の粗い前座が出ることで後の真打を引き立たせているのです」。なるほどと思ったがそれが噺の筋とも関わっていた。
レストランで食事をしているカップルの噺で、前半は男性のセンスを女性が10段階で対比評価するというもの。ちょっと噺の締め方が強引かなあ。

天どん師、この会の支配人的立場なのか、ひとりだけ二席。
とはいえそんなに長いものはやらない、ということで『堀の内』の金坊と風呂に行くところから。
脱衣所で「アンタ毎日ウチの娘脱がすんだ」と言われて『だったらお前も対策を練れ」と返すのがおかしい。

兼太郎さん、若い衆が集まって呑む噺以外の噺を聴くのは久しぶり。昨日のさがみはらは残念だったけど、相手が悪かったとしか。
夫婦喧嘩の噺ではあるけれど、「死ね」とか「殺すぞ」という不穏なパワーワードを何度も力一杯叫ぶのはあまり聞いてて気持ちのいいものではないので、もうちょっと控えた方がいいと思う。たとえ変顔とセットとなっていたとしても。
あと客席にアンケートをとる客席いじりも、あれはかなりのアドリブ力が必要なんじゃないかなあ。障子の桟や刻んでいる大根についての意見が夫婦で食い違うところが面白いので、そこは話の腰を折らずに一気に聴きたい。
それと客に文句付けるサゲはちょっといかんよ。
なんか注文ばっかりになっちゃったなあ。ホントに頑張って欲しいと思っているんだけど。

こみち師、『長屋の花見』の裏側のサイドストーリー? 長屋のおかみさんたちも集まって花見に行くという噺。
男どもはおちゃけに大根の蒲鉾と玉子焼きなのに、おかみさんたちはみんなで美味しいものを持ち寄って、灘の生一本を呑んでいるのは現代のリーマン父ちゃんとランチ女子会の風刺なのか。
途中でおかみさんのひとりが「私踊ります!」といって『東村山音頭』を踊りきって大喝采を浴びる。

鯉栄先生、清瀬は若い頃に劇団員の彼と同棲していた土地だったのだとか。お金がなくて苦労した話など。
なんつーかまあホント甘酸っぱいというか他人が聞くと酸っぱさ99%というか。

天どん師の二席め、マクラもそこそこに「噺家の時知らず」といって『芝浜』に。
昨年末は一度も聴けなかったこの噺を2月になって聴けるとは。
改心前の勝五郎の口癖が「めんどくせぇー」「楽してぇー」というのがいかにも天どん師らしくて好き。
それと以前のお得意が改心した勝五郎について話をしているところもいい。こういう細かい演出を入れると本当に真面目になったんだと思える。
気がつけば1時間近い熱演。長さを感じさせない一席だった。
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