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けんこう一番!第八回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第八回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『強情灸』
三遊亭じゃんけん『位牌屋』
三遊亭兼好『不孝者』
池山由香 アルパ&歌
三遊亭兼好『花見の仇討ち』

今日は代休。正直代休を取れるだけの余裕もないのだけれど、ここ最近のストレスで心身ともに壊れそうなので思い切って休む。が、気がまったく休まらないで自然と顔がしかめっ面になってしまう。こんなに仕事が嫌になったのは初めてだなあ。金さえあれば。
夜勤明けの彼女を車で迎えに行き、回転寿司をたらふく食べ、ふたり揃って床暖の上で猫と一緒に昼寝。それはそれで幸せなシチュエーションではあるけども。

雨が降るというので電車で。

兼好師の一席め、今年は金沢が税務署に狙われている、という話題から。金沢新幹線が通って潤ったために不正をする人も増えたという。そこから昨年ご自身が税務署に監査に入られた話になり、結局なにもなかったが、「足立区にだって人はいっぱいいるので、そんなひとりだけに構っていられないんで、今後はおそらくもう二度と監査が入ることはないんだそうです」といってニヤッと笑う。
何も不正がなかったのは、お金の管理を任されているおかみさんがそういうことが嫌いだからだという。不正大好き、というのよりはいいが、それは反面頑固で融通が利かないことにつながるという。人の名前を間違えたり、買い物を間違えても絶対に謝らない、強情だ、といって『強情灸』に。
峰の灸の従業員が首を小刻みに左右に揺らすのだが、それだけでもうなんとなくおかしい。
腕に山盛りの灸を据えて、いよいよ熱くなったとなったときに大抵の人は声が低く腹に力が入った感じになるのだが、兼好師は声が裏返って「はっぷ@/&_#石川っ@/&_#☆¥%」とうわ言のように呟く。これがまたとにかく面白い。

じゃんけんさん、座布団を返さずそのまま座る。
高座返しっていうのは後に座る人へのエチケットみたいなものであって、師匠の後に座るのに座布団を返すというのはおこがましい、ということなのだろうか。勝手な推測なので合ってるかは知らん。
旦那が芋屋から芋をせしめる場面は繰り返しが必要なんだろうけど、あそこはなんとか短くならないものか。芋屋の戸惑いやイライラが伝わってくるのはよかった。

兼好師の二席め、同窓会に行ってみたい、幼馴染と久しぶりに会ってくっつくということもあるというところから噺に入る。
『不孝者』は久しぶりで、あのマクラから何の噺か思い出すのにしばらくかかった。
いつもながら兼好師の田舎者はエッジが効いていて面白い。
旦那がお茶屋に乗り込んで行った場面は笑わせる要素は少ないものの、小唄を聞かせるなど芸達者ぶりを遺憾なく発揮する。
芸者の欣也との思い出話などもしみじみと聴かせ、後半になっていくに従っていよいよ盛り上がっていく。
中だるみもなく、その聴かせようはまったくお見事。
なんかいい雰囲気なんだこれが。だからこそ最後の一言が効く。

パラグアイの民族楽器アルパ奏者の池山さんがゲスト。
アルパとはスペイン語で「ハープ」のことだそうな。
通常のオーケストラなどで使うハープとはふた回りほど小さい感じで、150cmくらい?
いつも思うのだが、楽器の形が▷のような形ならば弦の張り方は均一でいいと思う。が、ハープは上辺が波型になっていて弦の長さの変化が均一ではない。あれどういうチューニングなんだろう……という中途半端に楽器をかじった者の中途半端な疑問がモヤモヤする。
あとこういうマイナー楽器奏者の、なんでこれを選んだのかという動機を聞いてみたい。池山さんは子どもの頃に家庭の都合で南米で暮らしたそうだが、だからってなぜアルパをわざわざ選んだのか? ケーナだってあるじゃないか。
そんな私の疑問なぞどうでもよく、『コーヒー・ルンバ』、『ベサメムーチョ』、パラグアイ民謡『牛乳列車』、『早春賦』と披露していく。
『牛乳列車』よかった。途中でテンポの刻み方が変わるのは、南米音楽の特徴なのだろうか。
最後のメキシコ民謡はタイトルわからず。
いやあいいもの聴いたなあ。これ好き。

兼好師の三席め、いよいよ花見シーズンの噺ラッシュが始まると感じさせる一席。
兼好師が他の人と違うのは、噺の中の茶番のクオリティが高いこと。
稽古を積んで浪人役と巡礼兄弟の殺陣などが上手くいっているからこそ六部の不在が惜しい、と噺の筋を無視した感想さえ出てきてしまう。
そもそもこの茶番のクオリティが低かったら、助太刀の侍たちは首を突っ込んでこないはず。なんか兼好師の噺は、落語によくあるそういう矛盾をロジカルにさらっと解消してくれて、もうなんというか俺みたいな小理屈を捏ねるヒネた落語ファンを納得させてくれるから……もう好き。
落語によくある「そこらへんはまあいいじゃん」という理屈が通らない部分と、「いやそれはおかしい」という理屈とが、うまい具合に融合しているのが兼好師の落語の魅力だと思うのです。

酔っ払いながらこれを書いているので、自分でも何言ってるんだからもうよくわからなくなっていることをお詫びいたします。
まあ詰まるところ、兼好師匠はいい、ってことだよ!

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三遊亭兼好芸歴20周年記念公演 まるっと兼好。 千葉 [落語]

三遊亭兼好芸歴20周年記念公演 まるっと兼好。 千葉
於:本八幡 市川文化会館

三遊亭しゅりけん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『雛鍔』
柳家権太楼『猫の災難』
三遊亭兼好『徂徠豆腐』

まるっと兼好2回め。
天気もいいし暖かそうだったのでバイクで行くかちょっと悩んだが、結局は電車で。昼は暖かくても陽が落ちると寒いんだ。

しゅりけんさん、お弟子さんの中では一番兼好師っぽくないというか兼好テイストを感じないのだけれども、この噺は兼好師に習ったんだなというのがよくわかる。

兼好師の一席め、学生の頃は市川のあたりはよくきていたという。
大学は二松学舎で、一、二年次は武道館の近くの校舎ではなく「しょうなん」キャンパスだったそうな。東京に出てきてサザンのイメージでキャンパスに行ってみたら、千葉の手賀沼近くの「沼南」だったとか。そういえば兼好師の高校や大学時代の話とかほとんど聞いたことないな。
続いてゲストの権太楼師の話に。以前はそれほど落語協会と圓楽党との交流がなかったため、実際に会ったのは二ツ目に上がってからだったという。権太楼師の『鰻の幇間』を袖で聴いてゲラゲラ笑っていたら、他の落語協会の先輩に「そんなに笑うならお金取るよ」と言われたとか。でも権太楼師の『鰻の幇間』面白いもんなあ。
弟子や子どもたちが似て欲しいところは似なくて、似ないで欲しいところが似ているという話になり、そこから『雛鍔』に。
やはりおかみさんが番頭さんにお茶を淹れるときの小言のシーンが面白い。「濃いお茶あるだろ、番頭さんから法事でもらったいいお茶……それは『恩を仇で返す』って言わないよ」など新しく聴くくすぐりがいくつも入っていた。いつも思うがこの植木屋は結構博識だよね?

権太楼師登場。先日香川に行った際に金刀比羅宮に行ったのだが、そのとき参道に『金毘羅船々』がずっとBGMとしてかかっており、「なんで権太楼師の出囃子がずっとかかってるんだろう」と思っていたが、そら金毘羅様だからだよね。すっかり落語脳ですなあ。
最近浅草などでは外国人が増えたという話から自身が海外に行った話や金馬師とハワイへ行った話などをマクラに。
噺へは特に繋がりはなく、唐突に「ああー、呑みたい!」と始まる。
酒をこぼしたときになぜかこぼれた酒を顔や頭に擦り込むのが他の演者よりも丁寧で、そこがなんだかおかしい。わかるような気もするしやっぱりわからないような。

兼好師の二席めはネタ出しの『徂徠豆腐』。
先月の『東京かわら版』の兼好師の連載で挿絵が『徂徠豆腐』だったのでその絵柄が頭に思い浮かぶ。
徂徠が豆腐を頼むときに一丁か二丁かで逡巡する様子がおかしい。その後のストーリーを知っているので、良心の呵責と戦ってるんだろうなーというのが伝わってくる。
豆腐の食べ方が特殊なのは以前からだったが、おからや握り飯の食べ方までが変な形になっていてこれもおかしい。
いろいろ魅力的なキャラが出てくる噺だが、やっぱり面白い人となれば大工の棟梁かな。よく確かめもせずにペラペラとよく喋る軽薄ぶりがたまらない。話がよく飲み込めない上総屋たちの様子を見て「あれ……? 違う人の家建てちゃった……?」という呟きの破壊力がすごい。

終演後にロビーに出ると兼好師のイラスト入りの演目表が。相変わらず上手いなあ。
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帰りに有楽町で志の輔師が主演をしている『猫とじいちゃん』を観ていこうかと金券屋でチケットを買っていくも、お目当ての上映回は満席。ネットで見たときは「余裕あり」って出てたのにー。ロングランしてくれればいいんだけど。
明日は横浜の神奈川宿寄席に行く予定だったのだが、仕事がどうしても終わらないので休日出勤。あーあ。
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池袋演芸場 二月中席 二月十七日 [落語]

池袋演芸場 二月中席 二月十七日
於:池袋演芸場

ぴろき ウクレレ漫談
三遊亭遊雀『初天神』
古今亭今輔『雑学刑事』
鏡味正二郎 太神楽
三遊亭遊馬『井戸の茶碗』

遊馬師が主任の芝居、最近遊馬師の会に行けていないのでこれは行かなければ。
なにげに今年初遊馬。うーむ。
池袋に着くとちょうど仲入り。客席は5~6割といったところか。

仲入りが終わり幕が上がろうとしたところでポロロンとウクレレの音がする。あれ? コント青年団じゃなかったっけと思ったら代演でぴろき先生だった。これは嬉しい。俺ぴろき先生大好き。
相変わらずのゆるい感じで練り込まれたネタを聴く。ところで前はギタレレじゃなかったっけ? 今は普通にウクレレだけど。

遊雀師、こんな短期間に3回も聴けるなんて私のサイクルでは珍しい。けど嬉しい。
遊雀師の『初天神』はほとんどが団子を買え買わないの攻防。中盤からは金坊の嗚咽がメイン? この嗚咽と、子どもの筋の通らない理屈のこね方がリアル。

遊馬師、やはりトリとなると自信のあるネタで勝負ということか。
千代田卜斎と高木作左衛門ふたりの侍の表情がいい。すっとした表情から清兵衛さんを睨みつけ、見得を切るような感じで眉を上げ下げして威圧する感じがたまらない。
緊迫するような場面ではハメものも入り、場を盛り上げる。これは独演会での演出を入れたのかな。
私が落語にハマるきっかけとなった遊馬師の『井戸の茶碗』、相変わらず結構でございました。
やっぱりこの噺はいいなあ。刷り込みもあるだろうけど、遊馬師の型が一番好きだ。
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第6回そば打ち体験・兼好落語 [落語]

第6回そば打ち体験・兼好落語
於:本所地域プラザ・BIGSHIP

三遊亭しゅりけん『手紙無筆』
三遊亭兼好『長屋の花見』
三遊亭じゃんけん『位牌屋』
三遊亭兼好『辰巳の辻占』

朝起きるとなんか胸の調子がおかしい。
心臓の鼓動が明らかに早くて不整脈で、こんなことは今までなかった。
けど看護師の彼女によれば不整脈はそんなに珍しいものではないとのことなので、とりあえずほっとく。どっちにしろ今日は病院も開いてないし。

兼好師の地元、会津若松の隣の会津坂下市が主催のそば打ちと落語の会。
いつもならまずそばを打ち、そば玉を作ったところで寝かしている時間に落語やってたはずなんだけど、今日は会場の都合で落語が先なんだそうだ。まあ俺はそば打ちは参加しないからどっちでもいいんだけど。

しゅりけんさん、まだやや硬いとことはありながらもほぼつっかえることもなくやりきる。

兼好師の一席め、やはり「時間が早い」というぼやきを。「お客さんもそうでしょ?」というが、リーマンにとって10時半なんて仕事真っ最中の時間だしなあ。ただ、せっかくの日曜なのに、いつもとそう変わらない時間に起きなきゃならないのはちょっと悲しい。
長屋の住人たちが戸を燃やす様子を嬉々として話したり、昨年の悲惨な花見の様子を語るのが笑える。
花見に行ってもぶつくさいいながらも大根のかまぼこを次々と平らげていく男がいたりと、全体の筋を保ったまま新しいくすぐりが大量に散りばめられていた。

仲入り後にじゃんけんさん。
この『位牌屋』、ちゃんと高座で聴くのは初めてかも。
強欲な旦那とそれを真似る小僧の噺で、子どもの頃に興津要氏の『古典落語』シリーズでテキストを読んだような記憶がある。
旦那にむしられる芋屋は気の毒だが、噺がループしても結局最後まで付き合うのはいかにも落語っぽい。

兼好師の二席め、辰巳芸者は気が強く、客が叱られたりしたらしい。現在の落語の先輩でもそういうのが好きな人がいるらしく、店の女性に叱られながら嬉しそうに飲んでいる、私はなんでわざわざそんな女房のような人と飲まなきゃいけないのかわからない、と『辰巳の辻占』に入る。
兼好師の場合、心中を持ちかけるためのストーリーとして「酒の席の喧嘩で友人を殺した」などではなく「おじさんが金をくれないから」という単純なもの。シンプルな分、お玉の金に対する執着がよく見える。

会津坂下のりんごとドライりんごを買って帰宅。タイカレーを食べてから今度は彼女を職場まで送っていく。……なんか俺すげえ献身的だな。
そういや落語聴いたら不整脈は収まってた。何だったんだアレ。
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第九回高円寺演芸まつり 座・高円寺寄席「百花繚乱! 四派そろい咲き」 [落語]

第九回高円寺演芸まつり 座・高円寺寄席「百花繚乱! 四派そろい咲き」
於:高円寺 座・高円寺2

立川談洲『真田小僧』
三遊亭兼好『孝行糖』
立川談笑『テレビ算』
林家彦いち『つばさ』
三遊亭遊雀『二番煎じ』

兼太郎さんの後は師匠の兼好師を聴きに行く。
会場も歩いて5分くらいしか離れていない。

談洲さん、去年もこの会で聴いたときに上手いなーと思ったが、さらに磨きがかかったように思う。
金坊の口ぶりがやたら現代的でサラリーマンのような物言いなのだが、その不自然ささえもスルッと入ってきて面白い。

兼好師、最近洗濯を干していると(洗濯干しは兼好師の仕事らしい)とごくまれにさお竹売りがやってくるという。売り声が男性と女性の2パターンがあって、女性の方だとなぜか嬉しくなるとか。そこから売り声のマクラに。
兼好師がこういうなんというか定番のというか定型のマクラをやるというのは珍しい気がする。
その後、「高齢化社会なのだから、コンビニなんかも行商に出ればいい。デパートなんかもどうでしょう。パルコなんかは若くて可愛い感じの売り声に、高島屋は紳士風、三越は妙齢のマダムみたいな感じで。で、東武デパートはちょっと田舎っぽい感じに訛ってる、なーんてどうでしょう」。オチに使われる東武……。
そんなところから『孝行糖』に。与太郎ののほほんぶりが楽しい。

談笑師、CDでしか聴いたことがない噺を聴けて嬉しい。でもCDだと『薄型テレビ算』じゃなかったっけ? 最近じゃテレビは全部薄型だからわざわざ付ける必要はないからかな。
途中まではわかるんだけど、どんどんこんがらがってきて、一度置いてきぼりにされるともうわからなくなる。その自分の混乱ぶりが面白くなってくる。
こんなややこしい噺を考えるってのがもうすごい。

彦いち師、来年もこの会が開催されることが決まったという。
で、談笑師も言っていたが、この会の出番順というのは決まっておらず楽屋入りの順らしい。「来年は談笑さんは前に仕事があるそうなので、来年のトリは談笑さんです!」と主任まで決まったそうだ。
その後、学校寄席の話題に移ったのだが、笑いの量は学力に比例するという。それはみんな言うね。それを踏まえた上で「足立区バカですね!」と突然の足立区ディス。おやおや。まあ私も生粋の足立区民ではないし、足立区の学校に通ったこともないので別にいいんだけど。
曰く、足立区の某高校で「まず高座に出ただけで『着物!?』と言われる。そこから!?」……あー、バカですね。
さらに正楽師の紙切りがあったのだが、「鋏試しの相合傘を切っただけで『どぅおー!』ですよ『どぅおー!』なぜならバカだから! で正楽師匠が『ご注文は?』と聞いてもアイツら横のつながりだけで生きてるから『お前言えよー』みたいな空気になってなかなか注文しないの。何度めかの『ご注文は?』でようやく『パンダ!』。……小学生か! でも名人芸で切るわけですよ。そこでまた『どぅわー!』。下書きも一切なく切り抜く凄さがわかったみたいですね。ただ、正直ここまでは他でもよくあるんです。だけど次がすごかった」。何でしょう。
「正楽師匠が『他にご注文は?』と聞いたら、しばらく時間が空いた挙げ句、『僕もパンダ!』『こっちもパンダ!』。結局鋏試し以外まったく同じパンダが4枚できあがって終わり」……なんといもったいない……うんバカですね。「でも正楽師匠も正楽師匠で、『今日はパンダが多かった』ですからね」言いそう。
噺は人に翼が生えている以外は現実世界と全く同じというパラレルワールドというか異世界もの。異世界と現実が交差して、「翼のある世界の人間が、こちらの世界にきたら」というもの。異世界の彦いち師とこちらの世界の彦いち師の意識だけが差し代わるというものかな? ラノベではよくあるが、ついに落語にまで異世界ものがくるとは。まあ古典も現実世界によく似た「落語国」へ行っているようなものだが。
一回聴いただけだとよくわからない、というのが正直なところかな。

遊雀師、この会は初めての参加。
この会は彦いち師がメインで兼好談笑師がレギュラー、芸協枠はその年により、というものらしい。
そんなことは知らなかったものだから、香盤的には一番上なので仕切ったようなことを言ってしまい、過去のネタ帳を見て事情を察したという。「誰か言ってよ! 恥ずかしい」と苦笑い。
そして寒い夜にぴったりの『二番煎じ』。番小屋の中の白い吐息から鍋の湯気までが見えるよう。
柔らかくなりすぎたネギの食べ方がリアル。

とりあえずどこにも寄らず、一度家に帰ってから改めて外に呑みにでも行こうかと思っていっぺん帰って猫にごはんをあげていたところで彼女から職場まで迎えに来てほしいという連絡。
職場は高円寺よりもさらに遠いところ。
さっきバイクで通って帰ってきた道を、また車で通ってさっきまでいた座・高円寺を横目に迎えに行く。早めに言っといてくれれば最初っから車で行ったのに……。
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第九回高円寺演芸まつり 東京かわら版「築コレ」公開取材!&落語会 [落語]

第九回高円寺演芸まつり 東京かわら版「築コレ」公開取材!&落語会
於:高円寺 文禄堂

東京かわら版「築コレ」公開取材 三遊亭兼太郎
三遊亭兼太郎『堪忍袋』

東京かわら版の「築コレ」という主に二ツ目さんを紹介するコーナーの公開取材と落語一席がセットになった落語会。ついに兼太郎さんもこのコーナーに登場したか。
高円寺駅前にある書店の催事場が会場で、私の好きな押切蓮介氏や安田弘之氏のサインも壁に描かれていた。
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予約は6人しか入っておらず、「気楽にできるねー」といっていたそうだが、蓋を開けてみれば会場はほぼ満席。二階席まで入っていた。よかったよかった。

インタビューが始まる前にインタビュアーが企画やコーナーの紹介。……けどこれが妙に長い。いつまでやってんのかなーと思い始めた頃に他のスタッフから「そろそろ兼太郎さんに出てもらった方が……」と巻きが入る。でもやめない。頑固か。
ようやく兼太郎さんが登場。
落語との関わりを幼少期から遡って話し始める。
母方のお祖父さんに演芸好きなので、鈴本に連れて行ってもらいトリの(誰かは忘れたそうだが)『子別れ』を聴いて感涙したとか。
大学の落研時代を経て社会人で家出した話をし、ようやく兼好師に入門したところで時間切れ。
マクラで聞いたことのある話もあったが、特に大学時代の話が面白かった。
インタビュアーが入ると、同じエピソードでも高座でひとりで話している時とちょっと違って聞こえる。
あと兼太郎さんの口癖が語尾に「そうそうそうそう」とつけることだともわかった。
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落語は先週と同じく『堪忍袋』。
今日は最前列に子どもが座っており、兼太郎さんの顔芸や落語の登場人物の問いかけにも細かく反応する。噺自体は先週とあまり変わってはいなかったが、今日はその子に引っかき回された反面、助けられた感じもあるかな? あの規模の会場だとああいう巻き込み型も有効なのかも。
サゲは先週と変えられていて、インパクトは弱まったけどこっちの方がいいと思う。
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第七十一回 一蔵ひとりの会 [落語]

第七十一回 一蔵ひとりの会
於:神保町 らくごカフェ

春風亭一蔵『釜泥』『愛宕山』『宿屋の富』

清瀬から電車を乗り継いで神保町まで。思ったより前の会が押したので寄り道や買い食いをするヒマもなくピッタリ3分前に着く。これバイクだったらかなりヤバかったな……。

一席め、時期の近いバレンタインの話題をマクラに。過去に三人集の会をバレンタイン前後にやったことがあるらしく、それぞれのファンでチョコに傾向があるという。曰く、小辰さんのファンは数はさほど多くはないものの、上品で高級ブランドの大きな包みを持ってくるそうな。市弥さんのファンは「市弥LOVE!」という感じで手作りが多く、大きさは小さいもののとにかく数がすごい、それとできるだけ離れようとしないというのが特徴だとか。
そのふたりに挟まれて「あいつチョコ貰えてない」と男性ファンから笑われるのが一蔵さんだとか。まさかそんなことはないだろうが、確かに一蔵ファンは他のふたりに比べて男性率が高い気がする。
今日は一席めがネタおろし。
釜の中で退屈だからといろいろ妄想を膨らませる豆腐屋の姿が面白い。「誰か訪ねてこないかな。八っつぁんとか。『こんなところで退屈でしょう?』と聞いてくるから『いや私には書画骨董という趣味があるから』……ってこれじゃ別の噺だよ」みたいな感じでいろんなところに別の噺のくすぐりを乗せてくる。
二席めで明かしたところによると、この噺を教えてくれた三朝師から「この噺つまんないから好きにやっていいよ」と言われたとか。

二席め、一蔵さんの地元では今でも『大山詣り』の大山講のような「講」が残っており、皆でいろいろなところへ行って町内分のお札を貰ってくるのだそうだ。
今度愛宕山へ行く講があり、町内会長に「お前も行くか?」と誘われたらしい。喜びつつも「芸人だからタダで行くわけには……」というと、町内会長がポケットマネーで2泊3日で5万出してくれるという。大喜びで受けたものの……というマクラからそのまま『愛宕山』に。
幇間の一八が一蔵さんそのままに太っているという設定。なので山に登るときもすぐ疲れてしまうのがおかしい。
尻を押す重蔵の仕草も、「お前がその格好をすると相撲取りが鉄砲やってるようにしか見えない」というセルフツッコミが入る。

三席め、ホラ吹きの男が途中で「吹きすぎたな」と思いながらも、宿の主人が素直に信じてしまうので引くに引けなくなってしまう様子が面白い。「え、これ信じるの?」とちょっと焦る表情がいい。

3月は池袋演芸場でのスペシャルなのだが、金曜日ということで行くのはちょっと難しそう。しがないリーマンは辛い。
タグ:春風亭一蔵
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清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 柳亭こみち 神田鯉栄 三遊亭兼太郎 翁家和助 三遊亭ごはんつぶ [落語]

清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 柳亭こみち 神田鯉栄 三遊亭兼太郎 翁家和助 三遊亭ごはんつぶ
於:清瀬 清瀬けやきホール

三遊亭ごはんつぶ『十段階評価』
三遊亭天どん『堀の内』
三遊亭兼太郎『堪忍袋』
柳亭こみち『長屋の花見 おかみさん編』
神田鯉栄『扇の的』
翁家和助 太神楽
三遊亭天どん『芝浜』

会場の清瀬近辺にゆかりのある人たちが出演している。
先日萬橘師の会があったときにチケットを買っておいた。先日はさすがにバイクでは体の芯まで冷えてしまい、今日はその時よりも輪をかけて寒いのでおとなしく電車で。あの時スピード違反で捕まったトラウマもあるし。

まずは天どん師、兼太郎さん、鯉栄先生、和助さんの4人でオープニングトーク。「今日初めての人ー?」とかやってるうちにこみち師がガラガラを引っさげながら登場してきた。「浅草演芸ホールから着物のままきました!」と息を切らしていた。かゑるさんのバイクで上野まで送ってもらったそうな。着物でバイクってすげえな。舞台の上で防寒着を脱ぎだし、天どん師に「こみち落ち着け!」兼太郎さんに「こんなストリップあります!?」と口々に突っ込まれていた。
皆清瀬の近く出身なのだが、鯉栄先生だけは生まれも育ちも清瀬とは無関係。それがなぜこの会に呼ばれたのかは後で話すという。

ごはんつぶさん、「前座の仕事は対比です。芸歴の浅い芸の粗い前座が出ることで後の真打を引き立たせているのです」。なるほどと思ったがそれが噺の筋とも関わっていた。
レストランで食事をしているカップルの噺で、前半は男性のセンスを女性が10段階で対比評価するというもの。ちょっと噺の締め方が強引かなあ。

天どん師、この会の支配人的立場なのか、ひとりだけ二席。
とはいえそんなに長いものはやらない、ということで『堀の内』の金坊と風呂に行くところから。
脱衣所で「アンタ毎日ウチの娘脱がすんだ」と言われて『だったらお前も対策を練れ」と返すのがおかしい。

兼太郎さん、若い衆が集まって呑む噺以外の噺を聴くのは久しぶり。昨日のさがみはらは残念だったけど、相手が悪かったとしか。
夫婦喧嘩の噺ではあるけれど、「死ね」とか「殺すぞ」という不穏なパワーワードを何度も力一杯叫ぶのはあまり聞いてて気持ちのいいものではないので、もうちょっと控えた方がいいと思う。たとえ変顔とセットとなっていたとしても。
あと客席にアンケートをとる客席いじりも、あれはかなりのアドリブ力が必要なんじゃないかなあ。障子の桟や刻んでいる大根についての意見が夫婦で食い違うところが面白いので、そこは話の腰を折らずに一気に聴きたい。
それと客に文句付けるサゲはちょっといかんよ。
なんか注文ばっかりになっちゃったなあ。ホントに頑張って欲しいと思っているんだけど。

こみち師、『長屋の花見』の裏側のサイドストーリー? 長屋のおかみさんたちも集まって花見に行くという噺。
男どもはおちゃけに大根の蒲鉾と玉子焼きなのに、おかみさんたちはみんなで美味しいものを持ち寄って、灘の生一本を呑んでいるのは現代のリーマン父ちゃんとランチ女子会の風刺なのか。
途中でおかみさんのひとりが「私踊ります!」といって『東村山音頭』を踊りきって大喝采を浴びる。

鯉栄先生、清瀬は若い頃に劇団員の彼と同棲していた土地だったのだとか。お金がなくて苦労した話など。
なんつーかまあホント甘酸っぱいというか他人が聞くと酸っぱさ99%というか。

天どん師の二席め、マクラもそこそこに「噺家の時知らず」といって『芝浜』に。
昨年末は一度も聴けなかったこの噺を2月になって聴けるとは。
改心前の勝五郎の口癖が「めんどくせぇー」「楽してぇー」というのがいかにも天どん師らしくて好き。
それと以前のお得意が改心した勝五郎について話をしているところもいい。こういう細かい演出を入れると本当に真面目になったんだと思える。
気がつけば1時間近い熱演。長さを感じさせない一席だった。
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遊雀庵 [落語]

遊雀庵
於:神保町 らくごカフェ

三遊亭遊雀 ご挨拶
三遊亭遊子『だくだく』
三遊亭遊雀『七段目』
三遊亭遊雀『小間物屋政談』

会自体は19時からなのだが、予約なしの当日のみ、整理券が17時から配布で先着50人というなかなかシビアな会。
うーん、15時から17時まで高円寺らくご祭の二ツ目の会に一蔵さんが出るから行こうかと思っていたのだが、高円寺かららくごカフェまではバイクでも30分かそれ以上かかるだろうし……。
ということで潔く高円寺を諦めて夕方にらくごカフェへ。まあどうせ明日一蔵ひとりの会にも行くし。
午後出かけるという彼女とともに遅めの昼食を摂りながらビールを飲む。どうせ今日は電車だ。

新御茶ノ水から一駅程度歩いて神保町まで。
17時15分頃にらくごカフェに着く。前回もそうだが、遊雀師本人が整理券をらくごカフェの入口前で配布している。
もらった番号は50番。……15分で49人きてたのかよ。ああっぶねええぇぇえぇ。実際には55人まで入れたらしいが。
さて1時間ばかり空いてしまった。バイクだったら一度家に帰るという手もあるのだが、今日は電車だからなあ。
というわけですでにアルコールも入っているので追加。久しぶりにてけてけに入る。ビール2杯に焼鳥2本と唐揚げでお通し込みで1300円。安い。
開場時間にらくごカフェの1階に戻ると遊雀師自身が整理番号順の入場案内をしている。

まずはご挨拶。
最近はマクラで保湿のことばかり話しているという。花王のキュレルというクリームがいいそうで、最初は「男が保湿なんて」と思っていたらしいがすっかりハマってしまったそうだ。
それとゲストの二ツ目の遊子さんの紹介。「遊子ちゃんキレイなのよ。アタシ遊子ちゃんが入りたての頃チューしたことあるからね」ってええー。「本人も『大変な世界入っちゃった』みたいな顔してたけど、そんなにいつもあるわけじゃねえから」ってそりゃそうだろう……とは思うけど。

遊子さん、今日はさがみはら若手落語家選手権の予選会だったそうだ。あー、小辰さんの予定一覧に入ってたなあ。兼太郎さんも出てたんだっけ。
お客さんの投票で順位が決まって1位の人が本選に出られるそうで、2位の人は他の予選会の2位同士の投票率によって出られる可能性がある、というものらしい。
「そこで私! 堂々の3位になりました!……悔しいぃ!」とのこと。1位は小辰さん、2位は小太郎さんだったらしい。……ああー、相手が悪かったね……その2人かいたらそりゃそうなるわ。……とすると兼太郎さんは……あーまあよそう。
「で、もう小辰兄さんが勝者インタビューとかでスカしてるんですよ。『ふーん』みたいな感じで。それがまた悔しくて。しかも最近はSNSですぐに見ていた人の感想とか上がるじゃないですか。そこでまた『ダントツで小辰だった』とか書かれてて。キィー」。悔しがるのはいいことだと思います。
「そこでやった小咄を全力でやってみたいと思います!」と意気込んだのはよかったが、寄席でよく聞く小咄で(なんだったかは忘れた)、客席もちょっとポカンとした空気に。オリジナルじゃないんかい、みたいな。そこでまた遊子さんが落ち込む。
で噺に入ったところで総計ビール3杯とハイボール1杯のアルコールが私を襲う。
サゲは「血がだくだくっと出たつもり」からさらにもう少し付け足したもの。この型流行ってるのかな。

遊雀師の一席め、まずは遊子さんを慰めるように見せかけて「まあ俺はNHK獲ってるからね!」と追い打ちをかける。
こないだ末廣亭の余一会の兼好王楽二人会のゲストとして出演した話を。遊雀師が出たところで紙を持ったおじさんが出てきて高座に置いていったらしい。何かと思って見てみたら、「やって欲しいマクラ一覧」だったそうだ。「ご丁寧に最後に『絶対ウケるから』と書かれてるの。『ウケ』がカタカナで。でもそれをやったらドン引きするのわかってるんだよ。……ちょっとやってみましょうか?」と披露する。でこれがまたとんでもなくド直球の下ネタ。「……ねー? 男にはウケるんだけど、兼好ちゃんと王楽ちゃんの客は9割女なの。シーンとしてるところにあのおじさんだけウケてるの。地獄よ」。……まあそうかな。確かに兼好師の会って女性多いよなあ。
その後末廣亭の社長から「くだらねえことやってんじゃねえ!」とお叱りの電話を受け、朝の5時まで酒の席に付き合ったのだとか。
噺に入るとケレン味たっぷりに芝居の真似事を。
小僧の定吉がノリノリで女形を演じるのがおかしい。遊雀師ってたまにオネエみたいなノリになるけどそれが重なって余計面白く感じる。

二席め、帰ってきた小四郎から事情を聞かされて、死んだのは人違いだったと気づいたときの大家の目の泳ぎっぷりが大げさだけどリアルというか。「うわぁやっちまったなあ」という心の動きがひしひしと伝わってくるのがおかしい。

終演後にどこか寄ろうかとも思ったが、さすがに今日は食い過ぎた。おとなしく帰る。
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三遊亭兼好芸歴20周年記念公演 まるっと兼好。 埼玉 [落語]

三遊亭兼好芸歴20周年記念公演 まるっと兼好。 埼玉
於:浦和 埼玉会館 小ホール

三遊亭じゃんけん『阿弥陀池』
三遊亭兼好『片棒』
桂雀々『代書』
三遊亭兼好『不動坊』

兼好師の芸歴20年を記念した公演ツアーの皮切りの会。
一時期BSフジでこの公演のための宣伝番組が毎週5分だけ流れていた。番組名もそのまんま『まるっと兼好』で、言ってみれば冠番組! ? とはいえ兼好師が各会のゲストについて話すという内容で、全5公演分が終わったらまたループしていた。聞いてみたら噺し問屋が終わった後の楽屋で一回で撮ったものだとか。さすがBS、結構ユルい。

雪のため早めに家を出たものの、特に電車に遅れはなく、私には珍しく開場前に着いてしまった。
会場に入ると、私の席は高座の真正面で近すぎず遠すぎず超いい席。しかも私の列は私ともうひとりしかいないという貸切状態だった。
……明日のイイノホールのはチケット取れなかったのにこの差はなんだ。これが東京と埼玉の違いなのか。そういや都内じゃ国宝のチケット全然取れないけど、草加の会はあっさり取れたもんなあ。

まずはじゃんけんさん。
ゲストが上方の雀々師だからか上方の噺を掛ける。
「たい」という言葉を出すために「マレーシアじゃない、シンガポールじゃない」って言ってたけど、逆の方が地理的に近づいて行くのでオススメよ。まあ東南アジア好き以外にはまったく通じないだろうけど。
「しんぞう」という言葉を出すために「小泉……麻生……」と首相を並べていたが「安倍……あっ言っちゃった……」と失敗した様子。どうしたら成功なのかよくわからないけれど。「これさっき思いついたんですよ。雀々師匠にやれって言われて……」としどろもどろに。

兼好師の一席め、雀々師の紹介とともに大阪のオバちゃんの話に。「動物柄のシャツを本当に着てるのね。しかもその柄に負けてない。マントヒヒの柄を着ていても『え、あなたの写真?』って人もいる」と相変わらずちょろりと毒を吐く。
そのほかに大阪人のイメージとして「ケチ」があるとするが、ケチな心は皆にあるのだという。例えばゴーン氏は今捕まったりしているけれども、結局は最低でも10億円くらいもらえるのだという。「今イラッとしたでしょ? それがケチの心なんです」。さらに「ZOZOタウンの前澤社長。お金バラ撒いたり、月に行くっていったり、剛力さんが彼女っていったり。でもやりすぎたのか株価がドーンと下がったんですって。……今ニヤッとしたでしょ? それがケチの心なんです」。
そんなところからケチの噺『片棒』に。
金太郎が本願寺を3日間貸し切る、と言ったところで「あんな広いところ借り切るの? 500人の会場埋めるのだって大変よ?」と今日の状況まで噺に盛り込む。
そして大旦那の絡繰人形の仕草がもう。ロボットダンスやってた? ってくらいの上手さ。いろんなひとの『片棒』を聴いたが、兼好師の絡繰人形が一番上手い。
芸者が手古舞をするというときもいちいち左右に流し目を送るのが芸が細かい。

雀々師、この会場は2回めらしく、前回はどこかの高校の学校寄席だったそうだが大変賢そうで反応もよく、この会場の印象はいいという。
学校寄席では、長野の学校である生徒のツボにあまりにもハマったらしく、笑い過ぎて前の椅子の背もたれに頭をぶつけてしまい、流血騒ぎになったとか。落語聴いて血を流すってのは聞いたことがない。
いつもパワフルな雀々師だが、今日もまたすごいテンションでブチあげる。
代書屋と客とのギャップが激しすぎて、その高低差だけで笑ってしまう。

兼好師の二席め、ネタ出しの『不動坊』。
喜びすぎた吉公の奇行っぷりがヤバい。
手ぬぐいの代わりに鉄瓶を持って出て、気づいて取り替えたのにまた鉄瓶を持ってきてしまい、ようやく手ぬぐいだと思ったら結局股引だったという小ネタも面白いが、お湯の中で知らないおじさんの手を握りながら喜びを語るときのサイコぶりが特におかしい。結局手を取り合って湯船に沈んでしまい、『男同士心中事件』と名前がついてしまっているのがさらにおかしい。

寒いしどこかに寄って一杯やりたいところであるが、夜中に車運転することになるかもしれないのでおとなしく帰る。万一でも事故ったら嫌だもんなあ。
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