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真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月六日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月六日
於:国立演芸場

春風亭貫いち『やかん泥』
春風亭一花『のめる』
柳亭市馬『時そば』
ロケット団 漫才
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『干物箱』
鈴々舎馬風『楽屋外伝』
真打昇進襲名披露口上
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『おすわどん』
鏡味仙志郎・仙成 太神楽
春風亭一蔵『小言幸兵衛』

今日は再び三人集全員が集まる特別な日。
そのかわり真打枠は市馬師と馬風師の重鎮のみという濃密さ。
天気がいいので布団干したりなんだりしてたらまた家を出るのが遅くなり、貫いちさんが始まってた。学習しないな、俺。

一花さん、出囃子の笛や太鼓がやたらと派手だと思ったら、「三人集が勢揃いでした……」そうで。
気がかりはやっぱり物販で、「今日は物販の他にも笛としても入ってるんですが、物販に気を取られていたら二番太鼓の時間を過ぎておりまして、久しぶりに前座さんに怒られました」とか。

高座返しに志ん雀師が出てくるが、どうやらなにかが足りなかったらしく前座さんが仕上げを行っていた。
市馬師、「わざわざ前座に戻りたいとは……。お望みならすぐにでも降格させてやるのに」と会長として怖いことをおっしゃる。
昨日小燕枝師が職質してきた警官に蕎麦食ってみろと言われて実演したら「お前前座だな」と今年言われたとマクラで話していたからか、見事な蕎麦のたぐりっぷり。

扇橋師、「定席の40日間はずっと一緒で、5日くらいしか離れていない。なのにすでにもう『久しぶりに会った』と感じてしまう」とか。
貸本屋の善公が若旦那に「頼みがある」と切り出され、「皆までおっしゃいますな」と自分に都合のいい妄想をペラペラと話すところは立板に水でそのテンポが心地いい。

口上はなんと市馬師が司会で上手に馬風師、そして扇橋師、一蔵師、小燕枝師と三人集が並ぶ。
それぞれ市馬師から紹介を受け、馬風師から馬風ドミノを喰らって吹っ飛んだ後に各師一言ずつ挨拶を、と促される。
扇橋師は「これまでの馬風ドミノは隣に師匠がいてくれたので盾になっていた。直接喰らうとこんなにクるとは……」。小燕枝師も「師匠が『おおおっ』と言っていたので、いつもより強めだったと思います」。若い人たちがぶつかるとパワーも倍増なのか。
扇橋師は仲間や先輩たちへの感謝と意気込みを語る。
小燕枝師はNHK新人演芸大賞で権太楼師に酷評されたことをバネにしてきたことなどを。
一蔵師はなぜ今日だけ三人集が上がることになったかの裏事情を明かす。国立でのトリの日を一朝師に伝え忘れており、一朝師は今日別の仕事が入っていたのだとか。小燕枝師と相談し、市馬師はあいていたので主任を変わってもらおうとお願いに行ったら、「じゃあお前ら3人上がれ、司会は俺がしてやる。そうすればポスターの刷り直しもしなくていいだろう」と言ってくれたそう。「おかげで我々はまた3人で上がることができました。結果だけからいえば、『師匠、仕事入れておいてくれてありがとうございます』という……」だそうだ。個人的1ファンからしても粋な計らいに感謝しきり。

黒紋付のままで小燕枝師が登場。
口上で馬風師から「3人とも夫婦円満」といわれたところから、「夫婦円満でもお妾を囲う人はいた」と『おすわどん』に。
自分たちの披露目の席で怪談噺(半分は滑稽噺だけど)というのも珍しい。そんなに怖い話ではないが、やはりどこからか自分の名前が呼ばれるというシチュエーションはぞっとする。
「今日は何でもありと聞いたんで」と黒紋付を尻っ端折りにし、「いつもは『イケメンかっぽれ』ですが今日は『奴さん』を」と高座で踊る。トリのとき以外では初めて?

一蔵師、「うちの協会には『小言賃』というしきたりがある。前座の頃に何かは忘れましたがひどいしくじりをしてある師匠から大目玉をくらったんですが、その師匠がお帰りになるときに『これ』といって渡してくれた。『いえ、いただけません』と断りましたが、『いいんだよ、小言賃だ』……といって千円くれたんです。……それからたくさんしくじって小遣いをためた」。さすがにオチは嘘だろうが、他の協会にはない文化らしい。
また、優しいとされる一朝師だが、「あんなに優しくなったのは一花が入ってきてからですからね!」とバラされる。一蔵師は一左師とよく怒られていたそうで、「お前ね、」と始まると小言なんだとか。
そんなマクラから『小言幸兵衛』に。これも一蔵師では初めて聴く噺。去年から今年にかけてよく掛けていたようだが、私は当たらなかった。
おかみさんが幸兵衛を煙たがってるのがそこはかとなく伝わってくるのがおかしい。
豆腐屋の真っ直ぐな江戸っ子っぷりもいいが、仕立て屋がなんか腹に一物を抱えていそうな雰囲気がある。

さてとりあえずこれで当初予定していた私の真打昇進襲名披露興行は最後。
ただ、うちの会社には昨年のうちに何日か有給を申請しておかなければならないという謎制度があり、私は4日を選んでいたらしい。1年も前に申請していた休日などすっかり忘れており普通に出社してしまった。ということでもし代休が10日に取れるのであれば、大千穐楽いっちゃおうかなー! とワンチャンあり。もし有給取れたら大量に余っているという各自のアクスタも買っちゃうか。打ち合わせなどが入りませんように。
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つばなれ特選会 vol.176 [落語]

つばなれ特選会 vol.176
於:四谷三丁目 荒木町 美舟

神田伊織『仙台の鬼夫婦』
三遊亭兼矢『片棒』
三遊亭兼矢『のめる』
神田伊織『杉原千畝』

国立演芸場から四谷へ。
2時間ばかり間が空くが、会場同士は近いので一度家に帰ると2往復するような感じになる。それに家にいる時間は1時間弱しかない半端な時間になるので、マックかなんかに行ってブログの更新でもすっかと決める。
……国立演芸場の周りってマックもファミレスもねえでやんの。地図検索するとあのあたりはポッカリと穴が開いたように何も出てこない。
しかも四谷にもマックないのな。ちょっと意外。東京の主要な駅近辺にマックがないとは。隣の市ヶ谷まで移動。

さてこの会は初めて行く。細い路地の居酒屋で行われている会で、月一で176回もやってるってことは15年くらい続いてるのか。講談にも力を入れているようで。

伊織さん、兼矢さんとは1年半くらい入門時期が違うそうで、伊織さんのほうが先輩なのだが、二ツ目昇進は兼矢さんのほうが早かったので複雑だったそうな。とはいえ演芸の種類も所属も違うんだからあんまり意味もなさそうだけど……。
一席めは古典の『仙台の鬼夫婦』。以前に浪曲の玉川奈々福先生で聴いたことがあるが、講談では初めてか。
二席めの『杉原千畝』も事実に基づいたドキュメンタリーチックな話。歴史ものといえば歴史ものか。
正直講談について良し悪しが判断できるほど聴いていないのでコメントはできないかなあ。変なこと書いて知ったかみたいになるのも嫌だし。
けど普通に面白い。この場合はfunnyじゃなくてinterestingだけど。

兼矢さん、一席めのマクラで栄豊満さんのモノマネなどを披露するも微妙な空気に。……そらあ伝わらないというか元を知らないとなあ……。兼太郎さんもよくそういうことをしていたが、……正直圓楽党はそんなにメジャーじゃないから……。あまり他の協会と絡まないから、というのもあるのだろうが。
一席めの『片棒』は先日師匠で聴いたばかりで、どうしてもそれが浮かんできてしまう。兼矢さんにしてみればいい迷惑だろうが。
とはいえ金太郎の無邪気に腹黒いことを言い出すときの満面の笑みなどはいかにも兼矢さんぽい。
関係ないけど兼矢さんすごい手がデカい、というか指が長い。なので笛を吹いたり、太鼓を叩いている仕草がすごく映える。

二席めは軽めに。これは多分兼好師からかな? 随所随所は変えているが、手を叩いた後にご隠居を指差すなどのくすぐりは残っている。
ご隠居から「沢庵大根百本、醤油樽に詰まろうかね、と聞いてごらん」といわれた後に「ええ。……それで?」という真っ直ぐな笑顔がおかしい。
「半さん! 沢庵大根百本! 詰ま! ろう! かね!」と区切って聞き、あっさり気取られるのもバカ正直っぽくて楽しい。

打ち上げもあるようだが、バイクで行ったのでパス。噺の最中もずっと出汁のいい匂いに包まれていた。
兼矢さんがお見送りに出てきてくれたので少し話す。最近はお見送りも少なくなったから、噺家さんとちゃんと話したのも久しぶりだ。
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真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月五日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月五日
於:国立演芸場

入船亭扇ぱい『子ほめ』
柳亭市若『饅頭こわい』
玉屋柳勢『お血脈』
ホンキートンク 漫才
柳家小満ん『宮戸川』
鈴々舎馬風『楽屋外伝』
真打昇進襲名披露口上
柳亭市馬『藪医者』
鏡味仙志郎・仙成 太神楽
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『竹の水仙』

浅草、池袋では行けなかったため、小燕枝師のトリは約ひと月ぶり。
一昨日の反省を活かし、開演30分前に演芸場に到着する。

市若さん、超ハイテンションの『饅頭こわい』。ちょっと狂気を感じるのが楽しい。

馬風師、今日は寄り合いで五代目小さん師の靴を木久蔵(現木久扇)師が3度履いて帰った話などを。人の靴はいてわからないものなのか。

口上は柳勢師が司会で、上手から馬風師、市馬師、小燕枝師、小満ん師。
小満ん師はおかみさんが小燕枝師のファンだそうで、「携帯の写真をずっと眺めてるときがあります……妬いてます」。小満ん師と小燕枝師はコーヒーとケーキで2時間ほど話し合う「友だち」だそうで。「これからは付き合ってくれるかわからない」と 心配げ。小燕枝は恐縮しきり。
高齢の師匠に挟まれ、市馬師も「長生きも芸のうち」。ここ2年ばかりパタパタと儚くなってるからなあ。レジェンドたちには長生きしてほしいところ。
小満ん師も馬風ドミノで吹っ飛ばされ、市馬小燕枝師弟が気を遣ってるところを馬風師がつーんと知らんぷりをしているところがおかしい。

小燕枝師、このネタも一蔵師とかなり似ている。同じ師匠から習ったのかな。
宿の客が無一文だとわかったときの主人のぞんざいな口振りがおかしい。
口はぞんざいになるが、それでもカラッとしていて高圧的ではないのがいい。人によってはなんかすごい上からの感じになってイヤな空気になるが、そうならないのは小燕枝師のキラキラゆえか。
噺の後は恒例のかっぽれ。「アタシは噺で満足させられないんで……」とかそんなこと言わなくていいのに。
今日は『イケメンかっぽれ』は封印し、千成さんとふたりで『喧嘩かっぽれ』。ふたりで殴り合いのような掛け合いがある。これまた派手で楽しい。
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真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月三日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年十一月三日
於:国立演芸場

入船亭辰ぢろ『道灌』
柳家花ごめ『狸札』
入船亭扇里『ぞろぞろ』
ロケット団 漫才
柳家喬太郎『普段の袴』
鈴々舎馬風『楽屋外伝』
真打昇進襲名披露口上
入船亭扇辰『目黒の秋刀魚』
鏡味仙志郎・仙成 太神楽
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『明烏』

さあいよいよ最後の会場の国立演芸場へ。
うっかり発売日からちょっと経ってからチケットを取ったのであまり良い席が取れなかった。不覚。
しかし全席指定なので開演前から並ばなくてもいいのはちょっと気が楽。なので開演10分前に行ったらもう辰ぢろさんが上がっていた。そういや国立演芸場の寄席には行ったことがなかったが、そうか、前座は開演の前なのか。

花ごめさん、狸が長屋に訪れて訪いを入れる際に「こんばんは! 狸です! かわいい狸!」とハッキリ狸というのは珍しい。……にしても「化ける」からってことで必ずといっていいほど掛かるから、さすがに『狸札』飽きたな……。

喬太郎師、主人公の八公は長屋の店賃もちゃんと収めている真面目ぶり。「祝儀と不祝儀がぶつかった」と言い張ったときは大家に、谷文晁の鶴を「あれは文鳥じゃなくて鶴だろ!?」と言ったときは道具屋に「愛しいな」といわれてしまうのがおかしい。

馬風師、コロナに感染したときに処方された薬の副作用で糖尿のような症状があり、その影響で膝が悪くなったそうで板付きで椅子に座って登場。「ふたり連続でまともに座れないのが出てきてね……」と自虐するも、高座はいつものようにパワフルに。
いつも「漫談」と書いていたが、『楽屋外伝』という通称の演目名もあるようで。今日は先代の扇橋師の思い出話も多めに。

口上は喬太郎師が司会で、上座から馬風師、扇辰師、扇橋師、扇里師。
まずは喬太郎師、釈台を前に「決して『笑点』の司会を狙ってるわけではございません。本日の披露目の扇橋の師匠である扇辰さんとは同期です。僭越ではございますが司会を務めさせていただきます。……司会はセンエツ、師匠はセンタツ。……すみません」と滑らか。
馬風師は椅子で口上に並びながらも恒例の馬風ドミノあり。
扇辰師の口上、入門直後は線が細かったという話から「噺によってはアタシより……」という流れで、最後に異変が。「……私の……自慢の……弟子です」。
!!!!!
えええ! 弟子への評価がいつも辛口の扇辰師が! もちろんこの披露目では評価しているという口ぶりだったが、今日は「自慢の弟子」って言った! しかもなんか声が上ずってる!? 本来顔を上げたままにするはずの扇橋師も下を向きっぱなし。ヤバいこっちが泣きそう。どうなんだろ、他の日でもそんなこと言ってた日あったんだろうか。

扇辰師、着替える間もなく黒紋付で高座へ。
先ほどの照れ隠しなのか、今日の殿様はいつにも増してワガママで子どもっぽいバカ殿だった。

扇橋師、「今日は文化の日ということで、お子さんもたくさん来ていただいているようで驚いています。……なのでお女郎屋の噺を……」と『明烏』に。
扇橋師の若旦那はホントに育ちがいい上品な感じで、吉原にいると気づいたときの駄々っ子への豹変ぶりが楽しい。
遣り手のおばさんに「触らないでください! 汚れる!」と暴言を吐き、「若旦那も今日汚れるんですよ〜」と半笑いでいわれるのが好き。

とりあえず今日で扇橋師がトリの日は私は最後。土日は小燕枝師と一蔵師。まあ日曜は三人集がまた全員集まるのだが。
今日は規制退場で最初に出されたため、幕が閉まったあとでの三本締めが聞かれなかったのが少し心残り。
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