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雑司谷 拝鈍亭 講談と落語の夕べ [落語]

雑司谷 拝鈍亭 講談と落語の夕べ
於:護国寺 本条寺

入船亭扇橋『御神酒徳利』
一龍齊貞鏡『赤穂浪士外伝 天野屋利兵衛』

会自体は知っていたが、行くのは初めての会。
扇橋師と貞鏡先生で浄財1000円からってすごいな。
受付に行っても何も言われないので、「あの、ご浄財は……」と聞かれて初めて「こちらにお願いします」と言われる。
名前のとおり音楽家のハイドンを聴くためのホールのようで、住職の趣味なのだろう。
浮世絵風のハイドンの絵が飾られ、その近くにはなぜかおしどりの針金ハイドンが飾られている。
住職が開始の挨拶をするも、最後は咳き込んでうまく話せない。大丈夫?

扇橋師も「私はこちらにお邪魔するのは初めてなんですが、最初に聞いた時は『変な名前』と思ってました。それに失礼を承知でいえば、お寺の本堂の片隅でやってる地域寄席だろうと……。だけどお寺の前にきて、『これは違うな』と思いました。なんですかこの会場は。私は音楽に詳しくはないですが、ハイドンを聴くためにこのホールを建てたんでしょう? しかもいろいろイベントをやっていて、ネタ帳が4冊もあるんですよ。量がおかしい」と驚いた様子。
「話し始めて気づきましたけど、音響完璧ですね。というかここ私が借りたい。使わせてほしいですね。このホールのこけら落とし、小三治師匠だったそうですよ。でも宣伝とか全然してなかったからお客さんが10人しかいなかったんですって。そんなことあります? 小三治を10人で聴くって……。私がその場にいたかった」と会場に対する賛辞が止まらない。
「貞鏡姐さんは芸歴はちょっと上なんですけど、年齢は私のほうが上で。久しぶりに会いましたけど、なんていうか……まあ簡単に言っちゃえばキレイな方ですよ。もうそのまま銀座に送り込んでも大丈夫。その方が紋付の黒い着物を着てるとですね、楽屋がピリつくんですよ。極妻がいるって。まあこれもそのまま銀座に送り込んでも大丈夫な……。しかもなんですか、人妻の色気もある。それに楽屋がうまい具合に狭いんですよ。そうするとどうしても必ず視界の中に入るんですよ。今、私は貞鏡を振り払うので精一杯です。……私はここに出てきてから一体何を話してるんでしょう」って知らんがな。
いろいろ話しているうちに運の良い悪い、縁の話になっていき、おやおやコレはもしかするとアレかなと思っていたらやはり『御神酒徳利』だった。二週連続。
普通ならガッカリするところだが、今日に限っては全然そんなことはなかった。というのももともと好きな噺ということもあるが、やっぱり扇橋師の完成度の高さがそのまま満足度に繋がっている。先週していた細々とした言い間違いが直ってるのを確かめるという楽しみ方もできる。ヤな客なのは自覚してます。反対に言い間違いかと思っていたら今日も同じだったので間違いじゃないのかと思ったり。
大阪で荒行を積んだ満願の日、「わかるわけねーよ! 荒行をしてわかったのは断食すると腹が減るってことと水垢離すると寒いってことくらいだ」とこぼす。「断食すると腹が減る」というのは一蔵師も入れているが、水垢離の部分は他の人では聴いたことがない。先週聴いたときから入っていたが、オリジナルを加えたのか。
たっぷり1時間近くの熱演。

仲入りが入って貞鏡先生。「今、真打昇進披露興行の最中で、噺家は真打になると『師匠』、講談は真打になると『先生』と呼ばれるようになるんです。なので皆さん、今後私のことを呼ぶときは『貞鏡ちゃん』ではなく、『貞鏡閣下』と呼ぶように」とのお達し。イエスマム。
「私はここに出るのが7年ぶり。その間にも何度かご住職からお話は頂いてはいたんですが、その度に妊娠していたという……。ここのご住職に電話をいただくと次の子をすぐに授かるご利益があるんじゃないかと……。ここ鬼子母神ありましたっけ?」。てか7年で子ども4人てすげえな。
「今日はここのお寺のカフェで取材があったものですから黒紋付でいたんですよ。そしたら扇橋さんもいて、あの人、黒のダブルのスーツでいるんですよ。それで『アネさん、おつとめご苦労さまです』って挨拶してきて……」。まあ扇橋師は私服スーツじゃないと思うな。まそんなことはどうでもいいことですが。
「この拝鈍亭はちゃんとした釈台があるのが嬉しい。張り扇で叩くといい音がするんですよ。釈台があるところなんて珍しいですから、いつもはポータブルの釈台を持ち歩くんですよ。それだと音があまり……。そこへ行くとこの釈台はたまらないですね」とパンパン叩く。
張り扇の使い道などを説明しながら修羅場をひとくさり読んで中手をもらい、ダブルピースであざとく喜びを表すなど和やかな雰囲気。
「冬は義士、夏はお化けで飯を食い」と本題に入っていく。
赤穂浪士の名前を読み上げる場面では途中で中手が入るも「拍手ちょっと待って」と演者からストップがかかるという珍しいことが起こる。途中で入るとわからなくなってしまうらしい。「こないだ『笑点』でやったら、3人めで拍手が入っちゃって。おかげで前半24人いるところを20人しかいなかった」そうで。やっぱり中手のタイミングって重要よね。たまに落語でも「ここじゃないだろー」というところで拍手が起こり、演者が戸惑ってるのを見ることがある。以前『時そば』で最初のそばのひとすすりで中手が上がり、その後そばを食べるシーンで必ず拍手が入ってすごく困っていたケースもあった。
後半はちゃんと全員揃ってから拍手が起きる。
お裁きで実子を拷問に掛けると脅されても、男の義理を貫くために話さないというもの。このお裁きに出てくる「松野河内守」は『鹿政談』に出てくるお奉行と同一人物なのだろうか。
腹からの芯のある太い声で、会場の音響もありものすごく耳に心地よい声とその声量に圧倒される。

骨太の二席でございました。
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