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入船亭扇橋独演会『噺す男』 [落語]

入船亭扇橋独演会『噺す男』
於:下北沢 シアター711

入船亭扇橋『短命』『死神』『御神酒徳利』

今日はとにかく疲労回復に努め、外出は最小限に。
下北沢は久しぶり。バイクだと駐輪場を見つけるのが大変そうだし高そうなのでおとなしく電車で。
日曜の夜の会の記事を書くのに時間取られると明日に響くので帰りの電車でできるだけ書こうという狙いもある。
2年前にも下北沢の小劇場で扇橋師(当時は小辰だったが)で会があったので同じ会場かと思っていたが、違っていた。
シアター711は聞いたことはあるが来たのは初めて。関係ないけど誕生日が7月11日なのでなんか711という数字には反応してしまう。

開演前に影ナレが入るが明らかに扇橋師の声。
「そうです、入船亭扇橋です。私、この会の主催の娯楽百貨の方にお声掛けをいただきまして、お芝居に出させていただきました。スズナリという小屋が聖地だそうですが、このシアター711はその隣。……ほぼ聖地、のようなものでございます。で、今日のこの会には趣向がございます。今日はマクラが一切ございません。本来ですとマクラを話しながらお客さまの様子を見て噺を選ぶのですが、それもございません。……あまり話すとこの影ナレがマクラになってしまいそうなのでこれくらいにいたしますが……。それと本日の前半は拍手がございません。後半になって『ああそうだったな』と思い出していただければ……」。拍手がない?

すると舞台が暗転し、小屋の中は真っ暗に。
明かりがつくとすでに高座に座った扇橋師が「どうしたい八つぁん、バカなご立腹だね」と宣言通り一切のマクラがなく『短命』に入っている。なるほど拍手をする隙がない。
扇橋師の『短命』は初めて。というかこれ多分一蔵師のだな。一蔵師が得意としているから掛けていなかったのか、面白そうだから一蔵師から教わったのか。というかあのふたりなら「アニさんあの噺やっていい?」「おーいいぞ」で済ませそうだけど。一蔵師の『短命』は数えきれないほど聴いただろうし。
もちろん細かいところに工夫が入っている。
ご隠居が「……短命だろ」と少しためていうときに必ず口角が上がって含み笑いをしながら話すのはいかにも「今は艶っぽい話をしてるんだよ」と言っているようでご隠居の照れを感じる。この笑い方がわざとらし過ぎず薄過ぎず、ちょうどいい感じ。
どうにも察せない八つぁんの手を取って解説するご隠居が楽しい。

サゲを言い終わると拍手をする間もなく暗転。
数秒後に明転すると羽織を脱いだ扇橋師が「何が『俺は長生きだ』だ。カカアはうるせえし、いっそ死んでやろうか」と『死神』に。
これまた拍手する間がない。
扇橋師の『死神』は一度だけ聴いたことがあるのだが、こんなだったか覚えてない。
『死神』は地の語りの部分が結構多いのだが、できるだけ会話形式にして地を少なくしているようだ。
インチキ医者として金が入るようになった八五郎に対して「そんなことしてないで、ちゃんと植木屋として汗水垂らして働いておくれよ」と女房が頼むが、一席めとキャラ変わってないか。まあ子どもが産まれて母親として目覚めたということかもしれないが。
一席めでも思ったが、やはり扇橋師は表情の表し方が上手いと思う。わざとらし過ぎず、かといって見逃しをさせず、といった絶妙な塩梅。
死神に穴蔵へ連れて行かれるときに、一段降りるごとに高座の照明が少しずつ暗くなっていくのがいかにも演劇小屋らしい。
蝋燭部屋に入って倅の蝋燭を見つけた八五郎に「数多ある蝋燭の中で、その蝋燭に目を付けるか。……そういうヤツだから俺ぁお前を助けてやろうと思ったのに」というセリフがちょっと意味深。
特に死神の妨害もないのに「あっ……消えた……」で暗転。そして仲入りに。

仲入りが終わるときにまた影ナレ。「後半はいつも通りにやります。芸人は皆様の拍手で生きているところがあります」とやはり拍手なしという特別なシチュエーションには扇橋師自身も戸惑っているっぽい。

三席めもマクラなし。正直このブログ書くのもだいぶラク。
最後はもはや十八番? の『御神酒徳利』。いよいよ時期ですなあ。
巻き込まれ型主人公の善六さんの困惑ぶりを十分に楽しむ。
というか江戸の旅籠を取り仕切るような旅籠の二番番頭なんだから今でいえば星野リゾートの重役くらいの立場なんじゃ……。そんな立場に「正直だけで今の地位を手に入れた」というのもすごいことなのでは。

久しぶりのシモキタなので少し散歩して飲み屋とかにも行きたいところだが、明日も早く行って打ち合わせなんでとっとと帰る。仕事行きたくねえー。

タグ:入船亭扇橋
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