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鳴り物入りの会 雲助・一朝・兼好三人会 [落語]

鳴り物入りの会 雲助・一朝・兼好三人会
於:人形町 日本橋社会教育会館

オープニングトーク
三遊亭たたみ『洒落番頭』
五街道雲助『替り目』
三遊亭兼好『風の神送り』
春風亭一朝『もう半分』

昨日は寄席の後にひとり焼肉。
ふた月に1回くらい「自分お疲れ」てことで自分にご褒美的な。
ひとりで大いに呑んで食っていると、斜め前の席にかなりの巨漢の二人組が。見たところ私と同じくらいの歳周りの上司と若い部下、みたいな感じ。最初のうちは和気藹々と食べていたのだが、途中からなにやら説教タイムのような感じに。注文用のタブレットを手元に置きつつじっと説教を聞く若手。「なんか言えよ」と言われて出てきた言葉が「ライス中で」。
その前まで「焼肉にはライス大盛りでしょ」みたいなことを言っていたので、多分彼なりの遠慮というか反省だったのだろう。

その後にブログを書きつつ録画していたラグビーを見たのでかなり寝るのが遅くなってしまった。
朝猫にご飯をあげて二度寝していたら出かける時間に。

最近のオフィス10の会はトーク必須なのだろうか?
兼好師はともかく、雲助師と一朝師にトークするというイメージがないのだが。
登場してきたお三方、真ん中の椅子を勧める一朝師を固辞して上手側に雲助師が座る。というかひとりだけスリッパだったから目立つのが嫌だったんじゃないかと邪推する。
香盤的に兼好師が司会進行役に。「よりによってトークの嫌いな3人が集まりました」。やっぱりそんな感じですよねえ。
「もはや必要ないでしょうが名前の紹介を……」と雲助師から話すが、オフィス10の会を体調不良で延期したらしく、そのお詫びから。一朝師は「私からは特に連絡事項はございません」とにべもない。
「というわけで今日のトークは沈黙が多くなると思います。それを防ぐためにお客さんから質問を受け付けてまして……」と兼好師が箱をゴソゴソ。「あの、この間を繋いでいただいてもいいんですけど……」とお二方に振るもそっぽを向く重鎮たち。「うん、繋ぐつもりはない、と」とすっかり諦めモードに。
「えー、最初は……コレなにも書いてないですね。次は……コレも質問はなくて演目のリクエストしか書いてないですね。出演者も出演者なら客も客ですよ。無口なお客さんが集まってるようで……」と困惑気味。
ようやく出てきた質問は各師に向けて「継ぎたい名跡は」。……えー、兼好師はともかく、雲助師や一朝師はここまで名前が大きくなって今さらある? 雲助師は「披露目とかしなくていいなら今月は圓生、来月は志ん生みたいに継ぐけどねえ」「月番みたいですね(兼好師)」。一朝師は「ない」「柳朝はもう継いでる人がいますからね。小朝とかどうですか(兼好師)」「いらないよ!」と苦笑い。兼好師は「ウチは圓生と圓楽があるんですが、圓楽がゴタゴタしている。ウチの師匠が勝手なことをマスコミにいってますけど、根拠はないですからね」と釘を刺す。
次は「昨日亡くなった志ん橋師匠との思い出」を雲助師と一朝師に。宙に目線を泳がせつつ雲助師は「うーん。仲は悪くなかったけど改めて思い出といわれるとなあ」。一朝師も「年は向こうが上なんだけど、入門は4年くらい遅かったんだよね」。「小里んちゃんと仲が良かったんだよね。『御神酒徳利』って呼ばれていつも一緒にいた」「頑固でね、悪意固地だった。一度口にしたら絶対に曲げない。小里んちゃんも同じでね。昔、みんなで飲んでたらさん遊師匠、当時の小燕枝師匠が『おい勘弁しろよ』っていってきて。『どうしたんですか』って聞いたら『アイツら"フグが高いか安いか"で喧嘩してるんだよ。食ったこともねえくせに』って」。いいなあ、昭和の噺家だなあ。
最後に「モーニングルーティンはありますか」。雲助師がまた「ない」で済まそうとするところを兼好師が「何かないんですか、必ずコーヒーを飲むとか」「コーヒーきれえだよ」と新しい雲助師情報が入る。ようやく「起きたら目薬をさして腰にバンテリンを塗る。もうジジイだよ」と引き出し、雲助師と一朝師がキャッキャとはしゃぐ。一朝師は「仏壇にお燈明をあげます。ウチは神棚じゃなくて仏教なんだ」だそうで。「それで『いい噺家になれますように』って拝むんだよ」。え、これ以上に!? さすがに兼好師も驚いた様子。「ホントですか!?」「ホントだよ、あとは『兼好のバカが治りますように』とかな」「ああ……ありがとうございます?」。
出番前に袖でなにかやるルーティンはあります? という兼好師の追加の質問に、一朝師は「人」を3回書いて飲むのを今でもやっているのだとか。意外。「一度それを忘れて真ん中くらいまで出て行ったのを引き返したことがある」とか。雲助師は「袖で『イヤだなあ』っていいながらあくびをする。それを一回お客に見られた」そうだ。人間国宝でも出番前はイヤなんだ……。こっちも意外。

雲助師、この三連休で師匠を含めて雲助一門コンプリートだなあ。私的には珍しい。
いきなり寒くなって酒が恋しくなると酒の小咄から『替り目』に。
俥屋に車を勧められるところからおかみさんにコッソリ感謝を伝える場面、うどん屋、新内流しまでフルに。
扇橋師がよく後半までやるが、後半部は結構あっさりめだし、前半部もカットされていることも多いので、最初から最後までフルバージョンで聴いたのは初めてかも。
鳴り物はもちろん新内流しの場面で入る。都々逸や小咄混じりの新内、「景気良くかっぽれをやっつくれぃ!」と座布団の上で上半身だけでかっぽれを踊る。これがまたピシッとしていてカッコいいんだ。いやあいいもんを見た。
それに新内をタップリとやることによってサゲの「あそこはいけません、ちょうど銚子(調子)の替り目です」という言葉にダブルミーニングがあるとわかる。

兼好師、「トークが嫌いなはずなのになんで引き受けたのかと思ったら、雲助師匠が会を延期したから席亭に頭が上がらないだけだった。まあ理由がわかってよかった」。
「この会は『鳴り物入りの会』ということで、私あまり持ってないんで『七段目』にしようと思ってたんです。そしたら『それは午前の会で馬石師匠がやられるので』と断られた。さてどうしようかと考えて、そういえばウチの師匠がたまにやってる『風の神送り』って噺に鳴り物があるなと。最近では演る人が少ないんですが、稽古してて思ったんですけど、演る人が少ないってのは理由があるんです。面白い噺ならみんなやるんです」。兼好師だから大丈夫。
「さっきのモーニングルーティンの話じゃないですけど、私は朝がダメなんです。鼻シュッシュしたり目薬したりといろんなことしなくちゃいけない。なんでしょうかね、病気というのは『病気をするから気が塞ぐ』のか、『気が塞ぐから病気になる』のかわからないですね。例えば昨日のラグビーもずっとテレビで集中して見てて、あ、だから昨日全然稽古してないの、アルゼンチンにされたトライはすごくもったいないんですよ。逆に日本のトライは非常に美しい。それで大差になれば途中で諦めて稽古もするんですけど、最後まで『もしかしたら』と思わせてそれで負けてしまった。すごく悔しくてガッカリする。こういうときに病気になるんです」。なんか途中でしれっと言い訳しなかった?
『風の神送り』は6年以上前に確かに好楽師で聴いていたようだがまったく記憶にない。その時の感想も「面白くないわけじゃないけど面白くもない」みたいなことを書いていた。
先日読んだ小説にたまたま『風の神送り』をモチーフにした話があったのでサゲの意味を理解できてよかった。
風邪が流行っているので人形に風の神を乗り移させてそれを川に流してしまおうという噺で、町内の若い衆が鳴り物に伴って囃し立てると人形がだんだんと動き出すのだが、その動きがさすが。『片棒』のからくり人形ほどの派手さはないが、徐々に動きが大きくなっていくさまなどは見ていて楽しい。

一朝師、「急に寒くなって今さら怪談噺でもねぇだろうって思いますがね。でもこの噺は本来は冬の噺なんですよ。雪が降ってますからね」とのことだがそうだったんだ。これまで酒屋の亭主が追いかけていくシーンは雨の場面だとばかり思っていたのだが、季節に合わせて雨に変えていたのだろうか。
それにしても一朝師にあまり怪談噺のイメージがないので『もう半分』は新鮮。噺のテイストもあるからなのか、それともオープニングトークがあったからなのかは分からないが、今日は「イッチョウケンメイ」は封印し、最初から重々しく。
こういうピカレスク譚はそれこそ雲助師の得意分野かと思ったが、一朝師もさすがのひとこと。あの小さい体でも迫力あるもんなあ。
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