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新宿文化センター落語会 2周年記念特別企画~愛すべき古典落語の世界~ [落語]

新宿文化センター落語会 2周年記念特別企画~愛すべき古典落語の世界~
於:東新宿 新宿文化センター小ホール

オープニングトーク
神田紅希『幼き日の家光と信綱』
立川小春志『転宅』
入船亭扇橋『替り目』
柳亭小痴楽『崇徳院』

金曜の夜にやや深酒をしたところ、いつもの駅を乗り過ごして池袋まで行ってしまう。
慌てて電車を降り、少しするとBluetoothイヤホンが「接続が切れました」。……え?
いやいやいや……とカバンを探すもスマホがない。電車の中に落とした? うわー……。「酔いが醒める」ってホントにあるんだ。しかしどうすりゃいいんだコレ。しかも終電近いし……と完全にパニクる。とりあえず駅員に話すとJRの忘れ物センターの電話番号を教えてもらう。
家に帰ってmacの『iPhoneを探す』で見てみると池袋駅にあることがわかって少し安心する。電車の中じゃなく、ホームで落としたのか。
翌日。酔いは醒めたといえどもアルコールを大量に摂取したことには変わらないため、案の定二日酔い。いかに焼酎とはいえ甲類はヤバい気がする。そんでもって忘れ物センターは全然電話繋がらない。朝一からずっと掛けるも結局繋がったのは11時すぎ。まあJR東日本の忘れ物のすべての情報がそこに行くんだから仕方ないんだろうけど……。
やはり池袋駅で保管されているということがわかり、ほっと一安心。半日スマホがないだけでこんなに不安になるとは。なお手元になかった半日の間に重要な連絡は何一つ入ってなかった。まあそりゃそうだ。いつもだって夜中になんか連絡入ることなんかほとんどないんだから。
まあ池袋からの帰りにいいタイ料理屋を見つけて美味しいパネーンガイを食べられたので良しとする。

そんでもって近所にもタイ料理屋ができ、今日が開店日なので早速行ってみる。有名店の姉妹店なのでハズレはないだろう。私はタイのレッドカレーが大好物なのでオーダー。ひとくちにレッドカレーといっても、レッドカレーペーストとココナツミルクで作ったゲーンペットとレッドカレーペーストとピーナツソースで具を炒めたパネーンがあり、私が好きなのはゲーンペット。果たして出てきたのはパネーンであった。2日連続。まあいいんだけどさ。

さて「愛すべき古典落語の世界」と重々しいというか堅苦しいようなサブタイトルをつけ、三派から期待の若手を集めたのだろうか。いやまあこの顔付けにはなんの不満もないんだけどね、東京にはあともう一派あるはずなんだけどなあー。とはいえもう萬橘師でも年代が違うか。その下でこの人たちと渡り合える若手真打……。あー……。うん……。

まずはオープニングトーク。小痴楽師、小春志師、扇橋師の順に入る。小春志師は着物だが他のふたりは私服姿。まず扇橋師が小痴楽師に向かって「今日も安定の遅刻でしたね」。「遅刻じゃねーよ! ここにいるってことは間に合ってるだろうが!」「アタシが着物に着替えようとしたら『お前着替えるな! 俺が遅刻したみたいに見えるだろ!』って」「お前バラすなよ! 性格悪りいな! 大名跡継いだからって調子乗ってんじゃねえのか!」「ハイ、ノッてま~す!」と文字に起こすとギスついているように見えるが実際にはじゃれ合っているような感じ。
「小春志さんとは昇進後初だよね? もうひと月くらい経った?」「そうですね、ひと月ちょっとかな」「小春志って春団治と小三治を足して2で割ったような名前だよね」「そこに談志師匠の志の字も入ってるんですよ」「でも『こはる』って名前よかったよね」「ちょっと!」というような流れから扇橋師が「辰じん」時代にどんな気持ちで「前座の辰じんです」と電話に出ていたのか、小痴楽師の痴楽襲名はどうなるのか、立川流には「襲名」という意識があまりないなどの話に。
代数の話にもなり、小痴楽師が「四代目の痴楽師匠はホントは代数とかなかった。けどウチの親父が『継ぐなら五代目がいいな』っていいだして『じゃあ先代は四代目だな』って勝手につけた。代数なんていい加減。俺も奇数の代数がいいんだよな」「談志師匠も他にも何人かいたみたいだけど売れてない人は勘定に入れてないらしいですよ」「俺も親父いなかったことにしちゃおうかな」「アタシもいなかったことにされるかも……。次の扇橋も十代目の可能性も」などと話しているうちに「前座さんが降りる時間になっちゃいましたね」というくらいの盛り上がり。

前座の紅希さん、釈台をセットして時計を確認し、「……あと5分です」。さすがに5分とはいかなかったが7分くらいで一席読み終わる。落語だと小咄がたくさんあるから短くてもなんとかなりそうだけど、講談だと難しそうだなあ。

小春志師、真打昇進後は初。しかしこの人も全然変わらないなあ。見た目も中性的なうえに年齢不詳。じゃあミステリアスかっていうとそうでもないという、噺家には向いているルックスなのかもしれないが。
なので『転宅』の男の泥棒もまるで違和感がない。もしかすると女のお菊よりも自然に聞こえるかも……。
普通の『転宅』では「どこかにいい男いないかねえ……あらここにいるじゃないのさ」とお菊がたらし込む形だが、小春志師では「じゃあ俺なんかどうだい」と自分から売り込む。この「飛んで火に入る」感がなんともおかしい。
さらに「亭主のものは女房のもの、女房のものは女房のもの」と札を巻き上げられても「縛られるねえー」とまんざらでもなさそうにニヤけるんだからおめでたい。

扇橋師、「『愛すべき古典落語の世界』ってねえ、愛すべき人たちだらけですよ、落語の登場人物たちは。でも洒落の分かる人じゃないと。私もあまり洒落がわかる方じゃないんですが、家族もで。私に妹がいてお腹に赤ちゃんがいるんですが、昨日女の子だってわかったんです。で、妹は『涼』という字が入っている名前なので、『じゃあ涼子だな!』というメッセージを家族のグループラインに送ったんです。私としては『縁起でもないこといわないで!』とか『キャンドルで殴るぞ!』とかそういう返しを待っていた。でも誰からもなんの返信もなくて、今日ようやく姉から『秋(に出産予定)なのに?』と入ってた。同じ内容をカミさんにも送ってみたら『秋なのに?』って返されました」。客席では「涼子」の時点で笑いが起こっており「今日のお客さんの反応が嬉しい!」だそうです。扇橋師が時事ネタをマクラにするのは珍しいな。
うどんを出す居酒屋のカシスウーロンの話や居酒屋で隣の酔っぱらいと落語協会の話をするという酒絡みのマクラから『替り目』に。一時期は「また『替り目』か」と思うほど聴いたが、今日は半年以上開いている。
「隣のご主人……」「いただきました」「お前酔いが醒めるようなこというなよ……」「隣のご主人いただきました✕3」と畳み掛ける。酔いが醒めるのを体験したばかりだから余計に面白い。か?
そういやオチの前に流しがくるシーンがあるのだが、それがサゲの「ちょうどちょうしの替り目です」で「銚子」と「調子」が掛かってんのね。昔の人はそれを瞬時に理解できてたのかなあ。

小痴楽師、「病気というのはいくつもありますが、いずれはなくなるんです。コロナももしかしたらいずれは笑い話になる時がくるかもしれません。そんな中で絶滅した病が恋の病……」と笑いを取る。奥さんと初めて会ったときのエピソードなども。
小痴楽師のキャラもあり、お調子者で伝法な熊さんがハマるハマる。「上野の茶店で羊羹何個食いました? 3つ? 4つ? 言わなきゃくすぐっちゃうよ、こちょこちょ……」とものすごくくだらないんだけどそういう子どもっぽいウザ絡みも楽しい。
どこの誰だかわからないお嬢さんを探してこいといわれて家に戻ると、女房までもが鉄火肌。「この猫の手も借りたいくらい忙しいときに。断ったんだろうね? このバカ」とまで言っているだけに、うまくいけば三軒長屋が手に入るとわかったときの手のひら返しの振り幅がおかしい。

三者とも骨太な古典ではありながら、なんかちょっとスパイスが加えられていてそれが楽しい会だった。
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