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第8回 兼好集 [落語]

第8回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭けろよん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『看板のピン』
入舟辰乃助『茄子娘』
三遊亭兼好『ちりとてちん』
三遊亭兼好『竹の水仙』

ここふた月ばかり22時以前に退勤できたことが数えるほどしかなく、人形町噺し問屋でさえ行けていないこの状況であるが、今日は早く上がる。だって前売りチケット買ってあるんですもの。辛いのは明日の俺に押し付ける。大丈夫か俺。そろそろ胆嚢も限界が近い気がするんですが。ていうかこないだロキソニンが処方されたんだけど、胆石の発作にロキソニン効くの? 早く言ってよこれまで出されたことがなかったから効かないのかと思った。ロキソニンなら薬局で買えるじゃん(社畜の発想)。

兼好師の一席め、「今年のGWはコロナの影響もなく、いろんな落語会やいわゆる定席の寄席などもたくさんのお客さんが入っていたと仲間の噺家からよく聞きました。私は圓楽一門で両国寄席もやっていたのですが……これがまったくいつもと変わらないの。まあ30人入れば『今日は多いね』って感じで、15日の開催中、半分は出演者の方が多いんですけど、これがまあまるで変わらない。ただそのかわりまったく人がいない、ということもない。不思議ですよねえ。他の寄席ならたとえばW杯の決勝の日なんて全然入らないのに両国寄席はいつもと変わらない人数が入ってる。かといって『俺は両国寄席がなくなったら困るんだよ』というご近所の常連さんもいない。とはいいながら『もうダメだ、みんな個々で頑張っていこう』となるほど人がこないわけじゃない。……なので常に『微妙に赤字』って感じなんです」。なんか言い得て妙というか。
「落語って歌のコンサートや芝居のように友人に勧めにくいですよね。歌ならツアーの最中にいきなり音痴になることはない。芝居も初日に面白くて千秋楽はつまらないということもほぼない。でも落語はその日に行ってみないとわからない。名人といわれる人でもその日だけはまるきりウケない、なんてことも普通にありますから。だから落語はギャンブルみたいなものなんです。ギャンブルは8割方負けるんです。負けるのが普通で、勝ったときにとても喜ぶ。落語もそういうものじゃないんですか。……全然賛同を得られないようなんですが」。だから我々は少しでも勝率を上げるためにハズレのない人を血眼で探しているのです。私の中で一番勝率の高いのは兼好師匠、あなたです。
とまあギャンブルの話題から『看板のピン』に。
兼好師では約2年ぶり。
なにしろ親分のかっこよさが際立っている。壺皿を振る仕草ひとつとってもシュッとスマート。これが明らかにオウム返しの若い衆との仕草の野暮ったさと異なっている。その落差が楽しいし、兼好師の芸の細かさがうかがえる。

辰乃助さん、「兼太郎アニさんとは学校は違えども学生時代に一緒に落研でやっていた。そのときに兼好師匠をポッドキャストで聴いていたので、その人と一緒の会に出られるなんて……」と感慨深げ。『看板のピン』はそのポッドキャストでも配信されてたネタだしね。
『茄子娘』は先日扇橋師でも聴いた噺。なんだろうな、扇辰師や扇橋師とテキストや仕草はほぼ同じなんだけど、どこか軽さが足りないというかベタっと重い感じがするんだよね。初夏の爽やかさではなくて盛夏の蒸し暑さというか……。とはいえ以前に聴いたときよりもだいぶ生々しさは抑えられていた気がする。

兼好師の二席め、「辰乃助さんはいい子なんですよ、でもなんというかふてぶてしいというか……。ああいう顔はちょっと羨ましいですね。一之輔くんなんかは一朝師匠にもにも『ああ?』みたいな顔をしますけど、最近はああいう感じがウケるじゃないですか。私なんか初めて会う人にも『どうも、ダンナ!』みたいな感じなので……。愛想のいい人と悪い人、短期的に見れば愛想のいい人の方がいいのかもしれませんが、長期的に見ると愛想の悪い方が逆に信頼を得たりしますから」と両者が出てくる『ちりとてちん』に。
愛想のいい金さんは旦那から「○○をおあがり」と勧められるたびになぜか身体をバスケのフェイントのように前後左右にキュキュッと揺らすのがおかしい。
旦那は愛想の悪い六さんを「悪い人ではない」と仕事の世話もしてるのに、すぐに知ったかぶりをして周りと問題を起こして辞めてしまうのを懲らしめるために腐った豆腐を食べさせるのだ、という。なるほど一応単にイヤなヤツだからという理由よりは正当性があるようにも思える。しかしその後の六さんの知ったかぶり具合がものすごく、まったくかわいげがないのでやっぱり単なる腹いせのようにも思える。
六さんが「おう、こんなもんは……」と気軽に「ちりとてちん」のビンを開けたときの衝撃ぶりがものすごく、殴られたかのようなのけぞりぶりがおかしい。ビンを持て余して手を右往左往させ、顔がその反対側に行ってしまう動きの細かさがたまらない。

三席め、「最近は『かわいい子には旅をさせよ』とはいわないですね。昔は街道の宿場以外では宿がなかったので日が暮れてくると大変だったようで」と宿の客引きの場面に移る。
兼好師の『竹の水仙』はちょうど一年ぶり。亭主が宿代のことを切り出せず、女房が怒って取り立てに行くというのは兼好師でしか聴いたことのない演出だが、この女房が甚五郎の口車にコロッと乗せられて手のひらを返すチョロさは何度聴いても楽しい。

次回は会場が浅草見番になるという。会社からまた遠くなるじゃん……。でもまあその頃には仕事も落ち着いてるだろう! とまた前売を買う。フラグにならなきゃいいが。
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