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人形町噺し問屋 その94 [落語]

人形町噺し問屋 その94
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『転失気』
三遊亭兼好『青菜』
坂田美子 琵琶
三遊亭兼好『生きている小平次』

仕事が暇なようでいろいろ余裕がないというなんかヤな状態。なんとなく抜けにくい感じではあるがぬるりと抜け出し人形町に。

まずはご挨拶。
この猛暑の中、ついにここまで自宅でクーラーを使わずにきたという。えええ。「でもね、やっぱり暑さと戦ってるんでしょうね、すごく体が疲れてるんです。なのでこういう冷房が効いているところにくるとフッと眠くなる。それがちょうど会場に入って高座に上がるくらいの時間。だから最近は半分寝ながら落語やってる。……そうすると落語間違えないの。気を張って頑張るから間違える」だそうで。
「えーと一応聞いておきますけど今日は統一教会の方いらっしゃいますか」ってもしいたらどうすんだろ。
「しかしあれだけ関わってる人がいて、誰も辞めませんね。ひとりくらいいてもよさそうなもんですが。でもね、最近楽屋でも話すんですが『民主主義はダメだ』という話になってるんです。というのも、人の大部分はバカなんです。そうでしょ!? クラスでもそうだったでしょ。100人いたら頭がいいのは10人。良くも悪くもないのが50人。バカが40人くらいじゃないですか。そうすると頭がいい人よりバカの方が人数で勝つんですよ。だから民主主義というのはバカの代表が選ばれる可能性があるんです」。……ああー確かに。会場からも納得の声が上がるが、その声を上げている顔はさぞかしバカ面だっただろうもちろん俺も含めて。「選挙なんかでは一番票を集めた人と最下位の人を切って、真ん中の人を選んだ方がいいんですってね」。確かスキージャンプの芸術点なんかもそういう採点じゃなかったっけ。
「それに比べて落語界はトップがしっかりしてるからいいですね」と市馬師の話に。「特になにをするってわけじゃないのは岸田さんと一緒なんですが、人間が大きいからいるだけでいい。自然と周りに人が集まってワイワイやってる。それに相槌を打ってるくらいなんですが、たまに『しっかりやれよ』なんて言われる。そうすると我々は『ハイ!』なんて返事して。こういうのがいいんですよねえ」とずっと市馬師を賞賛し続ける。兼好師のことだから最後に黒いことを言ってオチにするのかと思ったがそんなこともなく。他団体のトップとはいえ手放しで褒め続けるというのも珍しい。「また人間が大きいんで、大きい舞台が似合う」と先日行われた国立劇場での高座にも触れる。なお兼好師は大きな舞台に馴染めず、『壺算』をやったのだが持ち時間あと3分というところでまだふたつめの瓶を買ってなかったという。珍しく。
市馬師が若いことから、「ある程度歳をとったら、多少若い人に迷惑をかけながらも自由に生きた方がいい」と自身の母親の話に。
兼好師の母上は能の先生らしく、先日上京してきた日に兼好師の能の発表会があったそうでそこで失敗をして落ち込んだという。それを見ていた母上に、優しくフォローされるか逆に厳しく指導されるのかーーと思っていたら指をさされて笑われたそうだ。ひどい。その他にもしのぶ亭にいってピンポンダッシュをした話や王楽師に暴言を吐いた話など自由すぎるエピソードを。

けろよんさん、今日は転失気を借りて歩く場面をカットして珍念が和尚に報告するだけという短縮版。そろそろ『雑俳』『転失気』以外の噺も聴きたいところ。

兼好師の一席め、浦安の夢の国でパレードが中止になる理由として、雨や強風のほか、暑すぎてもダメなんだという。「雨で『雨キャン』、風で『風キャン』というそうなので、暑さは『暑キャン』というのかと思ったら『熱(ねつ)キャン』ていうんですって。あそこは夢の国ですから、もしミ○キーが暑さで倒れてもその場で顔をとったりしない。グ○フィーの肩を借りて表面上はにこやかに裏へ連れて行かれるんだそうです。昔は街に来たヒーローショーでは、裏を覗いたらマスクを取ってタバコ吸ってたりしてたんですがね。暑いときはサボればいいんですよ」と「夏の名残に」と『青菜』へ。そろそろシーズンも終わりかな。
相変わらず裸に浴衣がけで暑がり、近所の子どもから「相撲のおばちゃん」と呼ばれる植木屋のかみさんがいい味を出している。

ゲストは琵琶奏者で兼好追っかけ仲間でもある坂田さん。「私はいつもはそちら側にいるのですが、『どうせくるんなら出てよ』と師匠に言われたので……」と3回めの出演。岡大介さんと並んで最多のようだ。
今日は弾き語りよりも琵琶の仕組みなどの解説多め。普段あまり馴染みのある楽器でもないので興味深い。体験ワークショップを月イチでやっていて、一回行ってみたいとは思っているのだが。

兼好師の二席め、坂田さんの『平家物語』の雰囲気を残したまま、客席や高座の照明を落とし、怪談噺の『生きている小平次』に。恥ずかしながらこれは演目もストーリーもまったく知らなかった。講談では掛かることもあるようだが、落語では調べてみても彦六の正蔵師くらいしか出てこない。これは久しぶりにネタおろし?
奥州の沼で船釣りをしている場面から始まるのだが、いつもとは違うゆっくりとした語り口で、モノトーンの情景が浮かんでくる。
沼という舞台もあってか、陰鬱な雰囲気が漂い空気が重苦しい。
最後は主人公の太九郎と女房のおちかが、殺した小平次の亡霊から逃げるシーンなのだが、そのふたりを追いかける人物がいる、という描写で終わる。それは小平次なのだろうが、そうとは明言せず淡々と描写するだけで、それがかえってぞわっとする。
いやーこれはちょっと激レア回じゃない!? 噺も珍しけりゃ兼好師がこういう噺を掛けるというのも珍しい(『藁人形』とかもあるけど)。そして季節の噺でもあるし、これ次回聴けるのは数年後とかになるような気がするなー。
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