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桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4〜ケセラセラでいきましょう〜 [落語]

桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4~ケセラセラでいきましょう~
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭ごはんつぶ『狸札』
三遊亭兼好『孝行糖』
桃月庵白酒『船徳』
桃月庵白酒『短命』
三遊亭兼好『ちりとてちん』

高いんであまり行くつもりがなかったんだが、まあ二階席なら3500円で普通だし、当日ならバカバカしい手数料も取られないしと行くことに。やっぱり行けるのに行かないってのはもやもやするし。……あーしかしカネないなー。いやないわけじゃないんだけど、予算というかここから先は使っちゃいけない境界線というか割とそこら辺を超えてきた。一蔵さん小辰さんの祝儀もあるしさあ。
二階席は初めて入ったが、なるほどまあそこそこ見づらいね。うーん。それにそもそも落語はあまり上から見られることを想定してないよなあ。

さて前座はなぜか兼好門下でも白酒門下でもなくごはんつぶさん。
狸に股ぐらを覗かれて「きゃーエッチ」と言ってみたり小僧に化けた狸が作ったおまんまを主人公が食べてないことにやけにこだわったり。今日はふたりともガチガチの古典派だからなかなかいつものようにはいかないだろうが、どうしてもアレンジを加えたい「新作派のジレンマ」があるらしい。

兼好師の一席め、「ごはんつぶさんいいですねえ。落語もしっかりできるし口跡もいい。見た目もいいし気働きもできる。……でも結局天どんアニさんみたいになっちゃうんですかね」と黒いエールを。
昨日は博多での日帰りの仕事があったそうで、それがことごとくツイてなかったという。起きる時間を間違えたりバスを間違えたりしながらも無事仕事は終わり、帰ろうと博多空港へ行ったらフライトまで1時間くらいあったという。本を読みながら待っていたところ、ふと気づくとフライト時間だったとか。えっと思っていたらアナウンスがかかり、空港特有のふわふわとした聞き取りづらいアナウンスの中に「……サトウ……」と聞こえたので「私本名が佐藤ですから、自分のことを呼んでるんだと思って『ハイ!』って行ったら『あなたじゃありません』って……。見たら私の乗る飛行機が1時間遅れるって。じゃあ何かちょっと食べようと思ったらまた時間が変わってもう出るみたいな……。で、また『……サトウ……』って聞こえるんでもう一度『ハイ!』って行ったらまた『あなたじゃありません』って……。見たらまたフライト時刻が変わってる。あのですね、普通のときはいいですよ、あのふわふわとした上品なアナウンスで。でもフライト時間が変わったとか、人を探してるとかのときは『ハイ聞いて! 時間が変わります!』とか、『人を探してます! 〇〇さん!』とか言わないと! ……ひとりで言っても説得力がないんで、これをぜひ皆さんにも空港に言ってほしくて……」とのこと。
ハッキリと聞かせなきゃいけないものとして売り声を挙げ、売り口上の噺へと入っていく。
こういう二人会のサラ口としての『孝行糖』はサイズとしても内容としてもぴったりな気がする。
水戸様のご門前で「何奴であるか」と誰何されて「お向かいの金ちゃんと同い年」と答える与太郎がたまらない。

白酒師の一席め、白酒師は昨日は熊本だったらしく。
やはり熊本でもフライト予定が大きくずれたようで、空港はイライラした雰囲気だったとか。そこにパイロットが談笑しながら飛行機に向かっていたら、どこかのオジさんが「何やってんだ、走れ!」と怒鳴ったとか。パイロットが急ごうがゆっくり行こうがフライトには影響ないということは頭ではわかっていても、思わずオジさんに同意してしまったそうだ。
CAやパイロットはあこがれの職業で、それは昔は船頭だったと『船徳』に。
親方に呼ばれた船頭たちが己の罪を自白してしまうシーンはカットし、若旦那の船のシーンを多めに。
竿を流してしまうのはもちろんだが、艪まで外してしまい、それをお客につけさせるというとことんまでに甘ちゃんな若旦那がおかしい。
そんな甘ちゃんな若旦那なので、諦めるのも早い。「もうダメ」と川の真ん中で諦め、客から励まされてもふてくされてるのに、川岸から女の子に「若旦那ー、頑張ってー」と声を掛けられると途端に張り切るのも楽しい。

仲入りを挟んで二席め、「この会の次回のチケットを今日から発売したそうですが……。その日の同じ時間帯に私は他の会に出ている予定がありまして」と告白。
「先日亡くなった川柳師匠にちなんだ会で、前座自分にはよくお世話して『あげた』師匠でして。……断じてお世話にはなってません。けど川柳師匠をネタにした新作を作ったという縁もあるんで、どうしても断れなかった。おそらくそちらの会はネタはやる余裕がないので挨拶くらいで急いでこっちに向かいますから」だそうな。
落語をよく知らない人には「桃月庵ってどういう名字なんですか?」と聞かれることがあるという。「名字というか亭号なんですけどね……。志ん生直系の古今亭なんですよ。でも真打に昇進したら亭号を変えるのは独立して一家を構えるため、というと『え、ヤクザ?』と聞かれる。もうそうなったら面倒なので『ヤクザです』って答えます」だそうな。「白鳥師匠ともよく会をやって名前に『白』が入ってるから親戚筋と間違えられたり。体型は似てますけど……」など、いろいろ話が通じない人がいるというところから『短命』に。
とにかくこの八っつぁんが話が通じない。「指から毒が」とか「そばアレルギー?」とかは普段どおりだが、イライラしたご隠居が「だからこの話にはホントはおまんまは関係ないんだ。手が触れる、奥に布団、いい女! お前どうする!?」と詰め寄るも「おまんまは?」と返され、「うるせえ!」とキレるのが最高におかしい。

兼好師の二席め、「最近はいろいろ物騒ですよね。こういう落語会が世の中で一番平和なんじゃないですか? 落語好きで悪い人はいないでしょう。……もっとも落語好きで本当に悪いヤツはも入門してますから」とブラックジョーク。
落語の登場人物の中で悪いヤツ、イヤなヤツとしてちりとてちんを食べさせられる六さんが挙げているのかもしれないが、実はご隠居が一番悪いヤツなんじゃ……。腐った豆腐って食中毒起こすみたいだし、ヘタしたら死んじゃうよなあ。さすがに健康被害を及ぼすのはシャレにならない。
まあそれはさておき愛想の上手い金さんのごちそうに対する鶏のようなリアクションが相変わらず面白い。
それに対して六さんの嫌味っぽいのもまたすごい。いざちりとてちんを食わされる際に鼻を摘み目をつむりながらも言葉にならない声で悲鳴を上げているときの落差がたまらない。

『船徳』も『ちりとてちん』もいかにも夏の蒸し暑い日に合ったネタでした。
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