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けんこう一番!第十九回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第十九回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『雛鍔』
三遊亭しゅりけん『小言念仏』
三遊亭兼好『うどんや』
のだゆき 音楽パフォーマンス
三遊亭兼好『崇徳院』

危なかった。完全に今日だってことを忘れてた。
いつも通りに会社で仕事して、なんならちょっと遅くまで残業して仕事片付けようかと思っていたところ、iPhoneが「もうすぐ行われるイベント」としてリマインドを出してきた。あん? 今日なんか予定入れてたっけ、と確認して大慌て。あたふたと後片付けして会社を出る。こりゃ明日の俺が大変な目を見るパターンだ。
幸いまだ発券していなかったので、オフィスビル内のコンビニで発券してチケットも用意できた。
急いで移動して5分前に到着。なんか国立演芸場っていつもギリギリのような気がする。

さて一席めはやはりこないだも話していたコロナの言い訳から。
兼好師がコロナに感染したと知ったしゅりけんさんの第一声は「マジっすか、すげえ」だったそうだ。「アイツは『マジっすか』が尊敬語だと思ってますから」と暴露。
10日ほど休んでからの復帰高座では「待ってました!」の掛け声……などはまるでなく、そちらの方がコロナよりもダメージがあったとか。
とはいえ噺家は長い商売で60歳70歳まで続けてようやく評価されるので、数週間、なんなら1年休んだところで大したことはないという。
それを思えば、一発勝負の受験やオリンピックでカンニングやクスリをやってしまうのは仕方ない、とブラックなことを言いだす。
こないだの共通テストでのスマホを使ったカンニングはいかにも今どきだ、といい、「私がカンニングしてたときなんて……え、してませんか? してたでしょ?」と鉛筆を細工したカンニングの思い出を話す。まあ中学時代は似たようなことしてましたね。
親というものは受験だけじゃなくて子どもに習い事をさせたがるが、それでオリンピックに出られるのは本当に特別な才能が必要で、それには親も他の人とは違うのではないか、という。それでも親というものは子に期待をしてしまうもので……と『雛鍔』に。
兼好師の『雛鍔』は久しぶり。こういった時季の噺はめぐり合わせによっては結構間が空いてしまう。
お店の番頭さんとの会話の場面の後にある、おかみさんに小言を言いながらお茶と羊羹を用意させるシーンが楽しい。来客用に羊羹を切りながら一切れ食っちゃうおかみさんの天然ぶりも明るくてたまらない。
金坊の「こんなもーのひーろた、こんなもーのひーろた」がやたらとわざとらしく、それを見たお父つぁんの「この野郎……」という表情がおかしい。

しゅりけんさん、「まさかバラされるとは……」といいながら全然こたえてなさそうな感じ。兼好師も「ああいうのが一年後にすごい伸びてるか破門されてるかどっちか」と言っていたが、俺は伸びるんじゃないかなーと期待している。
とはいえ今日の『小言念仏』、悪くはないんだけどちょっと聞き取りづらかったように思う。念仏のところとぎゃーぎゃー小言をいうところとトーンというかテンションが同じなので、ぱっと聞いたときに今は念仏なのか小言なのかの区別がつきづらかった。

兼好師の二席め、先日松山へ行ったときにラーメン屋に入ったのだが、メニューに鍋焼きうどんがあったためにそれを頼んでしまったエピソードをマクラに。
その店は挨拶の声も小さく、基本的にやる気を感じなかったという。しかも鍋焼きうどんの鍋が歪んでいたそうで、箸を入れると鍋が回転したのだとか。……俺は店で鍋焼きうどんを頼んだことがないので知らないのだが、鍋焼きうどんてそういうものなの? 俺は小さい土鍋に入ってるものだとばかり思っていた。
結局のところラーメン屋でうどんを頼んだのが間違っていた、というようなところから『うどんや』に。
酔っ払いが「おじ様、さてこの度は」と再現しようとして炭火に手を近づけ過ぎて「あっつっ!」とそこだけ素に戻るところが芸が細かい。話がリピートしても毎回やるのがおかしい。

のだゆきさん、こういうすごい実力を持った人がチープな道具で超絶テクを見せつけるの好き。
まずはイヤリングのように付けていたミニハーモニカで『聖者の行進』を吹き、いつものようにピアニカでファミリーマートのテーマを奏でる。
鍵盤がついてるのに音色はリコーダーという珍しい楽器も。
配信用の画角の関係なのか、座った体勢のままでというのは珍しい。

兼好師の三席め、春になってくると人間も盛りがついてくる、と『崇徳院』に。
この噺を聴くたびに毎回書いている気がするのだが、やはり若旦那から恋煩いを打ち明けられたときの、熊さんが笑うまいと必死に取り繕おうとするところが最高。あの場面でここまで会場を沸かせられる人は他にいないんじゃないだろうか。
そんな明るい熊さんが、「お嬢さんがどこの誰だかわからない」と聞いたときに「あらー……。じゃあダメだ、諦めなさい」とあっさりと冷たく突き放す温度差がまたたまらない。
最後の床屋のシーンで、どこかの棟梁がお嬢さん側の人間だと気づいたときの表情がまた。「三軒長屋、見ーつけた♪ 三軒長屋、見ーつけた♪」と迫っていくのだが、今日はそこがからくり人形のような動きになっており、ホラーチックなおかしさがあった。

いやー危なかった。こんな楽しい会を忘れてたらダメージ半端なかったわ。いつもはリマインダー鬱陶しいな、と思ってたけど感謝だわ。
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