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特撰落語会 白酒・兼好 二人会 [落語]

特撰落語会 白酒・兼好 二人会
於:王子 北とぴあつつじホール

三遊亭しゅりけん『転失気』
三遊亭兼好『元犬』
桃月庵白酒『錦の袈裟』
桃月庵白酒『茗荷宿』
三遊亭兼好『干物箱』

初兼好師。
いつもの年なら2〜3回聴いていてもおかしくないのだが、今年はどうも巡りが悪い。

しゅりけんさん、弟弟子もできてさらに気合いが入ったのか、最近また上手くなってきているように思う。
天性の明るいオーラに加え、女性の語り口や小僧、番頭などちゃんと細かい演じ分けもできている。
そろそろ二ツ目だろうし、ちょっと楽しみ。

兼好師の一席め、今年は正月が土日だったためにすぐに通常の生活に戻り、あまり正月気分にならなかったという。「今年は寅年ですけど、トラはマクラにしにくい。『うちの隣の家のトラが』とかすぐに嘘だってわかっちゃう。今年の寅年らしいニュースといえば、サファリパークのトラですかねえ。……アレ前日のスタッフが檻に入れ忘れたってことらしいですけど、寅年だからってニュースになろうとしてわざとなんじゃないですか」と今年も黒い。
「でもあんなに普段お世話している飼育員に噛み付くってんだから、やっぱり野生の動物を慣らすことは難しい。キツネを完全に人の環境下で育てたけれども、人に完全に慣れるまで25代かかったそうです。だから犬や猫があそこまで人間に慣れているのは奇跡に近い」と犬の噺に。
『元犬』はコンスタントに聴いている印象。お弟子さんもよく掛けるし。ハズレの少ない兼好師の中でも特に鉄板ネタのような気がする。実際今日もよくウケていた。
シロが人間になって奉納手ぬぐいを腰に巻いたときに結び目が体の正面にきていて丸見え、というのは兼好師独自のくすぐりだと思うが、「わ、出てる」というその一言がやたらおかしい。

白酒師の一席め、正月はホテルの宿泊客に向けた落語会なんてのもあるという。「ホテルが客のために組んだプログラムなので『アラ落語なんてのもやってるのね』と入ってくる。そうするとものの1~2分で『面白くない』と帰ってしまう人もいる。落語ってのは1~2分聴いて面白いものなんてないんです。下手すると30分聴いても『んん?』と思うものが」とこちらも相変わらず黒い。
「正月にホテルに泊まるくらいですから、金持ってて暇なわけです。それを高座でいうと言い当てられて明らかに引いているのがわかる。私はこういう人間ですから、さらにそこを広げていったら呼ばれなくなった」そうで。
今は正月も遊ぶところが増えた、というところから昔の遊び場の噺に入っていく。
白酒師の『錦の袈裟』は初めて。与太郎のおかみさんは伝聞ではかなりの猛女のように語られるが、実際にはしっかりもので細やかな感じ。対して与太郎はホントにストレートなバカ、という感じでソレだけでも面白い。

二席め、ウーバーやアマゾンプライムの宅配業者のマクラから『茗荷宿』に。
……ん、これ半年前のこの会でも掛けてなかった? まあ『茗荷宿』は白酒師でしか聴かないし、面白いからいいんだけどさ。

兼好師の二席め、「昔はあったそうですが、上司の交通違反を部下が身代わりにしたそうですね。よくやるなと思いますが……。昔のドラマとかで子どもが人質に取られたりしたら『私が身代わりになりますから!』というシーンがありましたが、当時は『ホントかよ?』と思いましたが今ならわかりますね。娘が人質になったら身代わりになります。……でも女房ならどうでしょう。『弟子もつけます!』なんて言ったりして……」なんて話から『干物箱』に。
噺の冒頭、二階の若旦那と一階の大旦那の会話の場面で、「世間話でもしたらどうだ」「親孝行に肩揉みでもしたらどうだ」といわれ、「冗談じゃない」と花魁とイチャイチャしているところを妄想し、「と、これが世間話/肩揉みだ」とひとりで憤慨しているのがおかしい。
妄想という点では貸本屋の善公に「身代わりを頼みたい」と言ったときの善公の妄想の暴走ぶりも楽しい。「花魁が『アタシは若旦那の声に惚れてるんだよ』というから『今日はあっしが若旦那の代わり』『明かりを消しとくれ……』ってことでしょ!?」「ソレ何が楽しいの?」というやりとりもおかしい。
最後の場面では薬を持ってきた大旦那に布団を剥がれて善公と入れ代わっていることが露見するのだが、布団を剥がれた際に歌舞伎の見得を切っているような形をするのも小ネタながら好き。

今年も一番聴きに行くと思うので、よろしくお願いします。
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