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第13回 小辰の寸法 [落語]

第13回 小辰の寸法
於:人形町 日本橋社会教育会館

入船亭小辰『たらちね』『締め込み』『明烏』

世話になっていた伯父が亡くなり、急遽岩手まで。
火曜に有給とって行こうかと思っていたのだが、今日ならば彼女も一緒に行けるというので朝から新幹線で向かう。明日の仕事に備えるために夕方までに帰りたいという彼女に合わせて私も一緒に帰ってくる。納棺してお別れという強行軍。
ホントは落語って気分でもないのだが、予約しちゃったし間に合うんだから行くかあということで人形町に。

最初はいつものようにご挨拶かと思いきや、「最近物忘れが激しくなった。高座に手拭いを忘れたり。今日は手拭いは持ってきてるんですが……前座さんを頼むのを忘れておりまして、今日は最初から最後まで私ひとりです」とのこと。
一席めのマクラというかいつもならご挨拶での話題は、先日出演したさるハゲロックフェスティバルの一部始終。
新宿のロフトで行われている漫画家のしりあがり寿主催のフェスで、最初は仲間内の新年会だったらしい。二年前には兼好師も出たらしい。そういやそんなこともあったような……。行ってないけど。
なぜ小辰さんにオファーが行ったのかは結局は謎のまま。小辰さんの前にはたまのメンバーがいるバンドが出演していたそうで、扇辰師は知り合いだとか。
色んなジャンルの人が出演していたそうで、歌人の枡野浩一さんと楽屋で隣だったらしい。すごい人らしいのだが、そのすごさがわからないので、結構失礼なことを言ってしまったそうだ。まあ俺もわからないのだけれど。
その他これまでの普通の落語会と客層から何からまったく違うので、笑わせてるんだか笑われているんだかわからなくなったという。それで持ち時間20分のところ30分もやってしまい、「寄席芸人として時間も守れない」と凹んだそうな。
「まあそういうお仕事に呼ばれたのも縁ですよ」と無理くり古典っぽいつなぎの言葉を言って噺に入る。

『たらちね』の言い立ては「丹頂の夢を見て妾を孕めしが」じゃない方。
念仏や火事のシミュレーションも含みつつ、「よって件の如し」までのフルバージョンを演じる。やっぱりキッチリしてるねえ。
寄席ではよく聴くが、実はフルバージョンをやろうとすると時間もそうだがいろいろと要素がありすぎて後ろが大変なのだという。大家さんとの根問部分があり、言い立てがあり、ひとり気違いもあり、なにかがツきやすいんだとか。なるほどなあ。
「でも今日はやりたかった部分をうっかりバッサリ飛ばしちゃいました」とのこと。ひとり気違いの部分がメシの食い方の稽古しかなかったから、そこかな。俺あそこの夫婦喧嘩の稽古の場面好きなんだけど、そこをやる人はほとんどいない。

一席めが終わってそのまま二席めに入る。
亭主は口下手な感じだが、その分女房はよくしゃべる。昔亭主に結婚を迫られた場面については言い立てのように一気にまくし立てる。
夫婦喧嘩の場面がメインで、泥棒と呑むシーンはなし。「酒呑むか」となったところで「おいもう心張り掛っとけ」となり、サゲに。

三席め、「今日は前座さんがいないので四席演ろうかと思ったんですが、雑談が長すぎて結局いつもと時間変わらないんでやっぱり三席で」とのこと。
「皆さん明日から仕事でしょうから」。そうなんだよなあ。仕事行きたくねえー。
噺家は土日はなんとなくわかるんだけれども平日の感覚が曖昧になるそうで、小辰さんはマンガ雑誌の発売日で曜日を感じるのだそうだ。たしかにマンガ雑誌買ってた頃はそうだったなー。しかし最近は立ち読みできるコンビニが少なくなったと憤る。一時期は「コンビニの立ち読みは防犯対策にもなっているから見逃されている」と言われていたが、最近はそうでもないようで。
四席はやらない代わりなのか、三席めは長めの噺に。
途中、「源兵衛さん、太助さん! ここはお稲荷様じゃありませんね!」というセリフのところで「ここは吉原じゃありませんね!」と大きな声で言い、会場中から「え?」と声が上がった。やり直すかと思ったら「ええここは吉原じゃありませんよ」とそのまま進めてなんとか無理くり軌道修正するも、さすがに強引過ぎたか。
その後は特に動揺した様子も見せずに最後までキッチリと。終演後にはあちこちから「珍しいねえ」との声が聞こえた。
タグ:入船亭小辰
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