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三遊亭兼好・三遊亭萬橘二人会 ひなまつり おかしなふたりPart2 [落語]

三遊亭兼好・三遊亭萬橘二人会 ひなまつり おかしなふたりPart2
於:清澄白河 深川江戸資料館

三遊亭けん玉『たらちね』
三遊亭萬橘『転宅』
三遊亭兼好『うどんや』
三遊亭兼好『磯のあわび』
三遊亭萬橘『死神』

先日バイクでコケ、夜あまりの足首の痛さに夜間救急で病院に行ったところ、足首はただの捻挫で済んだ。が、「ちょっと痛いなー」程度で念のため調べてもらった右ひじは剥離骨折とのこと。深く曲げると痛い。剥離骨折は初めてだ。
ただ、やっぱりコケる瞬間にいろんなところを打ったり普段使わない筋肉に力が入ったんだろう、一日経った昨日は全身がなんだか痛くて体がダルかった。なので急ぎの仕事は昨日頑張って終わらせ、今日は大事をとってというか体力回復のために会社を休む。
昼、なんとはなしに『東京かわら版』を見ていたらこの会を見つける。行きたいと思っていて、平日だからと諦めていた会だ。
いやいや、会社休んだクセになに落語行こうとしてんのと自分で自分を諌めたものの、会社を定時に上がればギリギリ間に合わない会じゃなかった、つまり会社を休もうが出ようが関係ないじゃないだろうか、などという自分でも呆れる屁理屈をひねり出し、予約を入れてしまう。
我ながら重症だとは思うが……でもこんないい会、行けるんなら行くしかないじゃないか。
そして雨の降りそうな中、バイクで行く。懲りないな。しかしバイクは足を置くところが少し欠けたものの、ウィンカーやライトなどは異常なし。不幸中の幸い。

けん玉さん、「火事だあー火事だあー」のところまで。
ひと言ひと言丁寧に演ろうとしている印象を受けた。ハキハキとして、明るく聴きやすい。
隣の婆さんが「婚礼? この長屋で独り者といったら八つぁんとあたしだけ……もらってくれてありがとう」とニヤッとするところが面白い。

萬橘師の一席め、「私が最初に出たということは、私がトリを務めるワケです。本当は断ったんですよ」と言ったところで「頑張れよ」と声がかかる。
すると「『頑張れよ』っておかしいでしょ、頑張ってるっつーの。それともなんですか、『あなたには力不足でしょうが頑張ってください』ってことですか。だったらいいよ、クイツキ終わったら帰ればいいじゃないですか」とネガティブにキレて笑いを誘う。でもまあもっともだよね。萬橘師は噺をより面白くなるようにアレンジしてるんだから、それを「頑張ってる」と言わずなんと言おうか。
この『転宅』も泥棒の盗み食いのシーンをカットしたり、お妾が泥棒に身の上話を聞かせるのだが、それが浄瑠璃のストーリーだったりするアレンジを加えている。
特に浄瑠璃のストーリーを絡めるのは上手いなー。お妾が「娘義太夫の太夫だった」というキーワードの伏線になっていて、なるほどと思わせる。何度も聴いた『転宅』も新鮮に聴ける。

兼好師の一席め、お内裏様は高橋ジョージ、お雛様は小保方晴子の雛人形なんか面白いんじゃないかとのこと。
また、大塚家具の御家騒動に触れ、娘と仲の悪い父親にシンパシーを感じて応援せざるを得ないとか。ただ、「実はあれはすごく仲のいい親子なんじゃないか」と疑っているそうだ。ここまで連日ニュースに取り上げられ、店舗にまで「会長派? 社長派?」と聞きに行きたい人は大勢いるはずで、宣伝になってるんじゃないかとのこと。さらに机を挟んで話し合った結果ついに和解ということになったとしたら、その机は「娘と仲直りできる机」として世の父親に売れるはず、少なくとも自分は買う、だそうだ。すごい角度から見てるなあ。
さて『うどんや』は随分久しぶりに聴く。
酔っ払いのおとっつぁんと人のいいうどんやの対比が面白い。
「お花坊がさあ、こうやって三つ指ついて……熱っ」と指を火に近づけすぎたりするのは芸が細かい。

二席め、マクラで「萬橘さんは『あの噺』を演るようなんで、お楽しみに。演題を言っちゃうと楽しみが薄れるんで、あらすじだけ」と笑いを取るとともに萬橘師へのハードルを上げる。
『磯のあわび』もだいぶ久しぶりに聴く。
与太郎の清々しいほどの明るいバカさ加減が楽しい。ストレートな明るさを持つ兼好師ならではの味わいかも。まあ他の人で聴いたことがないので比べようもないのだけれど。

萬橘師の二席め、銀の着物にオレンジの羽織で「日比谷線と銀座線」とのこと。その二線が交わるということは上野か銀座か。萬橘師が銀座つてことはねーな、などと考えているうちに噺に入る。
主人公はすでに医者で、脈をとるだけで患者が死ぬので「殺し屋」の異名を持っているところが新しい。
死神も出会ったときは易者の格好をしており、最初の患者はこの死神が差し向けたもの、というのもなかなか説得力がある。
また、呪文は「あじゃらかもくれん、高橋ジョージ、裁判でパッ」となっており、兼好師の一席めのマクラを拾っていた。
ちなみに教わった直後に唱えたときは死神が消えない。「なんだ消えねえじゃねえか」「今は患者の足元に座ってないからな」。なるほど今まで気づかなかったが確かにそうだ。
布団を反転する家では「主人を一週間でいいので生かしてください」と繰り返していたが、江戸時代には七曜というか「一週間」という概念は使っていないんじゃないかなあ。
最後の場面、継ぎ足すロウソクは燃えさしではなく新品のもの。それにも意味があって、火が付いたロウソクを吹き消して終わり、というのは変わらなくても結末はオリジナルのものとはちょっと違ったものとなっていてうならさせる。
アレンジする力がより磨かれているように思う。

雨が降り出す前に帰りたかったのだが、ウチへ着くちょっと前からポツポツと降り始める。
あーこないだコケたときもこんな感じだったよ、で、急いで帰ろうとして滑ってコケたんだよなー。なんか天からの悪意でもあるんじゃないかと思うほど。慎重に運転して無事帰る。

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