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新春えのき寄席 橘家文蔵三遊亭兼好二人会 [落語]

新春えのき寄席 橘家文蔵三遊亭兼好二人会
於:早稲田 榎町地域センター多目的ホール

三遊亭兼好『強情灸』
橘家文蔵『転宅』
橘家文蔵『道灌』
三遊亭兼好『壺算』

昨日道楽亭に行く前に会場へ寄ってチケット買っていた。これだけ落語行ってると500円の差もデカい。最近いろんなものが値上がってるし……。そんななかこのふたりの二人会で前売り1500円というのはありがたい。ここ最近行政が入ってお得な会に行けている。
ところで最近GoogleMapのナビが右折禁止の交差点でガンガン右折の指示を出してくる。この会場へも禁止の交差点で右折指示を出してきやがって。これで切符切られたら目も当てられんぞ。Googleが払ってくれるはずもないだろうし。

なんやかやで会場まで。なんか見覚えのある人がいるなーと思ったら文蔵師が会場前でタバコを吸っていた。……そのスジの人感……。

会場に入ると「お年賀」が配られていた。え、この包みの感じだと扇子? 1500円の会で? と思ったら飴だった。なーんだ。いやなーんだってこたあないんですが、まあそうですよね。干支にちなんでウサギの飴がかわいい。
結構周りの人も騙されていた。
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兼好師の一席め、兼好師自身はこの会は2回めだという。いつものように2回めの会はやりやすいとか、地域いじりとかをしてから圓楽師の噺。
「今日『笑点』の後釜の人が決まるんでしょ? ……一応言っときますと、私じゃありません。以前に新聞に圓楽師匠が遺言で私か萬橘を後釜に推してたという記事が出てたんですが、私は何も聞いてないんで私が一番驚いた。あとで聞いてみたんですが、プロデューサーが病床の圓楽師匠に『後釜どうします?』と聞いたら『兼好』と言ったそうです。後日プロデューサーが『萬橘はどうですか?』と聞いたら『萬橘!?』と驚いてカクッと亡くなった。だから『兼好と萬橘を推して死んだ』んじゃなくて、『兼好を推して萬橘で死んだ』んです」と相変わらずの黒マクラ。
病院の話から昔は具合が悪くなるとお灸などで対応していた、と『強情灸』に。
兼好師の鍼灸師はスンとした顔でなぜか顔が横揺れしているという独特なキャラで、前にも書いたがなぜか当代柳朝師が思い起こされる。
灸の熱さが腕に伝わってきたときの声の裏返り方がとにかくおかしい。

文蔵師の一席め、……の前になぜか兼好師が高座を降りても出囃子が鳴らない。会場がざわつき始めた頃、出囃子なしで文蔵師が登場して高座に上がる。「私くらいになると出囃子なんかいらないんですよ」とスタッフへのフォローなのか待ちきれなくなっただけか。
「落語ってのは寄席はもちろんですがこういう地域寄席の他にもいろんなところでやっているんですよ。蕎麦屋の二階とか寿司屋の座敷とかね。私も今までいろんなところでやってきました。葬儀屋さんの二階でやらしてもらったときは座敷に座布団が敷いてあっただけで高座がない。『なんか台とかないですかね?』と聞いたら棺桶の上でやらされた。雀荘でやったときは全自動卓の上でやったり」と苦労したエピソードを。
今回は会場が建てられて20周年のイベントとして開かれているらしく、縁起を担いで泥棒の噺に。
お菊の旦那が残したご馳走をいろいろ食べ、いちいち感激している新米の泥棒がかわいい。お菊に見つかってからも「ちょっと待て」と手で制し、その後も散々飲み食いしてから「静かにしろい」と凄むのがおかしい。
またお菊もとにかくかわいくかわいく演じているのがまた。いわゆるギャップ萌えというか、あの顔でこの仕草すんの!? という落差が面白い。

二席め、今度はちゃんと出囃子が鳴るも、頭を下げて上げたところで「ドロロロロ……」と追い出し大鼓が鳴る。「……あの、操作できねえなら音なくても大丈夫ですよ……」と組長に気を使わせるスタッフのおじいちゃんたち。仲入りのときにも「テープの調子が悪くて……」とか言ってたし。テープ!?
文蔵師は寄席のトリのときにも『道灌』を掛けると聞いてはいたが。もちろん前座のものとはまるで違うし、こういうネタをさらっと仲入り後に掛けるのがカッコいい、というのもわかるけども、やっぱりちょいと違和感はあるかな。俺の頭が固いのか。

兼好師の二席め、最近は日本も物騒になった、今までは財布を落としても大体は戻ってきていたのに……とほとんど兄いが詐欺師のような『壺算』に。
兼好師は鉄板をいくつも持っているが、これはその中でもかなり上位のネタだろう。というか『壺算』でスベってるの見たことないし。……いやまあほとんどのネタでスベってるのを見たことがないのだが。
「いいの買ったねっと! いいの買ったねっと!」というあのフレーズの後に「お客様ー! お戻りください、お客様ー!」というときの番頭の手の動きがなんとなくアメリカンでそれも楽しい。

5時には家に戻れたので『笑点』を見る。どうせ桃花師だろーと予想していたので、一之輔師が出てきたときにはリアルで「ええええっ!」と大きな声が出てしまった。猫が驚いてた。
でもまあ良かったのかもなあ。正直いくら笑点メンバーになったからって、さすがにもうこれ以上は忙しくはならないだろうし、チケットもこれ以上はそうそう高くならないだろうし……。宮治師のときみたいに、日テレのバラエティ行脚とかやらされたらちょっと嫌だけど。それになんとなくだけど一之輔師なら落語ファンがメインの会、つまりは笑点メンバーとか大物と一緒の会とかじゃない場合はあまり笑点のことを話題にしなさそうな気がする。まあどうなるかわからないけど。これまで出ずっぱりだった寄席もトリのときだけとかになっちゃうのかなあ。昨年はとうとう三席しか聴けてないのに、また聴ける機会が減ってしまうとしたら悲しいが、……落語界のためにはいいことなんだと思う。マジでトップランナー、将棋界でいえば確実に名人戦A級クラスがメンバーになったわけだし。もう「らくご男子校」みたいなこととかできないんだろうなー。
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十代目入船亭扇橋独演会「凱旋」 [落語]

十代目入船亭扇橋独演会「凱旋」
於:新宿三丁目 道楽亭

入船亭扇橋『鋳掛屋』『野晒し』『宿屋の仇討』

あまり道楽亭には行きたくはないんだけど、まあ仕方なく。

一席め、「真打披露目が終わってから(オーナーの)橋本さんから『この日どうですか?』ってブワーっていろんな日の候補が送られてきた。これだけ挙げときゃどこかはあるだろ、みたいな。で、この会のタイトルってのは橋本さんが勝手につけるんですけど、『凱旋』って……。いやわかりますよ、披露目中は出られませんでしたから。でも『凱旋』って戦地に行った人が戦果を上げて地元に戻るときとかに使う言葉じゃないですか。そう考えるとですね、私のホームは寄席なんですよ。ここじゃないんだよなあ……」。私の勘違いなら申し訳ないけど、どうも道楽亭には前向きな感情が見えないんだけど……。逆に言えばオーナーとの信頼関係があるのか?
「道楽亭には二ツ目になりたての頃から会を開いてもらってます。ノラやの次くらいにお世話になってるんじゃないですかね」。目の前にオーナーがいるのに「一番お世話になってる」とは言わないのが正直。
「道楽亭には前身の店の頃からお世話になってますから。前身の店で初めて三K辰文舎のライブがあったんですよ。そのとき私は見習いで、師匠が音出ししているのを見ていて、『音出てるか?』って聞かれたりして。『ハイ出てます!』って答えたりしましたがホントはまったくわかってなかった。でもその経験があったんで地方の会場にいってマイクテストしてるときなんかにも『あー、ちょっと籠もってますね。ローを出してもらえますか』なんてハッタリをかませてますから」。
「今日は池袋の寄席からここにきてます。噺家の夢ですよ、昼に寄席に出て夜にワキの仕事に行くっていうのは。……でも池袋と道楽亭ってのもね……。いずれ鈴本からよみうりホール、みたいな掛け持ちみたいなことをしたいですね」など道楽亭いじりもふんだんに。
その後も大田区の小学校のワークショップに参加した話や、息子さんの学校に読み聞かせのボランティアに参加した話などをたっぷりとした後に『鋳掛屋』。
「たぶん道楽亭で二番めに多く掛けた噺じゃないですかね。続いて一番多く掛けた噺を……あ、『高砂や』じゃないですよ、それはさっき池袋でやってきましたから。……すっごいスベりました。なんか私、そういう『イチかバチか』みたいな噺が多いですね。さっきの『鋳掛屋』もそう。ウケるときはウケるけど、ウケないときはシーンとなる。……今日はまあまあでした」と『野晒し』に。そういえば一時期よく聴いていたけど、最近では久しぶり。
扇辰師から教わったんだろうなーというのが伝わってくる。幇間の新朝が長屋にやってきて空気も読まずにぱあぱあとヨイショをする場面が好き。「アタシがあそこにいたのをご存知ない!? んー愚か愚か愚か」という一言がなんかいつも心に残る。

三席め、「最近は旅の仕事も戻ってきました。明日は三人集で旅の仕事があるんですが、真打ってすごいですね、グリーン車ですよ。みんなでキャアキャアいいながらはしゃぐんじゃないですかね。……グリーンではしゃがれたら周りの人は迷惑ですから大人しくしてるかもしれませんが……」と旅の話から『宿屋の仇討』に。
侍の万事世話九郎の真面目な顔をして冗談をいうというキャラが扇橋師によく似合う。最後の場面で縛られている源兵衛たちに向かって「斬るぞぉ~」と笑いながら迫るところが若干の狂気を感じて楽しい。
タグ:入船亭扇橋
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