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三遊亭兼好独演会 [落語]

三遊亭兼好独演会
於:桜木町 横浜にぎわい座芸能ホール

三遊亭兼好『磯のあわび』
三遊亭けろよん『狸札』
三遊亭兼好『あくび指南』
三遊亭兼好『ねずみ』

近所の定食屋で1時間飲み放題1000円というのをやっており、昨日の夕食として唐揚げ定食をつまみに意地汚くビール3杯とサワー2杯を飲み、やや酒が残り気味。
その定食屋はできてから数回しか行ったことがないのだが、何を頼んでも値段の割にショボい上にしょっぱくってハッキリ言ってマズい。場所もあまり良くないのになんでこれで潰れないのか不思議だ。
飲んどいてアレだけど、ビールもサーバーを掃除してないのかなんかマズいし。飲み放題としても微妙だったな……。ということでもう二度と行かないだろうなあ。

この会はゲストなしで兼好師が三席やってくれるのでありがたい。

一席め、普段なら9月も半ばなら涼しくなってくるものだが、今年はまだ暑いという話題から。「今年はどこへ行っても暑い。熊本とか鹿児島とかならまだ納得できるんですが、新潟とか金沢、福井なんかへ行っても暑い。39℃とかある。『お前ら雪国の誇りはないのか!』とイライラします。青森とか東北でも暑いんです。『寒いのだけが取り柄のくせに!』って思う」となかなかの暴論をかます。
「8月下旬に新宿の寄席に出させてもらったんですが、その日は前座さんが滑った。その次も私も仲入りもトリの師匠に至るまで全員シーンと……。あの日東京で一番サムかったのは末廣亭だったでしょうね」。
「最近の話題としては……なんか話題にしにくいんですよねえ……。ジャニーズの話題とか笑いにしにくいでしょ。いいんですよ、私が再発防止策とかを語ったっていいんですけど、……落語にくるような人はジャニーズに興味ないでしょ」。はい。「あんなに歌って踊って、キラキラ汗かいて……。そりゃキュンとしますよ。その後に寄席は……行かないでしょう。出てる人の半分以上顔も洗わないようなのばっかりですよ。頼みの落語もちゃんとできてるかといったらカミカミだったり……」と容赦がない。
「我々が入門した頃は廓を実際に知らない人ばかりになるからやりにくくなるといわれてたんです。まさかモラル面でできなくなるとは……。最近はなんでもハラスメントが厳しくなって、会社の女の子に『髪切った?』だけでセクハラになる。でも女の子から『部長たまハゲた?』は大丈夫なのです。この分だとあと20年もしたら廓噺なんて今の半分くらいしか残らないんじゃないですか」と怖いことをいいながら廓噺へ。
「女郎っ買いの師匠!」と押しかけられ呆然とする隣町のご隠居が気の毒。「……違うよ婆さん。そんな怖い顔しないで……」と戸惑うのがおかしい。

二席め、最近の子は複数の習い事をしてることが多いそうだが、子どもにやらせるのは水泳がいいのだとか。水に入るというのは命の危険があるので、脳は危険を避けようとフル回転して発達するのだとか。「確かに私の周りで水泳をやっていた人というのは賢そうな人が多い。噺家にはいない」。……俺も小2から小6までスイミング行ってたんだけどなあ……。
兼好師が能を習ってるのはファンの間では有名だと思うが、「人前で話す仕事だから慣れてるでしょ、と言われるんですけど、おさらい会とかでは……」と実演。「座ってるとできるんですけどねえ……」とおさらい会での失敗談から『あくび指南』に入る。
あくびを習いに行こうとする男が兄貴分からお前の唄は酷かったといわれ、「でも俺に家まで歌いにきてくれって人がいたんだよ。それで庭に向かって歌えって。その人は歌を聞かないからどうしてですかって聞いたら『お前が歌うとなぜか夜に蚊が入ってこない』って……」などなど、過去の稽古事の失敗談がいちいち楽しい。
あくびを習う動機も「きっと女の師匠が耳元で『はぁあ』ってあくびしてくれるんだよ。そのうち『あくびしてたら眠くなっちまった。寝ましょうか』ってなるんじゃないかと思って」とスケベ根性丸出しなのがおかしい。
実際には指南処にはおじさんの師匠しかおらず、「看板」扱いされるお内儀すらいないというのは珍しいような。
師匠が実演する際にいちいち演目を堅苦しくいうのだが、その後は風呂であくび混じりに都々逸を唸ったり舟で揺られたりする仕草をするという落差も楽しい。

三席め、新幹線の車内販売がなくなるのを惜しむ。「あの売り子の技術はすごい。ベテランになると何を買うのか見ただけでわかるんですって。それにあの売り声。『コーヒーはいかがですか、お弁当はいかがですか』って車内中全員に聞こえる通る声で言う。でも寝てる人は起こさない。……見習いたいですねえ」とニヤリ。
「今年は東北ツアーというものを行いまして、ぐるっと回ってきた。東北は夏が短いのでその間に祭を盛大に行う。竿灯、ねぶた、七夕……」と仙台に場面を繋げる。
やはり兼好師のこの噺の最大の特徴は、生駒屋の存在だろう。元とらやの主人がどうしてねずみやにまで落ちぶれたのかを自分の口から語るというのは、どうしても自己憐憫感があってどうも鼻につくというかあざといというか。それを言い渋っている主人を押しのけて、お節介な生駒屋が語るという構図がいい。これこそが日本人のメンタリティでしょ。
それに全体的に辛気臭くなりがちなこの噺をカラッと明るくしてくれるという点で、なにものにも代え難いキャラになっている。今後この型がスタンダードになっていってほしいくらい。
木彫りのねずみを見てねずみやに泊まる第一号が生駒屋で、そこから旅籠仲間へ広がり、さらに全国へ噂が広がるというのも説得力がある。
ということで若手噺家は『ねずみ』は兼好師に習いに行けばいいと思います。
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