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人形町噺し問屋 その101 [落語]

人形町噺し問屋 その101
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭げんき『つんぼの小咄』
三遊亭けろよん『元犬』
三遊亭兼好『町内の若い衆』
こ〜すけ ジャグリング
三遊亭兼好『質屋蔵』

3回ぶり、期間だと4か月振りの噺し問屋。
仕事が忙しいのは相変わらずなのだが、もうさすがに3回連続でキャンセルはマズい。印象が悪すぎる。だし、兼好師のホームともいうべきこの会はできる限り行かなければ。
ということで仕事を終わらせるために昨日は休日出勤をする。……が。おい社内システムがフリーズしてて動かないってどういうことだ。システムを管理してるのは外部の業者なので、土日には連絡がつかない。しばらくすれば動くかも……と淡い期待を抱いて他の作業を1時間ばかりしてみるも、まるで動かず。あっ、これダメなやつだ。どうしようもないので2時間足らずで帰る。
なんだよおおおおおお! 最初からわかってりゃ一蔵師が出る黒門亭とピッコロの扇辰師の会行ったのに! ピッコロの会はキャンセル待ちしてて、キャンセル出たと連絡もらったのに「仕事入ったので行けなくなりました」って断り入れちゃったよ! ふざけんなよオイ! これで噺し問屋行けなくなったら機会損失で訴えるぞコラァ!
と怒りのまま超集中してなんとか仕事を今日一日で終わらせて日本橋社会教育会館へ向かう。

まずはご挨拶。
「コロナも5類になって少しは状況は変わったようですが……。でも病気が変わったわけじゃないですからね。それなのにもし罹ったら自腹ですから。これはアレですね。『ひとりしか弟子がいない師匠の弟子が二ツ目になった』のと同じですね」といい、会場全体がポカンとした感じに。「うわ、全然伝わってない。アレですよ、他に弟子がいないんで、師匠から『お前ちょっと来いよ』と言われたら行って前座と同じような仕事をしなきゃならない。で、もう後輩もいるんでお金も払わなきゃならない。それでいて別に上手くなっているわけでもない」。わかるようなわからないような……。
「それにしても猿之助さんは残念ですね。私なんか芸能人の裏事情とか別に興味ないんですけど、みんな知りたいんですかね。歌手や俳優さんは大変ですね。ちょっと人気が出るとすぐに暴露されてしまうから、ファンだって気が気じゃないでしょ。落語くらいじゃないですか、安心して聞けるのは。だって皆さん噺家の裏の顔なんて興味ないでしょ。それに噺家って裏表ないんですよ。マクラを振るんで、どうしても素が出てしまう。だから一之輔くんは楽屋でもすっごい生意気。三平アニさんは楽屋でもつまんないの。それに噺家に愛人がいたってねえ。むしろ愛人に『もっといい師匠がいたでしょ』って……」と黒い笑み。
「あまりニュースにはならなかったですが、園遊会が再開したようですね。それにしてもやっぱり皇室の方はいいですね。途中で雨が降ってきたんですが、まるで慌てない。雅子様はお着物を召していらしたんですが、強い雨が降っても『お先にどうぞ』なんて感じで上品ですねえ。反対にイギリスはちょっとね。最後に『国王が永遠に続きますように』みたいなことを全員で唱和するんですよ。まあ宗教的な側面もあるんでしょうけど、なんか言わされているような……。五代目の圓楽師匠が弟子の前で『私はもうダメだね、引退するよ』といったときにどなたかが『師匠、まだまだできますよ。なあ?』と我々に振って『ハイ、マダデキマス』と言わされたことを思い出しますねえ」。黒い黒い。
その他にも奥様とお嬢さんと三人で買い替えに行ったらケータイショップの店員がものの5分で『あ、この和服のオジサンに何をいっても無駄だ』と判断されて1時間半に渡って何も喋らせて貰えなかった話など。

兼好師が袖に引っ込んで出てきたのはマッシュルームカットの若い男の子。噂には聞いていた新しい5番めの弟子のげんきさん。なるほど髪型のセットが大変そうとは聞いていたが噂に違わず。
両国寄席での初高座は済ませているとのことだが、人形町は初めてだろう。圓生一門では最初に教わるという『八九升』の冒頭の親子のつんぼの小咄。しかし兼好師はずっと前座が切れないな。ここ最近の圓楽一門の前座の半分は兼好一門なのでは……。

けろよんさん、「そんなに簡単に師匠は出てきません」と兼好一門の看板的な噺(?)の『元犬』を。相変わらず達者だが、なんかこう……遊びがないというか……キッチリし過ぎな感もないではない。

兼好師の一席め、「仕事を引退して旦那さんがずっと家にいるようになると、ある家庭ではこれ以上なく幸せなんでしょうが、ある家庭では地獄なんでしょうね。だから奥さんがダンナに『週に3日は外に行ってちょうだい』なんていわれるそうですよ。……そう考えるとここにいるみなさんは落語が趣味でよかったですね。チケットは芝居ほどは高くなく、寄席なら4時間は潰せる。しかも2時間は寝られる」。早くそんな日がこないものだろうか。
「私のお客さんの中で、もう家庭内別居状態の方がいるんですが、その夫婦の唯一の共通の趣味が私の落語を聴くことなんですって。同じ家に住んでるのに連絡はスマホのメッセージでやり取りしてるそうですが、チケットを買うのも別々なので席も離れてる。でも行き帰りは同じタクシーに乗ってるそうですよ。その車内では一言も発さないんだって。……面白いですねえ」って黒いってば。
そんな夫婦の話から『町内の若い衆』に。
主人公の金ちゃんがなんであの悪妻と一緒になったのかと回想するシーンで、「蛇が嫌いな俺が共同弁所で蛇を見つけて『助けてー』って叫んだときに助けに来たのがアイツだったんだよな。石を投げて蛇に当てて、その後薪ざっぽうで打ち抜いて……二刀流!?」というときにちゃんと右投げ左打ちで大谷になっているのが細かい。
金ちゃんに頼まれて「何かを褒め」にきた半公が「うわあすごい。うわ。でもあのカミさんのお陰でこの町内は離縁とかがないんだよな。どんなカカアでもあのカミさんをずっと見て、家に帰ればカカアがお雛様に見え」「聞こえてるよ!」というやりとりがおかしい。

こ~すけさん、両国の狭い高座ではできない大技も多数披露する。
いろいろすごいんだけど、観客参加型の芸の時間が長いのがちょっと……。なんか個人的に素人が高座に上がるのは好きじゃないんですよね……。

三席め、番頭さん、小僧の定吉、長屋の熊さんといろんな人が出てくるが、みんな「余計なことばっかりべらべら喋る」という噺の構造がもう面白い。噺の七割八割方が余談という。
こういう「話の本筋には関係ない」ことを話している兼好師の楽しそうなことといったら。そのガチャガチャとした雰囲気がとにかく理屈抜きに楽しい。

とにかくこられてよかった。また明日から長時間残業かねえ……。
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