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人形町噺し問屋 その93 [落語]

人形町噺し問屋 その93
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭兼矢『お見立て』
三遊亭兼好『馬のす』
ふくろこうじ パントマイム
三遊亭兼好『船徳』

クライアントが先週夏休みで、休み明けの動きが鈍いうちにさっさと仕事を上がって人形町に。

まずはご挨拶。
「あんまり触れるのもアレなんですが、やっぱり安倍さんのことは避けられないでしょう。あの日、私は関西の仕事だったんですが、新幹線の中でアレとソレとコレのネタかなあ、マクラはあの話とこの話をして……と考えがまとまっていて余裕があったんです。そしたらあの事件があって……。で、その日考えていたネタが『近日息子』『たがや』『死神』だったんです。もう全部ダメ。代わりのネタを慌てて探して、『井戸茶』なら大丈夫か? 『五十両であの騒ぎですよ、百五十両なんて持っていったら大砲で……』ダメだ! なんて考えて、結局出てきたのが『藁人形』。全然ウケなかった」。あの日にできるネタなんてそうそうないでしょうねえ。
話題が「『ナウシカの呪い』っていうのがありますね。最近ナウシカをネタにした落語を作らなきゃならなくなって」といったときにちょっと会場がザワつく。こないだの新宿の会のヤツですな。まあ驚くよねえ。
「なのでレンタル屋でナウシカを借りて女房と娘と一緒に観たんです。あれはよくできた話ですね。で観終わって『虫も大切にしなきゃね』なんていってたら次の日ですよ。リビングで本を読んでいたら小さい虫がやけに飛んでるんです。『今日はやけに多いな』と思っていたら、風呂から上がってきた娘が『うわあっ』って。なにかと思ったら後ろの壁一面にびっしりと小さい虫がいるんです」。うへえ。普段は虫がほとんど入ってこないのに、ナウシカを観たらそんなことが起こり、さらに二日連続でGも出たとか。俺もこないだの噺を聴いてアマプラかなんかでナウシカ見返そうかと思ったけどやめた。
けろよんさんがコロナ感染のため、今日は兼矢さんが開口一番。「仕事がないっていうんで呼びました。今日の出来次第によっては前座に戻すかもしれません」と怖いことをいう。

「仕事がないんでこちらに来たんですが、そんなに私の二ツ目生活がかかっていたとは……」という兼矢さん、聴きに行きたいんだけど土日にあんまりやってないんだよなあ。こないだは二ツ目の弟子3人揃ってお祝いの会をやってたけど、その時間に師匠は他の会に出てるという。なんでそんなときにやるかなあ。そら師匠の方に行っちゃうよ。
『お見立て』は先日も聴いた噺。間もそんなに取らずにどんどん進んで行ってしまうので少々慌ただしい感じ。いくつか面白いフレーズもあったので、もう少し落ち着いたテンポで聴いてみたい。

兼好師の一席め、最近は旅の仕事も戻ってきたが、あまり交通機関でツいていないという。先日福岡空港であった交通整理係との交流をマクラに。
また、落語協会のお囃子さんときく麿師のお弟子さんの十八さんと三人で旅の仕事から帰る際にいろいろと話をしたという。お囃子さんも十八さんもふたりとも学習院卒らしい。しかも十八さんは元教師だったそうで、「喜多八師匠とか文菊くんとかいますから、学習院からの噺家というルートもないわけでもないですが……。『えーもったいない。バッカだなーお前。なんで落語家になんてなろうと思ったの?』『いや、どうしてもなりたくなっちゃって。それにインタビュー記事で”いつでもなれる”っていうのを読んで……』『うわーそんなの本気にしちゃったの!? 誰の話ソレ?』『兼好師匠です』。……最後まで聞かなきゃよかった」。
「最後まで聞かなきゃよかった」繋がりで『馬のす』に。
兼好師の『馬のす』は初めて聴く。というか『馬のす』自体ほとんど聞かない。まあ小道具として枝豆が出てくるので、どうしても夏の噺ということになるのだろうか。本当にただただくだらない話をだべりながら枝豆を食べるというのがいかにも落語的。
噺の冒頭の釣り道具の点検をしている場面でテグスを口で舐める仕草があるのだが、実際に糸があるんじゃないかと思えるくらい自然でなめらかな動きがすごい。

ふくろこうじ先生、基本はパントマイムなのだろうが、シガーボックスなどの大道芸も。こういうのずっと見ていられる。

兼好師の二席め、「羽生結弦さんがプロになるそうですね。フィギュアは競技を引退してからプロになるってんですからすごいですね。落語なんてどこからがプロかわかりませんからね。それにしても羽生さんはナルシストなんでしょう。自分が大好きで、さらに自分を客観的に見て『理想の自分にはコレが足りないからこういう練習をしよう』というのがわかる。それでより理想の自分になっていって自分をより好きになる」だそうだ。彼に憧れてフィギュアを始める人も多いでしょう、憧れるといえば昔は船頭で……のような流れで『船徳』に。
船頭たちが勝手に罪を自白するシーンでは、場を仕切っている船頭が「他には誰かいねえのかい。今なら俺が一緒に謝ってやる」などといいながら、最後に「女将さんの行水を覗いたのはアタシです」と白状するのがおかしい。
若旦那の船頭ぶりもナルシストが入っており、竿をさすシーンでは「アタシは踊りが踊れるんで」と踊るような仕草で竿を操るが、そのうち踊るのに夢中になって竿を流してしまうというのがたまらない。
船に乗る客が、事前に女将から「もし船が止まるようなことがあったら『女の子がいるぞ』と声を掛けてください。そうすれば進みますから」とアドバイスされているのもおかしい。実際に若旦那がへばったときに言ってみるのだが、一瞬だけキリッとなってすぐに「女の子なんていない。騙された」と駄々をこねるのも笑える。
全編バカバカしさがまぶされており、どこを切り取っても楽しい一席。
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