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落語まちね 三遊亭兼好独演会 [落語]

落語まちね 三遊亭兼好独演会
於:両国 江戸東京博物館大ホール

三遊亭兼好『黄金の大黒』
三遊亭しゅりけん『真田小僧』
三遊亭兼好『お見立て』
三遊亭兼好『やかんなめ』

前はギッチリ、後ろはスカスカ。これで客入り50%に抑えてコロナ対策してますってアタマ沸いてんのか主催者。
しかも前のじーさんの頭で高座が全然見えないし。もー。

兼好師の独演会でよくある最初から兼好師が出てくるパターン。はい全部で三席やってくれること確定。もう木戸銭よりだいぶお得なこと決定ですよ。やったやった。

一席め、「こんな状況の最中、おそらく多少の後ろめたさを感じながらおいでいただきありがとうございます。後ろめたいといえば、栃木は緊急事態宣言解除されたんですよね。それを栃木の人に言うと『いや……なんかスミマセン』と後ろめたそうに言われる。多分『首都圏』に含められるのが気まずかったんでしょうね。東京、神奈川、千葉、埼玉はわかる。そこに『私も混ぜて』というのは勇気がいりますよ」。……ああみんな思ってて口には出さなかったことを……。
「栃木出身の方いらっしゃると思いますけど、……栃木って別に行かなきゃいけない感じじゃないじゃないですか」。あーあーあー。いや日光とか中禅寺湖とか。埼玉出身の私の場合、ちょうどいい距離だからか、小学校の課外授業で結構栃木行ってるんだよなあ。
「多分他の地方の方からしたら、茨城とどっちがどっちだか区別できない。でも我々も富山と福井、鳥取と島根の区別つかないでしょ。……なんなら私『とっとり』の『鳥』と『取』どっちが先かわからないですもん」。……確かに鳥と取、どっちも「とっ」でも「とり」でもいけるんだ……! 気づかなかったなあ。
「私の住んでる足立区でも地域別に格差差別がある。私の住んでる北千住のあたりはまだいい。西新井とか梅田は『川向こう』と呼ばれる」。北千住は足立区内の港区です。
「でも梅田は今一部で盛り上がってる。『梅田』は読み方によっては『バイデン』だから。……そんなこと言ってるから……」。ヤベ、オレ会社にいる梅田さんに同じこと言っちゃった。
会場のある両国のあたりも吉宗以前は田舎扱いだったということから棟割長屋の話になって噺に入る。
長屋のワイワイとした雰囲気が感じられるのがいつもながら楽しい。しかもここの住人は発言をするのにみんないちいち「ハイッ」と挙手するのがおかしい。
大家の息子にいたずらされた鉄さんが、それを大家に報告するときに「あの生意気なガ……かわいらしい坊ちゃんが……」と本音と建前が入り混じるそのブレンド具合が素晴らしい。怒りの声と顔、建前の声と顔、たまに顔と声が入れ替わったりして面白い。

しゅりけんさん、「師匠の後に出るというのは……。お客様も『大丈夫か』と思われていると思いますが、安心してください、私も同じです」。そっかー。
こないだもやっていたけど、「過去の偉人の名言」をもとにした小咄をマクラに。「偉人」と「名言」が混ざっちゃって「名人」とか言ってたけど。そして微妙な空気に。……とりあえず他のパターンも聞いてみたい。
前回聴いたときは話の切れ目を「一部、二部」といっていたのが「一幕、二幕」になっていた。やっぱりそっちのほうがわかりやすい。
全体的に前回聴いたときよりも落ち着いて聴きやすくなっていた。

兼好師の二席め、「最近お客さんから『しゅりけんさん最近噛まなくなりましたね、噛んでたのが面白かったのに』と言われて、これどうすればいいんですか。菅総理の『長男は別人格です』じゃないですけど『弟子は別人格です』といいたい」だそうで。
マクラはやはりというか森発言について。「謝ってるけどあの人は反省してない。というか別にみんな驚いてないでしょ。発言の是非はともかくとして、失言するってみんな思ってたでしょ。あの人は『黒ひげ危機一髪』と同じで、タイミングがわからないだけで絶対にやるんですよ」。上手いこというなあ。
「それにしても二階さんはすごい。なんかあると必ず火に油を注ぎますからね。あのふたりで漫才してほしいですね。どっちがボケかわかりませんが。落語界だったらああいう不謹慎なことをいっても許されるから落語界にくればいいのに。もともと現職総理だった頃にも寄席にくるほど演芸好きだったんですから。結構な地位になってたと思いますよ。そうすれば『小三治の話は長い』って……」。
結局森会長は正直者で嘘がつけないんだろう、だからああいう態度になる、というところから反対に嘘の世界である花魁の噺に入る。
「喜瀬川は死んじゃいました」から始まることもあるが、今日は「風邪引いた」ところから。
風邪では引き下がらない杢兵衛お大尽に対して「風邪だけじゃなくていぼ痔も出て味覚がないという……」という喜助に、「えぼづ!? えぼづならスかたなかんべね」と諦めるのがおかしい。いぼ痔だと諦めるんだ。
お茶を手に泣き真似をする場面では最初は「ちょっと向こう向いてもらえますか」といっていたのに、繰り返すうちに何も言わずにアゴだけで横を向かせるのがおかしい。

三席め、花粉症の話から昔あった病気の話に。疝気の話が出たので『疝気の虫』かと思ったが、女性の癪の話に。合薬の説明をして『やかんなめ』に入る。兼好師の『やかんなめ』は初めてか。かなり前に聴いたことがあるような気もするけど……。というかそもそも『やかんなめ』ってほとんど朝也時代の三朝師ばっかりだな……。
しかしこれがまた絶品。
女中の慌てっぷりと侍の大物っぷりのコントラストが楽しい。
なかなか言い出せない女中に向かって「よくぞ身共を呼び止めた」と繰り返す独り合点の部分も腹が捩れるほど面白い。「お願いとはなんじゃ。はっきり申せ。……これだから女は話が長い」というのはさすが。
頭をなめられているときの侍の表情や声がまた最高。
で、その後に激怒していた侍が中間の可内(べくない)につられて次第に笑ってしまうまでの感情のグラデーションの表し方がすごくいい。上手いなあ。

終演後、5月にある独演会のチケットが売っていたのだが、今日の分は売り切れてしまったらしい。予約してお金を払えば後日用意してもらえるということになっていた。……ということを何度も説明されているのに全然理解せず、ずっと噛み付いてる夫婦連れがいた。……邪魔だなあ。「席の指定できないの? じゃあ意味ないじゃない!」とか言ってたけどそんなのネットでチケット買ったってほとんどの場合できないじゃん。そんでネットで買うと手数料やらチケット発券料やらいろいろかかるのがなくなるじゃん。そういうことわかんないのかねえ。早くどけよ。
で、私は買った。そしたら金払って紙に名前と電話番号とメアド書いておしまい。……いやなんかこちらに受け取りとかねえの? 金払ったという証拠ないじゃん。こっちは金払ったのにその受取ないとか商取引上ありえんでしょ。個人売買じゃないんだから。……大丈夫かこの主催。不安だ。
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