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清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 三遊亭兼好 二人会 [落語]

清瀬けやき亭落語会 三遊亭天どん 三遊亭兼好 二人会
於:清瀬 清瀬けやきホール

三遊亭けん玉『転失気』
三遊亭天どん『はじめての確定申告』
三遊亭兼好『崇徳院』
三遊亭兼好『粗忽長屋』
三遊亭天どん『子別れ(下)』

このふたりの組み合わせというのは珍しい。
ふたりともよく聴きに行くが、二人会というのは私は初めて。何人か出るうちのふたり、というのはあるけれど。
私の中で、私がよく聴く噺家の中ではこのふたりはベクトルというか方向性というかカテゴリが正反対のところにあるような気がしている。
例えばそこに一之輔師や萬橘師などが入っていたら何の違和感もないんだけど、ふたりだけというとどんな化学反応が起きるのか興味深い。

開口一番はけん玉さん。会場近くの東村山出身だそうだ。
最近頑張ってるなーというのがひしひしと伝わってくる。二ツ目も近いし。
今までは割と一本調子な感じだったが、最近は人物を演じ分けようとしているのが伝わってくる。
ただ演じ分け過ぎて、ひとりの人物の性格や話し方が場面によってバラつきが出てしまっているような……。

天どん師は今年初か。だいぶ間が空いてしまった。来月は池袋でトリをとるみたいだからそれには行こう。
「僕は隣の東久留米出身ですから。けん玉さんも近所なら僕に弟子入りすればいいのにね。イライラしますよね。歳は兼好さんのほうが上ですけど芸歴は僕のほうが上なんですよ。でもいろんな人が出る会で一緒だと必ず向こうの方が後に出るんですよ。ムカつくなあ」と文句。まあ真打になったのは兼好師の方が先だし。
「ちゃんとやるのは兼好さんがやりますから。僕は何やろうかなぁー。アンケートとりますよー」出ましたー。もはや恒例。「古典」「季節ネタの新作」「古典と新作の中間」の三択。
中間というのは『夫婦匕首』とかか。
まあ古典は兼好師がキッチリやるだろうし、ここは新作かな、と新作に手を挙げる。拮抗していたようだが、僅差で新作が勝ったようだ。
「あーこの噺この場には合わないですよ? いいですか? 責任の半分は皆さんにもあるんですからね」まあ多分何が選ばれてもこう言うんだろう。ここまでが形式美のような。
で『はじめての確定申告』は初めて聴いたはずなのになんかストーリー知ってるなーと思ったら粋歌さんが演ったのを聴いたことがあるんだ。
オバサンがパートで暗殺者をやり、その確定申告に来たという噺。
報酬の振込先が巣鴨信用金庫とか、この日常に混ざり込む非日常に入り込む日常の加減が楽しい。暗殺者にも協会があって、暗殺協会、暗殺芸術協会、円楽党、立川流の4つとか。この投げやりな感じがたまらない。
途中で「北朝鮮の事件があったばかりじゃないか。こんな噺不謹慎だ!」とセルフクレーム。いや北朝鮮人いないから大丈夫じゃない?

兼好師の一席め、けん玉さんと天どん師の地元に近いという話を受けて「私もここらへんにはちょっと縁がありまして……私が産まれたのは、『航空公園』という駅がありますでしょう?」と話す。あ、そうなんだ初めて知ったと思っていたら「あの駅の駅前にある○○というところをちょっと北に行った福島で生まれ育ったんです」。北行き過ぎ。
それからいつものように会場を褒める。ふりをしてちょっとディスる。
マクラに風邪の話をふり、「もしインフルエンザに罹ったりして他の師匠にうつしたりしたら大変なことになる。今の落語界を支えている人というのはおじいちゃんですから。……まあ歌丸師匠なんかは羽をむしられた鶏のような体ですから鳥インフルエンザに罹るかもしれません。そうすると殺処分ということに……」と黒いことを言い出す。
「天どん兄さんは……もうあの人がインフルエンザ作ってるような感じですもんね」とバッサリ。「それでも医者でも治せない病というものがありまして」と『崇徳院』に入る。
ちょうど一年ぶりくらいか。一時期兼好師に限らず続けて聴いていたが、最近はあまりお目にかからない。
「恋わずらい」と若旦那に聞いて笑いをこらえる熊さんのリアクションがおかしい。
というかいろいろと熊さんがウザくて「お前は普段は面白いけど今日はムカつく」と親子でキレられるのが笑える。

兼好師の二席め、「私と天どん兄さんて対照的だと思うんですよね」と。あ、本人もやっぱりそう思ってるんだ。
で「いろんな人がいる」と『粗忽長屋』に入る。
ぽんぽんと威勢よく語る兄貴分にどんどん説得されていってしまう熊の様子がおかしい。

天どん師の二席めはガチガチの古典。一席めの三択の「古典」はこれだったのだろうか。
「この熊さんという男、腕は良いんですが酒が好きという……こういう人は大概腕がいいんです。腕が悪くて酒が好きって、単なるクズですからね」とことろどころに入る天どん師の冷静なツッコミが面白い。
母子の攻防シーンはやや軽めか。
夫婦が再会して、熊さんが煙草を呑みながら同じ話を繰り返すというシーンでは、毎回煙管を叩いて「あっつ」と熱がるというくすぐりがなんとも天どん師らしい。
あまりイメージないのだが、よく考えると天どん師は結構人情噺っぽいのよくかけてるよな。新作でもそういうのいくつかあるし。実は人情噺好きなのだろうか。

終演後、ロビーに出ていた天どん師と挨拶してから帰宅。
知り合いも来ていて飲みに誘われるもののバイクだしなあ。来てると知ってたら電車で行ったのに。
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