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らぐろ亭 第17回 一蔵・小辰二人会 [落語]

らぐろ亭 第17回 一蔵・小辰二人会
於:駒込 妙義神社

春風亭一蔵『間抜け泥』
入船亭小辰『鰍沢』
入船亭小辰『悋気の独楽』
春風亭一蔵『らくだ』

久しぶりのらぐろ亭。前回前々回と別の会に当たったり、別の用事が入っていたり。今日は他の予定もないので、久々に打ち上げにも参加するつもりで電車で向かう。
会場が少しだけ移動して神社の会館の和室になり、入れる人数が増えている。前の会場はとにかく狭くて椅子も小さく、座るだけで大変だったからこれはありがたい。
前座として明大の落研と日大芸術部の落研のふたりがあがり、『延陽伯』と『道具屋』がかかる。『延陽伯』は『たらちね』の上方版といった噺で初めて聴いた。

一蔵さんの一席め、さんざん前座の落研のふたりをいじり倒す。
さらに定番の「する」を「あたる」に言い換えるというマクラに。一蔵さんのこのマクラをするときは「こないだ新入りの前座がスリッパのことをアタリッパといってました……知っていても笑え!」とここまでがセットだと思っていたのだが、今日はアタリッパで結構笑いが起きていた。どうするのかなと思ってたら「この辺知っていても笑え!」と私がいるあたりを指定されてしまった。すいません。
一蔵さんの『間抜け泥』は初めてかも。『出来心』の花色木綿の部分は聴いたことがあるが、その時は間抜け泥の部分はカットされていたし。
「新米の泥棒がボヤッとしてる」という表現なのだろうが、なんか酔っ払いみたいな感じになっていた。親分と話している分には単なる与太郎的な感じだったのが、ひとりになった途端に酔っ払いチックになるのでちょっと違和感はあるかなあ。面白いのは面白いんだけど。

小辰さんは今年初。毎年1月は兼好師が詰まってるから、他の噺家さんがどうしても遅くなってしまう。
小辰さんも落研をいじるいじる。特に小辰さんは自身が日大芸術部の落研だったためにいろいろ屈折した思いがあるっぽい。
さて噺はおそらく扇辰師仕込みと思われる『鰍沢』。
昨年の夏に聴いた以来だが、やはり冬に聴くとさらにいい。まるで薄暗い小屋や夜の雪山が見えるようだ。
お熊の渦巻くような情念もいい。
笑いも一切取らず、息もつかせずに一気に最後まで聴かせ、最後の「お材木のおかげだ」で場が一気に緩む。これだけの噺ができる二ツ目はなかなかいないのではないだろうか。
なぜか「卵酒」がいつもいえなくて噛むのはご愛嬌か。

仲入りを挟んで小辰さんの二席めは今度は軽く『悋気の独楽』。
同期三人組の仲の良さについて語り、香盤の順番もこの順番がいいのだという。一蔵市弥小辰の順がいいのであって、これが変わっていたらおそらく一蔵さんとは仲が悪かっただろう、とのこと。なぜか後ろから一蔵さんの笑い声が聞こえてきた。
悋気ネタに入る際のお決まりの文句「やきもちは 遠火にやけよ やく人の 胸も焦がさず 味わいもよし」と言い終わった途端、狙ったかのように「テロリン」と客席からLINEの着信音が。
まるで相槌のようにものすごいいいタイミングに客席からも笑いが起こり、小辰さんも苦笑いでLINEについてマクラを追加。小辰さんはiPadでLINEをやっているのだが、あまり使いこなせていないとか同期三人組でグループLINEをやっているとか。最近ようやく「既読スルー」という言葉を覚えたとドヤ顔で話す。
噺に入るとお内儀さんや定吉のキャラが立っていてそれがなんともおかしい。
定吉が旦那を尾けているときに雪だるまの中に隠れ、それを旦那がチョップで割って暴くというのはなんか一之輔師っぽい。というか小辰さんのキャラじゃない気が……。というかあまりにも珍しいくすぐりに、小辰さん自身が笑ってしまっていた。
それにしてもお妾さんの色気がすごいことになっていた。

一蔵さんの二席め、小辰さんから『芝浜』とか『鼠穴』とか振られていたが「やりません」とあっさり無視。とはいえ大ネタの『らくだ』に。
やはりこの噺は一蔵さんにぴったりだと思う。ここまで素でらくだ(とその兄貴分)を演れるのは一蔵さんか文蔵師くらいなのではないだろうか。
漬物屋に「死体にかんかんのうを踊らせる? やってみろ」と言われたときに「今度はちゃんと歌おう」と練習する屑屋がおかしい。

終演後は久しぶりに打ち上げに。
明大の落研の人と話したり。お客さんの中に会津若松に住んでいた人がいて、「兼好師匠の出身地ですね」といったら小辰さんに「ああ兼好師匠の……そうだ兼好師匠の手先め!」と言われてしまう。手先って。
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