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扇辰日和 Vol.46 [落語]

扇辰日和 Vol.46
於:なかの芸能小劇場

入船亭辰まき『寿限無』
入船亭辰じん『手紙無筆』
入船亭扇辰『化け物使い』
恩田えり 寄席囃子・『実録シリーズ 昭和テレビ大作戦』
入船亭扇辰『たちきり』

久しぶりに中野へ。
駅前のバスターミナルがなくなっていて驚いた。
会場内は若い客が多い印象。場所も関係あるのだろうか。

初高座という二番弟子の辰まきさんは必死の形相で高座に上がっていた。
一声出したら落ち着いたのか、とても初高座とは思えないほどしっかりとした『寿限無』を披露。落研かなんかだったのかな。

高座が終わり、下がるとなにやら舞台袖でごしょごしょ。めくりを台ごと下げてしまった。
?と思っていたら、飛び入りで辰じんさんが登場。文字通り「飛び入り」で、高座に駆け上がっていた。
本来恩田えりさんの寄席囃子の太鼓叩きに来ていたのが、「悔しかったので師匠にお願いして上がってきた」そうで、辰まきさんがソツなくこなしてたのを見て自分も出たくなったのかな。
二ツ目昇進とともに「小辰」と名前が変わるそとのことで、理由が扇辰師に「『たつじん』ってなぁ」と言われたそうで、「アンタがつけたんだろ!」との魂の叫びが炸裂。
いいたいことをいったら落ち着いたのか、その後は普通に『手紙無筆』を披露。
さすがに二ツ目昇進間近、安心して聴いていられる。

扇辰師の杢助は、田舎者なのにどことなく品のある感じ。あまり泥臭さがないのはやはり扇辰師だからか。ちょっとクサい気もするけど。
化け物が出てくる後半は、大入道とのっぺらぼうが同じ日に出てくるなど、若干端折った感じに。
時間の都合もあったかもしれないけど、もう少しきっちり聴きたかったなあ。

恩田えりさんは最近そこかしこで名前を聞くけど、見るのは初めて。
独特の空気にちょっと戸惑う。初期の山瀬まみのような、声優のTARAKOのような……。
まずは扇辰師による寄席囃子講座。
辰じんさんが一番太鼓や追い出し太鼓の実演を行う。
ちょっとミスったらしく、「お前今間違えたろ? ……皆さんに残念なお知らせがあります。辰じんの二ツ目昇進が延びました」とのツッコミが入っていた。
そののちに恩田さんのお囃子と出囃子をいくつか。
出囃子のリクエストも受け付けてくれ、小三治師の「二上りかっこ」や鯉昇師の「鯉」、扇辰師の「からかさ」などを演奏。
紙切りのように早い者勝ちや声の大きい人が勝つのではなく、挙手して扇辰師が指名するスタイルだったので私も手を挙げてみる。他に手を挙げた人がいなかったようで、私が指名された。せっかくなので、もっとも敬愛する落語家、古今亭志ん朝の「老松」をお願いする。落語会や寄席でリクエストするのは初めて。
今は出囃子にしている人もなく、CDでしか聴けない「老松」を生で聴くなんて貴重な体験ができた。
ああ、もっと早く落語に興味を持っていたら、志ん朝師の高座を聴くことができたのかもしれないのに……。
それにしても、現役ではない出囃子をリクエストされて簡単に弾きこなすのはさすが。鯉昇師なんて協会も違うのに。そしてそれに合わせて太鼓を叩く辰じんさんもなにげにすごい。

その後、扇辰師と辰じんが退場し、恩田さんひとりが取り残される形に。
「いつもは最初からひとりで、こんな取り残されるなんてことはないからどうすればいいのか……」と戸惑い気味ながらも、ご自身が子供の頃のテレビの視聴権についての漫談(?)をはじめる。
恩田さんの子供の頃の話で、恩田三姉妹にはどうやらひとり一日30分のみテレビのチャンネル権があるらしく、その30分をどうやりくりして1時間番組の『ザ・ベストテン』の内容をすべて把握するか……というのが大筋。ときどき三味線で自演のBGMが入る。
私とだいたい同世代らしく、『オレたちひょうきん族』や『アメリカ横断ウルトラクイズ』の話など、すごく共感できた。
それにしても、彼女は一体何者なのか……。
本職は芸人ではなくお囃子さん(このあと鈴本があるといっていた)なのに高座に上がるというのも謎だし、漫談をするというのも……? その漫談も上下を切って会話調で進んでいくといった、もはや三味線を持った新作落語といった塩梅。
かなり頭の上に「???」が残る不思議な一幕だった。面白かったけど。

扇辰師の二席目は、キャバクラにいったエピソードのマクラから芸者遊びの話へつながって『たちきり』へ。
恩田さんのハメモノも入り、ぞくりとさせられる。
ただ正直いって私は『たちきり』好きじゃないなぁ。
なんというか陰気なばかりで笑えるところは少ないし、蔵住まいから開放されて「もう柳橋には行かない」と番頭に宣言しておきながら、いの一番にお茶屋へ行く若旦那の了見が気に入らない。なんだコイツ。
オチも恋焦がれ死にまでしておいて、時間が来たから(線香が絶ち切れたから)サヨウナラ、ってのもううーん。
成仏するのにいいタイミングだったのかもしれないけどさあ。
もちろん扇辰師の噺は素晴らしいのだけど。
扇辰師で珍しい話が聴けたということで。
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